あらすじ
ミドリは父・広と住み慣れたN市を離れることになった。そして父親の新しいパートナーの家に転がり混む。そのパートナーは女性ではなく、男性だった。"ふつう"の両親に育てられたミドリ。新しい家にも、学校にもなかなかなじめない。でも毎日生きていかなくてはならない。みんなが新しい家族のかたちやあり方を考える日々。
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Posted by ブクログ
人にはそれぞれの正義がある。
人を認めることも、人を貶めることも、全てがその人の正義により行われる。
だから正義と悪は表裏一体だと思う。
その正義が人を強くすることもあれば弱く、痛めつけることもある。
しかし、それを貫くことが出来る人はとても少ないんじゃないか、そんなことを思いました。
人から醜いと思われようとも、そこをその人が守り抜ければ、それがその人の正しさなのではないかとおもいます。
社会の狭さを憂うことなら誰でも出来る。
それからのことは自分の正義を通せる人しか、結局は何かをなすことはできないと思う。
ぐいぐいと引き込まれました。
みんなの気持ちが痛いほど真っ直ぐ心に響きました。
解説にもあったように、すべてを肯定し、送り出す吉川さんの力が見える作品でした。
とても考えさせられるけれど、明日ほんの少し前を向うと思える作品でした。
Posted by ブクログ
大人びていて察しもいいミドリ、でもまだまだこどもで自分のまわりで起こることに対してどうしようもない気持ちになるのがつらい
出てくる人たちが皆、何かしらの思いを抱えているのがリアル
結末、何も問題は解決していないのだけれど、どうにかしたいという前向きさが救いかな
『小さな傷だろうと、その傷を負った時のたった一撃で無惨に死んでしまう可能性がある』という解説の一文にとても共感
Posted by ブクログ
最初はほんわか、だんだん物語が現実の醜い部分を、現実のどうしようもない部分を見せてくる。
家族って難しい、と改めて思った作品です。
個人的には貴美子の話が一番心に残った。
2018.3.23
Posted by ブクログ
あまりにも柔らかな文筆なので読んでいる最中は大して気にしていなかったが、作品のテーマのなんて重たいことか。家族の形って多分、それぞれ漠然とした答えは皆持っているだろうけど、そこから少しでも外れただけで異質だと後ろ指さされたり(家族に限らずだが)言った側にしてみれば軽口にすぎない言葉が受取手側を傷つけたり。
少し冷静になって考えてみれば分かることなのに、わざわざ冷静になる必要もないと思っているのか、これくらいという甘え(あるいは悪意)が随所に散りばめられていた。
最後の迎えに行くかがその最終形態なのかもしれない。ミドリが何を見て、何を感じ取り母親と暮らすことを決意したのか知らない広と源三の独りよがりの『家族』たるミドリへの愛情が痛々しくもあり、愛おしくもある。
作品としては良い話しのようにして終わっているが万が一、ミドリが戻ってきた場合、果たして周囲は見守りに徹してくれるのだろうか? 作中と同じように心ない言葉で傷つけ、あざ笑い、孤独にさせるのではないかとついつい考えてしまった。
それを「子供っぽい」と一蹴してしまうミドリのこなれ感もまた母親の貴美子のような、どこか性格に難のある大人にしてしまうのでは、とも。
その後に想像を膨らませずにはいられない作品に出合ってしまいました。
Posted by ブクログ
花世のボーイフレンド、いるいるこういう寒カル系。花世は花世で、こういう子おるわとなんか懐かしい。
それぞれの話、もっと長く読んでいたかった。
親のキスシーン見て複雑になるの、子の立場ではなく親の立場で読んで、うっ、となる。
Posted by ブクログ
最初から最後まで、広のどこがいいのかさっぱりわからなかった。
甲斐性もないさえないおっさんは、真面目で優しくて誠実しか取り柄がなさそうなのにその「誠実」すら男との浮気によって失われたわけだし。
娘は、母と父どちらとの生活を選んでもきっと苦労するだろうなあ。
Posted by ブクログ
電子書籍
4人の登場人物の視点でストーリーがどんどん進んでいく。1人1人の視点で話が進んでいくし、時系列も進んでいく。最後、ミドリちゃんを連れ戻すとこまで見たかったなぁー。
Posted by ブクログ
やりての妻と別居するため、田舎の写真館に父とともに引っ越した小学三年生のミドリ。そこには、髪を伸ばし、派手な服装でオネエ言葉を使う源三がいた。父と源三はいつも楽しそうにふざけあっているが、ピアノもなく地元の同級生の意地は悪く…。
ミドリ、広(父)、花世、源三、貴美子(母)のそれぞれの視点から、離婚しかけの家庭、同性愛に子供を受け入れる家庭、学校などを描くアンソロジー型の小説である。
「ミはミドリのミ」という、他愛のない話からスタートし、離婚の話、花世の話など、どんどん重いテーマになっていくが、それらを源三が「めんどくせーな」の一言で突っぱねていく。そこが本作の醍醐味であろう。
ただ、いかんせん、取材したウェイトもあるだろうが、源三のゲイの話を軸に重点を置きすぎたきらいが有り、そうかんたんにいじめられたりするもんかねえと思うのは、2021年だからかもしれない。
そういうこともあって、キーとなるミドリの父と母に対する葛藤、花世の難しさという、子供世代の登場人物について、悩み自体は描かれているものの、周りの情景がさほど見えず、キャラクター自身の魅力が引き出しきれていない。
終盤には、源三の過去やゲイの難しさ、おそらくそこが作者が一番書きたかったことだと思う、のあたりが、書きたい気持ちが先走って、読みにくいしどうしたいのかがよくわからない文章になっていたのは残念。もっとシンプルに「ミドリと暮らしたい」って方向で良かったと思う。ここが☆一つ減点ポイント。それ以外は☆4。
あとまあ、「日曜日はヴィレッジヴァンガードで」うん、これ書きたかったんだろうね。内容はいきいきして、他の作品よりも出来が良いけど、タイトルも含めて本の中で浮いてるわ。物を書くようになってから、こういう文章書きたいもの。わかる、わかるんだけど、タイトルもうちょっと薄めてほしかったな。