吉川トリコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
吉川作品を読むのも二回目。
『戦場のガールズライフ』とはうって変わって、超短編集。
地元新聞連載であったらしく、一篇ずつ名古屋市の十六の区と、周辺の県を順に舞台にしていく。
これだけの篇数に、それぞれ主人公や語り手がいるわけで。
まず驚かされるのは人物の多彩さ。
ゆる不登校の少年、SKEのオーディションに出たいと切望する女子中学生、名古屋生まれの彼女とよその地域から来た彼氏、どこの国か明かされないが名古屋で暮らす留学生、そして名古屋在住の作家の河村さんなどなど。
よくもこんなに背景の違う人物を書き分けられるものだ。
物語の結構も凝ったものが多い。
えっ、そんな設定? それが語り手? などと、こちらの予想の斜め上を行かれてしまう。
そんなおもちゃ箱のような印象なのだが、一冊読んでいくと、この人の心の中の世界がなんとなくわかって来る気がする。 -
Posted by ブクログ
これも大阪で買ってきた一冊。
以前から読みたいと思っていた本です。
スカイツリーを見上げる下町のかたすみに、
ひっそりと息づく商店街がありました。
それがー『明日町こんぺいとう商店街』。
明日町こんぺいとう商店街を舞台にした7つの物語。
七人の作家さんのアンソロジー。
大島真寿美 『カフェスルス』
大山敦子 『あずかりやさん』
彩瀬まる 『伊藤米店』
千早茜 『チンドン屋』
松村栄子 『三波呉服店ー2005-』
吉川トリコ 『キッチン田中』
中島京子 『砂糖屋綿貫』
読んだことのある作家さんは、彩瀬まるさん、中島京子さんの二人だけ。
どの物語も心がほんわかします。 -
Posted by ブクログ
タイトル買い。
「こんな大人になるなんて」なんて思わない大人なんてそうそういないような気がする。子供~思春期の頃思い描いてた‘大人’とは全然違うし。
この短編集は主に吉川さんがアンソロジーに発表した作品を集めたもの。ちなみに「こんな大人になるなんて」という作品は入ってない。
『冷やし中華にマヨネーズ』
ゆっくり失恋するお話。吉川さん版『落下する夕方』か!と思った。
『夏の草』
こちらは吉川さん版『私の男』か!と思った。‘男’のイサオにうっかり惚れそうになる。危ない危ない。
『だれかの奥さん』
この作品が一番好きで一番共感した。
社宅で‘’須永さんの奥さん’として生き甲斐もなく暮らしている千鶴子。ある日スーパーで主夫をしてるらしい‘奥野さんの旦那さん’とばったり出会う。その奥野さんは実は千鶴子が尊敬しているマニアックな漫画家で...。
普段ぽーっとしてるのに好きなものの話になると饒舌になる彼女に自分を見るようでちょっと赤面。でも彼女のしたことできたことはしぬほどうらやましいんだよう(笑)例え周りの人の気持ちを押し潰して強引にしたことでも。この話だけで中古文庫本380円の元はとれた。
他に『1996年のヒッピー』『寄生妹』『ポルノ姫』『ずくもない』を含めた全7編。
解説は作家からライターになった豊島ミホさん。
ふたりとも「女による女のためのR-18文学賞」出身で仲が良さそう。
正直わたしには「こんな大人になるなんて」という本タイトルの理由が分からなかったが、面白く読まさせていただきました。あ、あと若干(?)エロいものも含まれています。 -
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街。
大山淳子氏の「あずかりやさん」がとても良かったので、"出身地"である、こんぺいとう商店街のことをもっと知りたくなりました。
個人商店が立ち並ぶ商店街は、現代では衰退の傾向にあるけれど、こんぺいとう商店街は、たたむ店あり、新しくできる店ありで細々と続いている。
家業を継いだ若者や、出て行ってまた戻ってきた者、新しい商売の形、幼なじみと小さな恋の話など、懐かしい雰囲気の中で語られる。
後に行くにしたがって、他の商店の名前が登場するようになって、箱庭世界が充実していくのが面白い。
一軒目『カフェ スルス』 大島真寿美
ほぼ還暦世代の演劇仲間が集まって、カフェを開くことになる。
バイトで食いつないで来た者ばかりなので、即戦力!
