プロフィール

  • 作者名:葉室麟(ハムロリン)
  • 性別:男性
  • 生年月日:1951年01月25日
  • 出身地:日本 / 福岡県
  • 職業:作家

西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒。『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞。『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞しTVドラマ化もされた。その他作品に『銀漢の賦』、『花や散るらん』、『いのちなりけり』などがある。

配信予定・最新刊

作品一覧

  • 名こそ惜しめよ 歴史小説アンソロジー
    NEW
    5.0
    1巻924円 (税込)
    源氏の栄枯盛衰と、北条政子の恋が交錯する(朝井まかて「恋ぞ荒ぶる」)。憂いを帯びた姫に、帝の仕掛けた戯れとは(諸田玲子「人も愛し」)。さる女性から壁絵の依頼を受け、画師の人生が動き出す(澤田瞳子「さくり姫」)。闘うことを運命づけられた坂東武者和田一門の最期を描く(武川佑「誰が悪」)。頼朝亡き後、政子は苛烈なる政戦に挑んだ(葉室麟「女人入眼」)。鎌倉を舞台に、野望、陰謀、そして恋を描いた歴史小説アンソロジー。
  • 草雲雀
    5.0
    1巻880円 (税込)
    ひとはひとりでは生きていけませぬ――。 愛する者のため剣を抜いた男の運命は!? りり、りり、りり…… 草雲雀は一晩中、恋の歌を唄う。 媛野藩の若き藩士、栗屋清吾は風采の上がらぬ三男坊だが、剣はめっぽう腕が立つ。 女中のみつと深い仲になり妻とするが、家長の長兄には認められていない。 そんなとき、道場仲間の山倉伊八郎から自分の用心棒になるよう頼まれる。 伊八郎は実父の後を継ぎ、藩の筆頭家老になるには清吾の剣の技が必要だという。 「子どもを持ちたい」というみつの願いに応えるために申し出を引き受けたものの、 伊八郎の出世を阻もうとする敵からの刺客が次々と襲い掛かり……。 解説・島内景二 単行本 2015年10月 実業之日本社刊 文庫 2018年12月 実業之日本社文庫刊 文庫 2024年12月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 緋の天空
    -
    1巻968円 (税込)
    朝廷第一の実力者・藤原不比等の娘として生まれた安宿媛は、平城京を走りまわるお転婆な女の子だった。汝は、この世を照らす光明となれ――。長じて「光明子」の名を与えられると、この世を鎮め、平穏をもたらす決意をする。だが立太子の式が行われる日、皇子の寝所から呪詛のための蠱毒の壺が見つかり、平城宮は大混乱に陥る。そこには、権勢を求める貴族たちの陰謀が隠されていた。日本の黎明を描く、葉室麟渾身の歴史長編
  • オランダ宿の娘
    3.8
    1巻850円 (税込)
    江戸に参府するカピタンの宿・長崎屋に生まれた、るんと美鶴。 世界の風に触れて育った彼女達はやがて恋を知る。 時は文政、蘭学に憑かれた人々の熱情が一大疑獄「シーボルト事件」に発展。 愛する男らを姉妹は救えるのか? 間宮林蔵など近代史の立役者も続々登場、極上の歴史ミステリにして清冽な青春小説。 解説・諸田玲子
  • 蜩ノ記
    4.6
    1巻754円 (税込)
    命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか―。幽閉中の武士・戸田秋谷の気高く凄絶な覚悟と矜持を、九州豊後の穏やかな山間の風景の中に謳い上げる感涙の時代小説!平成23年度下半期・第146回直木賞受賞作!2014年、待望の映画化!
  • 秋月記
    4.8
    1巻803円 (税込)
    筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが──。絶賛を浴びた時代小説の傑作、待望の文庫化!
  • 天の光
    3.6
    1巻704円 (税込)
    博多の仏師・清三郎は木に仏性(ぶっしょう)を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎(とが)で小左衛門は磔(はりつけ)となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。
