野中郁次郎のレビュー一覧
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企業における知識そのものではなく、「知識の創造」プロセスに着目した研究が画期的、とのこと。
<目次>
第一章 組織における知識 ――序論
1 競争力の源泉としての知識に関する最近の議論
2 日本的知識創造の特徴
3 暗黙知を形式知に変える
4 知識創造の三つの特徴
5 知識創造の主役
6 ここからの旅路
第二章 知識と経営
1 知識とは何か
2 プラトン vs. アリストテレス ――西洋認識論の基礎
3 デカルト vs. ロック ――大陸合理論 vs. 英国経験論
4 カント、ヘーゲル、マルクス ――統合の試み
5 二〇世紀における「デカルトの分割」への挑戦
6 日本における「知」の伝統
7 経済・経営理論における知識 ――はじめに
8 経済理論における知識
9 経営・組織理論における知識
10 新しい統合を目指して
11 組織的知識創造理論の必要性
第三章 組織的知識創造の理論
1 知識と情報
2 知識創造の二つの次元
3 知識変換 ――暗黙知と形式知の相互作用
4 知識変換の四つのモード
5 知識の内容と知識スパイラル
6 組織的知識創造を促進する要件
7 組織的知識創造のファイブ・フェイズ・モデル
8 まとめ
第四章 知識創造の実例
1 歴史的背景
2 ホームベーカリーの開発をめぐる最初の知識創造スパイラル
3 第二の知識創造スパイラル
4 知識創造を促進する要件の強化
5 まとめと含意
第五章 知識創造のためのマネジメント・プロセス
1 トップダウン・マネジメントとボトムアップ・マネジメント
2 ミドル・アップダウン・マネジメント
3 三つの経営モデルのケース・スタディ
4 ナレッジ・クリエイティング・クルー
第六章 新しい組織構造
1 伝統的な組織構造への批判
2 統合の試み ――軍事組織の事例
3 統合を求めて ――ハイパーテキスト型組織
4 花王 ――ハイパーテキスト型組織へ「移行している」ケース
5 より完璧なハイパーテキスト型組織としてのシャープ
第七章 グローバルな組織的知識創造
1 日産のプリメーラ・プロジェクト
2 新キャタピラー三菱のREGAプロジェクト
第八章 実践的提言と理論的発見
1 主要な発見のまとめ
2 実践上の含意
3 理論上の含意 -
Posted by ブクログ
「知識経営」(ナレッジ・マネジメント)を、従来よりもいっそう包括的な視点から捉えなおそうとする本です。
90年代半ばから欧米で関心が高まった「知識経営」は、個人の知識や企業の知識資産を組織的に集結し、共有することで、効率を高めたり価値を生み出すこと、そして、そのための組織作りや技術の活用をおこなうことを意味します。しかし著者たちは、従来の知識経営が、私たちの「頭の中にある」知識よりも、データベースなどに蓄えられた情報が対象となっており、それを応用する「知識管理」の段階にとどまっていたと述べます。
知識経営は、知識ワーカーたちの組織的行為を通じて、単に知識を活用するだけでなく、新しい価値を創出するような経営として捉えられる必要があります。本書ではそうした知識の活用による価値創出のプロセスを説明するために「SECIプロセス」というモデルが示されています。これは、知識の「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「結合化」(Combination)、「内面化」(Internalization)から成り、知識ワーカーたちの体験が共同化されることで言葉へともたらされ、組織の「知」にまで成長し、それが個々人に内面化されることで、それに関わった人びとがひと回り大きく成長する……というプロセスを表わしています。
さらに著者たちは、こうした知識による価値創出がおこなわれる「場」についての理論への展望をおこなっています。そこでは、アフォーダンスや現象学、M・ポランニーの暗黙知の理論や、西田幾多郎の場所の哲学などとのつながりが示唆されていて、おもしろそうに思えます。ただ、その内容は十分に展開されておらず、もどかしく感じました。 -
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前半でアジャイルの概要を説明し、後半でこれを実施した企業の事例を紹介し、最後に著者二人の対談を載せた本。
前半の解説部分は可もなく不可もなく。後半の事例紹介では当事者のインタビューが掲載されており、どのような困難に直面しそれをどのように乗り越えたか、に関する生の声を目にでき、それなりに有意義。最後の対談部分は、学者らしい抽象論に終始しており、実践知である「アジャイル的」なるものとは正反対の趣で萎えた。
入門書として悪くはないと思うが、いかんせん「アジャイルサムライ―達人開発者への道」というぶっちぎりの良書が存在してしまっているので、相対的にあまり高い評価は与えられない。
入門を終えた後に読むちょっとした事例集として、読んでも良いかな、という程度。☆3つ。 -
