吉川トリコのレビュー一覧
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ネタバレ青春映画な小説だった。
プロム開催に奔走する女子高生達と周りの大人達。
これはこれで羨ましく、そしてかなり眩しい。
だが、暴走する女子高生達に共感出来ないのは、プロム開催を思い付く動機がぼんやりしてるから、なんだろうな。校長への直談判の台詞は立派で良かったが。
同じ理由でチアガールもうーん?となっている。もう少し心情に切り込んだものを期待していたが、短編なので深掘り出来なかったという事だろうか。
ただ逆にその短さによって暗い話になりそうな題材が、この表紙のような明るさを保っていると感じた。
表面は明るく、しかしそれぞれ闇はあり、それが様々な青として表現されているのかなと思う。
個人的には甘利くんの母が一番心配だな。彼女のあの孤独感は世の既婚者に結構あると思うが、彼女の場合それが赤ちゃんを育てたい欲求に変貌を遂げていて、メンタルの曲がり方がかなり怖い。将来孫が犠牲になるパターンは回避されそうでそこは良かったが、それはそれできっと彼女は今度こそ崩壊してしまうのではないだろうか。
……でも、それもこれも短編なのでね。
闇の入り口をちょっと見せて読者に想像を委ねる作戦は成功していると思います。 -
Posted by ブクログ
小説家の先生の子供を身籠った女、楓が、小説家の母が住む岐阜の田舎で、その小説家の妻、野ゆりと二人暮らしをすることになるという、ちょっとどうかしている設定。徐々に明らかになっていく楓の過去。若気のいたりで結婚したものの、夫がマルチに嵌って借金まみれで飛んだ。次のパートは野ゆりの章。楓から見たら、田舎で先生の言いなりに、愛人の世話を焼かされている哀れな「妻さん」にも、自分が特別な人生を歩んでいるのだと信じていた時代があった。そしてラスト。子供が生まれ、先生の母親を看取ったのち、二人の選んだ結末は。
先生は都合が悪くなると、女二人を置いて東京へ帰ってしまう。財力があったら、こんなことが許されるのかと腹立たしいが、どうも憎めない人らしい。先生の祖父もまた女にだらしなく、それが許される人間だったらしく、あちこちの女に手を出していたことが、公然の秘密として共有されている、そんな狭い田舎の話。先生の母親も、父親と結婚するより先に、その祖父の愛人だったという過去が明かされる。秘密といえば、楓の妊娠の秘密も最後の最後に明かされる。「お嫁さん」になるために育てられた女たちの、思い込まされている正しさを問う小説か。
楓のパート。恵まれない環境で育った若い女の、何にも期待せずに生きている感覚がとても上手い。
「明日どうなってるかもわからないから今日のうちに楽しんでおかなくちゃという気分があって、だからみんな先のことなんか考えずにその日暮らしでいきあたりばったり、楽しそうな飲み会に誘われたらバイトをドタキャンし、ホストに入れあげて出稼ぎ風俗や立ちんぼで荒稼ぎし、ぜったいにやばいってわかってるのに町で声をかけてきた悪そうな男についていく。より楽しそうなほうへ、より気がまぎれるほうへと流れ流されて、若さを浪費していた。」
野ゆりのパート。平成初期のサブカル少女感が、苦しくなるほどリアル。大学には量産型のつまんない子しかいなくて、酒場で鮮烈な出会いをした「自分を持っている」美大生と、面白おかしい日々を過ごした。40代になった野ゆりは、帰省した際、その過去を懐古する。
「なんだかこの家で暮らしていたころに戻ったみたいだ。世の中のことなどなにも知らず、だれかに深く傷つけられたこともなければ身を引き裂かれるような別れを経験したこともなく、愛するものに拒否されることなんかあろうはずもないと信じて疑っていなかった、幸福で甘えきった子どものころに。」
野ゆりは自分を大事だと思っている。一方、楓は、どこか投げやり。育った環境のせいだろうか。二人とも、母親の干渉から逃れて、必死で自分が生きていく足場をつくってきたのだけど。
大人の野ゆりが、夕陽を見ながら「帰りたい」と思うシーン。どこに帰りたいのかはわからないが、遠い昔に別れてしまった友人に、心の中、ずいぶん遠くにきちゃったねと語りかける。わかる。わかるなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ軽い気持ちで1時間足らずでささっと読めました。
マユが実はアッキーのガチファンでストーカーなのか!?
「はる」のアカウントがマユ!?
店長代理の名倉祐也がどのように2人の恋愛にからんでくるのか
などなど、いろんな展開を想像しながら読みましたが…
最後のゆで卵の配信。まったく意味がわからない。配信で彼女に今から会おう宣言とかありえない。
ないわー
と思ってからのエピローグの一言目。
「ないわ」
めちゃ安堵!いや、ほんとにそれです。
次はドームどころかアリーナも埋まらないだろうね!でスカッとしました。
推しに対する女心をまったくわかってない作者さんかと思ったら逆でした。よかったー。
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Posted by ブクログ
ネタバレ第28回島清恋愛文学賞受賞作。
第30回の同賞受賞作『光のとこにいてね』があまりにも素晴らしく、他の受賞作も読んでみたいと思ったのが、この本との出会いのきっかけだった。
読後に強く残ったのは、「私は金で何を買っているのか?」という問い。
主人公片倉唯は、超がつくほどの倹約家。
一切の無駄を排除し、資産運用をしながら堅実に生きる。ミニマリストと呼べば聞こえはいいけれど、そんな人生に何の楽しみがあるのだろうと思ってしまうほど、無味乾燥な生き方をしているように見えた。
けれど、子宮頸がんを宣告され、余命一年と知った瞬間に世界が一変する。
初対面で金の無心をしてきたピンク髪の男・瀬名との出会いをきっかけに、唯は“お金で人の時間を買う”という大胆な行動に出る。最初は1時間1万円で70時間の契約、そしてついには遺産を渡す代わりに結婚を申し込む。
唯の振り切れた決断に、思わずスカッとした。
人が金を後先考えずに使う姿は痛快で、地味なOLの唯がそれをやるからこそ、共感できて親近感も湧いた。
唯がお金に執着していた理由は、二つあるように思う。
一つは、男性社会の中で経済的に優位に立ちたかったから。もう一つは、愛や永遠といった曖昧なものが怖かったから。気持ちは測れないけれど、お金は数値で表せる。人は裏切るけれど、お金は勝手に減らない。母を亡くし、家庭にしがらみを抱えていた唯にとって、それは“唯一裏切らない存在”だったのかもしれない。
ラストが前向きな余韻で終わるのもよかった。
ダイパやコスパだけを追っても人生はつまらない。
一人で堅実に生きるのも、誰かに翻弄されながら不確実な人生を歩むのも、どちらも悪くない。そんなふうに思わせてくれる、温かくも鋭い物語だった。 -
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シリーズ第2弾。スカイツリーを見上げる下町の片隅に、ひっそりと息づく商店街を舞台に人間ドラマ。ひとつの商店街を舞台に6人の人気作家が紡ぐ、ほっこりおいしいアンソロジー。
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