  • 無双の花
    4.0
    1巻559円 (税込)
    島津勢の猛攻に耐え、駆けつけた豊臣秀吉に「その忠義、鎮西一。その剛勇、また鎮西一」と誉めたたえられた立花宗茂。もともと九州探題・大友家の家臣であったが、秀吉によって筑後柳川十三万石の大名に取り立てられた。関ヶ原の戦いで西軍に加担した宗茂は浪人となったが、十数年後、かつての領地に戻ることのできた唯一人の武将となった。右顧左眄せず義を貫いた男の鮮烈な生涯を描く傑作歴史小説!
  • あおなり道場始末
    4.0
    1巻561円 (税込)
    九州、豊後、坪内藩の城下町にある青鳴道場。先代の死から早一年、道場は存亡の危機にあった。跡を継いだ長男の青鳴権平はまだ二十歳と若く、その昼行燈ぶりから、ついには門人が一人もいなくなってしまったのである。米櫃も底をついたある日、「鬼姫」と巷で呼ばれる妹の千草や、神童の誉れ高い弟の勘六に尻を叩かれた権平がようやく重い腰を上げる。「父の仇を捜すために道場破りをいたす」。酔って神社の石段で足を滑らせて亡くなったとされる先代の死には不審な点があり、直前には五つの流派の道場主たちと酒席を共にしていた。三人は、道場再興と父の汚名を雪ぐため、まずはその一つ、新当流の柿崎道場を訪ねる――。
  • 天翔ける
    4.3
    1巻748円 (税込)
    幕末、福井藩は激動の時代のなか藩の舵取りを定めきれず大きく揺れていた。決断を迫られた藩主・松平春嶽の前に現れたのは坂本龍馬を名乗る一人の若者。明治維新の影の英雄、雄飛の物語がいまはじまる。
  • 雨と詩人と落花と
    3.3
    1巻748円 (税込)
    愛を見つめ、慈しむ心を描き続けた巨星・葉室麟。その深き到達点! 九州豊後日田の詩人広瀬旭荘を描いた著者畢生の感動作! 書名は、以下の広瀬旭荘の漢詩・七言絶句「春雨到筆庵」の最終行からとっている。 菘圃葱畦(しゅうほそうけい) 路(みち)を取ること斜(ななめ)に 桃花多き処(ところ)是(こ)れ君が家 晩来何者ぞ門を敲(たた)き至るは 雨と詩人と落花なり 菘(とうな)の圃(はたけ)、葱(ねぎ)の畦(うね)の中、桃の花がいっぱいに咲いているあたりに君の家がある。夕暮れ時に門を敲(たた)いて訪ねてくるのは誰だろう。雨か詩人か散る花か。 兄の淡窓にともなわれ、初めて松子の実家を訪ねた時の出会いを詠んだ漢詩だった。 菘(とうな)の圃(はたけ)、葱(ねぎ)の畦(うね)の中、桃の花がいっぱいに咲いているあたりに君の家がある。 夕暮れ時に門を敲(たた)いて訪ねてくるのは誰だろう。雨か詩人か散る花か。 時は大塩平八郎の決起など、各地が騒然としている幕末の激動期。儒者として漢詩人として、そして夫としてどう生きるべきか。動乱の時代に生きた詩人の魂と格調高い夫婦愛を描く。 儒者・広瀬旭荘は九州・日田の広瀬家に生まれた。広瀬家は天領の日田金をあつかい、大名貸しまで行う富商であった。25歳年長の兄が広瀬淡窓。儒学者であり詩人として名を馳せており、私塾の咸宜園を開設した。 兄の淡窓は世に知られた学者であり、詩人であったが、代官所の横暴に耐えていた。しかし、旭荘は怒りを募らせた。 そのころ、旭荘は二度目の妻・松子を迎えた。時折、怒りを抑えきれず打擲する旭荘に、前妻は去っていた。 しかし、松子は心優しき詩人である旭荘の本質を理解していた。堺に遊学した旭荘は、大塩平八郎決起の時期に、江戸へ。詩人として儒学者として、どう生きるべきかを問われる。詩人の魂と感動的な夫婦愛。 幕末、動乱の時期に生きた詩人と、彼を支え続けた妻。至高の夫婦愛とは? 文中の漢詩が深い感動を呼ぶ巨星の到達点!詩人の魂と感涙の夫婦愛。 巨星・葉室麟が逝去後、刊行された2冊目の著書となった。
  • いのちなりけり
    3.7
    1巻652円 (税込)
    あのとき桜の下で出会った少年は一体誰だったのか──家同士の因縁がひと組の夫婦を数奇な運命へと導く。“天地に仕える”と次期藩主に衒(てら)いもなく言う好漢・蔵人と“水戸に名花あり”と謳(うた)われた咲弥。二人は夫婦となりながら結ばれぬまま、たった一首の和歌をめぐり、命をかけて再会を期すのだが──。水戸光圀公と将軍綱吉の関係が緊張してゆく時代、思いがけず政争の具となりながら、懸命にそして清々しく生きる武士の姿を描いた力作長篇。
