柳沢由実子のレビュー一覧
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石垣に囲まれた小さな庭の中に建つ、二階建ての建物の半地下に作られたアパートで一人暮らしをしていた老人が頭から血を流し死んでいた
側にはべったりと血糊を付けたガラスの灰皿
汚くて無意味で、足跡や証拠を隠さないこの犯行は典型的で不器用なアイスランドの殺人だと思われた
唯一不可解なのは、死体の横に添えられた3つの単語からなるメッセージ だが意味は分からない
読者が最初にわかるのは
それだけ太字で書かれた「あいつ」の単語のみ
どちらにせよ、現場で全てを見たエーレンデュルとシグルデュル=オーリですら理解しかねているのだから今は大して重大ではないのだろう
......い ま は ね
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【後書き引用 (省略有)】
物語の舞台、レイキャヴィクの街は
端から端まで2時間も歩けば終わってしまう
雨が多く、強風の寒冷地の気候に耐えるべくコンクリートの建物の外壁と屋根に波状のトタン板を貼っている
赤や緑、黄色にピンクと多彩な建物の色が、陰鬱な空の下に映える
こんなおとぎの国のような色合いのこじんまりした街並みに、凄惨な殺人事件など起こるのだろうか(中略)
アイスランド人の話はお天気に始まり、お天気に終わると言われている
一日中天気が変わる。朝に晴れていても傘とレインコートは手放せない。しかしこの国の人は誰も傘をささない
傘をさす習慣がないのか、しょっちゅう変わる天気に備えるのが面倒なのか、それとも晴れてほしいとの願望を日々抱いているのか、太陽への憧れはとても強い
一年にわずかしかない一日中快晴の日には、商店や会社は本日は《快晴につき休業》と張り出して、太陽に顔を向けて外に座っているという
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この舞台となるレイキャビクの背景、事前に知っておきたかったなぁ
言ってしまえば平穏な田舎町で起きた大事件となる のだが
前述した通り 雑な現場は雑な物盗りが起こした雑な事件にしか見えない
だがご安心を
開始早々お亡くなりのご老人 ホルベルクの素性を追っていく内にアハ体験かの如くいつの間にか大の文字が浮かんでいるはずだ
並行して、主人公エーデンデュルとその娘エヴァ=リンドの父娘物語も気になる所
父が娘の名が好きくない理由も...キャラを理解してからだと変に頷けちゃいましたね
ったく不器用さんめ ツンツン
そして今更だが
グロは無いけど皆大好き胸糞は赤保留くらいの期待値で申し分無いかと思われる
女性陣、心してかかろう
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全篇45章、約350ページ
著者のアーナルデュルはアイスランドの伝承文学のサーガ(牛のなめし革に簡潔に書かれたもの 高価なので、小さなメモに最小限に書かなければならならず その結果、短い簡潔な表現となった)に基づき
コンパクト且つ展開の早さを意識して書いているとの事
その言葉通り、睡眠を犠牲にせずともサクサク読み進める事が出来た
ラストは連載打ち切りされたジャンブ漫画を思わせるが、ずっと面白かったから◎ω◎
なんなら
残りのページ数で今の展開ならもう畳み掛けるしか無いよな って嫌でも察せるので
心の準備は脳が勝手に指令出してくれてます
因果応報
北海道と四国を合わせた程度の面積しか持たぬアイスランド
その中の首都レイキャビクは人口14万人(東京都狛江市と同等)という狭い空間で面積は千葉県千葉市程
この環境による特有のシステムと歴史が無ければ
ノルデュルミリ(北の湿地)のグレーサーガ(灰色の物語)は産まれなかっただろう -
