大崎梢のレビュー一覧
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ネタバレ6人の人気作家が異なる職業を持つ女性をテーマに書いたアンソロジー。漫画家、通信講座の講師、プラネタリウム解説員、ディスプレイデザイナー、スポーツライター、ツアーコンダクター。
この仕事にはこんな裏側があるのか、と素直に新鮮に感じて面白かったし、何より、働く女性として、「あー、わかる!」という部分がいくつもあった。ツアーコンダクターの小梅ちゃんのように、気持ちに蓋をしながら、ときには仕事しなきゃいけないことだってある。嫉妬することも。
最後に、ちょっとした希望があるのがそれぞれ、とても良かったな。
あとがきが素敵だったので、メモしておく。
「好きで選んだ仕事なのに、やっぱり疲れるときもある。 -
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ネタバレ出版社の新人営業,井辻智紀が主人公のちょっといい話系のミステリ。ミステリとしての謎,伏線,叙述トリックを駆使した驚きなどは皆無だが,ちょっと心に残るいい話が満載の短編集である。本屋や出版社の裏側が描かれているのもマル。キャラクターも魅力的。あまり好みの作風ではないが,これは結構楽しめた。★4で。
個々の作品の所感は以下のとおり
○ 平台がおまちかね
「白鳥の岸辺」という5年前に出版された,ややマイナーな本を,見事にディスプレイをし,販売しているワタヌキ書店にまつわる話。その書店は,一時,明林書房の本を引き上げ,取引を辞めていた。主人公井辻智紀がその書店を訪れるが,ディスプレイをしたと -
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ネタバレ恋愛×青春×ミステリー。
6年前に一家心中で海に車ごと落ちて、現在も遺体が見つからないままになっている、幼馴染みの速人の死を信じきれないままの真乃。
高校卒業を目前に、速人にそっくりな従兄弟の勇麻が現れ、さらに速人の持ち物であるノートが今頃見つかったりと事件に関わることが起こってくる。
言うなら俺様系幼馴染みと優しくて口説き文句が上手い年上の速人の従兄弟。恋愛経験が乏しい真乃がふたりに挟まれるなんてドキドキするシチュエーションだ!と思ったけど、速人の行方に関して少しずつ情報が整理されてくると続きがどんどん気になってくる。
主観が真乃なので、速人が勇麻に成り代わったのか!?とか、やっぱり生きて -
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最近読んでなかなか楽しめたのでさらにもう一冊読んでみました。「配達あかずきん」では書店員ミステリー。この作品は出版社の営業ミステリーです。
基本的に短編よりも連作の方が入り込みやすくて好きです。
これも中堅出版社の新人営業の井辻君が、書店に纏わるトラブルを解決していく話なのです。例によって誰も死なないのですが、謎の部分が書店や出版社に纏わるものなので興味深く読む事が出来ました。
出版社と書店の関係って本を注文して送って、返本して終わりって思っていましたが、営業さんって全国の書店を回って販促したり、注文取ったりと大変なんですね。平台ってそんなにまじまじ見ないタイプなんですが、大型店舗の平台の獲得 -
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ネタバレ文芸部希望だったのに、配属されたのはローティーン向けのファッション雑誌。
小中学生の女の子のキラキラふわふわしたファッションに全く興味がなかった主人公の新見は始め、興味が無いことを隠しきれず、適当に仕事をしていたが、雑誌に向ける情熱と、ピピモと呼ばれる専属モデルの女の子達と、モデルを支えるスタッフ達のプロ意識。そして10代そこそこで向き合わされる残酷な光と影をまざまざと見せつけられ、次第に真剣に取り組んでいく。
モデルだけじゃないけど、スポーツや芸能とか、勝負事にはやはり明確な勝ち負けがあり、努力はもちろん、自分の努力ではどうにもできない才能や骨格、周りの思惑や運など、いろんな要素がそこに立 -
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ネタバレ『本を買うこと』について考えさせられる。
子供の頃から比べると、個人の書店はほとんどなくなったし、古本屋さんも新古書チェーン店におされて以下同文。
その新古書店では100円コーナーを冷やかすのも楽しいけれど、最近はほんの数ヶ月前に出た本もあっさり100円落ちしてサイクルの早さを感じたり。
凄くお気に入りの作家さんの新刊は、できるだけ普通の本屋さんで手で触れて買い求めたい。
電子書籍は読み捨てるタイプの物ならありかなーと思うけど、今のところ私が文庫で読みたい本ではお世話になることはなさそう。
つまるところは近所の本屋さんでも作中のやり取りに似た事はあるんだろうなぁと。
なるべく買いに行くから、潰 -
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出版社の営業マン、井辻智紀のシリーズ第2弾。
登場人物もお馴染になり、面白くなってきた。
他社の営業マンたちも皆個性豊かで、なんだか漫画チックというか、ちょっと戦隊もの的なノリがある。
『ビターな挑戦者』
デビルと本(児童書?)の関わりは分かったけれど、お話の落とし所が良く分からなかった…
『新刊ナイト』
他シリーズのサイン会のようなお話になるのかと思ったら…
どんでん返し、良かったです。
『背表紙は歌う』
ちょっと切なかった。
他人の考えている事は、口に出して言わなければ分からない事も多いのに、男の人って、言わない事も多いなあ~
そして、「言わなくても察してくれ」的なのはお年寄りに多い。
地 -
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ここしばらく、大崎梢氏の旧作を連続で読むことにした。
いつもながらに…細やかな描きこみに心打たれた。人によれば、ひと夏の祭と淡い恋…の取り合わせをありきたりのテーマだと思うだろう。でも私は、大崎さんが描く限り、上っ面を舐めただけで終わる青春ドラマにはならないだろうと確信していて、まさに期待通りだった。
登場するのは、それぞれの人生の輝きの中でそれぞれの思いを抱え、時に壊れそうになりながらも歩き続けるたくさんの主人公たち。互いが時に重なり、繋がり、反発しあい、強く結びつき、それぞれの夏を完結させてゆく。
篤史もそのひとり。篤史にしかわからないこだわりと思いを胸に、因縁のよさこいに加わる。