柳沢由実子のレビュー一覧

  • 霜の降りる前に 下

    Posted by ブクログ

    クルト・ヴァランダーの娘リンダが主人公。警察官になる直前の事件を父と共に追いかける。今までのシリーズで時々出てくる娘リンダは、いつも情緒が不安定でフラフラしているイメージしかなかったが警察官になるとはびっくり。彼女の両親に対する、愛情や軽蔑がない混ぜになった感情がリアルで、意外と似たもの同士である父娘のやり取りにくすっと笑えてしまう。娘の容赦のない父の描写が特に面白く、クルト・ヴァランダーという人間の輪郭が際立ち、やはり彼はヒーローになりきれないなあと感じる。そこが良いのだが。
    そうそう事件はカルト宗教がらみになるが、いつもな感じで面白かった。作者が亡くなってしまったので、ヴァランダーシリーズも終わってしまうのが悲しく、長らく積読状態だったが、すでに7年経っていた。今年こそ読んでしまおうと思った。

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    2023年04月28日
  • 笑う男

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    もうミステリーじゃないですね

    じゃあなんなのよ?って聞かれるとだいぶ困るんですが

    正直事件の方はもうほぼサイドストーリーなんじゃないかと思うほど力入ってない気がします
    割とどうでもいいっていうか

    今回はヴァランダー再生の旅です
    警官であるということ、イコールヴァランダーにとって生きるということはどういうことなのかをひたすらに自分に問いかけ続けます
    そしてヴァランダーはデンマーク社会を映す鏡でもあるようです

    ひたすらに自分の内にある怖れや苦悩や喜びさまざまなものと向き合い続ける500ページでした

    読み終わって思ったこと
    ヴァランダー頑張れ!
    俺も頑張る!

    0
    2023年04月09日
  • 殺人者の顔

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    オリジナルのタイトル”Mördare Utan Ansikte”、どういう意味なんだろうと思って辞書を引いたところ、顔のない殺人者、という意味だった。
    犯人はいて勿論『顔』がある。けれど、犯人をそうするように駆り立てたものーー国の制度、仕組み、移民問題ーーもある意味では『犯人(原因)』で、それには『顔』がない。……よな、とか考えたりした。

    国が抱えている問題を軸にして展開される重厚な物語。読み終えた時の(いい意味での)疲労感。
    ヴァランダーのシリーズをもっと読みたくなった。

    しかし、クルト・ヴァランダー、プライベートがとことん行き詰まっているし、ひどい怪我をするし、急いでご飯食べたりして結構お腹こわしてるし……大丈夫か!?と心配になった。これで職場の人間関係がギスギスしてたら(辛すぎてとても読み進められなかった)……そうじゃなくてよかった。

    父親の問題のくだり、それについて姉と話している場面はとても苦しくなってしまった。

    0
    2023年03月08日
  • 緑衣の女

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    ミステリーですが、驚きの結末! 的なミステリーではありません。暗く陰鬱な雰囲気が全編を覆っています。しかし先が気になって読んでしまう。上手いと思った。しかし。DVには反吐しかでないね。皆死刑でいいと思う。

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    2023年02月25日
  • イタリアン・シューズ

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    ヘニング・マンケルのミステリーではない小説ということで、半信半疑で読み出したのだが、とても読み応えがあった。
    主人公は冒頭はただの我儘な初老の男性とも言えるし、登場人物は全員素敵という訳ではないのだが、読み進めると全員が愛おしく思えてくる。
    シンプルな語り口ながら、伝わるものがあるのはさすがヘニング・マンケルだと思った。

    0
    2023年02月02日
  • リガの犬たち

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『リガの犬たち(原題:Hundarna i Riga)』を読みました。

    「ヘニング・マンケル」作品は、今年の3月に読んだ『北京から来た男』以来ですね… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    【CWAゴールドダガー受賞シリーズ】
    スウェーデン南部の海岸に、一艘のゴムボートが流れ着いた。
    その中には、高級なスーツを身につけた二人の男の射殺死体が抱き合うように横たわっていた。
    彼らはいったい何者なのか?どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが…。
    小さな田舎町の刑事「ヴァランダー」は、この国境を超えた事件に思いもよらぬ形で深入りすることになるのだった!
    注目のシリーズ第二弾。
    -----------------------

    警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第2作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』、第5作の『目くらましの道』、第7作の『背後の足音』に続き、本シリーズを読むのは6作目です、、、

    刊行順に読めてませんが… 古書店で探しながら読んでいるので仕方ないですね。


    1991年(平成3年)2月12日、イースタ警察署に「間もなく2人の死体を乗せた救命ボートが漂着する。」という匿名の電話が掛かってきた… 翌日、電話の通りに救命ボートがモスビー・ストランドで発見された、、、

    乗っていた死体を検分すると靴もネクタイもスーツは高価な物ばかりで、身体には銃創と拷問された痕跡があり、胸を銃で撃ち抜かれていた… 歯科治療の痕から東欧出身者だと推定され、救命ボートの特徴からもそれが東欧製であることが判明した。

    外務省(Utrikesdepartementet)を通じ各国に問い合わせるとラトビアから死体の身元に関する情報が送られて来るとともに現地から捜査官が派遣されて来ることとなった… ラトビアからやって来た「カリウス・リエパ中佐」によると殺された2人はマフィアの仲間でラトビアでの逮捕歴があるということであった、、、

    ヘヴィースモーカーの「リエパ中佐」に辟易しながらも、「クルト・ヴァランダー」は小柄でひどい近眼の「リエパ中佐」の熱心な働きぶりと鋭い洞察力に敬服する… イースタ警察署に保管してあった証拠物件の救命ボートが盗まれるという事件も発生したが、1週間の滞在後「リエパ中佐」が遺体を引き取って帰国すると共に捜査は全てラトビア側に引き継がれ、スウェーデン側にとっては一件落着に思われたのだが、実はこれは氷山の一角に過ぎなかった。

    「リエパ中佐」が帰国した翌日、イースタ警察署に「リエパ中佐」が何者かに殺害された旨を報じるテレックスが送られてきた… ラトビア警察からの捜査協力要請を受けて「ヴァランダー」は初めてバルト海をわたりラトビアの首都リガに飛ぶ、、、

    そこで「ヴァランダー」が垣間見たのはかつての社会主義大国ソヴィエト連邦が崩壊する瀬戸際で起きた、ソ連支配下の国における独立運動とそれを阻もうとする勢力との壮絶な闘いだった… 全てが軍によって、あるいはソ連に通じる人脈によって掌握されている社会で、自由を求める代償は、生命の危機である。

    地下で果敢に闘う人々、その動きを抑え込もうとする勢力、その中で裏切りや密告を警戒し、疑心暗鬼になって暮らす人々の姿が見える… また同じ人々が命懸けの信頼、同士愛、愛国心をもって独立運動を進める姿も見える、、、

    そのような人々の極限の姿が、それまで国家や政治にはあまり関心がなかった「ヴァランダー」の心を揺さぶる… 理想に燃え自由を求めて一介の田舎警察官にすぎない自分を信頼して、助けを求めるラトビアの人々をシニカルに見つめ、巻き込まれないとする「ヴァランダー」だが、しだいに自由と独立という大義のために闘う人々を信じるようになる。

