柳沢由実子のレビュー一覧

  • 緑衣の女

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    ネタバレ

     家族を持つ前に二の足を踏む男。家族を持ちたかったが、それが叶わず身を投げる女。家族になったが、それを自分で壊してしまった主人公。作者が〝子供を大切にし、愛すること。それだけが親の責務である。“と訳者に力を込めて語ったという、その親の責務が果たせず、家族を粉々に打ち砕き破壊し尽くす父親。人骨発見を機として、それぞれの家族が交差しながら、重いテーマであるドメティック・バイオレンスが、言葉を尽くして書き切られていく。女性に対しての暴力の描写がリアルで、同じ女性として、読み手を辛くさせる。
     今日もどこかに、身を守るために敵を屍にして穴に埋めざるを得ない状況にいる人が、心の中で握ったナイフに力を込め

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    2023年09月21日
  • スウェーディッシュ・ブーツ

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    ネタバレ

    放火犯は誰かというミステリーでもあるが、小島に住む孤独な元医師の老人フレドリックの回想と老人性生活への欲望と娘との関係改善に至る日記でもある。
    しかしこの主人公はかなり自分勝手な男で30才も年下の新聞記者へのアプローチには正直気持ち悪さが先に立ち彼女がそれをそこまで嫌がらないのが不思議。作者が男性なので仕方ないのかなあ。
    犯人は分かったけれど動機がはっきりわからなかったのは残念。

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    2023年08月11日
  • スウェーディッシュ・ブーツ

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    祖父母から受け継いだ小島の木造の家で一人暮らすのは元医師フレドリック。

    秋の夜、就寝中に強烈な明るさで目をさましたときあたりは灰色の煙が充満していた。
    なんとか逃げ出したフレドリックだったが、家は全焼する。
    警察の調べで火事の原因が放火であると判明するが、保険金目当てではないかと疑いをかけられる。

    いったい誰が…真相は…となるが
    その間、港の店主が亡くなったり、駐車場の持ち主も…。
    そしてそのあとも2件の火事で家が全焼となる。
    火事では幸いに死者は出ていないが、誰が何の目的でとなるのである。

    犯人の目的もわからないが、その間のフレドリックの周辺のジャーナリストや娘とのことが多く心を揺さぶ

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    2023年07月21日
  • 湿地

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    ネタバレ

    2013年版このミス海外編4位。
    暗いアイスランドの空(想像です)のような静かな警察小説。但し展開は早く読みやすい。
    妻に去られ娘は麻薬中毒というベテランの刑事が部下とともに殺人事件の真相を追っていく。
    殺された老人は、レイプで訴えられた過去があった・・・というところから展開していく話で、女性にはつらい部分もあるかもしれない。
    過去が明らかになっていくことにより、悲劇が起きたという真相は、痛ましく悲しい。

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    2023年07月18日
  • スウェーディッシュ・ブーツ

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    人生終焉前の寂しさと恐怖… 価値観の偏りや歪んだ欲望の醜さが悲しい #スウェーディッシュ・ブーツ

    ■きっと読みたくなるレビュー
    既に現役の医者をリタイヤして、静かに暮らしている主人公。しかし胸に秘めた人間性は、なかなかのキモさと偏見で形成されている。

    年甲斐もなく色恋沙汰を期待したり、嘘をついたり、人の領域に土足で踏み込んだり…
    動機は自らの寂しさや恐れからの回避なんでしょう。人生を悟るべき年齢にもかかわらず、あまりにもカッコ悪い。正直読んでいると嫌な気分になってくることも多々あります。

    しかし、気持ちは痛いほど分かる。
    私も年齢を重ねてきました。どんなに頭でわかっていても、価値観の偏り

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    2023年06月14日
  • スウェーディッシュ・ブーツ

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    スエーデンの小島に住む老主人公の家が火災になったところから物語ははじまる。
    全てを失った老人の孤独が、晩秋の群島の描写と重なり胸に迫ってくる。私なら絶対に好きになれない描写の主人公だが何故か引き込まれてしまう。ささやかな日常と連続火災事件の対比ももの悲しい。イタリアンシューズの続編。

