あらすじ
現在、日本企業の多くがオーバー・プランニング(過剰計画)、オーバー・アナリシス(過剰分析)、オーバー・コンプライアンス(過剰法令順守)の「三大疾病」に陥っています。米国流の分析的な経営手法に過剰適応した結果、自社の存在意義が見えなくなってしまったことに起因します。現場を知らない本社からの指示をこなすのに精一杯で、ミドル、現場がストレス過多でへばっている。これが日本企業の現状です。
その一方で、現場が活性化し、社員一人ひとりが活き活きと仕事に向き合い、イノベーションや大きな成果を実現しているケースも少なからずあります。それらのケースに共通しているのは、企業と顧客、トップと部下、社員と社員との「出会い」の場があって、つながりが生まれ、そこでわき上がる「共感」が新しい価値を生む原動力となっていることです。
もう1つの共通点は、市場環境や自社の内部資源を分析し、市場における最適なポジショニングを見いだそうとする米国流の分析的戦略ではなく、自分たちはどうあるべきかという存在意義を問いながら、組織としてのビジョンを実現するため、その都度、最適最善の判断を行い、成功に至る「物語り戦略」を実践していることです。
共感経営を生み出すにはどんなマネジメントが求められるのか。物語り戦略を推進するための条件はどのようなものか。本書は、『Works』誌の連載「成功の本質」において、主に2015~19年にとりあげた30の題材のなかから、共感経営を実践し、物語り戦略により大きな成果を上げたケースを選りすぐり、それを可能にしたエッセンスを抽出します。
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Posted by ブクログ
野中氏の本。共感・物語りの重要性、その不足を痛感していることから読書。
共感経営、まさにその言葉の通り整理も可能だが、簡単に表現すると、共体験、接触機会なども通して、心を動かすことが人を動かし、大きな流れにつながると言う本質を語った本とも言えそう。
メモ
・企業経営やイノベーションや大きな成功は論理や分析でなく、共感→本質直観→跳ぶ仮説というプロセスにより実現される
・日本企業の三代疾病 分析過剰、計画過剰、法令遵守過剰
・共感とは他者の視点に立ち、他者と文脈を共有すること。
・共感は利他主義を生む
・相互主観性・共感の3段階
1 感性の総合 相手になり切る我汝関係
2 知性の総合 主客分離で相手を捉える我それ関係
3 完成と知性の総合 相手と無心無我で私の主観をこえた我々の主観を生み出す 我汝関係
・イノベーションは演繹思考からは生まれない。
・物量で戦う消耗線か、共感力と知力で戦う機動戦か