大崎梢のレビュー一覧
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最近読んでなかなか楽しめたのでさらにもう一冊読んでみました。「配達あかずきん」では書店員ミステリー。この作品は出版社の営業ミステリーです。
基本的に短編よりも連作の方が入り込みやすくて好きです。
これも中堅出版社の新人営業の井辻君が、書店に纏わるトラブルを解決していく話なのです。例によって誰も死なないのですが、謎の部分が書店や出版社に纏わるものなので興味深く読む事が出来ました。
出版社と書店の関係って本を注文して送って、返本して終わりって思っていましたが、営業さんって全国の書店を回って販促したり、注文取ったりと大変なんですね。平台ってそんなにまじまじ見ないタイプなんですが、大型店舗の平台の獲得というのはまさに戦争状態で、弱小出版社では獲得できないという事が良く分かりました。
この話の中でとっても良さそうだなと思ったフェアがありました。
各出版社が自社作品1作、他社の作品1作を選んでPOPを書き、その売れた冊数で平台を勝ち取ることが出来るという物で、他社の営業がお勧めする本が並んでいるってなんだかワクワクします。近所でやってくれないかなあ。田舎だから無理か。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文芸部希望だったのに、配属されたのはローティーン向けのファッション雑誌。
小中学生の女の子のキラキラふわふわしたファッションに全く興味がなかった主人公の新見は始め、興味が無いことを隠しきれず、適当に仕事をしていたが、雑誌に向ける情熱と、ピピモと呼ばれる専属モデルの女の子達と、モデルを支えるスタッフ達のプロ意識。そして10代そこそこで向き合わされる残酷な光と影をまざまざと見せつけられ、次第に真剣に取り組んでいく。
モデルだけじゃないけど、スポーツや芸能とか、勝負事にはやはり明確な勝ち負けがあり、努力はもちろん、自分の努力ではどうにもできない才能や骨格、周りの思惑や運など、いろんな要素がそこに立ち向かう人たちには求められる。
どんなことでも真剣に取り組んで、諦めが着くまで一度描いた栄光と快感を追い求めるパワーが彼女達にはある。
だけど、真剣に取り組んでやりがいを得るという意味では、私たち一般も変わらないのかもしれない。職業を選択したら努力するのが最低限の義務だと、さよならドビュッシーの岬が言っていた。
それってこういうことなのかなとぼんやり思う。
満足できる仕事がしたいよね。 -
Posted by ブクログ
出版社の営業マン、井辻智紀のシリーズ第2弾。
登場人物もお馴染になり、面白くなってきた。
他社の営業マンたちも皆個性豊かで、なんだか漫画チックというか、ちょっと戦隊もの的なノリがある。
『ビターな挑戦者』
デビルと本(児童書?)の関わりは分かったけれど、お話の落とし所が良く分からなかった…
『新刊ナイト』
他シリーズのサイン会のようなお話になるのかと思ったら…
どんでん返し、良かったです。
『背表紙は歌う』
ちょっと切なかった。
他人の考えている事は、口に出して言わなければ分からない事も多いのに、男の人って、言わない事も多いなあ~
そして、「言わなくても察してくれ」的なのはお年寄りに多い。
地方都市の有力者との関係は、商店では大変な部分ですね。
久保田さんは、一度新潟に行ってお嬢さんに会ってほしいなあ。
『君とぼくの待機会』
これも、日にちが切られているのでドキドキしました。
バイトくん、合宿から帰ったら締めてやらないと(笑)
『プロモーション・クイズ』
最後はオマケ的な楽しいお話でした。
出題は、あのシリーズの彼女ですよね?
本屋さんの流通に関して、いろいろ知らなかったことも分かって興味深かったです。
今度本屋さんで営業マンみたいな人を見かけたら、会話に耳を澄ましてしまいそう。 -
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ここしばらく、大崎梢氏の旧作を連続で読むことにした。
いつもながらに…細やかな描きこみに心打たれた。人によれば、ひと夏の祭と淡い恋…の取り合わせをありきたりのテーマだと思うだろう。でも私は、大崎さんが描く限り、上っ面を舐めただけで終わる青春ドラマにはならないだろうと確信していて、まさに期待通りだった。
登場するのは、それぞれの人生の輝きの中でそれぞれの思いを抱え、時に壊れそうになりながらも歩き続けるたくさんの主人公たち。互いが時に重なり、繋がり、反発しあい、強く結びつき、それぞれの夏を完結させてゆく。
篤史もそのひとり。篤史にしかわからないこだわりと思いを胸に、因縁のよさこいに加わる。
チームの絆は、互いを思いやり労わるだけでは生まれない。なぜなら、それぞれが目指すところは向きも高みも異なっているからだ。それはそれぞれの生きる道の違い。だから、ばらばらなメンバーを結びつけるものはそこにはない。ただ、チームの踊りが最高の瞬間を極めることを刹那の願いとして集う。ひとつのことに全員で打ち込み、成し遂げたという実感と揺るぎない自信、はじける笑顔と爆発する喜びをお互いに認め合った時、それこそが絆となる。
絆は刹那。そのような強いものは、人の一生を貫き続けることはない。でも確かにそこにあった。みんなではじけた。輝いた。それこそがそれぞれの人生をやがて動かしていく力になる。
賞を獲ったチームの後夜祭、それにそのあとのチーム解散が描かれていないところにこそ、綿密な取材を通じてきっと生まれたに違いない、作者のよさこいへの愛を感じた。描きたくなかったのだと、私は思う。
強い力と清々しさに、私もひととき酔わせてもらった。 -
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成風堂書店事件メモシリーズの大崎梢による児童書ミステリです。町内の七つの公園にある七不思議を調べていくうちに、5年前に起こった怪事件に辿り着くのだった。
探偵役視点の一人称ミステリというのが、まず面白いと思いました。これは推理の道筋を判り易く示すためにそうしたのでしょう。ただそうすると突飛な推理展開が難しい部分もあり、主人公の天才性が示しきれなかった感もあります。でもお約束通り真相が解明するまでナイショにする部分もあり、それがラストで驚きに変わるのはさすがですね。
謎が謎を呼ぶ展開、思わぬ人物の思わぬ正体などなど、ミステリの面白さが詰め込まれてミステリの入口として素敵な物語です。