Posted by ブクログ
主義主張を通すのは命がけだ。遠いアルジェリアで起こった事件。犯人対イースタ署の刑事たち、住民の活動にも悩むヴァランダー。
スウェーデンは日本より寒い。緯度が高いので当然寒い。冬が早く長いイースタという港町に親しみもわいてきた。
「五番目」と言うのがこじつけでなく意味がある。
始まりは凄惨で、舞台になるスウェーデンから遠くアルジェリアで起こった。4人の尼僧殺し、そしてそこには5番目の女がいた。
それから23年後に連続して起きる殺人犯罪。それは、イースタ警察の刑事たちには思いも及ばないほど、猟奇的で計画的なものだった。
まず、引退しているが自転車販売で財を成した男が自宅裏の濠で竹で串刺しにされて殺される。
続いて花屋の男が姿を消し3週間後に森の中で痩せ衰えて発見される、彼は木に縛り付けられた上で絞殺されていた。
次に、湖で袋にいれられた男が溺れ死んだのが発見された。どれも男性か複数犯だろうと思われ、ヴァランダー刑事は、捜査が混乱した中で、将来の見通しがつかず、手がかりも動機もわからずに苦しんでいた。
秋の初めの9月は、冷たい雨の多い季節だった、連続犯罪に市民の中から自警団を作るものが現れ、過激な行動はマスコミにとっても警察批判の的になり警察内部でも次第に焦りが出てくる。
犯人の女性は、完璧に進んでいく殺人に自信を持っていた。
だが、姿を見られ、少しずつ捜査の手が近づいてくるのを感じ始める。
ヴァランダーという刑事は、あまり格好がよくない。
見かけは2枚目らしいが、捜査方法ではいつもおろおろと悩んでいる。
反面、警官としては鋭い指揮官なのだが、いつも何かしら間違ってはいないか悩み恐怖まで感じている。
和解したばかりの父の死を悔やみ、早く事件が解決して恋人と一戸建ての家にすみ黒い犬を飼いたいと思っている。
事件で疲れた頭を、そんなことを想像することで慰めている。
捜査官としては、周りに信頼され、手がかりにつながるヒントを見つけるのも早いが、内には人間的な弱い部分をいつも引きずっている。
今回も、「目くらましの道」のように最初から殺人の意図と犯人がわかる仕組みになっている。
事件から半年後にこの犯罪が起きている。
イースタ署の警官は、非常に優秀で粘り強い。手ががりを求めて飛行機や電車や車で動き回り、なじみの薄いスェーデンという国を案内してくれる
読み始めは、人の名前か、土地の呼び名かが頭に入らず、名前も苗字のところでとまるようなこともあった。北欧の言葉は難しい。
日本語は三大難解言語だそうだけれど、その中のアラビア語や中国語よりスウェーデン語はやさしいのだろうか、名前だけでもこんなに覚えにくいのに。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ話題の本を読んでみた。北欧の作品だがアイスランドは初めて。ガラスの鍵賞2年連続受賞。 CWAゴールドダガー賞受賞。
いま世界のミステリ読者が最も注目する北欧の巨人ついに日本上陸
この帯を読んで期待して待っていた。久しぶりに完成度の高いミステリが読める。
ストーリーは分かりやすく、読みやすいのだが、悲しいかな舞台が北極圏に近いアイスランド、登場人物の名前が出るたびに、コツンコツンとぶつかり、慣れるまで流れに乗りにくかった。
ついにグーグルアースさんのお世話にもなった。
事件は、湿地帯に建った住宅地の中にある、石造りのアパートで起きた。
半地下にある部屋は湿気と、猛烈な馬屋に似た匂いが充満した居間で、70歳前後の白髪の男が頭から血を流して倒れていた。
レイキャヴィク警察の犯罪捜査官、エーレンデュルとジグルデュル=オーリ、エーリンボルクが男の過去、背後関係を調べ始める。
