大崎梢のレビュー一覧
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文芸出版の老舗である総合出版社。
そこで出版される週刊誌の編集部が舞台となるミステリー…かと思って読み進めたらちょっと困ったことになる。
あくまでも、これはお仕事小説。
いや、正直、かなり緻密に書かれたミステリーだと思い込んで読んでいたのだが、それが最後で見事に裏切られる。
だって、連続殺人事件まで出てきて、真相は示唆されるものの、解決までは描かれないのだから。
文芸出版で出発し、週刊誌を抱えているというと、週刊Sか週刊Bだがどっちかな。
あとがきで大矢さんが週刊文春だと明かしていた。
みんな大好きなくせに、表立っては眉をひそめて語る、あの週刊誌だ。
作者の大崎さんご自身が編集部を取材したとなると、悪いことは書いていないだろう、とは予想がたつ。
『プリティが多すぎる』同様に、最近編集部に配属された「ニューカマー」が主人公。
本作では、入社二年目の信田日向子だ。
右も左もわからない取材に翻弄され、イエロージャーナリズムに携わる自分の仕事にもためらいを感じている。
こういう人物を通して描かれると、週刊誌の編集もずいぶんとイノセントな感じになる。
百戦錬磨のデスクや、脛に傷を持つ身のベテラン記者を通して描かれる世界なら、さぞや大変なことになりそうだ。
アイドルの元カレを名乗る人物からのタレコミ。
実直そのものの経理担当者の横領事件に関わる謎の女性。
女子高生失踪事件と、それぞれ接点のない女性たちが相次いで不審死を遂げたことの間に、なぜか同じ人物が目撃される事件。
こんな事件を日向子は、先輩や上司の指示を受けながら追いかける。
日向子自身も、週刊誌にできることがあるという確信が持てるようになっていく。
事件が解決するカタルシスではなくて、日向子の成長や、週刊誌を作る人の矜持のようなものに触れられるところに、この本のよさがある。 -
Posted by ブクログ
旅と想い出と美味しいものが詰まったアンソロジー
大切にしたい思い出、苦い思い出、温かな思い出、閉じ込めていた思い出、思い出にも色々あるけれど、それが自分を型どっていることは間違いない
最近の情勢(コロナ、マスク、ソーシャルディスタンス、黙食、夜間営業)が見え隠れしているが、そんな事があった時代に出された本なんだよといつか言いたい
福田和代「幸福のレシピ」
神戸へのひとり旅で亡くなった旦那さんとの大切な想い出がいくつも蘇る、温かな気持ちになれる
矢崎存美「下戸の街・赤羽」
リサーチとして友だちとのスイーツ爆買い食いステイ、朝から晩までスイーツだらけでも満足にあるあるとうなずきながら読める
新津きよみ「ゲストハウス」
昔住んでた家がゲストハウスになり、25年会っていなかった娘に招待された
宿泊客に若い女の子は4人、誰も名乗ってこない…娘候補4人のうち誰が正解なのか?結末になるほど納得
大崎梢「横浜アラモード」
80を超えるおばあちゃんを高知から横浜へアテンドする旅
横浜に住んでいたこと、お父さんの洋菓子店のこと、弟のこと、高知へ嫁いだこと、理髪店を営んできたこと、おばあちゃんの人生が紐解かれる最後は優しくて甘い結末 -
Posted by ブクログ
ネタバレ嬉しいことや悲しい事等々、遠い昔の思い出も
当時食べていた食べ物を食べることによって
今まで忘れていたのに食べることで当時の記憶
なんかが鮮明によみがえってくる。
何かそういう食べ物と思い出のリンクって
自分に当てはめてもあるよなぁ~なんて
思いながら楽しく読めました。
個人的には神戸でよく遊んでいたので
福田和代さんの「幸福のレシピ」なんかが
すごく身近で知っている店も多く面白かった。
あとは本当の娘を推理しつつ、終盤でそんな
展開はずるいじゃんと思いながら楽しく
読めた新津きよみさんの「ゲストハウス」、
そうそう、なんだかんだ言っても親友って
そうなんだよねと読んでて思った
秋川滝美さんの「からくり時計のある町で」、
人の思いってわからないものだけど、
何だかんだでいい人生を送った人には
いい老後がまってるんじゃないかなぁ~
なんて思った大崎梢さんの「横浜アラモード」
のほっこりとした話なんかも面白かった。 -
Posted by ブクログ
高知「よさこい祭り」をめぐって繰り広げられる青春小説。
進学を機に高知にやって来た篤史が、従兄弟の多郎とチームスタッフをしながら自らも踊ることになる。
こんなに自由度があって味わい深いお祭りだったとは、初めて知りました。
友情、恋、それぞれが胸に抱くよさこいへの思いや情熱。淡い恋の行方も気になるけど、私としては本番のパフォーマンスやそこまでに至る過程の方が気になった。
よさこいを踊っている場面では、その様子を頭に思い描いて気持ちが高揚した。
祭りの熱気に当てられて心も身体も熱い“よさこい”の夏の物語。
本書を読んだことで「よさこい祭り」を見る楽しみが増えました。
やっぱり読書は世界を広げてくれますね♪ -
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★だったらこれは本物の神の使い?(p.222)
大人が巻き込まれる子どもの冒険/聖域とされる山の洞窟にオオカミ像の護るお宮/廃棄されたビルにお宮のレプリカ?/かつて洞窟の宮を占拠した新興宗教団体の残党/だれが味方で敵かわからない/危険と知りつつ軽々しく動こうとする生徒たち/オオカミ像が一番重要な気がする/他者を信じやすい先生と生徒が危なっかしい/主人公は子どものほうがよかったような気がしないでもないですが。ひろ香さんなんか魅力的っぽかったけど・・・設定上難しかったのかもしれません?