「スルス」はフランス語で「泉」
ちょっとお洒落なカフェができたと、なかなか繁盛。
二軒目『あずかりやさん』 大山淳子
一日100円で何でもあずかる、あずかりやさん。
開店のきっかけになった男が桐島透にあずけた物と、盲目の店主に本を点訳してくれる女性、少年に託された茶色いかばんの中身。
三件目『伊藤米店』 彩瀬まる
「米屋の息子がいい男になって戻ってきた!」と、桐子の周りで話題になる。
なんと、かつての同級生、「野球部の伊藤くん」だった!
おいしいおにぎりと、ひと時の幻想。
四軒目『チンドン屋』 千早茜
テレビが普及してCMがかかるようになるまでは、「チンドン屋」は貴重な宣伝手段だった。
今毘羅屋清治郎が語る、チンドン屋、今昔。
五軒目『三波呉服店――2005――』 松村栄子
着物を着る人が少なくなって、由緒ある呉服店も、卒中で後遺症が残る店主が帳場を守るばかり。
そこへ吹く新しい風と、人間国宝が染めた辻が花の着物の由来。
六軒目『キッチン田中』 吉川トリコ
「ヒナギク生花店」の娘・ひな菊が胸に秘める、「キッチン田中」のシェフ・修(おさむ)への思いのゆくえ。
七軒目『砂糖屋綿貫』 中島京子
砂糖屋の二階に下宿した、浅木耕太が見る、大家・綿貫徳次郎のシルバー・ライフと、耕太の後輩・キズナの謎の行動(耕太にとって) -
Posted by ブクログ
ネタバレあまりにも柔らかな文筆なので読んでいる最中は大して気にしていなかったが、作品のテーマのなんて重たいことか。家族の形って多分、それぞれ漠然とした答えは皆持っているだろうけど、そこから少しでも外れただけで異質だと後ろ指さされたり(家族に限らずだが)言った側にしてみれば軽口にすぎない言葉が受取手側を傷つけたり。
少し冷静になって考えてみれば分かることなのに、わざわざ冷静になる必要もないと思っているのか、これくらいという甘え(あるいは悪意)が随所に散りばめられていた。
最後の迎えに行くかがその最終形態なのかもしれない。ミドリが何を見て、何を感じ取り母親と暮らすことを決意したのか知らない広と源三の独りよがりの『家族』たるミドリへの愛情が痛々しくもあり、愛おしくもある。
作品としては良い話しのようにして終わっているが万が一、ミドリが戻ってきた場合、果たして周囲は見守りに徹してくれるのだろうか? 作中と同じように心ない言葉で傷つけ、あざ笑い、孤独にさせるのではないかとついつい考えてしまった。
それを「子供っぽい」と一蹴してしまうミドリのこなれ感もまた母親の貴美子のような、どこか性格に難のある大人にしてしまうのでは、とも。
その後に想像を膨らませずにはいられない作品に出合ってしまいました。 -
Posted by ブクログ
高校時代の仲良し4人の女子の卒業式の後からスタートし
一人の子が、遺体で見つかった事件から物語は始まる。
寂しい気持ち、このままこの狭い世界に閉じ込められて何処にも出ていけないんじゃないかと思う気持ち、こうなるはずじゃなかったのに未来が変わってしまったこと、幸福を手に入れたと思ったはずなのに
こころが満たされないでいること、母の呪縛から逃れなれないでいること
それぞれの「彼女」の人には見せない人間の面が赤裸々に描かれている作品だった。
自分もある時まで
私は、へらへらして寂しくて仕方なかった。あえて笑をとりながらも何処にも身を置けなかった。
でも、ある時から
あ友人がずっとそばにいてくれることに気がついて寂しいと感じなくなった。
いつも会えるわけでもない。
だけど、彼女が居てくれるそれだけで一人じゃないんだなって思えることが何よりも1番の私の宝だと思う。
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