大崎梢のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ6人の人気作家が異なる職業を持つ女性をテーマに書いたアンソロジー。漫画家、通信講座の講師、プラネタリウム解説員、ディスプレイデザイナー、スポーツライター、ツアーコンダクター。
この仕事にはこんな裏側があるのか、と素直に新鮮に感じて面白かったし、何より、働く女性として、「あー、わかる!」という部分がいくつもあった。ツアーコンダクターの小梅ちゃんのように、気持ちに蓋をしながら、ときには仕事しなきゃいけないことだってある。嫉妬することも。
最後に、ちょっとした希望があるのがそれぞれ、とても良かったな。
あとがきが素敵だったので、メモしておく。
「好きで選んだ仕事なのに、やっぱり疲れるときもある。
嫌なことも、思うようにいかなきことなんてしょっちゅう。
他人をひがんだりねたんだりして、でもそんな自分も嫌で、自信なくして。もう休んじゃおうかなって思うこともある。誰だって、あります。
そんなときに読んでほしい本を作りました。
頑張るあなたへ、応援のアンソロジーです。
うん、働くって大変だし、嫌なこともいっぱいあるけど、でもまあ、とりあえず、また明日から元気出していこうかな
読み終わったとき、そう思っていただけたらいいな、と願っています。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ出版社の新人営業,井辻智紀が主人公のちょっといい話系のミステリ。ミステリとしての謎,伏線,叙述トリックを駆使した驚きなどは皆無だが,ちょっと心に残るいい話が満載の短編集である。本屋や出版社の裏側が描かれているのもマル。キャラクターも魅力的。あまり好みの作風ではないが,これは結構楽しめた。★4で。
個々の作品の所感は以下のとおり
○ 平台がおまちかね
「白鳥の岸辺」という5年前に出版された,ややマイナーな本を,見事にディスプレイをし,販売しているワタヌキ書店にまつわる話。その書店は,一時,明林書房の本を引き上げ,取引を辞めていた。主人公井辻智紀がその書店を訪れるが,ディスプレイをしたという店長からは,つれない態度で対応される。ワタヌキ書店と明林書房の間に何があったのか?
→真相は,井辻の前々任者である吉野が,「ぜったいに大丈夫」と言っていた本の手配をすることができなかったことから,店長が明林書房との取引を辞めたというもの。吉野も反省し,店長も吉野を許そうとしており,吉野は営業から編集に部署を変え,「白鳥の岸辺」の続編である「森に降る雨」の担当になっていた。ミステリ的な謎,真相はなく,ちょっといい話系の話。
○ マドンナの憂鬱な棚
出版社の営業担当者達のマドンナであるハセジマ書店の望月さんが,訪れた謎の男から「…前の方がよかった。がっかり。つまらなくなった」と棚をけなされ落ち込む話。その男は,お世辞にもきれいなディスプレイとは思えない別の書店で「この店の棚は最高。ほれぼれする」と言っていた。いったいなぜ?
→真相は,謎の男は店舗デザイナー。大型書店のディスプレイの相談を受けていた。謎の男は,棚のディスプレイではなく,棚の材質を褒めていたのだった。これも,ミステリ的な謎はないが,読後感のよい,ちょっといい話系の話。
○ 贈呈式で会いましょう
明林書房の主催する宝力宝賞の贈呈式で,長編部門の大賞を受賞した塩原健夫が会場に姿を現さない。井辻は,謎の老紳士から,「君もずいぶん大胆な手を使うようになったじゃないか」という伝言を,塩原に伝えてほしいと依頼される。その後,謎の老紳士がミステリ作家の津波沢陵であることが分かり,塩原は,津波沢のカルチャースクールでの教え子であったことが分かり,塩原の受賞作が津波沢のトリックを盗作したものではないかという疑惑が持ち上がる。果たして,塩原は本当に,津波沢のトリックを盗作したのか?
→真相は,トリックそのものは盗作していなかったが,ばかばかしいトリックで,塩原は,津波沢から「そのトリックいらないなら私がもらうよ」と言われ,「さしあげますよ」と言ってしまっていたのだ。津波沢は,ちょっとした嫌味のつもりで伝言を依頼したが,津波沢の教え子の一人だった山本という男が,このことを歪曲して塩原に伝えていたというもの。すんでのところで誤解は解け,授賞式は無事に終わる。
これもミステリとしては見せ方が弱い。ミステリ的にもっと面白い仕上げにはできたと思う。ただし,小説としては,軽くて,ちょっとほっこりするいい話に仕上がっている。
○ 絵本の神さま
井辻が,地図を頼りに地方(東北)のユキムラ書店を訪れたところ,同書店は閉店していた。ユキムラ書店には,ほかにも東京から訪れてきた人がいたという。その後,地方の大型店舗で子どもに絵を描いた男の話が持ち上がる。その絵が,ユキムラ書店の看板にそっくりな絵だった。男の正体は?そして,ユキムラ書店が店を辞めた本当の理由は?
→真相は,ユキムラ書店の主人には甥がいて,その甥は人気の絵本作家「snow」だった。ユキムラ書店の主人が店を辞めた本当の理由は持病だったが,甥との仲直りをしたいと考えていた。ユキムラ書店の主人は,甥が書いた絵本を書店に並べることができ,目的を達したと考え,店を閉めたという話。真相の見せ方を工夫すれば,ミステリらしい仕上げになりそうだが,そうしないで,いい話として仕上げている。そういう作風なのだろう。
○ ときめきのポップスター
ある書店の支店のフロアマネージャーが,ポップ販促コンテストを行う。条件は,自社の本以外の本を宣伝すること。一番売り上げを伸ばした本を宣伝した出版社には,1か月分の平積みを商品として出すという。井辻は,「幻の特装本」を取り上げる。そこで,ライバル社の佐伯書房の真柴の宣伝した「ななつのこ」にまつわる,ちょっと不思議な出来事が起こる。誰がいたずらをしかけたのか?いたずらの意図は?
→真相は,書店の女性アルバイトがいたずらの犯人というもの。その女性アルバイトは,昔,書店でバイトしていた真柴から「ななつのこ」を勧められ,真柴に恋をしていたのだ。真柴は,その女性アルバイトのことを覚えているのかどうか分からない。そこで,いたずらをしかけたのだった。これもせっかくの謎をいかしておらず,ミステリとしては平凡。しかし,小説としてはなかなかのデキ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恋愛×青春×ミステリー。
6年前に一家心中で海に車ごと落ちて、現在も遺体が見つからないままになっている、幼馴染みの速人の死を信じきれないままの真乃。
高校卒業を目前に、速人にそっくりな従兄弟の勇麻が現れ、さらに速人の持ち物であるノートが今頃見つかったりと事件に関わることが起こってくる。
言うなら俺様系幼馴染みと優しくて口説き文句が上手い年上の速人の従兄弟。恋愛経験が乏しい真乃がふたりに挟まれるなんてドキドキするシチュエーションだ!と思ったけど、速人の行方に関して少しずつ情報が整理されてくると続きがどんどん気になってくる。
主観が真乃なので、速人が勇麻に成り代わったのか!?とか、やっぱり生きてるんじゃないか!?とかめちゃくちゃ振り回された。
なぜ真乃がそんなに速人に執着するのかわからず、幼馴染と従兄弟への曖昧な態度にも最初苛立ったけど、速人の秘密を一人で抱えて、それが進路にも影響してることを知ったら、想定外の秘密に衝撃を受けたし納得した。