    連絡係の女「イナセ」が襲撃で殺されたり、「リエパ中佐」の同士で「ヴァランダー」にこの国の事情を話してくれた「ウピティス」が逮捕されたり、ホテルの売店で働く女「ヴィラ」が危険を冒して自宅にかくまってくれたり、「リエパ中佐」の妻「バイバ・リエパ」と交流したり、という個人的体験をすることで、「ヴァランダー」はこの国の人々の置かれた状況を理解し、非合法なカタチで真相究明に協力することに… 「リエパ中佐」の上司である「ヤゼプス・プトニス大佐」や「ユリス・ムルニエース大佐」、その部下「スィズ軍曹」等のうちの誰かが黒幕と睨んだ「ヴァランダー」は、「リエパ中佐」が遺した証拠を入手するためにラトビア警察に侵入し、事件の真相に迫る。、、、

    終盤は、緊張感の続く、スパイ映画さながらのサスペンスフルな冒険活劇となっていて愉しめましたね… 旧社会主義国家であるバルト諸国の闇を見事に描いた快作でした。

    やっと、「ヴァランダー」と「バイバ・リエパ」の出会いを知ることができました… やっぱ、できれば順番に読みたいですね。



    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署の刑事

    「リードベリ」
     故人。クルトの元同僚

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「カール・エヴァート・スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「ハンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「ビュルク」
     イースタ警察署の警察署長

    「ムルト」
     検死医

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「アネッテ・ブロリン」
     イースタ警察署鑑識課の刑事

    「クルト・ヴァランダーの父」
     画家

    「ビルギッタ・ツーン」
     外務省の役人

    「スツーレ・ルンルンド」
     本部から来た刑事

    「バッティル・ロヴェーン」
     本部から来た刑事

    「カルリス・リエバ中佐」
     ラトビア警察の中佐(リガの犯罪捜査官)

    「ヤゼプス・プトニス大佐」
     ラトビア警察の大佐でリエパ中佐の上司

    「ユリス・ムルニエース大佐」
     ラトビア警察の大佐でリエパ中佐の上司

    「スィズ軍曹」
     大佐たちの部下

    「バイバ・リエパ」
     カルリスの妻

    「イネセ」
     バイバの仲間

    「ウピティス」
     バイバの仲間

    「スツーレ」
     クルトの別れた妻

    「リンダ・ヴァランダー」
     クルトの娘

    0
    2023年01月16日
  • 背後の足音 下

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『背後の足音(原題:Steget efter)』を読みました。

    『目くらましの道』に続き「ヘニング・マンケル」作品です… 読み始めると北欧ミステリは続いちゃいますね。

    -----story-------------
    〈上〉
    夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
    十八世紀の服装、料理、ワイン。
    彼らをうかがう目があるとも知らず……。
    イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
    捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。
    几帳面なはずの人物がなぜ? 
    不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景が。
    シリーズ第七弾。

    〈下〉
    長年一緒に仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。
    そのあまりに無惨な姿に、イースタ署の面々は言葉を失った。
    どうやら彼は、例の若者たちが失踪した事件をたった一人で調べていたらしい。
    二つの事件は同一犯の仕業なのか。
    調べ進むうちに明らかになる、殺された刑事の隠された素顔。
    自分はいったい彼の何を知っていたのか。
    「ヴァランダー」ら捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が……。
    現代社会の病巣をえぐる北欧の巨匠の傑作。
    訳者あとがき=「柳沢由実子」/解説=「小山正」

    *第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/総合部門
    *第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/翻訳家&評論家部門
    *第3位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/読者部門
    *第4位『このミステリーがすごい!2012年版』海外編
    *第4位『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
    *第6位〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
    -----------------------

    警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第7作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』、第5作の『目くらましの道』に続き、本シリーズを読むのは4作目です、、、

    本シリーズ、新しい作品が出る度に長くなる傾向があるようで、本作品は上下巻で850ページを超える大作になっています… 読み応えありましたね。


    夏至前夜、三人の若者が自然保護地区の公園でパーティを開いていた、、、

    十八世紀の服装、音楽、美味しい料理、ワイン… 物陰から彼らをうかがう目があるとも知らず。

    その三人の若者のうちの一人「アストリッド・ヒルストルム」の母親「エヴァ・ヒルストルム」から、イースタ警察署に娘を捜してくれという訴えがあった。

    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ… 旅先から絵はがきが届いてはいるのだが、筆跡が偽物らしいというのだ、、、

    母親の熱意に動かされた「ヴァランダー」は捜査会議を招集したが、同僚の刑事のひとり「カール・エヴァート・スヴェードベリ」が無断で欠席した… 電話をしても応えるのは留守番電話ばかりで、いっこうに連絡がとれない。

    几帳面で遅刻などしたことのない「スヴェードベリ」が、なぜ? 不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景がひろがっていた… 長年一緒に仕事をしてきた「スヴェードベリ」はライフル銃で頭を撃たれ殺されていた、、、

    そのあまりに無惨な殺人現場に、イースタ署の面々は言葉を失う… どうやら「スヴェードベリ」は休暇まで使って、例の若者たちが失踪した事件を一人で調べていたらしい。

    二つの事件は同一犯の仕業なのか? 調べ進むうちに、次第に明らかになる、「スヴェードベリ」の隠された素顔… 自分はいったい彼の何を知っていたというのだろう、、、

    そして、自然保護地区の公園で三人の遺体が発見される… 三人とも銃で頭を撃たれており、しかも、遺体は一度どこかに持ち去られたあと、再度、殺された場所に置かれていた。

    捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が… 三人の若者とのパーティーに参加する予定だったが、体調を崩して参加できなかった「イーサ・エーデングレン」が銃で撃たれて殺され、さらに結婚式を挙げた直後に記念撮影をしていた「トルビューン・ヴェルネル」と「マーリン・スカンデール」の新婚夫婦とカメラマンの「ロルフ・ハーグ」が銃で撃たれて殺される、、、

    次に狙われるのは誰か? そして、「ヴァランダー」にも魔の手が迫る… 糖尿病からくる身体の不調(本人は同僚たちにちょっと血糖値が高いだけ… と言って、糖尿病とは言いませんが)と闘いながら、「ヴァランダー」は同僚たちの協力を得ながら、事件の真相に迫る。

    相変わらずですが… 現代社会の病巣を見事に描いた快作でしたね、、、

    第6作の『五番目の女』を飛ばして読んだので、いつのまにか「ヴァランダー」の父親は亡くなり、「ヴァランダー」と「バイバ・リエパ」との関係も終わってしまったみたいです… やっぱ、順番に読むべきだったかなぁ。




    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署の刑事

    「アン=ブリッド・フーグルンド」
     イースタ警察署の刑事

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「カール・エヴァート・スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「ハンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェン・ニーベリ」
     イースタ警察署鑑識課の刑事

    「リーサ・ホルゲソン」
     イースタ警察署の警察署長

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「ツーンベリ」
     代理の検事

    「クルト・ヴァランダーの父」
     画家

    「イェートルード」
     その妻

    「モナ」
     クルトの別れた妻

    「リンダ・ヴァランダー」
     クルトの娘

    「バイバ・リエパ」
     リガに住む未亡人

    「ステン・ヴィデーン」
     クルトの友人

    「イルヴァ・ブリンク」
     スヴェードベリのいとこ、助産師

    「スツーレ・ビュルクンド」
     スヴェードベリのいとこ、大学教授

    「ルイース」
     スヴェードベリの恋人?

