柳沢由実子のレビュー一覧
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アイスランドを代表するミステリー、エーレンデュル捜査官シリーズの第8弾である
前作に引き続きエーレンデュルは不在で、今作ではエーレンデュルの部下の傲慢野郎シグルデュル=オーリが主役を務めます
第1作からのレギュラーメンバーとの付き合いも長くなりました
懐かしいなぁ…
あの頃はまだ経験不足のくせにやけに自信だけはたっぷりで、見当違いのことばっかり言ってたっけ
そして今回もやけに不遜で、自分の考えだけで突っ走る
こいつぜんぜん成長しねーなーと思っていたのですが…
ちなみにシグルデュル=オーリとは本当に長い付き合いなのですが、実はほとんど彼のことをシグルデュル=オーリと呼んだことがありません -
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★5 恐喝から発展、重なり合う凶悪事件… 背後にあるのは、欲望の黒い空と少年の叫び #黒い空
■あらすじ
アイスランドの犯罪捜査官、シグルデュル=オーリは友人から相談を受けていた。妻の姉夫婦が猥褻な写真をとられ、恐喝にあっているというのだ。彼は恐喝者である女性に話をつけに家に行くが、なんと女性が血を流して倒れていて…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 北欧ミステリーの雄、エーレンデュル捜査官シリーズの最新作。
とはいえ本作ではエーレンデュル捜査官は休暇中のため登場せず、シグルデュル=オーリ捜査官が視点人物になります。これまでのシリーズ作を読んでなくても楽しめますのでご安心を、前作までの -
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ネタバレ一人の女性とその家族が暴力に苦しめられた一生と犯罪に至る様子を描いていた。
あぁ、読後がなんとというか。
苦しい。
「ドメスティックバイオレンス」はどうしたら解決できるのか。周りや警察に助けられて、はい終わり。とはならないのだなとこの本で再認識。
「被害者が犯罪者より悪人であることもある」という作者の言葉(あとがき)がとても印象的だった。
この世からなくなることのない問題。トマスが同じような人生を送ってしまったことや、シモンの一生が父親の影響で180度変わってしまったこと。それが悔しいし、切ない。
非常に考えさせられる一冊であった。 -
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刑事クルト・ヴァランダー終幕の物語である
ここではスウェーデンの田舎町の刑事の、この長いシリーズが、なぜこれほどまでに人を惹きつけるのか考えてみたい
それはひとえに主人公であるクルト・ヴァランダーがいついかなるときも『苦悩する男』だったからではないだろうか
クルト・ヴァランダーは非常に欠点の多い男だった
とりわけ彼を象徴するのは、その怒りっぽい短気な性分であったと思う
ただし、その怒りが向けられる先は、ほとんどの場合、人々の生活を脅かす者たちであり、その存在を許す社会であり、世界であり、自分自身だったのではなかったか
時に全身で怒り、時に自らの無力を嘆き、時に見えない不安に迷う彼が、 -
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いよいよ刑事ヴァランダーシリーズ最終決戦である
このあと中編を含む副読本的な巻があるにはあるがそうなのだ
何だよ最終決戦て
ヴァランダーも59歳
デンマークの警察官の定年ていくつなんだろう?
いや今それはいいだろ!っていうのを考えながら読み進む
それにしても北欧感がすごい
仕上げてきたなー、ヘニング・マンケル最終決戦に向けて仕上げてきたなーという感じだ
有馬記念だ
今ある北欧ミステリーって結局マンケルの模倣なんじゃないか?と思えるほどの北欧感
そしてヴァランダーは警察官なのでコツコツ積み上げていく捜査がもちろんメインストリームなんだが、ひらめき型の名探偵でもあるのよ
そしてひらめき型の -
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ここに来て刑事クルト・ヴァランダーの若かりし頃を描いた中短編集
20代、30代、40代のヴァランダーが躍動します
もうシリーズも終わりなのに!
もっとヴァランダーが好きになってしまったではないか!
別れが辛くなるじゃないか!
とにかく欠点が多い
それがヴァランダー
特に惚れっぽい上に未練たらしいところが素晴らしいw
めちゃくそ短気なので友達にはしたくないが、好きにならずにいられない
娘のリンダが大好き過ぎるのに表に出さないように努めるところが、かわいい
普段事件のことばっかり考えているのでほぼ不眠症だが、娘が泊まりに来た時だけ熟睡できる
なんか分かる
父親とは喧嘩ばかりだが、なんかあ -
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ネタバレスウェーデンの作家ヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダーシリーズ第五弾。
夏休みを直前に迎え、バイバとの旅行を楽しみにするヴァランダー。農家から、畑に知らない娘がいるとの通報を受け現場に向かうと、娘はガソリンを浴びヴァランダーの目の前で焼身自殺をする。一方、やり手の元大臣が斧で殺された上、頭皮を持ち去られる事件が発生し。。。
過去作にはない残虐な手口で殺される被害者たち。冒頭の焼身自殺の件はなかなか浮かび上がってこない。
今作は犯人側の視点もあるため、実は早々に誰が犯行を繰り返しているのかわかる。いつものイースタ署の面々の捜査の間に挿入されるため、いかに犯人像がずらされているか等がわかり -
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〜ファイアーウォールがあるのはコンピューターの世界だけではなさそうだ。自分の中にもある。自分でもどうやって突き抜けたらいいかわからない防火壁が。〜
というわけで刑事ヴァランダーシリーズも外伝入れても残り3作品ですよ
もうなんかこれから新たな物語が始まる感を最後に出しておいて終わるのかい!っていうね
刑事ヴァランダーシリーズとはなんなのか?っていうのが、かなりはっきりと見えてきましたよ
すばり警鐘ですな
スウェーデンという国をうっすらと覆う社会不安にいち早く気付いたヘニング・マンケルがクルト・ヴァランダーというめんどくさいおっさんを通して警告を発しているように思うのです
このまま進んで -
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なぜ俺はスウェーデン人でないのか
悔やまれてならない
もし、俺がスウェーデン人であったなら
この傑作がさらに7,000倍は面白かったはずだ
残念でならない
はい、というわけでね
刑事ヴァランダーです
もう何が凄いってあーた
ヴァランダーもの忘れがひどすぎるよ!
