柳沢由実子のレビュー一覧
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ヴァランダー、いろいろ大丈夫か?
心配になってきた、と上巻に書いたけど、
なんだかんだ、ギリギリのところで踏ん張り
がんばっている彼。
今回、犯人に何度か接触するんだけど、
そのたび信じられないようなミスや失態をさらす。
映像を頭に浮かべ、
緊迫したシーンにも関わらずわたしは大笑いした。
50に近い等身大の姿と言えば聞こえは良いけど、
かなりのかっこ悪さです。
そんな彼のこと、嫌いではありません。
今作品も犯人にはほぼスポットライトが当たらず。
こんな事件を起こした真の理由は何なのよ!と問いたくなるけれど、この作品はヴァランダーのための物語なのだから…
もうそこに文句を言ってもしょうがない。
30年余り前に書かれた作品ではあるけれど、
おぞましい犯罪や、それを犯す人々が増えつつあることに対する世の中への不安感は
まさしく今の感覚と同じで繋がっている気がする。
この先我々はどうなるんだろう?
そして警察官の役割とは…
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エーレンデュル捜査官の6作目。
死後の世界に救いと安穏、赦しを求める女性が自殺する。果たして自殺の理由はなんだったのか。
そして、関係者が老い、誰もが心の中に留まり続ける感情の残滓を消化し、納得し、理由づけ作業を終えようとする30年前の失踪事件をエーレンデュルが追いかける。
ハードボイルドとは少し違う、でも淡々と渋くエーレンデュルが事件を捜査するシリーズ。
今回は、エーレンデュル1人で静かに捜査を続けるので盛り上がりに少し欠けたか?
しかし、今作はエーレンデュルを含め周囲の人物の激しい感情の起伏が少ない。
そのため今までのシリーズよりも優しい穏やかな空気感とアイスランドの厳しい寒さ、そして閉ざされた暗さが絶妙にマッチしている上質な一作となっていた。 -
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ネタバレ前作で人を殺めてしまったヴァランダーは
精神を病み、休職していた。
これまでも刑事という職業に疑問を持ちながら仕事を続けて来た彼は、いよいよ辞める決心をしたのだけど、
今回起こった事件がきっかけとなり
逆にこの仕事以外に道はない、という結論に至る。
前半の地道な捜査の雰囲気がとても良かった反面、
犯人自体はこの人しかいないという中、
中盤以降なかなか進展が見られず
少し間延びした感じに。
このシリーズは事件とか推理といった部分より
ヴァランダーの心情や葛藤する姿を味わうのが良いようだ。
あと、人物紹介の二番目に女性刑事の名前が載ってるのを見た時は、
「ヴァランダー、またか!」とあきれましたよ。
それから相変わらずちまちまとリガに住む未亡人に手紙を書いては破りしてるのも通常モード。
でも今回は自分の予想を裏切る結果だったので
逆に残念。
彼には情けない男を全力で全うしてほしい。
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長〜〜〜い!
とても長かった、ヴァランダーシリーズ第三弾。
田舎町で失踪した女性の事件から話はどんどんスケールを増し、ちょっと置いてけぼりをくった感。
中盤でだいたいの疑問が解けてしまうと
あとはもう忍耐の読書!という感じだった。
そんな中、特筆すべき点は
同僚であるスヴェードベリ刑事。
これまでの2作では登場しつつもあまり細かな描写はなく、ちょっとやる気なさげなけだるげな人、というイメージしかなかった。
今回はそんな彼の新たな一面が見られ、
ちょっと株が上がった。
ヴァランダーが信頼を置いていたリードベリなき今、
チームのメンバーの支えは大事。
ヴァランダーは相変わらず今の仕事に疑問を持ちながら続けている状態で、
時々その判断に、え?そう行く?大丈夫それ?と思うような行動を取る。
そこから招いた出来事がさらに彼のメンタルを崩壊させ…。この先がちょっと心配。
さて次作はどんな展開に? -
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刑事ヴァランダーシリーズ、二作目。
前回、主人公の印象を”ダメダメな人”と評したのだけど、今回の彼は少し沈んだ雰囲気。
気の合う、そして尊敬できる同僚が病死したのがその理由のひとつのようだ。
さらに彼は刑事という仕事をやめようかとさえ思っている。
そんな時に起こった事件。
流れ着いたボートの中に二体の射殺された外国人。
この謎を追って、今回は海の向こうの国ラトヴィアへ単身飛び込むことになる。
なんだか孤立無援な状況が彼を前より少しかっこよく見せてくれていた。
問題にぶち当たるたび、
亡くなった同僚ならどう考えるか、
どう行動するか?と問いながら進む姿は好ましかった。
また、ラトヴィアという国が抱える
なんとも暗く重たい描写も意外と好きだった。
相変わらず惚れっぽくて、
えー、また?
また好きになっちゃったの?と呆れつつも、
ヴァランダーの良い部分も見えてきて
次作も楽しみになってきた。 -
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フォローしている方のレビューを見て
おもしろそう!と思ったヘニング・マンケルの警察小説。
シリーズものだということで、
まずは第一作目を手にとってみた。
スウェーデンの片田舎で起こる惨殺事件。
老夫婦が殺され、息のあった妻の最後の言葉は「外国の」
捜査に乗り出すのは42歳の刑事、
クルト・ヴァランダー。
この人を一言で表すと、ダメダメな奴。
妻には愛想を尽かされ出ていかれ、ストレスから体重が10キロほど増加。部屋は汚いし、お酒ばっかり飲んでる。リーダーシップは見せるものの、結構見当違いも多め。
何が一番嫌って、新しくやって来た美人の検察官に早々に目をつけ(夫も子どももいる、って言ってるやん)、
勝手に舞い上がり、愛の告白して迫って殴られ…
わー、なんかもう最低。
全然事件に関係ないけど、そんな人が主人公。
ストーリーはなかなか読ませる展開で、
その時代のスウェーデンの社会問題が浮き彫りにされていて興味深かった。
同僚の刑事たちも味があって良い。
まとめて借りたので次作も読む予定。 -
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ファイアーウォールとは“防火壁”
今でこそ当たり前に誰もが知っていること。
この小説は1998年に書かれた。
日本ではバブル崩壊ののちに潰れるはずがないはずの大手証券会社や銀行が倒産し、長い経済停滞期に入った。いわゆる“失われた20年”の始まりだ。
この間にITは急速に発展して、生活のありとあらゆるところに絡み込んでいる。
反面、依然としてこの小説に描かれているリスクは取り除かれてはいない。
ヘニング・マンケルは、今回も刑事ヴァランダーを通じて、世界の向かう先への懸念を描く。
ただ、これまでの物語に比べると、登場する人々の魅力が薄くなっていて、ちょっと残念。
どう残念かは、ネタバレのため、書きません。
エピローグに描かれていた娘リンダとのやりとりが、次作へのモチベーションを保っている。