    「ブロー・スンデリウス」
     元銀行理事

    「アストリッド・ヒルストルム」
     行方不明の若者

    「マーティン・ボイエ」
     行方不明の若者

    「レーナ・ノルマン」
     行方不明の若者

    「イーサ・エーデングレン」
     アストリッド、マーティン、レーナの友人

    「エヴァ・ヒルストルム」
     アストリッドの母

    「エリック・ルンドベリ」
     イーサの隣人

    「バルブロ」
     ルンドベリの妻

    「レナート・ヴェスティン」
     群島の郵便配達人

    「スティーグ・ストリズ」
     スヴェードベリを訴えた男

    「ニルス(ニッセ)」
     スティーグの弟、故人

    「ルート・ルンディ」
     ニルスの内妻

    「トルビューン・ヴェルネル」
     新郎

    「マーリン・スカンデール」
     新婦

    「ロルフ・ハーグ」
     カメラマン

    「マリア・ヨルトベリ」
     ロルフのアシスタント

    「ロネ・シェール」
     コペンハーゲン警察の刑事

    「シェル・アルビンソン」
     郵便物の集配責任者

    「オーケ・ラースタム」
     郵便配達人

    0
    2022年12月19日
  • 背後の足音 上

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『背後の足音(原題:Steget efter)』を読みました。

    『目くらましの道』に続き「ヘニング・マンケル」作品です… 読み始めると北欧ミステリは続いちゃいますね。

    -----story-------------
    〈上〉
    夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
    十八世紀の服装、料理、ワイン。
    彼らをうかがう目があるとも知らず……。
    イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
    捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。
    几帳面なはずの人物がなぜ? 
    不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景が。
    シリーズ第七弾。

    〈下〉
    長年一緒に仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。
    そのあまりに無惨な姿に、イースタ署の面々は言葉を失った。
    どうやら彼は、例の若者たちが失踪した事件をたった一人で調べていたらしい。
    二つの事件は同一犯の仕業なのか。
    調べ進むうちに明らかになる、殺された刑事の隠された素顔。
    自分はいったい彼の何を知っていたのか。
    「ヴァランダー」ら捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が……。
    現代社会の病巣をえぐる北欧の巨匠の傑作。
    訳者あとがき=「柳沢由実子」/解説=「小山正」

    *第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/総合部門
    *第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/翻訳家&評論家部門
    *第3位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/読者部門
    *第4位『このミステリーがすごい!2012年版』海外編
    *第4位『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
    *第6位〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
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    警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第7作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』、第5作の『目くらましの道』に続き、本シリーズを読むのは4作目です、、、

    本シリーズ、新しい作品が出る度に長くなる傾向があるようで、本作品は上下巻で850ページを超える大作になっています… 読み応えありましたね。


    夏至前夜、三人の若者が自然保護地区の公園でパーティを開いていた、、、

    十八世紀の服装、音楽、美味しい料理、ワイン… 物陰から彼らをうかがう目があるとも知らず。

    その三人の若者のうちの一人「アストリッド・ヒルストルム」の母親「エヴァ・ヒルストルム」から、イースタ警察署に娘を捜してくれという訴えがあった。

    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ… 旅先から絵はがきが届いてはいるのだが、筆跡が偽物らしいというのだ、、、

    母親の熱意に動かされた「ヴァランダー」は捜査会議を招集したが、同僚の刑事のひとり「カール・エヴァート・スヴェードベリ」が無断で欠席した… 電話をしても応えるのは留守番電話ばかりで、いっこうに連絡がとれない。

    几帳面で遅刻などしたことのない「スヴェードベリ」が、なぜ? 不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景がひろがっていた… 長年一緒に仕事をしてきた「スヴェードベリ」はライフル銃で頭を撃たれ殺されていた、、、

    そのあまりに無惨な殺人現場に、イースタ署の面々は言葉を失う… どうやら「スヴェードベリ」は休暇まで使って、例の若者たちが失踪した事件を一人で調べていたらしい。

    二つの事件は同一犯の仕業なのか? 調べ進むうちに、次第に明らかになる、「スヴェードベリ」の隠された素顔… 自分はいったい彼の何を知っていたというのだろう、、、

    そして、自然保護地区の公園で三人の遺体が発見される… 三人とも銃で頭を撃たれており、しかも、遺体は一度どこかに持ち去られたあと、再度、殺された場所に置かれていた。

    捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が… 三人の若者とのパーティーに参加する予定だったが、体調を崩して参加できなかった「イーサ・エーデングレン」が銃で撃たれて殺され、さらに結婚式を挙げた直後に記念撮影をしていた「トルビューン・ヴェルネル」と「マーリン・スカンデール」の新婚夫婦とカメラマンの「ロルフ・ハーグ」が銃で撃たれて殺される、、、

    次に狙われるのは誰か? そして、「ヴァランダー」にも魔の手が迫る… 糖尿病からくる身体の不調(本人は同僚たちにちょっと血糖値が高いだけ… と言って、糖尿病とは言いませんが)と闘いながら、「ヴァランダー」は同僚たちの協力を得ながら、事件の真相に迫る。

    相変わらずですが… 現代社会の病巣を見事に描いた快作でしたね、、、

    第6作の『五番目の女』を飛ばして読んだので、いつのまにか「ヴァランダー」の父親は亡くなり、「ヴァランダー」と「バイバ・リエパ」との関係も終わってしまったみたいです… やっぱ、順番に読むべきだったかなぁ。




    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署の刑事

    「アン=ブリッド・フーグルンド」
     イースタ警察署の刑事

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「カール・エヴァート・スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「ハンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェン・ニーベリ」
     イースタ警察署鑑識課の刑事

    「リーサ・ホルゲソン」
     イースタ警察署の警察署長

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「ツーンベリ」
     代理の検事

    「クルト・ヴァランダーの父」
     画家

    「イェートルード」
     その妻

    「モナ」
     クルトの別れた妻

    「リンダ・ヴァランダー」
     クルトの娘

    「バイバ・リエパ」
     リガに住む未亡人

    「ステン・ヴィデーン」
     クルトの友人

    「イルヴァ・ブリンク」
     スヴェードベリのいとこ、助産師

    「スツーレ・ビュルクンド」
     スヴェードベリのいとこ、大学教授

    「ルイース」
     スヴェードベリの恋人?

