【感想・ネタバレ】共感経営 「物語り戦略」で輝く現場のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年09月18日

イノベーションを成功している企業を「共感」というキーワードから読み解く試み。

・日本企業は分析過剰、計画過剰、法令遵守過剰の三代疾病に陥っている
・VUCAの時代においてはこれまでの分析的思考だけでは生き残れないのであり、共感を軸にした物語り戦略をとっていくべきである
・顧客への共感、社員への共感...続きを読むを元に「あるべき姿」を分析的思考ではなく飛ぶ仮説として描き、辿り着きたい場所からの逆算思考で発想するべきである
・この発想は論理的三段論法ではなく、「目的(何を目指すのか)→手段(どのような手段が必要なのか)→実践(その手段を用いて行動に移す)」とつなげる実践的三段論法と呼べる
・物語り戦略にはプロット(筋書き)とスクリプト(行動規範)がある
・スクリプトは訳せば脚本、台本であり、演劇の主人公が場面場面において脚本にしたがって演技するように、スクリプトは蓄積した経験やパターン認識にもとづいて、無意識のうちに心と身体に刷り込まれている思考や行動にまつわるルールのようなもの。つまり、ある特定の文脈や状況において、「こういう場合はこうする」と暗黙知になった行動規範。
・物語(ストーリー)は複数の出来事(WHAT)を並べて記述したものであり、物語り(ナラティブ)は複数の出来事の間の相関関係(WHY)に即して語るもの
・WHYにこそ当事者の主観や直観が表れ、WHYこそが人々の共感の源泉となり、物語りのプロットの軸となり、人々の行動のスクリプトにも結びつく
・物語り戦略はアートとサイエンスの綜合

ビジョン・ミッションとバリューを物語りにおけるプロットとスクリプトと読み替えるような視点。元々ビジョン・ミッション・バリュー自体が定義が統一されていない曖昧なものなので、ストーリーという観点から捉え直すのはわかりやすいと感じる。

事例と解説を交互に行なっていくスタイルは体系的ではないもののそれなりに分かりやすい。

ただ、最後のまとめでユニクロやセブンイレブンを事例として持ち出すべきではなかったと思う。それでの事例もそれなりに有名な企業が多いとはいえ、取り上げているのは企業内の特定の状況における特定のプロジェクトだったからこそ説得力があったのに、これまで散々さまざまな戦略論で分析され尽くしたユニクロやセブンイレブン、富士フイルムの全社戦略を最後に出してしまうことで、結局これまでの戦略論から見せ方を変えただけなのではという印象が強くなってしまう。

VUCA時代における新たな戦略としての説得力を増すのにその事例出す必要ある?と最後に冷めてしまう。

最後はもったいなかったものの全体的には面白味を感じる本ではあります。

もう少し触れていると良かったと感じるのは「アートとサイエンスの綜合」が重要なのである、ということ。最近アートの強力さを論じるものが多いし、これまで軽視されすぎていたからしょうがないと思うけど、だからと言ってアート一辺倒でうまくいくのではなく、あくまでサイエンスとの両輪で走るべきなのにサイエンスが無視されすぎる場面があるように感じるので。

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Posted by ブクログ 2020年06月24日

「全員経営」の続編みたいな感じで、事例の紹介とその「知識創造理論」による解説という構成。本のデザインも似た感じ。

基本的にはいつもの野中さんなんだけど、これは、ある意味、わたしが初めて「共感」した野中さんの本かもしれない。

これまでは、野中さんの言っていることは「分かる」んだけど、なんか再現可能...続きを読む性が低い感じがしていた。この本で、なんか、その辺の距離感が縮まった感じがした。

もともとのSECIモデルは、共同の暗黙知の形式知化というEのところにフォーカスがあったのだけど、これはSの部分、つまりメンバー同士の「共感」による暗黙知の共有みたいなのは、日本企業にはもともとあるという前提があったとのこと。

が、この前提が自明のものではなくなってきたので、Sの非言語レベルでのコミュニケーションにフォーカスしたのがこの本との説明で、これはとても腑に落ちた。

わたしが、野中理論に距離感を感じていたところも、「共有されている暗黙知はすでにある」という「暗黙」の前提があったからだとわかった。

「全員経営」では、誰でも知っているような大企業の事例が中心だったのに対して、こちらはやや地味かもなんだけど、今起きている変化をピックアップしたようなもので、私的には希望がもてる事例が多く、その辺もよかった。

タイトルからも分かるように、共感性とか、ストーリー性といったところを強調していて、あと、パーパスみたい言葉もでてくる。

なんとなく、ナラティヴとか流行り物(わたしもはまっているが)を取り入れてみましたという軽さもあるが、悪くはない。

でも、流行り物には止まらない新しさ、深さがこの本にはある。それは、昨年でた「直観の経営」における現象学、相互主観性という哲学的な考察が取り入れられているからだと思う。

最後の章で、この本でのインプリケーションをこれまでの優れた経営者、たとえば、本田宗一郎さんとか、稲盛さんに当てはめて、改めて共感が大事なんだという、野中さんのこれまでの本との連続性を整理しているところが、ややくどい、言わずがもな気がしたが、それはご愛嬌ということで。。。。

野中さんも随分ご高齢だけど、まだまだ進化しているな〜、と思った。

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Posted by ブクログ 2020年09月15日

 人と人との共感力。物語り戦略(Narrative Strategy)は「何のために存在するのか」、「なぜ戦い合うのか」がベースにある。
 ただ、ユニクロ、富士フィルム、セブンアンドアイなどは数多くの他書で何度か読んできたので、新鮮さがない。同じ成功例を違う切り口で解説しただけ、との感想を持った。

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