  • おもかげ橋
    3.7
    1巻721円 (税込)
    剣は一流だが道場には閑古鳥の鳴く弥市。武士の身分を捨て商家に婿入りした喜平次。十六年前に故郷を追われ、江戸で暮らす二人の元に、初恋の女・萩乃が逃れてくる。だが、彼女の変わらぬ美しさの裏には危うい事情があった。一方、国許では化け物と恐れられた男が返り咲き、藩を二分する政争が起き――。再会は宿命か策略か? 儘ならぬ人生を描く傑作時代小説。
  • 影ぞ恋しき 上
    4.5
    1~2巻781~800円 (税込)
    夫婦の絆、親子の情愛。 葉室麟渾身の長編小説。 吉良上野介の孫娘・香也を養女に した雨宮蔵人と咲弥夫婦のもとに信州諏訪から密使の冬木清四郎が。 かの地に配流された上野介の息子・ 義周が香也に一目会いたいというのだ。 諏訪に出向いた一家は、死期迫る義周に清四郎と香也の婚儀を迫られ、承諾してしまう。 時は綱吉治世の末期。一家は再び天下の政争に巻き込まれることに。 ※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録
    3.4
    1巻713円 (税込)
    生きている限り、人は何事かをなすことができる 伊東甲子太郎を慕い新撰組に入隊、後に伊東とともに新撰組を脱退した久留米藩脱藩隊士、篠原泰之進。 彼の目を通じて見た新撰組の隆盛と凋落。 伊東が近藤たちに暗殺された後、相良総三の赤報隊に身を投じるも、官軍に弊履のごとく捨てられる。 しぶとく動乱の日々を生き抜いた彼の疾風怒濤の半生を描く。
  • 陽炎の門
    3.8
    1巻836円 (税込)
    下士上がりで執政に昇り詰めた桐谷主水。執政となり初登城した日から、忌まわしい事件が蒸し返され、人生は暗転する。己は友を見捨て出世した卑怯者なのか。三十半ばにして娶った妻・由布は、己の手で介錯した親友の娘だった。自らの手で介錯した親友の息子・喬之助が仇討ちに現れて窮地に至る主水。事件の鍵となる不可解な落書の真相とは――武士の挫折と再生を切々と訴える傑作。
  • 風花帖
    3.6
    1巻650円 (税込)
    勘定方の青年・印南新六は、生涯をかけて守ると誓った女性・吉乃のため、刺客として藩の騒動に巻き込まれてゆく──。互いに想いを交わしながらも別々の道を選ぶことしかできなかった男女の運命を描く、傑作長編時代小説。
  • 風かおる
    3.4
    1巻721円 (税込)
    鍼灸医・菜摘は「妻敵討ち」の旅から戻った養父・佐十郎と十年ぶりの再会を果たす。しかし、死病に侵された佐十郎にかつての優しい面影はなく、帰藩は妻敵討ちを唆した者との果し合いのためだという。討たれると知りながら治療を施すことに葛藤を覚えた菜摘は果し合いの相手を探るが、やがて哀しい真実に突き当たり――。哀歓溢れる傑作時代小説。
  • 風のかたみ
    3.9
    1巻669円 (税込)
    上意討ちにあった、豊後安見藩一門衆筆頭の佐野了禅。女医師・伊都子は、ある密命を帯び、佐野家の女人たちが暮らす白鷺屋敷に送り込まれるが、そこでは不審な死を遂げる者が相次ぎ……。女の執念に切なさがこみ上げる長編時代小説。解説・冲方丁。
  • 風のかたみ
    3.6
    1巻1,600円 (税込)
    安見藩の女医である桑山伊都子は、藩主に叛旗を翻した佐野家一族の女たちを“生かす”よう命ぜられる。男たちはことごとく上意討ちとなっていた。どうやらお世継ぎ問題とも関わりがあるようだ。やがて女たちの屋敷に天狗の面を被った曲者が忍びこむが……。
  • 風の軍師 黒田官兵衛
    3.5
    1巻792円 (税込)
    あす吹く風は、どこからどこへ。黒田官兵衛、ジョアン、細川ガラシャ、織田秀信――伴天連追放令下、「かなわぬ夢」と「かなえてはならない夢」のはざまで生きた人々の思い。『風渡る』に続く葉室麟の「官兵衛」。(講談社文庫)
  • 風渡る
    3.6
    1巻836円 (税込)
    秀吉の懐刀・黒田官兵衛と、日本人修道士・ジョアン。2人は、未曾有の変革の時を、時代の風を受けて生き抜いた。居場所を求めて駆け抜けた2人。信長から、キリシタン禁止令の時期を、折々にかかわりあいながら生きてきた2人。お互いの心にあるものを察しながら、時代を体現した黒田官兵衛とジョアンの交歓を、さわやかに描く。(講談社文庫)