    「ブロー・スンデリウス」
     元銀行理事

    「アストリッド・ヒルストルム」
     行方不明の若者

    「マーティン・ボイエ」
     行方不明の若者

    「レーナ・ノルマン」
     行方不明の若者

    「イーサ・エーデングレン」
     アストリッド、マーティン、レーナの友人

    「エヴァ・ヒルストルム」
     アストリッドの母

    「エリック・ルンドベリ」
     イーサの隣人

    「バルブロ」
     ルンドベリの妻

    「レナート・ヴェスティン」
     群島の郵便配達人

    「スティーグ・ストリズ」
     スヴェードベリを訴えた男

    「ニルス(ニッセ)」
     スティーグの弟、故人

    「ルート・ルンディ」
     ニルスの内妻

    「トルビューン・ヴェルネル」
     新郎

    「マーリン・スカンデール」
     新婦

    「ロルフ・ハーグ」
     カメラマン

    「マリア・ヨルトベリ」
     ロルフのアシスタント

    「ロネ・シェール」
     コペンハーゲン警察の刑事

    「シェル・アルビンソン」
     郵便物の集配責任者

    「オーケ・ラースタム」
     郵便配達人

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    2022年12月19日
  • 目くらましの道 下

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『目くらましの道(原題:Villospar)』を読みました。

    「ヘニング・マンケル」作品は先月読んだ『笑う男』以来です… 約1か月振りの北欧ミステリですね。

    -----story-------------
    〈上〉
    【CWAゴールドダガー賞受賞】
    夏の休暇を楽しみに待つ、イースタ署の「ヴァランダー警部」。
    そんな平和な夏のはじまりは、一本の電話でひっくり返された。
    呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。
    目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。
    殺されたのは元法務大臣。
    背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。
    そして事件はこれだけでは終わらなかった。
    CWA賞受賞、スウェーデン警察小説の金字塔。

    〈下〉
    【CWAゴールドダガー賞受賞】
    斧で殺害し、頭皮の一部をはぐという凄惨な殺人。
    犯人は次々と犠牲者を増やしていった。
    元法務大臣、美術商、そして盗品の売人。
    殺害方法は次第にエスカレートし、三人目は生きているうちに両目を塩酸で焼かれていた。
    犠牲者に共通するものは? 
    なぜ三人目は目を潰されたのか? 
    常軌を逸した連続殺人に「ヴァランダー」らの捜査は難航する。
    そして四人目の犠牲者が……。
    犯人の目的は? 
    現代社会の病巣を鋭くえぐる傑作シリーズ第5弾。
    解説=「杉江松恋」

    *第1位「第1回PLAYBOYミステリー大賞」海外部門(『PLAYBOY日本版』2008年1月号)
    *第6位『ミステリが読みたい!2008年版』/海外部門
    *第6位CSミステリチャンネル「闘うベストテン2007」/海外部門
    *第9位『このミステリーがすごい!2008年版』/海外編
    -----------------------

    警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第5作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』に続き、本シリーズを読むのは3作目です、、、

    『笑う男』の翌年、1994年のイースタが舞台です。

     ■ドミニカ共和国 一九七八年
     ■スコーネ 一九九四年六月二十一日から二十四日
     ■スコーネ 一九九四年六月二十五日から二十八日
     ■スコーネ 一九九四年六月二十九日から七月四日
     ■スコーネ 一九九四年七月五日から八日
     ■スコーネ 一九九四年九月十六日から十七日
     ■解説 杉江松恋


    1994年6月、「クルト・ヴァランダー」は夏の休暇を楽しみにしていた… 交際中のリガの未亡人「バイバ」と旅行に行くのだ、、、

    そんな平和な夏のはじまりは一本の電話でひっくり返された… 農夫から「自分の菜の花畑に不審な女性が入り込んでいる」という通報が入ったが、パトロール警官がすべて出払っていたために、「ヴァランダー」が現場に向かったところ、なにかに怯えている様子の少女が菜の花畑に立っていた。

    その少女は「ヴァランダー」が止める間もなく、灯油をかぶり自らに火をつけて焼身自殺を遂げてしまう… 身元も自殺の理由も不明だった、、、

    そして目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように事件発生の通報が入る… 今度は海岸でイースタで隠遁生活をおくっている元外務大臣の「グスタフ・ヴェッテルステッド」と思われる男性の他殺死体が発見されたとの通報があった… 「ヴァランダー」らが現場に赴くと、「ヴェッテルステッド」は、背中を斧で割られており、頭皮を剥がされていた。

    あまりに凄惨な殺害方法に、「ヴァランダー」らイースタ署の面々に戦慄がはしる… そして、夏至祭の前夜に、自宅でパーティを催していた画商の「アルネ・カールマン」が、自宅の庭園で頭部を斧で割られ殺害されているのが発見され、「カールマン」も「ヴェッテルステッド」と同様に頭皮が剥がされていた、、、

    さらに盗品の売人「ビュルン・フレードマン」が同様の方法で殺害された… しかも犯行は次第にエスカレートし、「フレードマン」は生きているうちに両目を塩酸で焼かれていた。

    三人の犠牲者の接点と共通するものは? そしてなぜ三人目だけが目を潰されたのか? 犯人の目的は何なのか? そして四人目の犠牲者が、、、

    ペーパーカンパニーで財を成した公認会計士の「オーケ・リリエグレン」が同様な方法で殺害された… 今度は頭部をオーブンに突っ込まれ焼かれていた。

    常軌を逸した連続殺人に「ヴァランダー」等の捜査は難航する… そして、「ヴァランダー」と娘「リンダ」にも魔の手が迫る、、、

    読者には、早めに犯人が示され、動機についても想像できちゃうので… 「ヴァランダー」が仲間たちの協力を得ながら、直感と行動力を武器に真相を解き明かす展開を愉む作品でしたね。

    現代社会の病巣を鋭く抉る作品でした… でも、「ヴァランダー」の私生活は相変わらず順風満帆とは言えない状況ですね、、、

    認知症を発症した父親とのイタリア旅行、恋人「バイバ・リエパ」との関係… こちらの展開は、次作以降で確認していきたいと思います。




    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署警部

    「アン=ブリッド・フーグルンド」
     イースタ警察署の刑事

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェン・ニーベリ」
     イースタ警察署鑑識課の刑事

    「ビュルク」
     イースタ警察署の警察署長

    「ハンソン」
     イースタ警察署の警察署長代理

    「リーサ・ホルゲソン」
     イースタ警察署の新警察署長

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「ペール・オーケソン」
     検事

    「マッツ・エクホルム」
     心理学者

    「ステン・フォースフェルト」
     マルメ警察署の刑事

    「スツーレ・ビリエールソン」
     ヘルシングボリ警察署の警視

    「ヴァルデマール・シューステン」
     ヘルシングボリ警察署の刑事

    「ルドヴィグソン」
     本庁から来た刑事

    「ハムレーン」
     本庁から来た刑事

    「クルト・ヴァランダーの父」
     画家

    「イェートルード」
     その新しい妻

    「リンダ・ヴァランダー」
     クルトの娘

    「バイバ・リエパ」
     リガに住む未亡人

    「グスタフ・ヴェッテルステッド」
     元法務大臣

    「サラ・ビュルクルンド」
     ヴェッテルステッド邸の清掃人

    「ラーシュ・マグヌソン」
     元ジャーナリスト

    「アルネ・カールマン」
     画商

    「アニタ・カールマン」
     アルネの妻

    「エリカ・カールマン」
     アルネの娘

    「ビュルン・フレードマン」
     盗品売人

    「アネット・フレードマン」
     ビュルンの妻

    「ルイース・フレードマン」
     ビュルンの娘

    「ステファン・フレードマン」
     ビュルンの14歳の息子

    「イェンス・フレードマン」
     ビュルンの4歳の息子

    「ペーター・イェルム」
     ビュルンの仕事仲間

    「オーケ・リリエグレン」
     公認会計士

    「レナート・ハイネマン」
     元外務省高官

    「エリサベス・カーレーン」
     コールガール

    「ハンス・ローゴード」
     リリエグレンの友人

    「グンネル・ニルソン」
     スメーズトルプ教会の女性牧師

    「スヴェン・アンダーソン」
     同教会の庭師

    「ペドロ・サンタナ」
     ドミニカ共和国の農夫

    「ドロレス・マリア・サンタナ」
     ペドロの娘

    0
    2022年12月19日
  • 目くらましの道 上

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『目くらましの道(原題:Villospar)』を読みました。

