吉川トリコのレビュー一覧
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吉川トリコさんはこれで四作目になるのかな。
吉川さんは気になる作家さんであり、この文庫の表紙もすごくかわいくて一目ぼれ。
さて、内容なんですが、30歳を目前にした花という女性が主人公。
表紙とはまるで正反対で、花は女であることを捨てた女性。
仕事はせず寝てばっかりで、基本三日くらいはお風呂に入らない。
そんな花もかつてはふわゆる系の女子だった。
ある日ふとしたできごとから女でいることをやめるのだけど……
そんな花にも同棲して七年目になる彼氏―ハルオがいる。
どんなに花がブスでひきこもりになっても離れていかない。
そんな彼もバイトで生活しているのだけど……
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Posted by ブクログ
******引用******
「こんなこと、あたしが言うことじゃないかもしんないけど、いや、べつにいいんだけど、花ちゃんの好きなようにしていいんだよ。この部屋で眠りたいだけ眠って、あのパンをつぶして食べようがつぶさず食べようが、そんなことはどうでもいい。好きにすりゃいいよ。なんにも文句言わない。でも、」
そこでなっちゃんは一旦、言葉を区切った。鏡の中、目だけはそらさないで。
「誕生日までにいっこだけ、なんでもいいから欲しいものを見つけなさいよ。そうしなきゃもう遊んであげないよ」
厳しい口調ではなかった。子どもをなだめるような優しい声だった。でもそれは命令だった。
―― 『しゃぼん』 -
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R-18文学賞受賞作「ねむりひめ」に表題作「しゃぼん」「いろとりどり」「もうすぐ春が」の3作を加えた全部で4つの短編。表題作のサイドストーリーもあるため、収録順に読むことをオススメします。一貫して「少女」の目線で描かれているので、読み手を選ぶ作品であることは否めません。男性には理解し難い部分もいくつかあるのではないでしょうか。女性になろうとしている途中の少女は見透かされているような気持ちを、かつて少女だった女性は自分の面影をどこかしらに感じるかと思います。露骨な性描写はありませんが、それぞれの関係性が妙にエロい、雰囲気エロな1冊だと思いました。漫画を読んでるみたいに、さらりと読めます。むしろ漫
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小説家の先生の子供を身籠った女、楓が、小説家の母が住む岐阜の田舎で、その小説家の妻、野ゆりと二人暮らしをすることになるという、ちょっとどうかしている設定。徐々に明らかになっていく楓の過去。若気のいたりで結婚したものの、夫がマルチに嵌って借金まみれで飛んだ。次のパートは野ゆりの章。楓から見たら、田舎で先生の言いなりに、愛人の世話を焼かされている哀れな「妻さん」にも、自分が特別な人生を歩んでいるのだと信じていた時代があった。そしてラスト。子供が生まれ、先生の母親を看取ったのち、二人の選んだ結末は。
先生は都合が悪くなると、女二人を置いて東京へ帰ってしまう。財力があったら、こんなことが許されるのか -
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ネタバレ第28回島清恋愛文学賞受賞作。
第30回の同賞受賞作『光のとこにいてね』があまりにも素晴らしく、他の受賞作も読んでみたいと思ったのが、この本との出会いのきっかけだった。
読後に強く残ったのは、「私は金で何を買っているのか?」という問い。
主人公片倉唯は、超がつくほどの倹約家。
一切の無駄を排除し、資産運用をしながら堅実に生きる。ミニマリストと呼べば聞こえはいいけれど、そんな人生に何の楽しみがあるのだろうと思ってしまうほど、無味乾燥な生き方をしているように見えた。
けれど、子宮頸がんを宣告され、余命一年と知った瞬間に世界が一変する。
初対面で金の無心をしてきたピンク髪の男・瀬名との出会いをき -
購入済み
シリーズ第2弾。スカイツリーを見上げる下町の片隅に、ひっそりと息づく商店街を舞台に人間ドラマ。ひとつの商店街を舞台に6人の人気作家が紡ぐ、ほっこりおいしいアンソロジー。
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