  • 合戦の日本史
    4.0
    1巻713円 (税込)
    我々はこの合戦をこのように読み解く! 歴史小説界の論客たちが語り尽くす、日本の合戦の真相。 桶狭間から、幕末維新の合戦まで。 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を軸に西郷隆盛、ついには司馬遼太郎まで。 合戦を語るほどに日本が見えてくる。 作家たちそれぞれの個性が際立つトークで切り結ぶ。 読めば知的好奇心を必ず刺激される。 トリビア満載の座談会へようこそ。
  • 川あかり
    -
    1巻950円 (税込)
    藩で一番の臆病者が暗殺を命じられ…… 「何度、泣いたことか。何度、笑ったことか。 生活に疲れた時、ふと気づくとこの本を手に取っている」──島内景二 豪雨で川止めとなった巨勢川の土手に呆然と佇む若侍。 藩で一番の臆病者・伊東七十郎が命じられたのは家老の暗殺。 雨が止み、川明けになれば、勝ち目のない決闘に挑む運命にある七十郎は、 怪しげな宿で、いわくありげな同宿者たちに出会う。 個性の強すぎる面々に戸惑いながらも、やがてそれはかけがえのない日々となるのだった──。 「おじいちゃんがよく言うのです。 日が落ちてあたりが暗くなっても、川面だけが白く輝いているのを見ると、元気になれる。 なんにもいいことがなくっても、ひとの心には光が残っていると思えるからって」(本文より) 人の心を震わせる名手による珠玉の一冊。 単行本 2011年1月 双葉社刊 文庫版 2014年2月 双葉文庫刊 文庫版 2025年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 河のほとりで
    3.5
    1巻673円 (税込)
    惜しまれつつ亡くなった著者の最後のエッセイ集。 透徹した眼力と豊かな想像力で敗者の歴史を丁寧に掬い取った珠玉の名篇。 臨在の「済」の字には「河の渡し場」という意味がある。 中国、唐末の僧・義玄は、現在の河北省の河に臨む場所に臨在院を建てて禅を広めたことから臨在禅師とよばれたという。臨在は「河のほとり」とも読めるのだ。著者の地元の九州、西日本新聞に連載された「河のほとりで」を中心に、西郷隆盛、武田勝頼、真田幸村(信繁)、源実朝ら悲運に倒れた歴史上の人々や、司馬遼太郎、藤沢周平から松本清張まで先達の作家たちを縦横に論じ、山本兼一、安部龍太郎、青山文平、佐藤賢一、澤田瞳子ら大時代作家の文庫解説でエールを送る。 著者の人柄が偲ばれる鋭くも優しい文章たち。
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)
    4.1
    1巻737円 (税込)
    「わが主君に謀反の疑いあり」。筑前黒田藩家老・栗山大膳は、自藩が幕府の大名家取り潰しの標的となったことを悟りながら、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。九州の覇権を求める細川家、海外出兵を目指す将軍家光、そして忠之――。様々な思惑のもと、藩主に疎まれながらも鬼となり幕府と戦う大膳を狙い刺客が押し寄せる。本当の忠義とは何かを描く著者会心の歴史小説。司馬遼太郎賞受賞。(解説・島内景二)
  • 橘花抄(新潮文庫)
    4.0
    1巻781円 (税込)
    両親を亡くした卯乃は、筑前黒田藩で権勢を振るう立花重根に引き取られたが、父の自害に重根が関与したと聞き、懊悩のあまり失明してしまう。前藩主の没後、粛清が始まった。減封、閉門、配流。立花一族は従容として苦境を受け入れるが追及は苛烈を極め、重根と弟・峯均に隻腕の剣士・津田天馬の凶刃が迫る。己の信ずる道を貫く男、そして一途に生きる女。清新清冽な本格時代小説。
  • 暁天の星
    4.0
    1巻750円 (税込)
