吉川トリコのレビュー一覧
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******引用******
「こんなこと、あたしが言うことじゃないかもしんないけど、いや、べつにいいんだけど、花ちゃんの好きなようにしていいんだよ。この部屋で眠りたいだけ眠って、あのパンをつぶして食べようがつぶさず食べようが、そんなことはどうでもいい。好きにすりゃいいよ。なんにも文句言わない。でも、」
そこでなっちゃんは一旦、言葉を区切った。鏡の中、目だけはそらさないで。
「誕生日までにいっこだけ、なんでもいいから欲しいものを見つけなさいよ。そうしなきゃもう遊んであげないよ」
厳しい口調ではなかった。子どもをなだめるような優しい声だった。でもそれは命令だった。
―― 『しゃぼん』 -
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R-18文学賞受賞作「ねむりひめ」に表題作「しゃぼん」「いろとりどり」「もうすぐ春が」の3作を加えた全部で4つの短編。表題作のサイドストーリーもあるため、収録順に読むことをオススメします。一貫して「少女」の目線で描かれているので、読み手を選ぶ作品であることは否めません。男性には理解し難い部分もいくつかあるのではないでしょうか。女性になろうとしている途中の少女は見透かされているような気持ちを、かつて少女だった女性は自分の面影をどこかしらに感じるかと思います。露骨な性描写はありませんが、それぞれの関係性が妙にエロい、雰囲気エロな1冊だと思いました。漫画を読んでるみたいに、さらりと読めます。むしろ漫
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「ふつう」の家が、いかに大変か。ルームツアーやインテリアが大好きなのでいつかは私も家を建てる、もしくはリノベーションで自分の理想を詰め込んだ城を建てるんだ!と思っていたのでこのエッセイ、というか家を建てる実録のような本は面白かった。吉川さんの小説がすきでご本人のエッセイは初めてながらも隅々に感じ取れるフェミニズムや脱プラスチック、など一見癖に取られる部分も、一人の人間としての吉川さんのこだわりが見れるのも良かった。まだまだ家を建てるという事は家族しかも子どもがいるを想定した男性の持ち物というのは売り手側のアップデートは追いついていないのだなと感じる憤りは私にも体温が感じるようだった。書斎やキッ
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ネタバレ子どものころから母に「ちゃんと貯金しなさい」と言われて育ち、お年玉をすべて没収はされなかったけれども、もらったものは大半を銀行(自分の口座)に預けるのが当然で、ある程度溜まったら定期預金にしていた。結果的に、大人になってから、少し安心できるくらいの貯金になったので、それはメリットだったけれど、「お金を使うのが下手だな」という自覚がある。若いときにもっとバカみたいな注ぎ込み方をしておけばよかった。年を重ねると、どうしたって守りに入る……というか、使えるお金に体力がついていかなくなる。
母から受け取った呪いのひとつが「お金がなくなったら困るでしょう」という不安だ。
生活レベルを落とすことに恐怖 -
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ネタバレ青春映画な小説だった。
プロム開催に奔走する女子高生達と周りの大人達。
これはこれで羨ましく、そしてかなり眩しい。
だが、暴走する女子高生達に共感出来ないのは、プロム開催を思い付く動機がぼんやりしてるから、なんだろうな。校長への直談判の台詞は立派で良かったが。
同じ理由でチアガールもうーん?となっている。もう少し心情に切り込んだものを期待していたが、短編なので深掘り出来なかったという事だろうか。
ただ逆にその短さによって暗い話になりそうな題材が、この表紙のような明るさを保っていると感じた。
表面は明るく、しかしそれぞれ闇はあり、それが様々な青として表現されているのかなと思う。
個人的には甘 -
Posted by ブクログ
小説家の先生の子供を身籠った女、楓が、小説家の母が住む岐阜の田舎で、その小説家の妻、野ゆりと二人暮らしをすることになるという、ちょっとどうかしている設定。徐々に明らかになっていく楓の過去。若気のいたりで結婚したものの、夫がマルチに嵌って借金まみれで飛んだ。次のパートは野ゆりの章。楓から見たら、田舎で先生の言いなりに、愛人の世話を焼かされている哀れな「妻さん」にも、自分が特別な人生を歩んでいるのだと信じていた時代があった。そしてラスト。子供が生まれ、先生の母親を看取ったのち、二人の選んだ結末は。
先生は都合が悪くなると、女二人を置いて東京へ帰ってしまう。財力があったら、こんなことが許されるのか
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