大崎梢のレビュー一覧
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難関の大手総合出版社に入ることができた新見佳孝。
就職して4年。
人事異動で配属されたのは、まったく興味も持てないローティーン雑誌「ピピン」の編集部だった。
誰も本名で呼んでくれない(新見なので、「南吉」と呼ばれ続ける)。
持ち前のそつなさで、表面的に仕事をこなし、早く次のところに異動しようと目論む。
ここからは、もうお約束。
そんな「適当」な彼が、次々に試練にさらされる。
なれない職場での失態、広告代理店やスポンサーとの確執。
売り上げ競争の中で必死に少女たちをときめかせる紙面を作ろうとする先輩の契約社員たち、スタイリスト、メイクや撮影スタッフたち。
何より、人気が出なければお呼びがかからない十代の読モたち。
こんな人たちの懸命さにふれ、南吉くんは自分の未熟さを恥じて成長していく。
自分にとっても、ティーンズ雑誌は未知の世界。
少女たちにとって、夢の王国であるそれを作り出す人たちに、作者はとても温かい。
勘違い系の主人公も、素直に成長していくので、さわやかに読み終えることができる。
ただ、ちょっと後ろめたい思いもなくもない。
読者モデルの少女たちが、十二歳かそこらで、厳しい競争にさらされる。
本人が望んで、もしからしたら自分もという夢を見る。
でもそれがかなうのはごく一部。
人気が出たモデルも、その後うまくいくかは全く保証がない。
にもかかわらず、撮影の場の空気を悪くしないために、いい写真が撮れるように、懸命に明るくふるまおうとする。
性格までも自ら矯正されてしまうという、考えようによっては恐ろしい世界だ。
そして、そんな彼女たちの夢は、広告代理店やスポンサー、出版社の「大人のビジネス」の種になる。
なんだか、大人がこの子たちの夢を搾取している感じがしてくる。
こんな風に考えてしまうのは、私が「いたいけな子ども」という先入観にとらわれすぎなのか?
作品としては素敵な作品なんだけれど、読み終わった後に、だんだん心苦しくなってきてしまった。 -
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あなたの「だいじな本」はなんですか?
初めて自分で買った本。初めて泣いた本。お腹が痛くなるほど笑える本。勇気が出た本。人生を変えるきっかけをくれた本。
さて、そのだいじな本は、どのように作られてどのような流れで店頭に並べられているか知っていますか?
本が大好きな中学2年生の野々香。ある日の放課後、学校で誰かの忘れた本を見つけた。ブックカバーを外すとそこには野々香の大好きな作家の本。しかしその本は発売前の新刊だった。なぜここに?私が新刊を知らないだけ?そして1番の疑問、誰のもの?
同級生の秀臣と持ち主探しが始まる。ただこの持ち主、案外あっさり見つかる。そう、本作は持ち主探しがテーマではない。あくまでタイトルにあるように、「だいじな本」を見つけるのだ。
大好きな作家さんを目の前に、どれだけ本を愛しているかを語る野々香や秀臣の目はきっとキラキラしてただろう。
作家がペンを持ち書店員が売り場に並べるまでに誰がどのような想いで本に携わっているかを知った2人。自分達も同じ立場になって初めて大変さを知る。今まで手にした本は全て、たくさんの人の汗と涙がある。
悩まずスラスラ書ける作家はいないだろうし、店のポップを適当に作る店員もいないだろう。誰もが悩み考え抜いたからこそだいじな本になっていくのかな。
だいじな本を、他人に教える。これは弱点を教えることと同じだという表現が印象的。
小説だったり、児童書だったり、図鑑だったり、写真集だったり。確かに自分の心の中を見られているようでちょっと恥ずかしい。
でも自分のだいじな本を、自分の勧めによって読んでもらえたら、それに褒めてまでもらえたら嬉しいだろうなぁ。書店員さんって素敵なお仕事。
本屋さんに行くのが、ポップを見るのがもっと楽しくなった本。 -
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出版社の新人営業マンの奮闘を描いた短編集。
大崎さんの「本」に関する小説は、同じ本を扱う職業でもいろんなお仕事小説があっておもしろい。
新人営業マンの日常が軽いミステリー仕立てになっていて、個性派揃いの他社出版営業マンたちとの交流も微笑ましい。
書店員さんと出版営業マンのお仕事に「へぇ~」の連続。お仕事の裏事情を知るのはやっぱりおもしろい。
軽い読み心地で読みやすかった。
今度書店に行ったら、思い出して色々想像してしまいそう。
子どもの頃から本が大好きだったけど本とは関わりのない仕事をしているので、読みながら作中の書店員さんや営業さんが羨ましくなってきました。 -