    「ヘニング・マンケル」作品は先月読んだ『笑う男』以来です… 約1か月振りの北欧ミステリですね。

    -----story-------------
    〈上〉
    【CWAゴールドダガー賞受賞】
    夏の休暇を楽しみに待つ、イースタ署の「ヴァランダー警部」。
    そんな平和な夏のはじまりは、一本の電話でひっくり返された。
    呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。
    目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。
    殺されたのは元法務大臣。
    背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。
    そして事件はこれだけでは終わらなかった。
    CWA賞受賞、スウェーデン警察小説の金字塔。

    〈下〉
    【CWAゴールドダガー賞受賞】
    斧で殺害し、頭皮の一部をはぐという凄惨な殺人。
    犯人は次々と犠牲者を増やしていった。
    元法務大臣、美術商、そして盗品の売人。
    殺害方法は次第にエスカレートし、三人目は生きているうちに両目を塩酸で焼かれていた。
    犠牲者に共通するものは? 
    なぜ三人目は目を潰されたのか? 
    常軌を逸した連続殺人に「ヴァランダー」らの捜査は難航する。
    そして四人目の犠牲者が……。
    犯人の目的は? 
    現代社会の病巣を鋭くえぐる傑作シリーズ第5弾。
    解説=「杉江松恋」

    *第1位「第1回PLAYBOYミステリー大賞」海外部門(『PLAYBOY日本版』2008年1月号)
    *第6位『ミステリが読みたい!2008年版』/海外部門
    *第6位CSミステリチャンネル「闘うベストテン2007」/海外部門
    *第9位『このミステリーがすごい!2008年版』/海外編
    -----------------------

    警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第5作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』に続き、本シリーズを読むのは3作目です、、、

    『笑う男』の翌年、1994年のイースタが舞台です。

     ■ドミニカ共和国 一九七八年
     ■スコーネ 一九九四年六月二十一日から二十四日
     ■スコーネ 一九九四年六月二十五日から二十八日
     ■スコーネ 一九九四年六月二十九日から七月四日
     ■スコーネ 一九九四年七月五日から八日
     ■スコーネ 一九九四年九月十六日から十七日
     ■解説 杉江松恋


    1994年6月、「クルト・ヴァランダー」は夏の休暇を楽しみにしていた… 交際中のリガの未亡人「バイバ」と旅行に行くのだ、、、

    そんな平和な夏のはじまりは一本の電話でひっくり返された… 農夫から「自分の菜の花畑に不審な女性が入り込んでいる」という通報が入ったが、パトロール警官がすべて出払っていたために、「ヴァランダー」が現場に向かったところ、なにかに怯えている様子の少女が菜の花畑に立っていた。

    その少女は「ヴァランダー」が止める間もなく、灯油をかぶり自らに火をつけて焼身自殺を遂げてしまう… 身元も自殺の理由も不明だった、、、

    そして目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように事件発生の通報が入る… 今度は海岸でイースタで隠遁生活をおくっている元外務大臣の「グスタフ・ヴェッテルステッド」と思われる男性の他殺死体が発見されたとの通報があった… 「ヴァランダー」らが現場に赴くと、「ヴェッテルステッド」は、背中を斧で割られており、頭皮を剥がされていた。

    あまりに凄惨な殺害方法に、「ヴァランダー」らイースタ署の面々に戦慄がはしる… そして、夏至祭の前夜に、自宅でパーティを催していた画商の「アルネ・カールマン」が、自宅の庭園で頭部を斧で割られ殺害されているのが発見され、「カールマン」も「ヴェッテルステッド」と同様に頭皮が剥がされていた、、、

    さらに盗品の売人「ビュルン・フレードマン」が同様の方法で殺害された… しかも犯行は次第にエスカレートし、「フレードマン」は生きているうちに両目を塩酸で焼かれていた。

    三人の犠牲者の接点と共通するものは? そしてなぜ三人目だけが目を潰されたのか? 犯人の目的は何なのか? そして四人目の犠牲者が、、、

    ペーパーカンパニーで財を成した公認会計士の「オーケ・リリエグレン」が同様な方法で殺害された… 今度は頭部をオーブンに突っ込まれ焼かれていた。

    常軌を逸した連続殺人に「ヴァランダー」等の捜査は難航する… そして、「ヴァランダー」と娘「リンダ」にも魔の手が迫る、、、

    読者には、早めに犯人が示され、動機についても想像できちゃうので… 「ヴァランダー」が仲間たちの協力を得ながら、直感と行動力を武器に真相を解き明かす展開を愉む作品でしたね。