エーレンデュルは娘と居間に腰を下ろした、殺人事件の捜査と経緯と現状をくわしく話した。頭の整理でもあった。ここ数日間におきたことをはっきり把握するためでもあった。死体の発見、アパートの臭い、意味不明の走り書き、引き出しの奥から発見された写真、パソコンに満載されたポルノ、墓石に刻まれた言葉、コルブルンと姉のエーリン、ウイドルと謎の死因、いつも見る夢、刑務所のエットリデ、グレータルの失踪、マリオン・ブルーム、もうひとつのレイプの可能性、エーリンの家の窓の外に立った男、もしかするとホルベルクの息子かもしれない。エーレンデュルはできる限り論理的にこれらを話した。
異常な臭気から、湿地の上に建つアパートの床を調べ、破壊された下水道のために陥没した穴を見つける。
殺されたホルベルクの港湾労働者仲間、エットリデ、グレータルを追う。エットリデは刑務所にいて、ホルベルクにはコルブルンのレイプだけでなくもう一件レイプ事件があったことを匂わす。
40年前のレイプ被害者を探す。だが女性たちには家庭があり、難航する。
最初のレイプ被害者のコルブルンは警察に届けたが、ホルベルクが、合意だった、誘われた結果だと主張して不起訴になっていた。
もう一人の被害者にたどり着く。そしてその時期に生まれた息子がいるという。
事件はホルベルクの過去とともに意外な展開を見せて終結する。
アイスランドは10月の長雨で、垂れ込めた雲の下で暗い話が続いていく。
小さな島国に暮らす人たちの生活が伺える。
エーレンデュルはこの事件に関わる仕事にたまらなくうんざりして述懐する。
「どうしたらいいのかわからない。もしかすると何もしないほうがいいのかもしれない。なにも手を出さずに、ことが起きるままにさせておくのがいいのかもしれない。全てを忘れて。なにか意味のあることをするのがいいのかもしれない。なぜこんな惨めなことに首を突っ込むんだ?なぜエットリアのような悪党と話をしなければならないんだ。エディのようなごろつきと取引をしたりホルベルクのような人間がどんな楽しみをもっていたかなど知りたくもないのに、レイプの報告書を読んだり、ウジ虫ののたくる肥だめとなった建物の土台を掘り返したり、子どもの墓を掘り返したり、もううんざりだ!」
また
「人はこんなことに影響など受けないと思うものだ、こんなことすべて、なんとなくやりこなすほど自分は強いと思うものだ。年とともに神経も太くなり、悪霊どもをみても自分とは関係ないと距離をもって見ることができると思うのだ。そのようにして正気を保っていると。だが、距離などないんだ。神経が太くなどなりはしない。あらゆる悪事や悲惨なものを見ても影響を受けない人間などいはしない。へどがのどまで詰まるんだ。悪霊にとり憑かれたようになってしまう。一瞬たりともそれは離れてくれない。しまいには悪事と悲惨さが当たり前になって、普通の人間がどんな暮らしをしているのかを忘れてしまうんだ、今度の事件はそういうたちのものだ。しまいにはおれ自身、頭の中を勝手に飛びまわる悪霊のようなものになってしまうんだ」
エーレンデュルは深いため息をついた。
「この話はすべてが広大な北の湿地のようなものだ」
かれは自分の仕事に飲み込まれないようにつぶやく。 暗い悲惨な事件は、こうして彼の人となりも浮き彫りにする。
エンターテインメントとして成功しているが、不明な部分もある。双子の姉妹を襲った迷彩服の男はどうなったのか。結婚式から消えた花嫁は何の意味があるのか。
レイプ犯が集めた容量いっぱいのポルノ映像はいたずらに醜悪感を増すばかりで、殺された男の写真趣味も思わせぶりだ。
話を人間の醜悪さに徹するなら、上記のような独白は警察官の感傷に思える。
ストレートな簡潔なストーリーは面白いし、犯罪原因も目新しい。アイスランドという馴染みが薄い国に少し慣れた。 -
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「霜の降りる前に」はリンダの心境
秋になると霜が降りる。
