柳沢由実子のレビュー一覧

  • 黒い空

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    エーレンデュル捜査官シリーズ第8弾。

    今作品は、今までエーレンデュルの脇役捜査官だったシグルデュル=オーリが、友人から厄介な相談事を受けたことから始まる。

    スウィンガー・パーティーで撮られた写真がきっかけで起きた暴力事件が殺人事件となり、関わった者を捜査するうちに銀行員が絡んだ犯罪もまた、この事件と絡んでくる。
    もうひとつは、浮浪者で酒浸りのアンドレスと革製のマスクの男である。
    何故アンドレスが酒に溺れることになったのか、それは彼の少年の頃の出来事が関係していた。

    このシリーズの特徴といってもいいのが、捜査する者(シグルデュル=オーリ)の私生活が明らかになることである。
    彼の生い立ちと母

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    2025年09月09日
  • 黒い空

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    アイスランドの作家によるアイスランドが舞台のミステリー。アイスランドは人口が40万人ほどで、金融立国であり観光立国でもある。舞台はアイスランドが所謂金融バブルが爆ける前で、書かれたのがはじけた翌年ということもあり、一部社会派寄りのミステリーとも捉えられるかも。
    3つの事件要素を絡めての進展はなかなか面白く飽きさせない。一つ難を言えば、慣れない人名と地名で悩まされる笑

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    2025年08月30日
  • 黒い空

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    ネタバレ

    かなり終盤まで、このシリーズの中では弱いなと思いつつ読んだのですが、終わってみればさすがの重厚さと暗さにしびれました。
    主役不在の中、今回抜擢された普段は脇役の若者の、父と母からの影響の受け方、さまざまなカップルの形、また興味深いアイルランドのバブル経済など、忘れ難いものを残してくれました。

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    2025年08月29日
  • 黒い空

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    大好きなシリーズ新作、これまでザ陰鬱を突きつけてくれたシリーズにしては、銀行がらみでちょっと軽い印象。それでも、アイスランドって全く、、と思わざるを得ないような事件の数々でいやはや、です。まあ、知らないだけで日本もそうでしょうけど。アンドレスが切なくて胸が痛みました。そして、久しぶりのメンバー登場で懐かしさでいっぱい。いつもはサブキャラのシグルデュル-オーリ、スカした奴かと思っていましたが、妻や両親との関係など深くえぐってくれてて、好感持てました。エーレンデュルはまだお出かけのようなので、サブキャラの皆さんで展開してくださっても全然OKです。

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    2025年08月22日
  • 黒い空

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    本作もエーレンデュルは不在。同僚のシグルデュル=オーリが殺人事件の捜査を進める様子が描かれる。
    エーレンデュルとは違い、やや気取り屋で熱血とは程遠いイメージのシグルデュル=オーリだが、本作では彼の生い立ちや、別れた妻や両親との関係も事件と並行して丁寧に描かれていて、彼の人間らしさに触れることが出来る。
    その生い立ち、特に母親との関係のせいで、人を見下すような態度をとってしまう不器用な彼が、父親や悲惨な生活を送っている人達に時折見せる優しさが愛おしい。
    事件の内容も読み応え十分で、次作へと続くであろう不穏な展開で物語は終わる。早くも次作が待ち遠しくて仕方ない。

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    2025年08月12日
  • 緑衣の女

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    前作もだけど悲劇的で泣きそうになる。
    埋められた人骨と緑のコートの女、この二つがどう繋がるのか。
    その謎を解くにはある一家の物語を知る必要がある。
    でもこれが本当に辛くて。
    いわゆるDV家庭で、これでもかってぐらい暴力描写がある。
    一度も妻の名前を呼ぶことなく、ひたすら相手を貶める言動をする。
    それを子供の前でわざとやって見せる。
    どう見ても精神的な殺人で、こんなの子供から見たら地獄でしかない。
    作品としてはどっぷり浸かれて良いのだけど、読んでる間ずっと悲しかった。
    親子関係って簡単には切れないから、しんどいよね。

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    2025年08月09日
  • 湿地

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    アイスランド発、ミステリー。
    かなり陰鬱な物語。
    湿地というタイトルからイメージする
    じめっとした空気や匂いの表現が気分を重くする。

    ヴァランダーのシリーズと少し似たところがあるかも。
    頑固そうで自分の道を突き進むおっちゃん刑事。
    ちょっと(かなり)やんちゃな娘もいたりするところが。

