【感想・ネタバレ】目くらましの道 下のレビュー

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Posted by ブクログ

警察の仕事というものは基本的に、一枚のメモ用紙に書かれている決定的な情報を確認することの積み重ねにほかならないのだ。


『目くらましの道』というタイトルがまず秀逸だと感じました
自分たちは「目くらましの道」を進んでないよなと、一歩進んでは後ろを振り返り確認する
その積み重ねでちょっとづつ進んでいく
それがいいんですよね
そしてもちろん気がつくと「目くらましの道」に進んでるんですよね
じゃなきゃ小説になんないですもん(それを言っちゃあおしまいよw)

ヴァランダーは捜査の途中で、最初の頃に見聞きした何気ない事柄が事件の重要な鍵を握っていることに深層心理で気付きますが、それがどうしても思い出せません
作中何度も、思い出そうとして失敗し、けれど捜査が進むにつれてその事が非常に重要だと確信を深めていきますが、やはり思い出すことができません
この描写がうまいよなぁって
最大のヒントが紛れ込んでるよと教えてくれてるんだもん

読者はヴァランダーと違って読み直すことが出来て、なんなら途中で犯人もわかるのになんのことかさっぱりわかりません(もちろんわかる人もいるでしょうが)
そして最後の最後に「あーそれかー!」となるんですがこれがねほんともう「それかー!」なんです

それにしても、ヘニング・マンケルの怒り、ヴァランダーの怒りが全編に込められた傑作でした!
その怒りとは児童文学作家でもあるヘニングの子どもたちが犠牲になっている歪んだ世界への怒りです

続けてヴァランダー追いますよ!

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2023年08月01日

Posted by ブクログ

シリーズ最高作の評判はダテじゃなかった。

なぜこのシリーズに惹かれるのかは、これまでさんざん書いてきた。
「文章の読みやすさ」「魅力的な人物による没入感」「物語のスピード感」「時系列というシンプルさ」

今回特に「映像的表現によるドラマチック感」が抜群だと思う。
さらに、そこにとどまらずヘニング・マンケルはここでもメッセージを持っている。
エピローグで描かれているヴァランダーの心情は、変わりゆく社会への作者自身の不安と怒りであろう。

主人公ヴァランダーに代表される感情は、この国の負の良心なのだろう。

移りゆく時の先は、歳を重ねるごとに暗さを増していく……寂しいことですが、仕方ありません。

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2023年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

殺人者に感情移入する。その殺人者が主人公を襲う寸前までくる。それを知っているのは殺人者と読者だけだ。こんなスリリングな読書経験をできてよかった。

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2021年05月31日

Posted by ブクログ

読者には犯人が分かっている事でよりハラハラさせられる展開に思わず引き込まれた。 このシリーズを読むのはかなり遅い参戦でしたがおかげでまとめて読める幸せを味わっております。

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2014年04月16日

Posted by ブクログ

本作は「出来れば知りたくなかったことを確実に知るに至る」までの“本筋”も面白いが、ヴァランダー警部周辺のことを扱うような“脇筋”も面白い。
本作の最末尾に在る“訳者解説”だが、なかなかお得だ…ヴァランダー警部シリーズの刑事達に関する小事典が在る!!

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2011年03月01日

Posted by ブクログ

ヴァランダー警部は捜査に能力を発揮するが、老いた父の行動を案じ、進路の定まらない娘を気遣い、恋人にもなかなか連絡が取れない。
犯人は比較的早くわかるが、綿密な描写で飽きさせない。
哀切な結末。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