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ネタバレ【収録作品】「もうひとつある」 大崎 梢/「孤独の谷」 近藤 史恵/「扉を開けて」 篠田 真由美/「猫への遺言」 柴田 よしき/「キノコ煙突と港の絵」 永嶋 恵美/「十年日記」 新津 きよみ/「そのハッカーの名は」 福田 和代/「みきにはえりぬ」 松尾 由美/「青い封筒」 松村 比呂美/「黄昏飛行 時の魔法編」 光原 百合/「たからのちず」 矢崎 存美
さまざまな形で残された「ラスト・メッセージ」を巡る短編集。どれも味わい深い。
「もうひとつある」隠された幻の家訓。鷹宮家には4つの家訓が残されていたが、もう一つ隠れた家訓があるという。大学院で歴史を研究する高校時代の先輩に請われて、鷹宮家の傍流に属する絵茉は共にその家訓を探す。
「孤独の谷」ある一族の謎めいた掟。誰かが謎めいた死を遂げると、一族は離散しなければならないという。教え子から相談を受けた大学講師がその謎を探る。
「扉を開けて」『万国古物取扱 銀猫堂』を訪れた「私」。店主に、鍵の掛かった遺品を見るために開けようとする女性を止めてくれと頼む。
「猫への遺言」コロナ禍で死んだ夫の遺言状を読んだ妻の思い。
「キノコ煙突と…」戦時中の樺太から話が始まる。そして現代へ。
「十年日記」九十歳で亡くなった祖母がずっと付けていた日記。心残りは拾った指輪を返せなかったこと、と書かれていた。
「そのハッカーの名は」警視庁サイバー犯罪対策課の増崎はハッカーの「豆歌」を追い、自給自足の生活をしている老人の元を訪れる。
「みきにはえりぬ」亡き母が歌っていた歌に隠された秘密。
「青い封筒」真穂子は、高校生の息子と頻繁に夕食を食べに来る友人たちとの距離感を図りかねている。
「黄昏飛行」コミュニティFMに勤める永瀬真尋の元にはさまざまなリスナーから手紙が送られてくる。
「たからのちず」亡くなった祖母の遺品から出てきた、自分が書いたと思しき「たからのちず」。覚えのない香月はその場所を探す。 -
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んー。
みんなの知らないネタを紹介しなきゃいけないせいもあるとは思うけど(まぁ高知やよさこいは、ビジュアルで見てもらった方が早いよねー)、若干入り込みにくかったかなー。
あと、この作者聞いたことある気がするー、と思ったら、プリティ~の人だった。
主人公、あのときも、腐りかけから面白み発見パターンだったような?(笑)
基本的にはこうちに縁もあるしよさこいも見たことあるし、あ高知だ!と思って楽しんだのではあるけど。よさこいの裏事情は全然知らなかったから興味深かったけども。
総じてのストーリーはまぁ爽やかだったし、最後の最後は、探し人関係でちょっと一捻りあったりしておもしろかったけど。
やや残念感もあった。 -
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「本屋」をテーマにした短編小説集。
主人公が「書店の新人営業」という設定なので、出版社の仕事や、どのようにして書店に本が並ぶのか、というところも丁寧に描かれています。本好きには「なるほど」と思えるところも多く、楽しめるのではないでしょうか。
一方で、各話でちいさな事件が起き、それを(他社の営業とも協力(?)しながら)解決してゆくというストーリーですが、事件の規模というか現実感がやや希薄で、せっかく「リアリティ」のだせる舞台設定であるのに、と残念な印象でもあります。
各話とも読後感は悪くなく、ほっこりとした終わり方ではありますが、もう少し主人公の「営業マンとしての奮闘」が緻密に描かれている方がよかったかなと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレよさこい・鳴子に詳しくなれる一冊でした。
読みながら、動画サイトで検索を繰り返しました。フレーズを使っていればいい、ということなので、聴き比べると全く違うものに感じます。だから観客は飽きがこないのかも。
厳格なルールのもとではなく、大枠の中で楽しもう、という寛容さ。そのいい意味でのゆるさが魅力なんだろうなと思います。一度本場で体感したくなりました。
篤史の初恋、幻のいずみさんの正体が気になって仕方ないのですが、その結末が…。うーん。言葉遊びというかなんというか…。その他の人たちの恋模様も、なんとなくとってつけた感があったのでそのあたりは消化不良。月島さんとか。
ま、見つかったことはよかったし、これからがありそうな終わり方もよかったです。
魅力的なのは、やっぱりカジくん。「梶」だと思ったら「華地」でした。名前まで華がある。
クールに見えて情に厚い。踊ったらかっこいい。不遜。でも不器用。いいとこどりの素敵なキャラです。