    事件の核心に近づくほどに
    家族のつながりを強く意識させられた。

    あとがきに書かれていたことにも納得。
    訳者は作者に会うためアイスランドへ。
    人口30万人ほどのこの小さな国で起こる犯罪の
    理由とは?
    それを社会の現状や家族の関係をからめつつ描いていく手法がおもしろかった。

    次作も読みたい。

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    2025年07月30日
  • 黒い空

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    前作に続き主人公エーレンデュルが不在、部下のシグルデュル=オーリが中心の話です。これまでのシグルデュル=オーリの横柄な態度や冷淡さの理由が明らかになります。彼の事はずっと、嫌なヤツ…と思っていましたが、本作を読んでちょっと可愛く思えてきました。
    夫婦交換からの恐喝そして殺人。幼少期の性的虐待からの復讐。銀行員たちの金融関係の悪事。この3つの出来事が最終的に絡みあっていきます。さほど難解ではない割に、読み応えはたっぷり。今作も面白いです!

    個人的にはシグルデュル=オーリが人の心がわかる人間に少しづつ変わっていく過程が好きでした。
    それにしてもエーレンデュルはいつ帰って来るのかな。次回作に期待で

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    2025年07月24日
  • 厳寒の町

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    冷たい雪の上に横たわる少年。外国にルーツを持つ彼らの現状とアイスランドの人々の葛藤に胸が苦しくなる。
    気候も歴史も文化も、そして言語体系が全く異なる土地で暮らすことは、身体・精神に相当の負担を強いる。特に子どもにとっては。受け入れる側にも正しい知識や価値観のすり合わせが大事。
    キャルタンのような考え方をする大人がいる限り、うっすらとした差別はなくならないのかもしれない。子どものしたことだから大目に見ようでは済まされない悲劇が、どこかで起きているかもしれないと思うと、ぞっとする。

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    2025年07月16日
  • 湿地

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    ずっと気になっていた北欧ミステリ。
    こういう作風は初めてかも。
    地道な捜査でストーリーに派手さは無い。
    感情的な表現も控えめ。
    だけど胸にせまるものがあって、淡々とした印象なのにどうにも心が揺さぶられる。
    人物の心情に焦点を当てているからかな。
    最初は意味の分からなかった犯人のメッセージも、意味を知った瞬間遣り切れなくて泣いた。

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    2025年05月10日
  • 苦悩する男 下

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    ネタバレ

    ヴァランダーシリーズ最終作。
    最後までヴァランダーはヴァランダーで、ドタバタしながらもきちんと仕事をこなして面白く読めた。
    エピローグでのヴァランダーのその後については少し寂しいところもあるが、それも良いのかも。
    面白いシリーズでした。

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    2025年05月01日
  • 緑衣の女

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    ネタバレ

    事件の発端は幼児が遊んでいた人骨。それは60~70年前のもので捜査が始まる。捜査官エーレンデュル。娘は薬中毒で妊婦。暴力夫から逃げ事故にあい入院。事件調査の中で登場する暴力夫に耐える妻と家族の物語。そして現場付近に現れる緑のコートの女…。DVは精神的に人を殺す。単純に「逃げればいいのに」と思っていた自分を猛省するリアルさだった。いつ殴られるか気が気でなくドキドキしながら読み進めた先で泣かされてしまった。人間ドラマが精緻に描かれていて作品としての一体感がすごかった。湿地もその他の作品も読んでみようと思う。

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    2025年04月19日
  • 湿地

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    北欧ミステリを初めて読んだ。

    最初は文章に馴染めるか不安だったが、慣れたらスラスラ読めた。
    犯人が誰なのかドキドキ考える!というよりは、登場人物一人一人のヒューマンドラマ的な感じはあるのかな?


    最後の方は、この人が犯人だろうなと分かってしまって、ミステリ要素が消えてしまっのが少し残念ではあるが、性犯罪やアイスランドの実情、独特の気候を楽しめた。

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    2025年03月05日
  • ファイアーウォール 上

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    刑事ヴァランダーシリーズ。
    あと何巻残っているのか?
    だんだんこのリズムに慣れてきたのになぁ。
    ちょっとさみしい。

    今回も出だしから良い感じで
    別々に起きた複数の事件がどう関係してくるのか
    ワクワクする。
    ヴァランダーは相変わらず美人に弱い。
    あっちへふらふら、こっちへふらふらしつつ、
    時々同僚たちに癇癪を起こして自己嫌悪。
    ほんとに人間らしくて
    なんか泣けてきちゃう。