秋になるとリンダは警察官になる。
“霜が降りる前”のリンダの心の揺れが、先の見えない世の中で生きていく“勇気”を見せてくれる。
親子というのは“ことばが無くてもわかり合える”とよく言われる。でも、余計なことばでキズつけ合うのもまたよくあること。特に父と娘は難しい。
ヴァランダーとリンダ、これまで幾たびキズつけ合ってきたか。
人は嫌なことをたくさん抱えて生きている。
頑固で欠点だらけのよく似た親子だが、信じていることに迷いはない。
宗教団体の集団自殺や私刑は実際にある。
宗教団体によるテロは過去日本でもあった。
“信じる”ということと“盲目”ということは、全く違う。
面白い物語の中に、相変わらずいろいろ考えさせられるシリーズ。
今回、巻末の“訳者解説”は見逃せないから、ぜひ……。 -
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アイスランド発のミステリーということで滅茶苦茶希少価値の高い翻訳ミステリーのシリーズ最新作。そもそもレイキャビク警察のエーレンデュル捜査官のシリーズなのだが、レギュラー刑事が他に二人いて、前作『悪い男』では女性刑事エリンボルクが主役を務め、本書では残る一人の刑事シグルデュル=オーリが主役を務める。
かつてのエド・マクベイン(この作家には生前に会ったことがありますよ)著87分署シリーズを思わせる警察小説シリーズ。
何と言っても人口30万という小さな国アイスランド発のミステリーというところが楽しい上、その内容も充実したシリーズであり、本書でも人間模様とその深みをやっぱりしっかりと味わえました。
できれば最初の『湿地』から順番に読んで欲しいところだけれど、すべて単独作品としても面白いおススメシリーズであります。 -
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北欧ミステリ、面白い!
本当に久しぶりに、シリーズを追いたくなる傑作に出会えました。
先が気になって2日ほどで一気読みだったのですが、早く結末が知りたいような、まだこの豊かな読書をじっくり味わっていたいような、複雑な気持ちでしたね〜。
ブックガイドなどで「北欧ミステリ」の存在は認識していたものの、どうにも暗く重たいイメージがあってなかなか手が出なかったんです。
しかし、そんな私がドハマりしたのが『The Elder Scrolls V: Skyrim』(スカイリム)というゲーム。
おそらく北欧がモチーフであろうこのゲームの世界観に馴染んだことで、ようやく手を伸ばす気になったのでした。
結果、大当たり!!
個人的に、現代ミステリはどうにも暴力的でセンシティブで受け入れがたい作品が多かったのですが、本書は私の好みにどんぴしゃ。
というのも、解説にあった著者インタビューによると、アイスランドには昔の伝承文学のサーガがあり、子牛のなめし革に最小限で書く必要があったため短い簡潔な表現になったとのこと。どうりで読みやすいはずです。
およそ翻訳小説らしくない抑制の効いた文章はすらすらと読みやすく、作中で扱われる事件はなんとも胸が苦しくなる事実ばかりなのに、不思議と気持ちが重たくならない。
それでいて、読んだ後も鮮烈な読書体験として残り続ける……なんとも稀有な一冊です。
主役であるエーレンデュル捜査官もなんとも硬派。
”アイスランド的”警官であり、若手に手を焼きながらも己の信じる正義を決して曲げない、とても頼りになる存在です。
作中ずっと具合が悪そうで(事件解決が最優先で自分のことは二の次なため)、シリーズのどこかでリタイアしてしまうのではと不安でしたが、とりあえず重篤な病気ではなさそうで一安心。
娘であるエヴァとの関係性も始終ひりつくものでしたが、作中で数少ない希望のある終わり方でよかったです。エヴァもまた登場してくれるかしら?