    現代社会の病巣を鋭く抉る作品でした… でも、「ヴァランダー」の私生活は相変わらず順風満帆とは言えない状況ですね、、、

    認知症を発症した父親とのイタリア旅行、恋人「バイバ・リエパ」との関係… こちらの展開は、次作以降で確認していきたいと思います。




    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署警部

    「アン=ブリッド・フーグルンド」
     イースタ警察署の刑事

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェン・ニーベリ」
     イースタ警察署鑑識課の刑事

    「ビュルク」
     イースタ警察署の警察署長

    「ハンソン」
     イースタ警察署の警察署長代理

    「リーサ・ホルゲソン」
     イースタ警察署の新警察署長

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「ペール・オーケソン」
     検事

    「マッツ・エクホルム」
     心理学者

    「ステン・フォースフェルト」
     マルメ警察署の刑事

    「スツーレ・ビリエールソン」
     ヘルシングボリ警察署の警視

    「ヴァルデマール・シューステン」
     ヘルシングボリ警察署の刑事

    「ルドヴィグソン」
     本庁から来た刑事

    「ハムレーン」
     本庁から来た刑事

    「クルト・ヴァランダーの父」
     画家

    「イェートルード」
     その新しい妻

    「リンダ・ヴァランダー」
     クルトの娘

    「バイバ・リエパ」
     リガに住む未亡人

    「グスタフ・ヴェッテルステッド」
     元法務大臣

    「サラ・ビュルクルンド」
     ヴェッテルステッド邸の清掃人

    「ラーシュ・マグヌソン」
     元ジャーナリスト

    「アルネ・カールマン」
     画商

    「アニタ・カールマン」
     アルネの妻

    「エリカ・カールマン」
     アルネの娘

    「ビュルン・フレードマン」
     盗品売人

    「アネット・フレードマン」
     ビュルンの妻

    「ルイース・フレードマン」
     ビュルンの娘

    「ステファン・フレードマン」
     ビュルンの14歳の息子

    「イェンス・フレードマン」
     ビュルンの4歳の息子

    「ペーター・イェルム」
     ビュルンの仕事仲間

    「オーケ・リリエグレン」
     公認会計士

    「レナート・ハイネマン」
     元外務省高官

    「エリサベス・カーレーン」
     コールガール

    「ハンス・ローゴード」
     リリエグレンの友人

    「グンネル・ニルソン」
     スメーズトルプ教会の女性牧師

    「スヴェン・アンダーソン」
     同教会の庭師

    「ペドロ・サンタナ」
     ドミニカ共和国の農夫

    「ドロレス・マリア・サンタナ」
     ペドロの娘

    0
    2022年12月19日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    北欧ミステリーは有名どころは読んでいる方なので
    ・グレーンス警部
    ・特捜部Q
    ・ミレニアム
    ・その他警察モノなど
    なんというか北欧作品的なヤツ、というか警察モノのあるあるが揃ってる(この作品というかもっと前の刑事マルティン・ベックが元?)

    当然ヴァランダーは離婚してるし、未練たらたら…子供は独立してるし親の介護もあるし
    同僚は体が不調気味…
    捜査では怪我ばかりして進展無し…なんともかっこ悪いのだけども、どうも嫌いになれない。
    (もっと最低な刑事を見かけてるのもあるけど…)

    事件自体は携帯電話やインターネット普及前の事件なので、劇的な展開やどんでん返しは期待せずに読み進めた。

    平凡な農夫が何故とても残虐な方法で夫婦ごと殺されてしまった事件を追う。
    追う中での主人公の内面に重点を置いてる。
    (合わない人は合わないと思う。私は好き。)
    土地の描写も寒そうで、読んでいる今の季節に合っていた。

    ヴァランダーを"カッコよく"したのがマルティンベックらしいので、そちらも読み比べてみようと思う。
    シリーズどちらを追うかはそのあと決める。

    0
    2022年12月08日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『殺人者の顔(原題:Mordare utan ansikte)』を読みました。
    「アンナ・ヤンソン」の『死を歌う孤島』に続き、スウェーデン作品です… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    ●「関口苑生」氏推薦――「これは世界のミステリー史上においても瞠目すべきシリーズとなることは間違いない」

    【CWAゴールドダガー受賞シリーズ/スウェーデン推理小説アカデミー最優秀賞受賞】
    雪の予感がする早朝、動機不明の二重殺人が発生した。
    男は惨殺され、女も「外国の」と言い残して事切れる。
    片隅で暮らす老夫婦を、誰がかくも残虐に殺害したのか。
    燎原の火のように燃えひろがる外国人排斥運動の行方は? 
    人間味溢れる中年刑事「ヴァランダー」登場。
    スウェーデン警察小説に新たな歴史を刻む名シリーズの開幕!

    *第10位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/評論家部門
    -----------------------

    本作品は、第1回ガラスの鍵賞を受賞した「ヘニング・マンケル」の処女作で、警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの記念すべき第1作、、、

    意に反した離婚から立ち直れず、娘は家出し、老いた父親との関係もうまくいかず、不規則な食生活がたたって中年太りで、飲酒運転を同僚に見逃してもらったり、酒に酔った勢いで既婚の女性検察官にセクハラまがいの迫り方をしてふられるという、格好良くない中年の刑事「クルト・ヴァランダー」が主人公なのですが、その人間的に弱い部分に、何とも言えない人間味あふれる魅力があるんですよね… このシリーズ、愉しく読めそうです。


    1990年1月8日、スウェーデン南部のスコーネ地方レンナルプ村に住む農家の老夫婦が何者かに襲われた… 隣人の通報によりイースタ警察署の「クルト・ヴァランダー」らが現地に到着すると夫「ヨハネス・ルーヴグレン」は既に死亡し、妻「マリア・ルーヴグレン」は瀕死の状態であった、、、

    強盗の仕業と思われたが負った傷の状態から両者共に拷問を受けており、奪われた物も不明であった… 目ぼしい財産を持っていそうにない田舎に住む老夫婦に犯行の動機となりえるものがあるとは思えない中、重傷を負った「マリア」が「外国の」と言い残し死亡した。

    被害者を縛っていた縄の特徴ある縛り方と外国人という手掛かりで捜査を進めようとした「ヴァランダー」と相棒の「リードベリ」は、外国人に対して人種差別的な反感を持つ一部の人々を刺激することを恐れて、外国人容疑者の線を伏せるが、この配慮は警察内部の何者かにより裏切られ、犯人は外国人という噂がマスコミに流れ、報道されてしまった… 国外から流入する外国人との軋轢を抱える社会情勢を知る「ヴァランダー」等は、不安な思いを抱えながらも捜査を続けるが、案の定、これをきっかけに移民排斥運動を強めようという不穏な動きが始まった、、、

    「3日以内に老夫婦惨殺事件を解決しなければ、移民地区から死人が出る」という脅迫電話が「ヴァランダー」にかかる… その後、「マリア」の兄「ラース・ヘルディン」から、妻も知らなかった「ヨハネス」の一面に関する情報提供があり、その背後関係を調べている最中に移民の収容所が放火され、更には移民逗留所でソマリアから来た移民の1人が射殺され、「ヴァランダー」等は二つの事件を追うことになる。

    車の音から犯行に使われた車種を特定したことをきっかけにして、ソマリア人の殺害事件を解決した「ヴァランダー」等は、再び、レンナルプ村の事件の捜査に戻る、、、

    捜査を進めるうちに、「ヨハネス」が第二次大戦時にドイツ相手に密かに稼いだ巨額の資産や、愛人と息子の存在が明らかになるとともに、競馬好きの刑事「ハンソン」の情報から、息子の経済的な窮状が判明し、「ヴァランダー」は、その線を追うが… 真相究明のきっかけとなり、犯人特定の決め手となったのは、フレーニングス銀行の窓口担当「ブリッタ=レーナ・ボデーン」の素晴らしい記憶力でしたね。

    結果的には、「外国の」というダイイングメッセージが、的確に犯人を指示していたことがわかるのですが… 「ブリッタ=レーナ・ボデーン」の存在がなければ迷宮入りしていたかもしれませんね、、、

    スウェーデンの人口の約五分の一が移民、または親が外国生まれ、あるいはスウェーデンに帰化した外国人らしいです… スウェーデン社会が抱える、流入する移民に関する問題がテーマとして扱われていますが、現在では世界的な課題になっており、他人事ではないですね。



    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署の刑事。主人公

    「リンダ」
     クルトの娘

    「モナ」
     クルトの元妻

    「クリスティーナ」
     クルトの姉

    「ステン・ヴィデーン」
     クルトの旧友

    「ヘルマン・ムボヤ」
     リンダの恋人

    「リードベリ」
     イースタ警察署の鑑識担当刑事

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の実習中の巡査

    「トーマス・ネスルンド」
     イースタ警察署の刑事

    「ハンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「ビュルク」
     イースタ警察署の警察署長

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「アネッテ・ブロリン」
     イースタ検事局の新任検察官

