あらすじ
1995年に英語で発表されたKnowledge-Creating Company(邦題『知識創造企業』)は、経営学の分野に知識というコンセプトを持ち込み、日本企業のイノベーションのメカニズムを解明した一冊である。同書は世界10カ国語以上で翻訳され、ナレッジマネジメントブームを巻き起こすなど、世界のビジネスの現場にも多大な影響を及ぼした。個々人の暗黙知から組織の形式知へと変換し、イノベーションに高めていくプロセスは、「知識創造理論」「SECIモデル」として、世界の経営学でもよく知られている。四半世紀を経て、このたび読みやすくなって再登場。
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Posted by ブクログ
効果的なナレッジマネジメントとは?が分かる本
この本が今から30年近く前に書かれたとは驚きだ。
名著『失敗の本質』の作者、野中郁次郎さんの代表作と知り読み始めた。400ページを超えの分厚さだったが、無駄な話はなく、ぎっしりと中身の詰まった本だった。
知を創造するためには、知をどう扱えば良いのかを、暗黙知を重視する日本企業、形式知を重視する西洋の両側面から検証していく。
著者は、「どちらか」が優れているのではなく、「どちらも」取り入れたSECIサイクルが最善だと結論づける。
また、ただの理論にとどまらず、実際の企業の例(新規開発)を取り上げ、組織の在り方や、マネジメントの在り方も分析し示している。
まさにこの本自体が、SECIモデル(サイクル)を体現している。
パラパラめくるだけだと、文量や内容の重厚さから、理論の本と思われるかもしれないが、この本は間違いなく「実践の書」である。
知を扱うすべての経営者・マネジャー必読の書といっても良いだろう。
私も一度では理解しきれなかったので、またページを開き理解を深めたいと思う。
Posted by ブクログ
知識創造のモデルとして、共同化→表出化→連結化→内面化という流れで個人の暗黙知を組織の形式知に変換する事を実例も交えて説明。そのサイクルを回すために、階層的なビューロクラシーの効率とタスクフォースの柔軟性を兼ね備えたハイパーテキスト型組織という新しい組織構造を提唱している。
Posted by ブクログ
SECIモデルとしても有名な知識変換モデルを中心に個人の知識創造をどのようにして組織として増幅し、組織的知識創造を行なっていくのかという理論の提示と実践方法の提案を行っている。
この本を読むと「どのような知識変換に基づく知識創造が行われているのか?」という目線でさまざまなものを見れるので面白い。
一方でいくつか出てくる事例が90年代の日本企業であるため2023年現在から見ると隔世の感がある。ただ、それについても現在世界のトップを走る企業ではどのような知識が創造されているのかという視点で見ればそのような事例はものの見方の具体例ととらえられると思う。
全体のうち4割程度は理論の裏付けのための事例や説明のための具体例なので400ページ超の経営理論の本の割には読みやすいと思った。
Posted by ブクログ
野中郁次郎先生の代表的な著書。
日本発で世界的に広まったマネジメント理論ということで読んでみた。
有名なSECIモデルについてと、それを活用するための組織作りの仕方や事例が書かれている。
500ページあるので後半は若干冗長な感じはあることと、30年前の話であるため読む人を選ぶところはあるが、今にも通じる内容である。
一方で、30年間で実際にうまくこのシステムを実装できた企業はほとんどないだろう。
続編のワイズカンパニー(2020発行)も読んでみて、それも含めて改めて評価したいところ。
Posted by ブクログ
私が2020年に読んだ本の中ではベスト。
SECIモデルは有名だが、それでも以下の理由によりこの本は読む価値があるといえる。
・日本人の経営学者が日本企業の事例によりモデルを確立していること。
・いずれの事例もいきいきしていること。
・この本をよむことによって初めてナレッジマネジメントの本質を会得でき、SECIモデルを意識した活動ができること。
私も対して経営書を読んでいるわけではないが、それでもこの本は現在出ている経営書の10指には必ず入るはず。
Posted by ブクログ
世界的な権威、野中郁次郎先生の名著。
海外で生まれた経営理論が多いなか、本著は日本人の経営学者が提言した、日本の文化に根ざした経営理論というところに価値があります。またそれは、私たち日本人が世界に誇れるものでもあると感じます。
Posted by ブクログ
ミドルアップダウンマネジメント、リレー・ラグビーなど対比を用いて組織論を語る本。実例も多い。
東洋と西洋の対比を用いているのが、この本の一番の特徴だと思います。
Posted by ブクログ
ちょくちょく耳にするSECIモデルを改めて学べた
会社で行われている様々な行為、イベントがどのように知識創造を支えているのか考えられるようになった
また、自らアクションを打つうえでも明確な根拠を持てるようになると感じた
トップダウンでもボトムアップでもない、ミドルアップダウンが重要というのも、なんとなく感じていたことが言語化されていて学びになった
Posted by ブクログ
暗黙知と形式知の間を行ったり来たりしながら,どう知識を創造していくのか、組織でいかしていくのかというのが記載している
トップダウンでもなく、ボトムアップでもない、ミドル層が意見をあげていくというのが印象に残った
Posted by ブクログ
企業の成功には知識の共有と創造が欠かせない。