続編も順次翻訳中とのことで、ぜひ次巻以降も読んでみたい。
そしてこれを機に、物怖じしていた「北欧ミステリ」の名著にも、取り組んでいきたいなと思います! -
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アーナルデュル・インドリダソン『悪い男』創元推理文庫。
『エーレンデュル犯罪捜査官犯罪捜査官シリーズ』の第7弾。珍しいアイスランドを舞台にしたミステリー小説。
訳者は岩手県一関市出身の柳沢由実子さん。自分は10年前まで30年間も一関市に暮らしていたので、感慨深いものがある。
主人公のエーレンデュルは行方不明のまま、主人公不在の中、事件は起きる。
冒頭に描かれるレイプドラッグをポケットに忍ばせ、酒場で獲物を物色する男。この男がタイトルの『悪い男』なのかと思いながら読み進めば、意外な展開が待ち受けていた。
と、冒頭から畳み掛けるように読者をストーリーの中に引き摺り込んでしまうアーナルデュル・インドリダソンの力量に感服。
一時、シリーズが劣化したように思ったのだが、前作の『印』から再び盛り返してきたようだ。劣化したなどと言って、すまなかったと思う。
アイスランドの首都レイキャヴィクのアパートの一室で、刃物で喉を切り裂かれた若い男の死体が発見される。男は電気通信会社に勤務する30歳のルノルフル。ルノルフルはレイプドラッグのロヒブノールを所持しており、酒場で獲物の女性を物色し、クスリを飲ませて意識を失わせレイプをしていた常習犯らしいことが判明する。
犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明の中、同僚のエリンボルクは現場に落ちていた一枚のタンドリー・チキンの香辛料の匂いがするスカーフスカーフを頼りに捜査を進める。
果たして、ルノルフルは自宅アパートに連れ込み、レイプした女性に復讐されたのか。
この先、主人公のエーレンデュルは登場はあるのだろうかと心配しながら読み進めると……
本体価格1,360円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
アイスランドを代表するミステリー、エーレンデュル捜査官シリーズの第8弾である
前作に引き続きエーレンデュルは不在で、今作ではエーレンデュルの部下の傲慢野郎シグルデュル=オーリが主役を務めます
第1作からのレギュラーメンバーとの付き合いも長くなりました
懐かしいなぁ…
あの頃はまだ経験不足のくせにやけに自信だけはたっぷりで、見当違いのことばっかり言ってたっけ
そして今回もやけに不遜で、自分の考えだけで突っ走る
こいつぜんぜん成長しねーなーと思っていたのですが…
ちなみにシグルデュル=オーリとは本当に長い付き合いなのですが、実はほとんど彼のことをシグルデュル=オーリと呼んだことがありません
いつも「シングルデュオーリ」って呼んでます
なぜならその方が発音しやすいからw
いやアイスランド人の名前の発音ムズいって、恐らくほんとはカタカナでは表現できないんだよ
あと、主人公のエーレンデュルは「エーレンデュエル」、もうひとりの主要メンバー・エリンボルクは「シンボルク」って呼んでます
その他の人の名前は全く覚えてません
翻訳ものを読むときに名前が読みづらいとか覚えにくいって人にたまに聞かれます「どうしてるの?」って
お答えしましょう!
ちゃんと読んでないし、ちゃんと覚えてません
そんなもんです
はいはい、本編ね
相変わらずの重〜いテーマです
人間の果てのない欲望と止まらない暴力についてです
そして傲慢野郎は傲慢野郎なりに「警察官」だったということでした
彼もまた『黒い空』の下、絶望に飲み込まれそうになりながら、必死に「青い空」を手繰り寄せようとする「警察官」だったのです
頑張れ!闘う「警察官」たち! -
Posted by ブクログ
★5 恐喝から発展、重なり合う凶悪事件… 背後にあるのは、欲望の黒い空と少年の叫び #黒い空
■あらすじ
アイスランドの犯罪捜査官、シグルデュル=オーリは友人から相談を受けていた。妻の姉夫婦が猥褻な写真をとられ、恐喝にあっているというのだ。彼は恐喝者である女性に話をつけに家に行くが、なんと女性が血を流して倒れていて…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 北欧ミステリーの雄、エーレンデュル捜査官シリーズの最新作。
とはいえ本作ではエーレンデュル捜査官は休暇中のため登場せず、シグルデュル=オーリ捜査官が視点人物になります。これまでのシリーズ作を読んでなくても楽しめますのでご安心を、前作までのネタバレもありません(ちなみに私も未読です)。
まず声を大にして言いたいのは、主人公のシグルデュル=オーリの人間性ですよ。ヤな奴! でも愛おしすぎる!