    「ユーラン・ボーマン」
     クリシャンスタ郡警本部の刑事

    「ヨハネス・ルーヴグレン」
     農民

    「マリア・ルーヴグレン」
     ヨハネスの妻

    「ニーストルム」
     ルーヴグレンの隣人夫婦(夫)

    「ハンナ」
     ルーヴグレンの隣人夫婦(妻)

    「ラース・ヘルディン」
     マリアの兄

    「ブリッタ=レーナ・ボデーン」
     フレーニングス銀行の窓口担当

    「アニタ・ヨアンソン」
     主婦

    「マルガレータ・ヴェランダー」
     美容師

    「ニルス・ヴェランダー」
     マルガレータの息子

    「エレン・マグヌソン」
     薬局勤務

    「エリック・マグヌソン」
     エレンの息子

    「ルネ・ベルマン」
     元警察官

    「ヴァリフルド・ストルム」
     ルンドの男

    0
    2022年12月07日
  • 声

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エーレンデュル捜査官シリーズの第三弾。

    ホテルの小部屋に住み込んでいたドアマンが殺された。
    ひっそりと暮らしていた男は、
    子供のころ天使のような声、
    ボーイ・ソプラノの持ち主だったことがわかる。
    2枚だけ作成されたレコードが残っていたが、
    そのレコードが動機なのか?

    どうも物足りなさを感じているのは、
    なんだかもっと強烈な北欧ミステリーを読んだことがあるせいかもしれない、
    という気がしてきた。
    凄惨な殺人現場とか、苛烈な暴力性や、
    刑事を含む関係者の破滅的な生活や人生とか。
    それらを読みたい訳ではないのだが。

    でも、誰にも打ち解けず孤独に暮らしていたかに見えた被害者に、
    急に友人らしき人物が登場したり、
    というよりかは彼の人物像がどうもよくわからないところや、
    ホテルの抱える闇がはっきり描かれなかったり、
    同僚が抱えていた児童虐待事件も真相が尻切れトンボになったり、
    他にも食い足りなさを感じるところはあるのかも。
    そして、情報を提供してくれる元上司との関係もいまいちよくわからない。

    一応、エーレンデュルと娘はまだ親密さを取り戻しつつあるし、
    過去の弟の遭難事故のことを、
    捜査で知り合った研究所助手の女性に離すこともできたし、
    話が進んでいる感はあるけど、
    もうちょっと面白くなってほしい。

    今回面白かったのは、
    レコードを集める趣味の世界では、
    日本人がネットに情報を載せ、世界中に出向いて買い占めている、
    レコード蒐集家の間では有名な話だ、
    というくだりかな。

    0
    2022年12月03日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    また、新しいシリーズに手を出してしまった

    とっ散らかった本棚だ
    一人の作家さんや、一つのシリーズを集中的に読むということが出来ない
    たまに変な決意の元にそんなことをしてみると、しばらくその作家さんに手を出さなくなったりする
    うーんやっかい(自分で言うな!)

    さて今回手を出したのは『刑事クルト・ヴァランダーシリーズ』
    なんとデンマークのミステリーでイギリスでドラマシリーズが放送されていたという代物
    そしてこの刑事ヴァランダーが良い!

    一言で言うと「情けない」
    別れた妻に未練たらたらたが、突然現れた若い美人の検察官も気になる、一人娘はかわいくて心配だがどう接していいかわからずにおろおろする
    父親の問題からは目を背けてぐずぐずして事態を悪くして、最終的には姉に頼る
    奥さんに出ていかれたとたんに食生活は乱れて太り出し、酒に逃げて失敗する

    もう!こりゃあダメだ
    こんなんもう男なら絶対に自分を重ねちゃうよ!w

    だけど警察の仕事は真面目にコツコツ諦めずに犯人を追い、仲間と協力して証拠を積み重ねて行く
    猛烈な忙しさの中でも休まず働き続ける
    うーん、仕事に逃げてるなw

    多くの男たちにとって「刑事ヴァランダー」は「自分」なんじゃなかろうか?ほんとは目を背けたくなるようなだらしない「自分」だけど、そこそこ真面目に頑張ってそれなりに成果をあげたら誇ってあげたい「自分」

    そんな「自分」を追って、このシリーズも読み続けていきましょうか

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    2022年11月25日
  • 緑衣の女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エーレンデュル捜査官シリーズの第二弾。

    子供の誕生日会が騒々しく盛り上がる最中、
    人骨が発見される。
    人骨は古いもので、発掘部隊がゆっくりと骨を取り出していく。
    遺体は近くのサマーハウスに住んでいた家族の誰かなのか、
    フィアンセを残して行方不明となった女性なのか。

    いわゆるコールドケース、
    過去の事件を掘り起していく筋立ては好きだし、
    過去と現在を行ったり来たりする構成にもついていけるのだが、
    何か入れ込めない。

    妊娠中のエーレンデュルの娘とはせっかく心が通じたと思ったのに、
    また家を出て行ってしまい、
    発見した時には胎盤剥離で胎児を失い彼女自身も意識不明となったり、
    そのせいで離婚した元妻に罵倒されたりと、
    私生活がひどいからか。

    同僚のオーリも同棲している恋人がいるか、
    結婚に踏み切ることができず、
    もう一人の同僚は、病室にいた老人に質問を繰り返し、
    酸素マスクでかろうじて生きていたその老人を死なせてしまうと、
    誰にも感情移入ができないせいか。

    前作で意味ありげに登場していた昔の上役は出てこないし、
    エーレンデュルが幼いころ、
    吹雪の日に弟とはぐれ失ってしまったことが語られ、
    霊能者と出会うが唐突。
    もちろん、事件とは関係ない。

    アイスランドでは爆発的な人気らしいけど、
    どうも自分にはその魅力が判らない。

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    2022年11月21日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「カーリン・アルヴテーゲン」の長篇ミステリ作品『裏切り(原題:Svek、英題:Betrayal)』を読みました。

    「ヨアキム・サンデル」、「エメリー・シェップ」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 北欧ミステリ作品は、面白くて読み始めたら止まらないですね、、、

    「カーリン・アルヴテーゲン」作品は、3月に読んだ『喪失』以来なので約半年振りですね。

    -----story-------------
    壊れかけた夫婦が憎悪に染まるサイコノベル

    「きみといても楽しくない」。
    なぜ夫の心は自分から離れてしまったのか。
    「エーヴァ」は「ヘンリック」の気持ちをとりもどそうと必死だった―。
    「ヨーナス」という若者がいた。
    植物人間となってしまった恋人「アンナ」を献身的に介護している。
    だが、その看病ぶりは常軌を逸しているようだ―。
    「ヘンリック」に不倫の疑いを抱いた「エーヴァ」は、憎悪の炎を燃やす。
    二組のカップルの葛藤が、ある晩思いがけない出会いを生み、そこから恐ろしい破局が始まる…。
    ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が、男女の心の奥底を緻密に描いて新境地を開くサイコサスペンス。
    -----------------------