    坂本龍馬に愛され、認められた男・陸奥宗光――。明治新政府では県知事などを務めるも、政府転覆を企てたとして投獄されてしまった陸奥。そんな彼の才能に目を留め、花開かせたのは、時の総理大臣・伊藤博文だった。外務大臣として入閣した陸奥は、日本を欧米列強に伍する国家にすべく奔走し、不平等条約の改正に尽力する。そして、日本の尊厳をかけて強国に挑まんとする陸奥を支え続けたのは、妻の亮子だった。本書は、著者が最期に「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら綴った長編小説。残念ながら未完ではあるが、著者の歴史作家としての矜持を感じ取れる貴重な作品である。陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の著者の想いは、長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。
  • 暁天の星
    3.5
    1巻1,799円 (税込)
    本書は故・葉室麟が最期に書きたかった「近代」に挑んだ作品。「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら書き続けた物語である。明治新政府で外務大臣として欧米列強と対峙し、不平等条約の改正に尽力した陸奥宗光――。日本の尊厳を賭けて強国に挑んだ陸奥の気概は、どこで育まれたものなのだろう。陸奥が生まれたのは幕末の紀州。坂本龍馬に愛され、海援隊で頭角を現し、明治新政府では県知事などを務めたが、政府転覆を企てたとして投獄されてしまう。そんな不遇の時代を経て、伊藤博文内閣のもとで外交官として、その才能を花開かせる。外務大臣となった陸奥は、日本を欧米に伍する国家にすべく奔走するのだが……。本書は残念ながら未完。しかしながら葉室麟の溢れる想いが感じ取れる貴重な作品でもある。陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の想いは長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。
  • 銀漢の賦
    4.2
    1巻611円 (税込)
    二十年を経て、身分を遥かにへだてた男たちの友情は復活するのか? 江戸の寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部(くさかべ)源五と、名家老と謳われ、南画の名手としても幕閣にまで名声が届いている松浦将監(しょうげん)。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、ながく絶縁状態となっていた。ともに五十歳をこえて二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。松本清張賞受賞の傑作時代小説。
  • 草笛物語
    4.2
    1巻770円 (税込)
    羽根藩江戸屋敷に暮らす少年赤座颯太は、両親が他界して帰国、伯父水上岳堂の親友で薬草園番人の、壇野庄三郎に託される。国許では、藩の家督を巡り、世子鍋千代を推す中老戸田順右衛門と、御一門の三浦左近を推す一派が対立。やがて藩主吉通となった鍋千代が国入りし、颯太は陰謀渦巻く城に出仕するが……。『蜩ノ記』の十六年後を描く羽根藩シリーズ第五弾!
  • 決戦!大坂城 淀殿編 鳳凰記
    -
    1~7巻202円 (税込)
    亡き豊臣秀吉の側室で秀頼を生んだ茶々。淀と呼ばれ、豊臣家を率いる彼女の前に、徳川家康という強大な敵が立ちふさがる。一族存亡を懸けた"女の戦い"とは。
  • 決戦!関ヶ原
    3.8
    1~2巻792~880円 (税込)
    当代きっての作家たち、ガチンコ競作シリーズ!慶長五年九月十五日、霧立ちこめる地に戦国時代の終焉を告げる運命を背負った男たちが集結した。天下分け目の大戦「関ヶ原の戦い」。徳川家康率いる「東軍」圧勝の理由、石田三成率いる「西軍」敗北の契機、そして両軍の運命を握る男。七人の作家が七人の武将の視点で描く競作長編「決戦!」シリーズ初陣。刊行当初から話題沸騰!業界初の立体的(3D)な競作長編!
  • 決戦!大坂城
    3.9
    1巻836円 (税込)
    慶長二十年五月(1615年6月)。豊臣秀吉が築いた天下の名城・大坂城を舞台に、戦国時代最後の大合戦がはじまろうとしていた。乱世に終止符は打たれるのか、敗北は即ち滅亡……。7人の人気作家が、戦国最終決戦「大坂の陣」に参陣。累計16万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第2弾!