    タイトルの「ファイアーウォール」は
    コンピュータ音痴の彼とは全く相容れないものなので
    ヴァランダーがどう対処するのか、
    そこも気になるところ。

    下巻へ続く。

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    2025年03月03日
  • 緑衣の女

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    床に座った子どもがしゃぶっているものを見て、若者はすぐにそれが人間の骨だとわかったー

    冒頭から一気読み確定パターン…(笑)

    住宅建設地から見つかった人骨の一部
    既に60年以上も経過した古いものだった

    骨の主は誰なのか?なぜそこに埋められているのか?真相を追う捜査官たちの物語…
    このシリーズの主人公でもある犯罪捜査官エーレンデュルの過去と家族の物語…
    第二次世界大戦の頃のある家族の哀しい物語…
    これらが絶妙なバランスで絡み合みながら、物語は進む!
    ミステリーとはいえ、特にトリックがある訳ではない
    それぞれの登場人物に深く深く心を寄せながらどっぷりと物語に浸っていくのだ…
    もちろん、最後には

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    2025年02月26日
  • 厳寒の町

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    「そこは地球の北の最果ての、光り輝く厳寒の町だ」

    アイスランド
    太平洋を中心にした日本の世界地図では最も北東にある、文字通り最果ての国
    ひとりのアジア系少年が殺される

    エーレンデュルら刑事達は、家族や学校などを捜査する

    結末は悲しい、とても悲しい
    少年が死ななければならなかった理由が、やるせないほど悲しい物語だった

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    2025年02月22日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    「芸術の責務はいろいろあるが、その一つは人々に友人を与えることだと私は思う。」

    刑事ヴァランダーシリーズほんとの最後の最後は中編『手』とマンケル本人によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した『ヴァランダーの世界』

    友人クルト・ヴァランダーともほんとにお別れかー。・゚・(ノ∀`)・゚・。

    それにしてもヘニング・マンケルってすごい人なのよ
    社会活動家としての一面も持っていて、特にアフリカを愛し、アパルトヘイトを激しく憎んでいたのよ
    でもってアフリカに蔓延するエイズ撲滅のために基金を創設したりね

    それからスウェーデンって世界でもいち早く移民(難民)の受け入れをした国でもあって、積極的

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    2025年02月17日
  • 背後の足音 上

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    ネタバレ

    ヴァランダーシリーズ、
    まだ上巻だけど、今のところ1番良いかも!
    まどろっこしい部分が取っ払われ、
    どんどん話が展開していく。
    下巻もこんな感じでありますように。




    ———ネタバレ———


    前回、老眼鏡を5つも買ったヴァランダーだったが
    今回も体に異変が。
    感情の起伏も激しく、物忘れや失敗も多くて
    だんだん笑えなくなってきた。。
    心の中で彼を叱咤激励しながら読む。

    中盤で読み手は犯人がどういう人物だかわかる。
    それになかなか辿り着けない警察の面々に
    早く気づいてー!とまた心の声が叫ぶ。
    今回は仲間の弔い合戦なのだから…
    がんばれ!ヴァランダー!

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    2025年02月14日
  • 湿地

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    ネタバレ

    ※ネタバレ注意

    不可能だったことが可能になることがメリットばかりではないよね、という話。
    アイスランドの歴史や人種特性、キリスト教圏の宗教観が絡み合って、物語が成立している、お国柄を感じる作品。物語の最後に漂う孤絶感が印象的。
    ゲノム解析とミステリーというキーワードで思いだすのが、ソウヤーの「フレームシフト」で、あちらの日本での刊行年が2000年で本作が2015年。15年でぐっと自分の周りに近づいたな、と感じた。

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    2025年01月15日
  • 目くらましの道 下

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    ネタバレ

    うお〜〜
    久しぶりに怒涛の一気読み。
    上巻で犯人が明かされたにもかかわらず、
    最後まで続くこの緊迫感、
    とても読ませる下巻だった。

    子どもが犠牲になる社会、
    どんどん変化し、個人ではどうにもできない世界の動きなどにやりきれなさでいっぱいのヴァランダー。
    これは作者自身の悲痛な声でもあるんだろう。
    そのことが十分に伝わる作品だった。

    細かな部分で言うと、回収されずに終わったあれこれが気になったし(赤いノートの内容、犯人の壮大な殺人計画の結末。結局何がしたかった?)、
    ヴァランダーが毎回けっこう危険な目に遭ってる割に
    自分ちの危機管理が薄く、ハラハラさせられるのが心臓に悪い。

    そしてタイトル

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    2025年01月08日