原田ひ香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『火星に住むつもりかい?』を読んだ後だったので、次はもう少しほのぼのした本を……と思って手に取った一冊。
ところが読み始めてみると、ほのぼのどころか、今まさに家計を見直している私にはあまりにもリアルで、序盤は胃がキリキリするほどだった。
節約して憧れのヴィトンを手に入れたみづほ。
リボ払い、キャッシング、ネットワークビジネス、株の信用取引、奨学金……。
登場人物たちは、それぞれ違った形でお金につまずいていく。
どれも決して遠い世界の話ではない。
「私にも心当たりがある」と思うことが何度もあり、そのたびに自分の家計まで頭の中をぐるぐる回った。
特に心に残ったのが、財布セミナーで成功している繕財の言葉。
学んだことをすぐ実行し、それを一年以上続けられる人は、ほとんどいないという。
それを読んだとき、
「私はその100人の1人になりたい」
と心から思った。
物語が進むにつれ、最初はお金に振り回されていた人たちが、自分の現状と向き合い、少しずつ生活を立て直していく。
特にみづほが、小さいながらも一歩ずつ前へ進み、やがて自分の力で生きていけるほど成長していく姿は本当に嬉しかった。
そして、いろいろな人の手を渡ったヴィトンの財布が、巡り巡って再びみづほの前に現れる。
その頃には、財布だけでなく、みづほ自身もすっかり変わっていた。
お金につまずいても、そこから立て直すことはできる。
登場人物たちが地道に立ち直っていく姿に心から安心したのは、きっと彼らに自分自身を重ねていたからだと思う。
どんぶり勘定だった自分を叱咤激励しながら、私も今、彼らと一緒にお金の見直しを実行している。
家の中からたまたま見つけて読み始めた本なのに、
なんと私にとってタイムリーな一冊だったことか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ六つの短編に共通しているのは、主人公の女性たちが「台所のあるところ」というドラマを観ていること。ドラマは、友人が置いていった子どもと鎌倉の一軒家で暮らしている女性の話で、出てくる料理が美味しそうとか、台所が(普通なんだけど)素敵だとか評判らしい。女性たちにとって、台所は砦というか、大切な居場所ということなのかな。
夫も子どもたちも新しい仕事などで家を出て一人になった、あまり自分に自信が持てない女性も、同棲している彼の価値観に振り回されている女性も、二つの名字の住民しかいなくてお互いに口もきかないという島に嫁ぎ、居心地悪い思いで暮らしてきた女性も、みんなこのドラマに少しの勇気をもらい、自分を幸せにできる一歩を踏み出すところが良かった。ドラマの撮影に使われた家は、ご縁があって、島から出てきた女性が住むことに。「完璧な台所」になったところを見てみたいな。自分の台所について考えるきっかけにもになった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後の晩餐がテーマの7編からなるアンソロージ。
好きな作家さんばかりが、異なる切り口で書いた物語、一つ一つがとても面白かった。
人生の最後に何を食べるのか?なかなか悩ましい、重いような軽いような命題。
最後の食事は、何を食べるか、どういうシチュエーションで食べるか、誰と食べるか、一人なのか、一人の人生が表されているようで、様々な想像が生まれる。
意識をしていても本当に食べれるかどうかも分からないけれど、考えるだけで、酒盛りのネタに十分になりそうで、でも実は色々考えさせられる。
個性あふれる作家さんの物語は、色々な観点で描かれていて、其々の文体があり、あっという間に読んでしまった。
個人的には、角田光代さんの『最後の鰻』が笑えて、ほろっときて、沢山の家族に看取られて、あるあるって感じもして、大往生で好きだった。
藤野千代さんの『もうひとりのねえちゃん』は、家族が身近にいなくても、誰かがいてくれるってのも幸せの一つだと思えた。TVで『団地のふたり」が放送されているので、ノエチとなっちゃんの関係が思い浮かんだ。
寺地はるなさんの『小曽根幸子の送別会』は、小曽根さんがかっこいい。主役がいない送別会のシーンはスカッとするものがあった。
江國香織さんの「コインランドリーの夜」は、コインランドリーという場が秀逸。機械が回る音、無機質な感じが上手く描写されていて、流石って感じだった。
原田ひ香さんの『最後に何を食べたの?』は、ちょとミステリーがあって、最後にあーちゃんが恭一によって、救われるのがホッとさせられた。
しかし、このメンバーの食べ物の描写は流石上手いなぁと改めて思った。