  • 決戦!本能寺
    3.8
    1巻902円 (税込)
    天正十年六月二日(1958年6月21日)──戦国時代でいちばん長い夜だった。すなわち本能寺の変。天下人目前の信長を、討った男と守った男。野心と業にまみれた男たちのそれぞれの生きざまとは……。歴史の流れを変えた「瞬間」に、名手7人が集結。累計18万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第3弾!
  • 決戦!新選組
    3.7
    1巻792円 (税込)
    葉室麟が、門井慶喜が、土橋章宏が「新選組」を描く! 累計28万部を突破し、ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。 戦国時代の著名な戦場を舞台にすることが多かった「決戦!」シリーズだが、今回の舞台は初の幕末。 「新選組」の活躍と悲哀を、当代きっての人気作家が描き出す。
  • 決戦!関ヶ原 徳川家康編 人を致して
    -
    1~7巻202円 (税込)
    幼少期は人質として、成年しても織田信長や豊臣秀吉、はたまた口うるさい家臣にまで"使われてきた"苦労人の徳川家康。秀吉が死に、ようやく天下取りのチャンスがまわってきた家康の屋敷を、"あの男"が訪ねてくる。
  • 決戦!忠臣蔵
    4.3
    1巻770円 (税込)
    三百有余年、日本人が愛し涙を流し続けた続けた歴史物語『忠臣蔵』。多くの文学賞を受賞している歴史小説界の至宝とも言うべき作家たちが、日本最大の歴史サーガに挑む。傑作アンソロジーが待望の文庫化。
  • 乾山晩愁
    3.8
    1巻638円 (税込)
    天才絵師の名をほしいままにした兄・光琳が没して以来、尾形乾山は陶工としての限界に悩んでいた。追い討ちをかけるように、二条家から与えられた窯を廃止するとの沙汰が下る。光琳の思いがけない過去が、浮かび上がろうとしていた…。在りし日の兄を思い、乾山が晩年の傑作に苦悩を昇華させるまでを描く歴史文学賞受賞の表題作をはじめ、戦国から江戸の絵師たちを綴った全5篇を収録。松本清張賞作家の原点、待望の文庫化。
  • 月神
    5.0
    1巻726円 (税込)
    明治13年、福岡藩出身の内務省書記官・月形潔は、北海道に監獄を作るために横浜を発った。 明治維新以降、新政府の本流となることができなかった福岡藩出身者には、瑣末な仕事ばかりが与えられていた。 洗蔵さんが、いまのわたしを見たら、どう思われるだろうか―― 船上の潔の頭に浮かぶのは、尊攘派志士として命を燃やした従兄弟・月形洗蔵の顔だった。 激動の時代、二人の男の矜持が、時代を越えて交差する。 葉室麟が遺した、魂を揺さぶる歴史長編。
  • 月神
    3.3
    1巻660円 (税込)
    明治十三年、福岡藩士出身の月形潔は、集治監建設のため横浜港から汽船で北海道へと向かった。その旅のさなか、亡き従兄弟の月形洗蔵を想った。尊王攘夷派の中心となり、福岡藩を尊攘派として立ち上がらせようとしていた洗蔵。だが、藩主・黒田長溥は、尊攘派の台頭を苦々しく思っており、洗蔵は維新の直前に刑死した。時は過ぎ、自分は今、新政府の命令によって動いている。尊敬していた洗蔵が、今の自分を見たらどう思うのか? 激動の明治維新の中で国を思い、信念をかけて戦った武士たちを描く、傑作歴史小説。
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)
    3.8
    1巻693円 (税込)
    富商の娘を娶り、藩の有力派閥の後継者として出世を遂げる三浦圭吾。その陰には、遠島になってまで彼を守ろうとした剣客・樋口六郎兵衛の献身と犠牲があった。十年後、島から戻った六郎兵衛。だが、二人は敵同士として剣を交えざるを得なくなる……。派閥争いに巻き込まれ、運命に翻弄されていく男たち。彼らは、何を守るために刀を振るうのか。真に大切なものを問う、葉室文学の円熟作。(解説・島内景二)
  • 恋しぐれ
    3.9
    1巻621円 (税込)