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    2023年05月31日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    マンケル自身が書いた、ヴァランダーものに出てくる地名、人物索引があるというので購入。さらにヴァランダーものの作品全部の導入が書かれている。さすが作者の書く紹介文、作品の目の付け所がかかれている、うまい。プラス短編「手」がある。これがおもしろい、とてもよかった。

    「手」
    田舎に住みたいヴァランダー、紹介された家に見に行くと、なんと庭から人間の手の骨が突き出ていた。手は前の住人、その先の住人と調べていくと出て来た秘められた出来事。第二次世界大戦の影が見える。

    ヴァランダーの紹介文になると、「どちらが犯人でどちらが犠牲者かはとうてい言えるものではなかった。」と締めくくる。

    2004,2013

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    2023年05月28日
  • 霜の降りる前に 下

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    クルト・ヴァランダーの娘リンダが主人公。警察官になる直前の事件を父と共に追いかける。今までのシリーズで時々出てくる娘リンダは、いつも情緒が不安定でフラフラしているイメージしかなかったが警察官になるとはびっくり。彼女の両親に対する、愛情や軽蔑がない混ぜになった感情がリアルで、意外と似たもの同士である父娘のやり取りにくすっと笑えてしまう。娘の容赦のない父の描写が特に面白く、クルト・ヴァランダーという人間の輪郭が際立ち、やはり彼はヒーローになりきれないなあと感じる。そこが良いのだが。
    そうそう事件はカルト宗教がらみになるが、いつもな感じで面白かった。作者が亡くなってしまったので、ヴァランダーシリーズ

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    2023年04月28日
  • 湿地

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    悪意は後に誰かに災いを引き起こす。
    悪い人間はそんなことは1ミリも感じないからどうにもならない。持って生まれたものか…その一族の因果なのか…どこかでおとしまえをつけないとね。
    正義はどこまで光を信じぬけるかだ!

    ぜひ〜

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    2023年04月24日
  • 笑う男

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    もうミステリーじゃないですね

    じゃあなんなのよ?って聞かれるとだいぶ困るんですが

    正直事件の方はもうほぼサイドストーリーなんじゃないかと思うほど力入ってない気がします
    割とどうでもいいっていうか

    今回はヴァランダー再生の旅です
    警官であるということ、イコールヴァランダーにとって生きるということはどういうことなのかをひたすらに自分に問いかけ続けます
    そしてヴァランダーはデンマーク社会を映す鏡でもあるようです

    ひたすらに自分の内にある怖れや苦悩や喜びさまざまなものと向き合い続ける500ページでした

    読み終わって思ったこと
    ヴァランダー頑張れ!
    俺も頑張る!

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    2023年04月09日
  • 殺人者の顔

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    オリジナルのタイトル”Mördare Utan Ansikte”、どういう意味なんだろうと思って辞書を引いたところ、顔のない殺人者、という意味だった。
    犯人はいて勿論『顔』がある。けれど、犯人をそうするように駆り立てたものーー国の制度、仕組み、移民問題ーーもある意味では『犯人(原因)』で、それには『顔』がない。……よな、とか考えたりした。

    国が抱えている問題を軸にして展開される重厚な物語。読み終えた時の(いい意味での)疲労感。
    ヴァランダーのシリーズをもっと読みたくなった。

    しかし、クルト・ヴァランダー、プライベートがとことん行き詰まっているし、ひどい怪我をするし、急いでご飯食べたりして結

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    2023年03月08日
  • 緑衣の女

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    ミステリーですが、驚きの結末! 的なミステリーではありません。暗く陰鬱な雰囲気が全編を覆っています。しかし先が気になって読んでしまう。上手いと思った。しかし。DVには反吐しかでないね。皆死刑でいいと思う。

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    2023年02月25日
  • 湿地

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    面白いねェ。
    寒くてジメジメした湿地で展開される人間模様。
    犯人の心情を思うと切なすぎる。
    逃げた花嫁の話は要らないかも

