野中郁次郎のレビュー一覧
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[ 内容 ]
日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。
日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。
それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。
トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。
[ 目次 ]
第1章 情報から知識へ
第2章 -
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知識創造企業の著者である野中郁次郎と日産自動車人事部などに所属していた徳岡晃一郎の本。
日産のアメリカ・ヨーロッパでの開発を題材にグローバル共創戦略について纏めている。
グローバルを舞台に共創していくことの困難さ、困難だが解決方法は存在する。
教科書的な理想論ではなく、「新しいインフラをつくりこんでいくリーダーは、ホラを吹いたり政治力も使う」といった現実的な事例が示されていることが好感が持てる。
今後、日本企業がグローバル化できなければ、
・少子化の中で身動きが取れずに取り残されるか
・高コスト体質で新興国に競り負けてしまうか
・形式知主導の欧米列強の下請けと化してしまう -
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ネタバレ失敗の本質やSECIモデルの構築で世界的に有名な野中郁次郎がこれまでの研究を振り返る一冊。タイトルからは失敗の本質についてより詳細な解説を加えるような内容を記載していたのだが、実際には野中郁次郎がこれまでの人生と研究生活を振り返る一冊だった。
当初の期待とは違ったわけだが、それではつまらなかったかというと決してそんなことはない。彼がどのような問題意識のもとで研究を始めたのかとか、失敗の本質を読むだけではわからない彼の持つ思想的な背景などもよく理解できて、野中郁次郎についてあまり詳しくない人にとっては入門的な一冊になると思う。
ただどうしても新書ということもあり、また彼の研究生活が非常に広い -
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バンダイナムコでは、常日頃から、頻繁に組織改編を行っている。しかも業績のよい部署ほどその対象になるというから興味深い。組織を進化させるには、組織を絶えず不均衡にしておく必要がある。ゆらぎといってもよいだろう。そうしたゆらぎがあるからこそ、二項が動いて変容が生じ、新たな道が見つかる可能性が広がる。
しかも、バンダイナムコの組織変革は、グループ全体としての動的変革 (transformation) プロセスを通じて行われている。これは、二項動態経営そのものである。意図的に組織にゆらぎを起こすことにより、知的コンバットの場で異質が組み合わさって、無意識的な発想の飛躍を集合的に触発するのである。
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■従来手法の何が問題なのか?
・人の創造性を奪ってしまう
・文書によるコミュニケーションには限界がある
・悪いタイミング
・未来を読む水晶玉はない
・仕事が楽しくない
・部分最適化
■アジャイルを大規模化するフレームワーク
【共通する点】
1.既にうまくいったチームが2つ以上あること
2.大規模化する必要があること
・Nexus:最も純粋なスクラムの複数チーム拡張。あくまでソフトウェアのプロダクト開発に焦点がある。チーム間の依存関係を調整しながら、同期的に全体スプリントを回し、動くソフトウェアをデリバリーする。
・Scrum@Scale:単にソフトウェア開発手法としてのスクラムを拡張したも -
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かなり学術的な表現になっていて、長い時間をかけて読み込んで腹落ちさせないと、オーディブルレベルで流し聞きする程度では意味は薄い本だと思った。トップダウンでもボトムアップでもなくミドルアップダウンマネジメントアプローチとか面白いけど大変だなと思った。国際的な大企業のヒット商品誕生の事例分析は分かりやすかったが、では自社でどう取り込んで実践できるかと考えると、うーんと思ってしまった。初版は四半世紀以上前に出たこともあって、事例も古く、現在の(自分がいるような)IT企業としては国際間の協調とか参考にすべきところもありそうだけど、だいぶ事情も変わっているのでは...と思った。
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「失敗の本質」含め他の著作も数冊読んでいたので網羅的に理解できた。著者のSECIモデルに至る思考が分かる。
SECIモデルがSECIスパイラルに進化していく訳であるが、そもそもその発想の原点は「失敗の本質」からだった。
そんな著者自身の思考の経路を解説した書籍だった。
もし過去著作をバラバラに読んでいた場合は、本書を読むことで理解が深まるだろう。
思考の経路はつまり、自身の研究人生についての話でもある。
いつどんな人物と出会い、どういう影響を受け、そして自分なりの思考に至ったのかの軌跡。
話は経営学について論文を書こうとしたところ、企業の失敗事例を集められずに断念した経験から始まる。
テーマを -
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いかに共感できる夢(未来)を語れるかということだろう。
目次
序章 共感と物語りが紡ぐ経営
第1章 価値を生む経営は「出会い」と「共感」から生まれる
【解釈編】
・人間関係の本質は共感にあり、人間力の本質は共感力にある
・知的創造の起点は共感がある
第2章 イノベーションは「共感・本質直観・跳ぶ仮説」から生まれる
【解釈編】
・ものごとの本質を直観できる人が「跳ぶ仮説」を導き出せる
・「本質直観」には「外から見る現実」より「内から見る現実」が大切
・「全体」と「部分」の両方に目を向けると「跳ぶ仮説」が生まれる
第3章 「知的機動戦」を勝ち抜く共感経営
【解釈編】
・物量で戦う「消耗戦」か、共