大崎梢のレビュー一覧
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由佳利の恋人との顛末も、百年越しの事件も、都合の悪いことを見て見ぬふりをしていると後々大きくなって身に降りかかってくる。それがこのお話のテーマなのかと思うものの、ミステリが軸のようなので、それについては詳しく描かれない。
それ故むしろ、作中の生家館の扱いにみるような、文化が軽んじられている状況に思いをはせてしまった。全てのものに採算という物差しを持ち出してもよいものか。金を稼げないものイコール存在意義がない、というわけではないだろう。特定の人物、業者にしか利益がないようなものには巨額のお金が使われる一方で、歴史的・文化的に価値があるものでさえ、易々と取り壊し廃棄する様は、妄執すら感じる。
郷土 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大崎氏の作品は初めて手にした。
序盤は、大きな展開もなくストーリーはゆっくり進む。ページを捲る手もなかなか進まない。
そのうち、この作品の目指すところが見えてきてから、やっと読むペースが上がった。
終盤には、序盤のゆっくりさが嘘のように急展開した。
由佳利の「婚約破談」が、主たるストーリーにほとんど効いてないのが実に勿体無い。結果的に恋愛小説ではなかったから、生かしようがない要素ではあるが、それならば端から要らないエピソードだった。読みはじめにはその点の期待もあったので、その後に展開されるミステリー要素には、完全には入り込めなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおひとりさまめっちゃいいじゃないか!
そう思わされる作品でした。いろんな理由で
おひとりさまになるかもしれないが、
この作品に出てくる話を読んだら
おひとり様を謳歌しなければもったいない
そんな風に思わせてもらえました。
前作からの続きのお話が数話あり、
あの後どうなったのかなぁ~えっ!
そういう展開になるの?って話だったり
いい話だったけどいやいや上手く
いきすぎでしょ~なんて話も・・・
何だかんだとおひとりさまでも
そうでなくても人生を楽しく送るヒントが
書いてあるのかもしれない・・・
大崎梢さんの「アンジェがくれたもの」や
出来すぎだけど松村比呂美さんの
「セッション」が個人的にはよか -
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Posted by ブクログ
でもあれは、本とはちがいますね。だって、誰も読めないもの(p.240)/かつての同僚で今は信州にいる有田美保からHELP! 勤めている老舗書店「まるう堂」に幽霊が出る? 多絵の悪魔のささやきで一緒に行くことになった/多絵の推理の進め方がおもしろい。僕やったら…ひとりKJ法でも使うかな/とはいえこの作品は探偵と競い合って犯人当てしようというような感じにはならないですね。ただ読むだけ。杏子と多絵たちのかけあいを楽しむだけ。
■簡単な単語集(第二巻から)
【有田美保/ありた・みほ】『晩夏に捧ぐ』の二年前まで成風堂で働いていた元同僚。現在は信州の老舗本屋「まるう堂」で働いている。『晩夏に捧ぐ』時点