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    2023年02月24日
  • イタリアン・シューズ

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    ヘニング・マンケルのミステリーではない小説ということで、半信半疑で読み出したのだが、とても読み応えがあった。
    主人公は冒頭はただの我儘な初老の男性とも言えるし、登場人物は全員素敵という訳ではないのだが、読み進めると全員が愛おしく思えてくる。
    シンプルな語り口ながら、伝わるものがあるのはさすがヘニング・マンケルだと思った。

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    2023年02月02日
  • リガの犬たち

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    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『リガの犬たち(原題:Hundarna i Riga)』を読みました。

    「ヘニング・マンケル」作品は、今年の3月に読んだ『北京から来た男』以来ですね… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    【CWAゴールドダガー受賞シリーズ】
    スウェーデン南部の海岸に、一艘のゴムボートが流れ着いた。
    その中には、高級なスーツを身につけた二人の男の射殺死体が抱き合うように横たわっていた。
    彼らはいったい何者なのか?どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが…。
    小さな田舎町の刑事「ヴァランダー」は、この国

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    2023年01月16日
  • 背後の足音 下

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    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『背後の足音(原題:Steget efter)』を読みました。

    『目くらましの道』に続き「ヘニング・マンケル」作品です… 読み始めると北欧ミステリは続いちゃいますね。

    -----story-------------
    〈上〉
    夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
    十八世紀の服装、料理、ワイン。
    彼らをうかがう目があるとも知らず……。
    イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
    捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。
    几帳面なはずの人物

    0
    2022年12月19日
  • 背後の足音 上

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    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『背後の足音(原題:Steget efter)』を読みました。

    『目くらましの道』に続き「ヘニング・マンケル」作品です… 読み始めると北欧ミステリは続いちゃいますね。

    -----story-------------
    〈上〉
    夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
    十八世紀の服装、料理、ワイン。
    彼らをうかがう目があるとも知らず……。
    イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
    捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。
    几帳面なはずの人物

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    2022年12月19日
  • 目くらましの道 下

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    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『目くらましの道(原題:Villospar)』を読みました。

    「ヘニング・マンケル」作品は先月読んだ『笑う男』以来です… 約1か月振りの北欧ミステリですね。

    -----story-------------
    〈上〉
    【CWAゴールドダガー賞受賞】
    夏の休暇を楽しみに待つ、イースタ署の「ヴァランダー警部」。
    そんな平和な夏のはじまりは、一本の電話でひっくり返された。
    呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。
    目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。
    殺されたのは元法務大臣。
    背中を斧で割られ

    0
    2022年12月19日
  • 目くらましの道 上

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    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『目くらましの道(原題:Villospar)』を読みました。

    「ヘニング・マンケル」作品は先月読んだ『笑う男』以来です… 約1か月振りの北欧ミステリですね。

    -----story-------------
    〈上〉
    【CWAゴールドダガー賞受賞】
    夏の休暇を楽しみに待つ、イースタ署の「ヴァランダー警部」。
    そんな平和な夏のはじまりは、一本の電話でひっくり返された。
    呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。
    目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。
    殺されたのは元法務大臣。
    背中を斧で割られ

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    2022年12月19日
  • 殺人者の顔

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    北欧ミステリーは有名どころは読んでいる方なので
    ・グレーンス警部
    ・特捜部Q
    ・ミレニアム
    ・その他警察モノなど
    なんというか北欧作品的なヤツ、というか警察モノのあるあるが揃ってる(この作品というかもっと前の刑事マルティン・ベックが元?)

    当然ヴァランダーは離婚してるし、未練たらたら…子供は独立してるし親の介護もあるし
    同僚は体が不調気味…
    捜査では怪我ばかりして進展無し…なんともかっこ悪いのだけども、どうも嫌いになれない。
    (もっと最低な刑事を見かけてるのもあるけど…)

    事件自体は携帯電話やインターネット普及前の事件なので、劇的な展開やどんでん返しは期待せずに読み進めた。

    平凡な農夫が

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    2022年12月08日