警察官であるにも関わらず、自分の思うような行動をし続けるという剛腕&破天荒っぷり。周囲に気が利かず、常に自分の価値観が正しいと思い込んでる昭和のおっさんですよ。そりゃ仕事仲間からも嫌われるし、元妻からも嫌われるっつーの。
でもね、こんなオヤジでも言い放つセリフは筋がとおってるんです(同意できるかは別として)。正論を吐かないよりは、吐くほうが絶対いいと思うんですよね。時折、反省する様子も可愛いですし、私は結構好きです。まぁ友達にはなりたくないけど。
そしてヨーロッパの警察小説ってシブくていいのよ。次々と場面展開するようなエンタメ性は少な目だけど、じっくりと捜査をして、事件を読み解いていく感じがたまらなくイイ。
本作は恐喝から発展した殺人、マネーロンダリング、児童虐待と3つの事件が重なり合って展開していく。人間性は微妙でも、捜査官としての経験はあるシグルデュル=オーリの捜査は粘り強かったですね。
不真面目でいい加減な性格の私だったら、とてもじゃないけど彼みたいに根気強く行動できないと思った。やるじゃん、シグルデュル=オーリ! ちょっとカッコイイかも。
後半、事件の全体像が見えてきたあたりからはもう完全に夢中ですよ。そして終盤、思わず目が開かれるような真相が… いやー読み応えがありました。
前作もそうでしたが、人間の欲望って何故こんなにも尽きないんでしょうか。幸せの分量を人から奪っても、その分だけ自分の幸せに追加されることはないと思うんだけどなー。本作ではその強欲っぷりを見事に描いていて、どれだけ人が人でなくなるか悲しいほどよくわかるのです。
今回も読み応えたっぷりのミステリー、次回作も期待しています!
■ぜっさん推しポイント
この小説を読んでいて一番心臓に突き刺さったテーマ。それは児童虐待がもたらす不幸。この行為がどれほど罪なことかよくわかるし、社会福祉や保護施設の重要性も納得できてしまう。
本作では被害者の痛切な叫びが描かれるのですが、彼の行動や価値や判断基準を見てると、どこまでもどこまでも泣けてくる。人ひとりの人生をまるごと狂わせてしまうんです。
親になったら子どもを大切にするのは当たり前。でもまずそれ以前に、自分自身がまっすぐ生きることが大前提なんすよね。だって影響与えてしまうのは子どもなんだもの。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一人の女性とその家族が暴力に苦しめられた一生と犯罪に至る様子を描いていた。
あぁ、読後がなんとというか。
苦しい。
「ドメスティックバイオレンス」はどうしたら解決できるのか。周りや警察に助けられて、はい終わり。とはならないのだなとこの本で再認識。
「被害者が犯罪者より悪人であることもある」という作者の言葉(あとがき)がとても印象的だった。
この世からなくなることのない問題。トマスが同じような人生を送ってしまったことや、シモンの一生が父親の影響で180度変わってしまったこと。それが悔しいし、切ない。
非常に考えさせられる一冊であった。 -
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刑事クルト・ヴァランダー終幕の物語である
ここではスウェーデンの田舎町の刑事の、この長いシリーズが、なぜこれほどまでに人を惹きつけるのか考えてみたい
それはひとえに主人公であるクルト・ヴァランダーがいついかなるときも『苦悩する男』だったからではないだろうか
クルト・ヴァランダーは非常に欠点の多い男だった
とりわけ彼を象徴するのは、その怒りっぽい短気な性分であったと思う