多くの企業人にとって知識を共有し多くの人と役割を分担もし全体の力を高めより大きくしていかなくてはならない。
大企業ばかりではない。最小単位の家族においても同様だろう。家族という小さな「知識創造体」「経営体」においても共有が豊かな未来を築く鍵となる。家族の一人ひとりが思いや考えを語り合う場を持ちそれを生かせばより深い信頼と絆が生まれるはずだ。
Posted by ブクログ
ちょっと長くて内容を十分に掴みきれなかったところも多かったところが星4つとしたが、この本を読むことで暗黙値と形式値という考え方を知り、知識の共有を暗黙値、形式値で行うことでイノベーションが進んでいくというプロセスはとても深い洞察だと思った。
Posted by ブクログ
SECIモデルについての実例などを用いて説明されている。
前半の哲学的部分と実例が30年前のことなので読みとばすところが多い。
そんなことをすると1時間で終わった
Posted by ブクログ
繰り返しが多く、長いのでところどころ飛ばし読み。
曖昧であることにメリットがあるとか、文化の違いが現在の国内外の企業文化の違い(日本では和、海外だと企業は作業をマニュアル化して個人は個人のスキルを高めて出ていく、みたいな)を作った、とか、中間管理職が橋としての職務をまっとうするとか。
しかし引用される例はBtoCがほとんど。BtoBは規模が大きく変化速度は遅いだろうけど、基本的には同じなのかな。より”変化”の難易度は高そう。どこまでオープンになれるかという面も含めて。
Posted by ブクログ
暗黙知と形式知それぞれの知識変換のスパイラルと個人から組織への変換のスパイラルの相互作用による知識の創出がイノベーションを促進する。デザイン思考やAI設計ともつながる考え方だと思った。特に形式知から暗黙知への変換はあまり意識していなかったが、次のサイクルにはかなり重要だと思う。
Posted by ブクログ
久しぶりに老眼鏡なしで読めた。これの後の本を何冊も読んでるので、何で今まで読んでなかったのかという感じではあるけど、今だから発見できたこともあったかな。この本にはSECIって一言も出てこないのはマメな。
Posted by ブクログ
「ワイズ・カンパニー」がでたのにあわせて、新装版がでたので、久しぶりに「知識創造企業」を読みました。20年ぶりくらいかもしれない。。。
最初に読んだときは、前半の理論的部分は難しいし、後半の事例とか、企業へのインプリケーションの部分は、少数の事例しかでてこなくて過度に一般化されている感じがして、今ひとつ、ピンときませんでした。
今回、あらためて読んで、後半部分の事例は、実証的なものではなくて、未来にむかって役に立つかもしれないヒントみたいなものなのだと思い、ちょっとなるほどと思いました。
一方、前半の理論部分は、ちょっと大雑把すぎるというか、この研究の世界的な独自性を強調したいがために、他の理論の問題を批判して、そうした理論と知識創造理論の差を大きめに言い過ぎている印象はあって、やはり今ひとつだと思いました。そして、ここまで難しく書く必要もないと思って、やはり、あまり共感できませんでした。(ちょっと気負い過ぎかな。。。)
そういうなかで、センゲの「学習する組織」に対しても、似ているところはあるとしながら、結構、厳しい批判をしています。主な論点としては、
・「刺激ー反応」という行動主義的コンセプトにとらわれている
・個人としての学習というメタファーを使っている
・組織学習は適応のための受動的変化としている
・ダブルループ学習は外部の専門家の介入を前提としている
といったことをあげていて、いずれも?な感じがします。この辺のところは、旧世代?の行動主義的な組織開発手法への批判をセンゲにもそういうとこあるよね、と強引に当てはめている印象があります。
「知識創造企業」の第2章は、哲学的な認識論からスタートして、経営学の既存の様々なパラダイムを批判的にレビューしているのですが、自分の理論の独自性を伝えようとするあまり、ちょっと言い過ぎているところが多いです。この章はなかったほうが良かったんじゃないかと思いました。
そういう理論的な混乱(笑)をわきにおいて、イノベーションという観点から、純粋にSECIモデル、ミドルアップアンドダウン、ハイパーテキスト組織といったコンセプトだけをみれば、やはりこの本から学べるところはあると思います。
もちろん、この段階では、コンセプトしかない段階で、その後、さまざまな実践がなされ、今、それが「ワイズ・カンパニー」とか、「全員経営」、「共感経営」になっているわけなので、これはこれで、大事な本ですね。
たしかに、アイスブレーキングな本ではあるのでしょうが、現時点で読み返すと、ちょっと辛い感じもあります。
Posted by ブクログ
かなり学術的な表現になっていて、長い時間をかけて読み込んで腹落ちさせないと、オーディブルレベルで流し聞きする程度では意味は薄い本だと思った。トップダウンでもボトムアップでもなくミドルアップダウンマネジメントアプローチとか面白いけど大変だなと思った。国際的な大企業のヒット商品誕生の事例分析は分かりやすかったが、では自社でどう取り込んで実践できるかと考えると、うーんと思ってしまった。初版は四半世紀以上前に出たこともあって、事例も古く、現在の(自分がいるような)IT企業としては国際間の協調とか参考にすべきところもありそうだけど、だいぶ事情も変わっているのでは...と思った。
Posted by ブクログ
日本と欧米との違い、それぞれの強み、を少し古めのケースを元に立証している論文形式の本。
参考になる部分もあるが、僕が読んだタイミングの問題なのか、本の分量の割に発見は少ない