大崎梢のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
由佳利の恋人との顛末も、百年越しの事件も、都合の悪いことを見て見ぬふりをしていると後々大きくなって身に降りかかってくる。それがこのお話のテーマなのかと思うものの、ミステリが軸のようなので、それについては詳しく描かれない。
それ故むしろ、作中の生家館の扱いにみるような、文化が軽んじられている状況に思いをはせてしまった。全てのものに採算という物差しを持ち出してもよいものか。金を稼げないものイコール存在意義がない、というわけではないだろう。特定の人物、業者にしか利益がないようなものには巨額のお金が使われる一方で、歴史的・文化的に価値があるものでさえ、易々と取り壊し廃棄する様は、妄執すら感じる。
郷土 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大崎氏の作品は初めて手にした。
序盤は、大きな展開もなくストーリーはゆっくり進む。ページを捲る手もなかなか進まない。
そのうち、この作品の目指すところが見えてきてから、やっと読むペースが上がった。
終盤には、序盤のゆっくりさが嘘のように急展開した。
由佳利の「婚約破談」が、主たるストーリーにほとんど効いてないのが実に勿体無い。結果的に恋愛小説ではなかったから、生かしようがない要素ではあるが、それならば端から要らないエピソードだった。読みはじめにはその点の期待もあったので、その後に展開されるミステリー要素には、完全には入り込めなかった。