    京に暮らし、二世夜半亭として世間に認められている与謝蕪村。よき友人や弟子たちに囲まれ、悠々自適に過ごす晩年の彼に小さな変化が……。祇園の妓女に惚れてしまったのだ。蕪村の一途な想いに友人の円山応挙や上田秋成、弟子たちは驚き呆れるばかり。天明の京を舞台に繰り広げられる人間模様を淡やかに描いた、傑作連作短編集。著者の特徴である「人を想う気持ち」が通奏低音の如く流れ、読む人の気持ちを暖める。新たな蕪村像を描いた意欲作!
  • 古都再見(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    幕が下りるその前に見るべきものは、やはり見ておきたい。歴史作家は故郷を離れ、古都・京都に仕事場を構えた――。先斗町のウオッカバーで津田三蔵の幻を追い、西本願寺の〈司馬さんのソファ〉に新撰組の気配を感じ、四条河原町のレトロな喫茶店で本能寺の変に思いを馳せる。現代人の失くした信念、一途、そして命の尊さを描き続けた著者が遺した、軽妙洒脱、千思万考、珠玉の随筆68篇。(解説・澤田瞳子)
  • この君なくば
    3.9
    1巻650円 (税込)
    伍代藩士の楠瀬譲と栞は互いに引かれ合う仲だが、譲は藩主の密命を帯びて京の政情を探ることとなる。やがて栞の前には譲に思いを寄せる気丈な女性・五十鈴が現れて……。激動の幕末維新を背景に、懸命に生きる男女の清冽な想いを描く傑作長編時代小説。
  • 辛夷の花
    3.9
    1巻759円 (税込)
    九州豊前、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里(しおり)は嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていた。ある日、隣家に「抜かずの半五郎」と呼ばれる藩士が越してくる。太刀の鍔(つば)と栗形(くりかた)を紐で結び封印していた。澤井家の中庭の辛夷の花をめぐり、半五郎と志桜里の心が通う。折しも小竹藩では、藩主と家老三家の間で主導権争いが激化していた。大切な人を守るため、抜かずの半五郎が太刀を抜く!
  • 孤篷のひと
    3.6
    1巻792円 (税込)
    千利休、古田織部、徳川家康、伊達政宗――。当代一の傑物たちと渡り合い、天下泰平の茶を目指した茶人・小堀遠州の静かなる情熱、そして到達した"ひとの生きる道"とは。あたたかな感動を呼ぶ歴史小説!
  • 嵯峨野花譜
    4.0
    1巻730円 (税込)
    花を生ける、人を生かす。 まだ悲しみも喜びも知らぬ少年僧の、四季折々の花に彩られた成長物語。 物語の舞台は文政13(1830)年の京都。 年若くして活花の名手と評判の高い少年僧・胤舜(いんしゅん)は、ある理由から父母と別れ、大覚寺で修行に励む。 「昔を忘れる花を活けてほしい」 「亡くなった弟のような花を」 「闇の中で花を活けよ」 次から次へと出される難題に、胤舜は、少年のまっすぐな心で挑んでいく。 繊細な感受性を持つ少年僧が、母を想い、父と対決していくうちに成長をとげていく、美しい物語。 解説・澤田瞳子 ※この電子書籍は2017年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 実朝の首
    3.7
    1巻726円 (税込)
    建保7(1219)年正月、鎌倉・鶴岡八幡宮で将軍源実朝が甥の公暁に暗殺された。背後には北条や三浦の影があったが、公暁も三浦義村に殺されてしまう。混乱の中、少年・弥源太は実朝の首を持ち逃げする。権威失墜を恐れる幕府では、尼将軍・北条政子が悲痛な深謀を巡らせていた。京からは後鳥羽上皇の弔問使が下向、混乱は深まる。幕府、朝廷、弥源太たち三つ巴の駆け引きの行方。新鋭が挑む鎌倉幕府最大の謎、傑作歴史長編。
  • さわらびの譜
    4.1
    1巻748円 (税込)
    「わが想いは一筋の矢の如し、届け――!」 扇野藩重臣有川家の長女・伊也は、藩随一の弓上手、樋口清四郎と渡り合うほどの腕前。競い合ううち清四郎に惹かれていく伊也だったが、妹の初音に清四郎との縁談が持ち込まれる。伊也とのあらぬ噂により、藩主の不興を買った清四郎の汚名をそそぐため、伊也は清四郎と弓勝負で立ち合うことに――。有川家に身を寄せる謎の武士の正体とは。姉妹の揺れる想いの行方は。くすぶる藩の派閥抗争が彼女らを巻き込む。 高潔な志が清々しい感動を呼ぶ、時代長編! ≪熱き信念が胸を打つ、扇野藩シリーズ≫