もう8割方携帯を忘れる
ちゃんと持ってる残りの2割もだいたい充電がこころもとない
初老の哀しさよ
ヴァランダーはコツコツと事実を積み重ねて捜査する警察官でありながら、ちょっとした違和感から閃きを得る天才型の探偵でもある
それは事件現場で感じるものだったり、誰かと話したときの言葉だったりする
後になってピカーン!と閃く
あの時の -
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『刑事クルト・ヴァランダーシリーズ』である
第何弾であるかに興味はない
やばい、とんでもなく面白い
面白いのでどんどん読みたいのだが、どうしても間が開いてしまう
『ヴァランダーシリーズ』は完結しているので、どんどん読むと終わってしまうのだ!
くぬー!
このジレンマよ
シリーズどんどん読みたいけど、読みたくない
なにこの気持ち?
( ゚д゚)ハッ!
これってもしや恋?(違うわ)
そして、な、なんとなんと!
ヴァランダー…糖尿病になってもうた
本人は糖尿病の疑いありとか言ってる
血糖値302で糖尿病の可能性ありて君
302は完全無欠な糖尿病だわ!( ゚д゚ )クワッ!!
このな -
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ネタバレ原作は2000年、日本語版は2012年、そしてこの文庫が2015年。そこから約10年経って読んでいる。なんか勝手に歴史を感じる。
でもまあ、舞台が2001年のアイスランドなのはなにか理由があるのかと思ったら単に書かれた時期だったというのが分かったので、調べて良かった。
アイスランド文学を読んだのは初めてかもしれない。翻訳自体はアイスランド語 > スウェーデン語 > 日本語らしい。アイスランドとスウェーデンがどのくらい違うのか似てるのか知らないが、通貨であるクローネはアイスランドとスウェーデンどちらでも通用するので、英語とかよりはニュアンスがキープされやすいのかもしれない。
あと -
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マンケル作品として個人的には初となる『イタリアン・シューズ』を読んでから5年。スウェーデン・ミステリーの代表格的存在である刑事ヴァランダー・シリーズは第一作と最終作しか何故か読んでいないという体たらくでお恥ずかしい限りなのだが、作者の遺作となる本作は『イタリアン・シューズ』とセット作と言いながら、さらに厚みを増して、なおかつ描写の丁寧さ、深さを考えると人生を振り返る作者と本作の主人公フレドリック・ヴェリーンは、分身ではないかと推察される。しかし、ヘニング・マンケルには『流砂』というノンフィクションの遺作が遺されていて、これが彼の<白鳥の歌>として死後に出版されている。
故に本書はフィクシ -
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『エーレンデュル捜査官シリーズ』は非常にメッセージ性の高いミステリーだ
今回は卑劣極まりない犯罪の被害者たちに対して、あなたたちは悪くない、あなたたちに責任はない、世間から隠れて暮らす必要はない、堂々と生きろ!と強く主張している
だけどその主張はまず「社会」に向けられるべきだと思うのだ
「社会」こそが犯罪被害者たちを日陰の存在に押しやっているのではないか、声を塞いでいるのではないかと思う
そして、作者のアーナルデュル・インドリダソンはこのシリーズを通して、常に家族の絆についてスポットを当てているように思う
そして今作は主人公がいつもと違ってエーレンデュルの部下、女性刑事のエリンボルクとな -
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『湿地』以来、いずれも高水準を保っているこのアイスランド・ミステリーは『エーレンデュル捜査官シリーズ』として出版社より紹介されてきたが、本書では当のエーレンデュル主任警部が不在というシチュエーションで女性刑事エリンボルクが初の主演を果たす。時に助け役なのか邪魔する役なのか判断が難しいかたちで三人目の刑事シグルデュル=オーリが登場するが、こちらも友情出演程度の顔出し。本書は、一作を通じてあくまでエーレンデュルを主役とした作品なのだ。
序章にして既にトリッキーである。まず女性にデートドラッグを飲ませレイプするという目的を持つ病的な犯罪者が一軒のバーで獲物を狙うシーンから本書はスタートする。続