下巻に入っても期待は裏切られませんでした。人物像がはっきりと浮かび上がっていること、1995年当時の世相がよく伝わること、そして着地がすっきりしていることなどがポイントの高さにつながっています。昔読んだ「マルティン・ベック・シリーズ」とは雰囲気が違いますが、こちらのスウェーデン警察小説シリーズもお勧めです。ぜひ一作目の「殺人者の顔」からどうぞ。追記。スウェーデンでドラマ化されたという話は、解説で読んだ記憶があるし、ケネス・ブラナー主演で、去年イギリスでドラマ化された(舞台はスウェーデン)というニュースも聞いていたが、まさか、今日WOWOWで放送されていたとは知りませんでした。しかも一作目が「目くらましの道」。残りの二作はこれから翻訳される作品なのか、それとも、オリジナルなのかは不明ですが。引越しを機に、解約してしまったのが悔やまれる。でも、ソフト化されることを期待しましょう。

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2011年08月12日

Posted by ブクログ

スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『目くらましの道(原題:Villospar)』を読みました。

「ヘニング・マンケル」作品は先月読んだ『笑う男』以来です… 約1か月振りの北欧ミステリですね。

-----story-------------
〈上〉
【CWAゴールドダガー賞受賞】
夏の休暇を楽しみに待つ、イースタ署の「ヴァランダー警部」。
そんな平和な夏のはじまりは、一本の電話でひっくり返された。
呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。
目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。
殺されたのは元法務大臣。
背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。
そして事件はこれだけでは終わらなかった。
CWA賞受賞、スウェーデン警察小説の金字塔。

〈下〉
【CWAゴールドダガー賞受賞】
斧で殺害し、頭皮の一部をはぐという凄惨な殺人。
犯人は次々と犠牲者を増やしていった。
元法務大臣、美術商、そして盗品の売人。
殺害方法は次第にエスカレートし、三人目は生きているうちに両目を塩酸で焼かれていた。
犠牲者に共通するものは? 
なぜ三人目は目を潰されたのか? 
常軌を逸した連続殺人に「ヴァランダー」らの捜査は難航する。
そして四人目の犠牲者が……。
犯人の目的は? 
現代社会の病巣を鋭くえぐる傑作シリーズ第5弾。
解説=「杉江松恋」

*第1位「第1回PLAYBOYミステリー大賞」海外部門(『PLAYBOY日本版』2008年1月号)
*第6位『ミステリが読みたい!2008年版』/海外部門
*第6位CSミステリチャンネル「闘うベストテン2007」/海外部門
*第9位『このミステリーがすごい!2008年版』/海外編
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警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第5作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』に続き、本シリーズを読むのは3作目です、、、

『笑う男』の翌年、1994年のイースタが舞台です。

 ■ドミニカ共和国 一九七八年
 ■スコーネ 一九九四年六月二十一日から二十四日
 ■スコーネ 一九九四年六月二十五日から二十八日
 ■スコーネ 一九九四年六月二十九日から七月四日
 ■スコーネ 一九九四年七月五日から八日
 ■スコーネ 一九九四年九月十六日から十七日
 ■解説 杉江松恋


1994年6月、「クルト・ヴァランダー」は夏の休暇を楽しみにしていた… 交際中のリガの未亡人「バイバ」と旅行に行くのだ、、、

そんな平和な夏のはじまりは一本の電話でひっくり返された… 農夫から「自分の菜の花畑に不審な女性が入り込んでいる」という通報が入ったが、パトロール警官がすべて出払っていたために、「ヴァランダー」が現場に向かったところ、なにかに怯えている様子の少女が菜の花畑に立っていた。

その少女は「ヴァランダー」が止める間もなく、灯油をかぶり自らに火をつけて焼身自殺を遂げてしまう… 身元も自殺の理由も不明だった、、、

そして目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように事件発生の通報が入る… 今度は海岸でイースタで隠遁生活をおくっている元外務大臣の「グスタフ・ヴェッテルステッド」と思われる男性の他殺死体が発見されたとの通報があった… 「ヴァランダー」らが現場に赴くと、「ヴェッテルステッド」は、背中を斧で割られており、頭皮を剥がされていた。