■簡単なメモ
【一行目】いいですか、先生。
【浅黄/あさぎ】「博有の徒」のひとり。本名かどうかは不明。レオナをそそのかす。
【裏山】白友山と香我美山を合わせた総称。
【S市】舞台となる地。
【オオカミ】洞窟のお宮を狛犬のように守るオオカミ像。ブロンズだとか。米子先生によると著名な彫刻家、北村雅春渾身の作らしい。いや~奥宮がどうとかいうよりこれがいっちゃん重要なんでは? 多少壊れてても直せるかもしれないし、大勢が捜しまくるでしょう、どう考えても。皆のターゲットに入ってないらしいのは不思議。
【加神の宮/かがみのみや】裏山の、洞窟のお宮の正式名称のようだ。
【香我美山/かがみやま】白友山の西に連なるこのあたりで一番高い山。
【片野厚介/かたの・こうすけ】語り手の主人公。中学の新米教師。二年二組担任。茶道部顧問代理。実家は隣県の吉見塚神社。
【勝又裕吾/かつまた・ゆうご】二年二組の十三歳。「かつまん」と呼ばれている。大柄でがっちりした少年。 漫画部。探検家志望。
【古池/こいけ】学年主任。厳しいが正しいというタイプ。囲碁将棋部顧問。
【笹井誠/ささい・まこと】二年二組の十三歳。「ササ」と呼ばれている。小柄ですばしっこく頭の回転の速い少年。狛犬? の落書きをした。漫画部。怪奇現象マニア。
【山宝神社/さんぽうじんじゃ】白友町にある神社。うしろの神体山ご神様のいる聖域。
【静内ひろ香/しずうち・ひろか】二年二組の十三歳。成績優秀、副学級委員、茶道部次期部長候補。山宝神社の宮司のひとり娘。
【静内雅和/しずうち・まさかず】ひろ香の父。山宝神社の宮司。四十歳。
【静内美佐子/しずうち・みさこ】ひろ香の母。四十歳。別居中。
【仁科亜弓/にしな・あゆみ】英語教師。片野厚介の三歳先輩で二年四組担任。
【白友山/はくゆうざん】山宝神社の背後にあるご神域。
【博有の徒】(博有会)とも。新興宗教。かつて裏山の奥宮を勝手に乗っ取った。
【三峯神社/みつみねじんじゃ】オオカミの像がある。
【与木/よぎ】「オフィス畑中」の調査員。
【米子/よなご】美術教師。
【レオナ】笹井と勝又のブログを見てメールを送ってきた女の子。 -
Posted by ブクログ
2か月ほど前に読んだ「平台がおまちかね」の続編。
「ひつじくん」こと井辻くんもだいぶ営業の仕事に慣れてきたみたいね。真柴をはじめとした「マドンナの笑顔を守る会」の面々も同業他社同士でも相変わらず仲が良い。
出版業界と書店に対する愛情&ちょっと心配な気持ちがにじみ出る短編が5つ。取次のことや小さな書店の悩みなどがよく知れる。
謎解きのほうは、中途半端に先回りしたり忖度したり、持って回ったり含みを持ったやり取りで、解決したのやらしてないのやら、こちらも相変わらずちょっと緩め。
そんな話の中、「君とぼくの待機会」では文学賞レースの裏側での出版社の華やぎや受賞に備えた準備や担当者の心労や作家先生の微妙な胸の内が興味深く、業界の慣行と謎解きを絡めたところも楽しめた。
また、最終話「プロモーション・クイズ」での、なぞなぞで盛り上がる書店員さんや出版社の様子も微笑ましかったが、「平台が…」の最後の話で謎のパズルを考えた駒沢さんの友だちが働いているのが成風堂で、今回もまたなぞなぞを考えたのは内藤さんと同じ成風堂の人。よくよくこういうことが好きな人がいる本屋さんみたいね。
成風堂のシリーズ、まだ読んでいないので次はそちらへ行ってみよう。