原田ひ香のレビュー一覧
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食事の仕方や食の好みを否定される、そして自分が卑下されていると感じると夫に言われ、離婚を切り出された沙也加。定食屋「雑」で店主のぞうさんと働き始め、考え方が変わりつつも自分らしく過ごしていく日々が描かれていました。
定食屋「雑」で作られる品が、各章のタイトルになっていました。コロッケ、トンカツ、から揚げ、ハムカツ、カレー、握り飯。どれもが、ぞうさんのこだわりのある作り方でおいしそうでした。装画のコロッケを見るだけでも、おいしさが伝わってきました。味付けは徐々に沙也加の意見も取り入れられていきました。2人がお客様のことも含めて意見を交わし、お互いを思う気持ちがいいなと思いました。
コロナ禍を -
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小さくて確かな幸せ探しの物語
原田ひ香さん初読の1冊。感想、ひ香さん実は男性作家説。おじさんの心情の悲哀やささやかな楽しみに激しく共感。「本当に何もわかっていないんですねえ」の言葉に同じように「えっ」と思ってしまう自分がいました。どんなに落ち込んでいても「うん、まあ、こういう時は喫茶店だ。」の井之頭五郎ばりの気持ちの切り替え(BGM付)。そして本当に好きなものを前にすると自然に浮かぶ笑み、無意識につぶやく「うまいな」の言葉。自分と重ねながら東京の街を歩いているようでした。「妻はなんだかんだ言って他人」松井の言葉もまた事実なり。
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現代の時間軸とは別に、戦時中の家計簿(とはいえほとんど日記のようなもの)の話もあり、登場人物の関係性も絶妙に複雑で、読むのに時間をかけてしまった。巻末の解説は、ネタバレなしであらすじがまとめられているので、先にこちらを読んでしまうのもありです。
子供がいても(いなくても)様々な理由でひとりで子育てや生活をこなしていかなければならないのは現代では最早驚かれることでもない話。
誰かと一緒に生活するということは、新しい役割が生まれるということ。妻であり、母であり、学校の先生であり、それでもひとりの人間として、いちばん自分らしく生きられる道をどうやって選択していくのか。最適解は人それぞれで、自分は納得 -
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あなたは、”朝・昼・晩で業態がガラリと変わる”というお店にピンとくるでしょうか?
人によって一日24時間の使い方はさまざまだと思います。とは言え、会社員の方であれば出勤、退勤時刻を元にほぼ決まりきった時間の流れの中で毎日を送られているでしょう。そんな私たちが日々訪れる場所は必ずしもあなたが普段目にしている姿が全てとは言い切れません。時間帯によって提供するサービスが変化していく場合があるからです。また、そんなお店で働いている人だって同じではないでしょう。シフトによって一日の中でお店の人もどんどん変わっていきます。
とは言え、業態そのものに変化はないはず。『讃岐うどんの店』が『モーニング』を出 -
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事故物件に数か月住んでロンダリングする仕事をしながら生活している主人公の女性。
住民が事故や病気で物件の中で亡くなると『事故物件』として不動産業者はその事実を次の店子に伝える義務があるらしいが、一度誰かが住めばその義務が無くなるため、主人公は家賃ゼロ、日当も出るというのを引き換えにその物件に短期間住むという仕事をしている。そうやって物件が浄化(ロンダリング)されるという。
そんなことを仕事としておこなうなんてことはありえないだろ?…最初はそう思ったが、いやあるかもしれない…と思い直した。
賃貸物件に住む際に、前の住人はどんな人でしたか?と不動産屋に聞くことはあっても、その前は、またその前は