あまりに凄惨な殺害方法に、「ヴァランダー」らイースタ署の面々に戦慄がはしる… そして、夏至祭の前夜に、自宅でパーティを催していた画商の「アルネ・カールマン」が、自宅の庭園で頭部を斧で割られ殺害されているのが発見され、「カールマン」も「ヴェッテルステッド」と同様に頭皮が剥がされていた、、、

さらに盗品の売人「ビュルン・フレードマン」が同様の方法で殺害された… しかも犯行は次第にエスカレートし、「フレードマン」は生きているうちに両目を塩酸で焼かれていた。

三人の犠牲者の接点と共通するものは? そしてなぜ三人目だけが目を潰されたのか? 犯人の目的は何なのか? そして四人目の犠牲者が、、、

ペーパーカンパニーで財を成した公認会計士の「オーケ・リリエグレン」が同様な方法で殺害された… 今度は頭部をオーブンに突っ込まれ焼かれていた。

常軌を逸した連続殺人に「ヴァランダー」等の捜査は難航する… そして、「ヴァランダー」と娘「リンダ」にも魔の手が迫る、、、

読者には、早めに犯人が示され、動機についても想像できちゃうので… 「ヴァランダー」が仲間たちの協力を得ながら、直感と行動力を武器に真相を解き明かす展開を愉む作品でしたね。

現代社会の病巣を鋭く抉る作品でした… でも、「ヴァランダー」の私生活は相変わらず順風満帆とは言えない状況ですね、、、

認知症を発症した父親とのイタリア旅行、恋人「バイバ・リエパ」との関係… こちらの展開は、次作以降で確認していきたいと思います。




以下、主な登場人物です。

「クルト・ヴァランダー」
 イースタ警察署警部

「アン=ブリッド・フーグルンド」
 イースタ警察署の刑事

「マーティンソン」
 イースタ警察署の刑事

「スヴェードベリ」
 イースタ警察署の刑事

「スヴェン・ニーベリ」
 イースタ警察署鑑識課の刑事

「ビュルク」
 イースタ警察署の警察署長

「ハンソン」
 イースタ警察署の警察署長代理

「リーサ・ホルゲソン」
 イースタ警察署の新警察署長

「エッバ」
 イースタ警察署の交換手

「ペール・オーケソン」
 検事

「マッツ・エクホルム」
 心理学者

「ステン・フォースフェルト」
 マルメ警察署の刑事

「スツーレ・ビリエールソン」
 ヘルシングボリ警察署の警視

「ヴァルデマール・シューステン」
 ヘルシングボリ警察署の刑事

「ルドヴィグソン」
 本庁から来た刑事

「ハムレーン」
 本庁から来た刑事

「クルト・ヴァランダーの父」
 画家

「イェートルード」
 その新しい妻

「リンダ・ヴァランダー」
 クルトの娘

「バイバ・リエパ」
 リガに住む未亡人

「グスタフ・ヴェッテルステッド」
 元法務大臣

「サラ・ビュルクルンド」
 ヴェッテルステッド邸の清掃人

「ラーシュ・マグヌソン」
 元ジャーナリスト

「アルネ・カールマン」
 画商

「アニタ・カールマン」
 アルネの妻

「エリカ・カールマン」
 アルネの娘

「ビュルン・フレードマン」
 盗品売人

「アネット・フレードマン」
 ビュルンの妻

「ルイース・フレードマン」
 ビュルンの娘

「ステファン・フレードマン」
 ビュルンの14歳の息子

「イェンス・フレードマン」
 ビュルンの4歳の息子

「ペーター・イェルム」
 ビュルンの仕事仲間

「オーケ・リリエグレン」
 公認会計士

「レナート・ハイネマン」
 元外務省高官

「エリサベス・カーレーン」
 コールガール

「ハンス・ローゴード」
 リリエグレンの友人

「グンネル・ニルソン」
 スメーズトルプ教会の女性牧師

「スヴェン・アンダーソン」
 同教会の庭師

「ペドロ・サンタナ」
 ドミニカ共和国の農夫

「ドロレス・マリア・サンタナ」
 ペドロの娘

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2022年12月19日

Posted by ブクログ

ヴァランダーシリーズ 5作め。この作品で英国推理作家協会のゴールドダガー賞を、受賞している。
スウェーデン史上稀に見る連続殺人の犯人を、追うヴァランダーの推理力や、忍耐と、粘り強さは、圧巻!この作品でも、児童買春や、上流階級者の闇等、本筋同様に、重い問題が、提起されている。