ただし、その怒りが向けられる先は、ほとんどの場合、人々の生活を脅かす者たちであり、その存在を許す社会であり、世界であり、自分自身だったのではなかったか
時に全身で怒り、時に自らの無力を嘆き、時に見えない不安に迷う彼が、決してしなかったこと
それは「逃げる」ことではなかったか
全ての不条理に正面から向き合い、闘い続けたからこそ、彼は『苦悩する男』だったのではなかったか
今、彼は記憶の彼方に消えようとしているが、彼が私たちに残したものはなんだったのか
それは、「苦悩せよ」ということではないだろうか
世界に、社会に、隣人に、暴力に、欺瞞に、差別に、裏切りに、家族に、自分自身に、そして人生に正面から向き合い、逃げずに「苦悩する」のだ
クルト・ヴァランダーのように -
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いよいよ刑事ヴァランダーシリーズ最終決戦である
このあと中編を含む副読本的な巻があるにはあるがそうなのだ
何だよ最終決戦て
ヴァランダーも59歳
デンマークの警察官の定年ていくつなんだろう?
いや今それはいいだろ!っていうのを考えながら読み進む
それにしても北欧感がすごい
仕上げてきたなー、ヘニング・マンケル最終決戦に向けて仕上げてきたなーという感じだ
有馬記念だ
今ある北欧ミステリーって結局マンケルの模倣なんじゃないか?と思えるほどの北欧感
そしてヴァランダーは警察官なのでコツコツ積み上げていく捜査がもちろんメインストリームなんだが、ひらめき型の名探偵でもあるのよ
そしてひらめき型の名探偵では珍しくひらめいたことを読者に隠さないのよ
今の言葉なんか引っかかる!みたいな
中学の先生が黒板に書いた字にアンダーラインを引いてチョークで黒板叩くみたいなね
言葉には出さないけど、これ中間テストに出すよっていう示唆ね
チョークで叩いた瞬間みんなノートを書き出すあの感じ
ヴァランダーの物語はあの感じがよくあるのよ(誰もが共感できると思うなよ)
重く苦しい北欧感全開で下巻へ! -
Posted by ブクログ
ここに来て刑事クルト・ヴァランダーの若かりし頃を描いた中短編集
20代、30代、40代のヴァランダーが躍動します
もうシリーズも終わりなのに!
もっとヴァランダーが好きになってしまったではないか!
別れが辛くなるじゃないか!
とにかく欠点が多い
それがヴァランダー
特に惚れっぽい上に未練たらしいところが素晴らしいw
めちゃくそ短気なので友達にはしたくないが、好きにならずにいられない
娘のリンダが大好き過ぎるのに表に出さないように努めるところが、かわいい
普段事件のことばっかり考えているのでほぼ不眠症だが、娘が泊まりに来た時だけ熟睡できる
なんか分かる
父親とは喧嘩ばかりだが、なんかあるとすぐ会いに行く
人間味が溢れまくっている
それにしても今は給湯器から決まった分量だけ出るのでお湯張りに失敗がなく便利な世の中になったものだ
わいが小さい頃は水道から出して水が張ったところで止めなければいけないのでよく溢れさせていたものよ
ほんとに便利
いや、そんなことはない
この間も栓を抜いたままお湯張りをしてしまいめちゃくそ怒られたんだっけ
って違う!今そういう話をしてたんじゃなかった
ヴァランダーだ!
人間味の話だ!お風呂の話じゃない
最終中編で表題作『ピラミッド』はシリーズ最初の『殺人者の顔』直前の話で、大好きなリードベリも出てくる
リードベリはヴァランダーの師匠的存在の刑事で、シリーズ始まってすぐに亡くなってしまうのよね
大好きな登場人物でかっこ渋い姿が見れて嬉しかった
よし、お風呂入ろう