ユーザーレビュー

  • 名こそ惜しめよ 歴史小説アンソロジー

    Posted by ブクログ

    鎌倉初期のアンソロジー

    恋ぞ荒ぶる 朝井まかて 北条義時
    人も愛し 諸田玲子 後鳥羽上皇の大姫への愛
    さくり姫 澤田瞳子 一条能保室(頼朝妹)の話
    誰が悪 武川佑 和田騒動の和田義盛
    女人入眼 葉室麟 北条政子

    0
    2025年11月26日
  • 嵯峨野花譜

    Posted by ブクログ

    活花の天賦の才能を持ち、幕閣の重鎮の落とし胤という複雑な生い立ちのまだ年若い僧胤舜が、花を生ける事で成長していく姿を描いた一冊。
    京都の寺院を舞台に、静かで凛とした雰囲気で描かれた物語はとても心地よく、いい読書時間でした。

    0
    2025年11月08日
  • 無双の花

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    立花宗茂の生き様に喝采。
    真田信繁の遺児を、大谷刑部の娘利世に託され、片倉小十郎に預ける。大八はのちに真田守信を名乗り、阿梅は小十郎の妻となった
    真田信繁の血脈は仙台藩で伝えられた
    宗茂はうなづきつつ、話の続きを待った。正信が懐紙を取り出して、口を拭った後、切れ切れに言葉を添えた。それがしは大久保長安な一件で伊達殿にはずいぶんと憎まれもした。それがしの狙いは、伊達殿にはあらず、長安の後ろ盾であった大久保忠隣ござったと、いずれ立花殿より伊達殿に伝えていただけまいか存じしてまして、お呼び立てしたのでござる。

    0
    2025年10月27日
  • 影ぞ恋しき 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時は、江戸5代将軍綱吉の治世。側用人柳沢吉保が権勢を振るっていた。
    赤穂浪士討ち入り後、彼らに切腹の沙汰を下した一方、吉良上野介から家督を継ぎ、討ち入り時も奮戦し、傷を負った吉良左兵衛は、諏訪に送られ、治療も虚しく死期を悟り、上野介の血を引く、雨宮蔵人と咲弥の娘(義理)の香也に一目会いたいと願う。
    蔵人は、香也を伴い諏訪に向かう。蔵人と香也は、左兵衛から吉良家の再興を託される。また、香也を家臣である冬木清四郎と婚約し、2人で再興をして欲しいと願う。その後、左兵衛は、亡くなるが、清四郎は吉良家の仇討ちを果たすため、江戸に向かう。同じ頃、蔵人は、江戸に向かう先の関白近衛基煕の護衛に同行することにな

    1
    2025年09月07日
  • 潮鳴り

    Posted by ブクログ

    葉室作品、いつも色々な事を考えさせられる
    自分の人生はどうすべきか
    これで良いのか
    振り返るのでは無く、これから先をどう生きるべきか
    中々簡単ではない
    この作品は一つの道標と思う

    0
    2025年08月31日

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