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2021年04月16日

Posted by ブクログ

<上巻とあわせて>

はじめての北欧ミステリー。

初めは聞きなれない地名や人の名前にとまどったけれど、一文が短くわかりやすく訳されているのでとても読みやすい◎
翻訳をされている柳沢さんの講演に伺った際、「北欧ミステリー作家は、社会小説家だ」とおっしゃっていたことがよくわかる内容だった。
特にジェンダー平等について。
なくならない女性への暴力、人身売買。
女性上司との関係性、女性同僚へ信頼の置き方の変化など…。

そんなことを抜きにしても、最後まで面白く読み進めることができる小説だった!
犯人が分かっているので、犯人と警察の立場から同場面を読めるのが面白い。
「答え」に迫った後半の怒涛の展開は、ページをめくるのがやめられない…。
そして上巻のプロローグと下巻のエピローグが繋がったとき、悲しい結末に思わずうるっときてしまった。

主人公ヴァランダーの感情の変化や行動が、人間味があふれていてとても好感がもてる!
他のヴァランダーシリーズも読みたくなった。

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2019年12月28日

Posted by ブクログ

(上巻より)

ただ、心理学者のマッツ・エルクホルムが、
もうちょっと活躍(捜査上だけでなく)してくれると、
良かった気がする。

女性署長が就任した、今度の展開に期待したい。

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2013年09月15日

Posted by ブクログ

犯人がすぐそばに居たり、娘に近づいているのに全く気づかないヴァランダーにハラハラ。鍵が盗まれてるっちゅうねん!以前の国際組織と渡り合ったとは思えない迂闊さ。それもこれも犯人が。。。だからだろうけど。
ゴールドダガー賞受賞ということで、期待値が高すぎたか。最後もあっけなく(エピローグは良かったけれど)て、私にとってはいつもと変わらない面白さでした。

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2013年06月22日

Posted by ブクログ

 スウェーデンの小さな町の警察官、クルト・ヴァランダーのシリーズ5作目。
 事件の事で思い悩んでいた1秒後には、季節の移り変わりの美しさに目を奪われ、遠距離恋愛中の女性に思いを馳せ、病気が発覚した父親と向かい合おうと考え、ふらっとやってきた愛娘に癒され…とにかく人間くさいおじさんが魅力的。こういうジャンルだと、いつのまにか超人的になっちゃう主人公が多い中、何度も何度も同じ悩みにはまったり、鬱からなかなか抜け出せなかったり。ヨーロッパの片隅の小さな町で、変化していく世界への不安を抱えながら、それでも日常生活のなかに光を見出そうともがいている主人公が、とにかく情けなくてかっこいい。

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2015年08月20日

Posted by ブクログ

人間を事件にかかわりのないところまできちんと描き、一つ一つ捜査の手順を踏み、事実を積み上げてみせる。
これはとてもよくできた警察小説だと思う。
謎解きの側面だけを読んでいたのではこの面白さは半減してしまうだろうなぁ。
作品後半、事件に深いかかわりを持つと思われる人物の家をヴァランダーが尋ねる場面。
何度も道を間違えて、間違えた場所に気づいて引き返して、正しい道に戻る。わずか1ページにも満たないシーンが、この物語のすべてを表しているようだ。

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2011年07月17日

Posted by ブクログ

やっぱり結末全然覚えてなかった。ところで、動機の必然性というか、理由がイマイチよくわからなかったのは、オレの読解力のなさですか、そうですか。

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2012年12月25日

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