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MBO(Manegment of Object)数字目標を軸にしたマネジメントも当然大事ではあるが、それと同等、あるいはそれ以上にMBB(Manegment of Belief)が重要。何よりもトップたるものが、その企業の存在価値・ビジョンを明確に発信し、そのビジョンを受けて個々の社員が想いを持つこと、そして想いを共有していくこと。各自の思いを引き出すことなく、MBOだけで管理を進めると、やらされ感にかられ、疲弊し、組織としてのパワーもダウンしていく。MBBとMBOがしっかりと掛け合わさってこそ、自主的で創造性豊かな組織が生まれる。ってな話。
話としては、非常に共感できる。どんな企業も、そうであってほしいと思う。が、トップが明確なビジョンを出す意識が無かったり、メンバーそれぞれ想いを汲んでくれるマネージャーや組織文化が無い場合には、どうしたら良いんだろうか。それを下から押し上げて、変革していくような事例や示唆もあると、なお良かったかな。
いずれにせよ、日々の業務に忙殺され、埋没しないように、自分自身で意識を上げながら、自主的なMBBをしていくようにしよう。 -
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現場の技術や知識の蓄積を外からのブラックボックスとして持っておかなければ、ノウハウはどんどん模倣され、流出する。
効率第一主義の偏重は、未来につながる活力が生まれる「あそび」や「むだ」も削ってしまった。
現状を変えるためには、現場や職場という「場」の結びつきを強め、そこに立脚したマネジメントを行う必要がある。
そのことは、組織力や機動性、イノベーションなどを育むことにつながる。
過去の日本企業も、現代のイノベーターであるアップルも、現場の日常を非日常ぐらいに極めることでイノベーションを行ってきたという。
確かに、現代は日本企業に関わらず、理論および効率性に流され過ぎているのかもしれない。
グローバル化して目先や環境が変わった分、浮足立ってしまったかもしれないが、足元を見直し、組織の在り方を考え直す時に至ったのだと感じた。 -
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1999年当時の「ナレッジマネジメント」に関する著書である。
初版当時は、Lotus Notesが企業を席巻していかに会社の中にある「知」をソフト上に集積するかが重要なテーマだったように思う。一方、ナレッジマネジメントの動きに当時はデータの流量やそのもの量の保管に充分にインフラが充分なソリューションを提供でなかったことや、「暗黙知」の集積の先のその利用にまで手が回らなかった。
テキストマイニングやデータマイニングが充分に発達したのは21世紀にはいってからである。
本書は、その背景にあった理論の書である。理論はソリューションを伴って、始めて活きるということであろうか。 -
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野中郁次郎氏は、日本的経営の信者。「会社を好きになる」という感覚や、「情緒的な国」で何が悪い!という。欧米式のコンプライアンスや数字から知恵や勇気は生まれない。ロイヤーが強い会社は、オーバーコンプライアンスになって、自分自身を縛り、身動きがとれなくなっている。社員が残業したくても、法令順守のために許されない。メールやセクハラ、パワハラが人と人との関係性を破壊した。法律家や会計士は、結局のところなんの価値も生み出さないのである。
グローバルに成功している企業は、必ずしもアメリカ型ではない。そもそも、P&GやIBM、GEといったアメリカのエクセレントカンパニーは経営者も内部昇進であったり、長期雇用をベースにしていたりと、日本的な経営をしている。「株主価値を最大化する」としか言わないアメリカのビジネススクールの思想とは一線を画している。
日本は、プラクティカルウィズダム(現場の知恵)を重視する。これに対してアメリカは論理的思考でマニュアル重視の仕事をする。主観や価値を排して、過去の事例に基づいてそれを教訓化していくアプローチ、情報処理モデルが、アメリカ式の経営。しかし、過去のデータを分析しても、未来を切り開くことはできない。
グローバルに経営しようとするほど、幅広い技術が要求される。どれが役に立つとか立たないとかという短絡的思考で選択と集中をし、捨てることばかり議論されたが、一見非効率にみえる総合電機メーカーも、トータルエンジニアリングの時代になると、総合力が強みになる。
日本は技術やモノだけでなく、「日本人にとってはあたりまえ」とされる日本的な価値観を売るべきだ。セブンイレブン、セコムのサービスや宅急便の時間指定配達。日本人には当たり前となった価値でも、海外では評価されている。 -
Posted by ブクログ
・初版は昭和59年(1983年)。まさかこの後、バブルが起こって、更に弾けて、その後、
日本が20年も停滞するなんて、著者たちもビックリでしょうね。
・日露戦争で勝利した日本軍はその時の成功法則(大艦巨砲主義と白兵銃剣主義)に縛られ、その後の第2次大戦で大敗してしまう(特定環境に適合し過ぎると、環境が変わった時に脆い。成功者の呪い。)
・日本軍の組織運営は、戦後の日本企業に引き継がれ、それが高度成長の原動力の1つとなったのではないか? だとしたら、成功に浮かれ、環境の変化について行けなくなった時、日本企業に危機が訪れるのでは? という警告の書。
(実際、日本はバブル崩壊後、失われた20年を過ごす訳ですが…)
・変化し続ける組織がだけが成功を維持できる、という論理は「ビジョナリー・カンパニー3」(2010年出版)と同じかも?