    2003年(平成15年)に刊行された、「カーリン・アルヴテーゲン」の3作目にあたる作品です… 衝撃的で、むっちゃ恐ろしい結末でしたねぇ、、、

    どこの家庭でも起きる可能性のある物語… 壊れかけた夫婦関係を修復しようとする中で、夫の不倫に気付いたことから、妻は一夜だけの大胆な行動を取るのですが、それがきっかけとなり、家族が崩壊していくというサイコサスペンス。

    異常な愛情を持った変質者の存在は、映画の『サイコ』や『コレクター』を彷彿させましたね… でも、身近にあっても不思議じゃない展開だけに、怖さがリアルに感じられましたね、、、

    あと、ぐいぐいと作品に引き込まれるのは、男女の心を緻密に描いた心理描写が秀逸だからでしょうね… どの登場人物にも裏切りの経験があり、信じる者の裏切りにより、愛情が憎悪に変化していく様がリアルで真に迫ってきましたね。


    「エーヴァ」は「ヘンリック」は一緒に暮らし始めてから15年のカップルで、双方が働いており、家庭と仕事を両立させている典型的な中堅層の夫婦であり、二人の間には保育所に通う「アクセル」という6歳の息子がいた… 「エーヴァ」は、偶然に「ヘンリック」に不倫相手がいることを知るが「ヘンリック」は否定、、、

    「エーヴァ」は、信頼していた「ヘンリック」の言葉が嘘であることを知り、許すことができず裏切りと感じる… そして、「エーヴァ」は絶望のあまり報復を企てる。

    一方、ある病院で「ヨーナス」という若者が恋人らしき女性に付き添っていた… 事故で植物人間の状態に陥った「アンナ」に彼は献身的に尽くしているが、実は彼の精神状態は極限に近付いていた、、、

    父親の不倫が原因で家庭が崩壊し、友人もなく、「アンナ」だけしかいない彼は、内なる強制力に支配され不安定な精神状態を抱えていた… 「ヨーナス」は街で偶然「エーヴァ」と出会い、関係を持ってしまったことから、全く接点のない二人の人生が交差し、物語は急展開する。

    裏切りを受けた「エーヴァ」、裏切った「ヘンリック」というパターンで始まった悲劇は、「ヨーナス」の恣意的な介入に操られ、それに、誤解や一方的な思い込みも加わり、立場が逆転していく… コミュニケーションが不足し、感情的になり自己中心的な発想しかできなくなった「エーヴァ」と「ヘンリック」は、それに気付かず、徐々に泥沼に陥っていく、、、

    そして、「エーヴァ」は、「アンナ」と同じように、「ヨーナス」の歪んだ愛情を受け入れざるを得ない状況に追い込まれていく。

    夫婦の間の何気ない会話から、お互いが疑心暗鬼になっていく場面の描写はホントに秀逸… その後の「エーヴァ」の行動には、やや極端な印象を受けましたが、理解はできますねぇ、、、

    刑事や警察官、探偵は登場しないミステリなのに集中力が途切れない面白さがあるだけでなく、殺人事件が起きない(「ヨーナス」の行為はほぼ殺人に近いですが… )のに、こんなに恐怖感を感じることのできるサスペンスを描けるなんて凄いなぁ… 「カーリン・アルヴテーゲン」の他の作品も読んでみたいな。




    以下、主な登場人物です。

    「エーヴァ・ヴィレンストルム=ベリィ」
     マネージメントコンサルタント

    「ヘンリック・ヴィレンストルム=ベリィ」
     エーヴァの夫、ジャーナリスト

    「アクセル」
     エーヴァとヘンリックの息子

    「ヤーコブ」
     アクセルの保育所の友だち

    「アニカ・エークベリィ」
     ヤーコブの母親

    「シーモン」
     アクセルの保育所の友だち

    「オーサ・サンドストルム」
     シーモンの母親

    「シャスティン・エヴェルトソン」
     保育所の所長

    「リンダ・ペアソン」
     保育所の保育士

    「ヨーナス・ハンソン」
     もと郵便配達人

    「アンナ」
     画家

    「ビュルン・サールステッド医師」
     アンナの主治医

    「イヴォンヌ・パルムグレン医師」
     精神科医

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    2022年11月15日
  • 喪失

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「カーリン・アルヴテーゲン」の長篇ミステリ作品『喪失(原題:Saknad、英題:Missing)』を読みました。

    「カミラ・レックバリ」、「ヴィヴェカ・ステン」、「ラーシュ・ケプレル」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 北欧ミステリ作品は、読み始めたら止まらない中毒性の魅力がありますね。

    -----story-------------
    息もつかせぬサスペンス!
    北欧犯罪小説大賞受賞作!!

    ストックホルムの32歳の女性ホームレスが、ある日突然、連続猟奇殺人犯として警察に追われることになる。
    食べ物と寝場所を求め格闘しながら、極限状態に身も心もすり減らし、たった一人で真相に迫っていく……。
    地方都市の富豪の一人娘がなぜホームレスになったのか? 
    深い心の傷を負い、絶望と背中合わせに生きる主人公が、逃避の人生を清算し新しい生き方を獲得する過程は大きな感動を呼ぶ。
    2000年北欧犯罪小説大賞受賞作。
    -----------------------

    18歳で裕福な家を捨てて、ストックホルムでホームレス同様の暮らしを続けてきた32歳の女性「シビラ」は、ある晩中年男性「ユンゲル・グルンドベリ」に食事とホテルの客室を奢らせることに成功するが、翌朝になって愕然とする… 「ユンゲル・グルンドベリ」が凄惨な惨殺体として発見されたのだ、、、

    殺害方法は猟奇的で、「シビラ」は有力な容疑者として警察に追われることに… 慌ててホテルを飛び出した「シビラ」は逃亡生活を続けるが、さらに同様の殺人事件が連続し、全ての殺人事件が彼女の犯行と見做されてしまう。

    「シビラ」は食べ物も寝場所もない極限状態の中で、身も心もすり減らしながらたった一人で真相に挑んでいく、、、

    中盤までは、逃避生活を続けつつ真相に近付こうとする姿と、地方都市の富豪の一人娘がホームレスの生活を選択せざるを得なくなったエピソードが交互に紹介され、「シビラ」が15歳の孤独な少年「パトリック」と出会い、心を通わせる中で、ひとつの物語として繋がっていきます… そして、「パトリック」の助けやパソコンを利用した調査を活用することにより、二人は一歩ずつ真相に近付いて行きます。

    そして、被害者が服用していた薬から、被害者たちは同一人物から臓器移植を受けたことが判明し、容疑者は絞られて一気にクライマックスに向かいます、、、

    「シビラ」は容疑者と接触しようとしますが、容疑者と思われた人物とは異なる人物が真犯人だったり、その動機には臓器提供者との同性愛があったり、人里を離れた真犯人の自宅に閉じ込められて、死の危険に晒されたり… と、終盤は怒涛の展開で楽しめました。

    出産後に離れ離れとなった息子のことを調べようとして、最後は諦める「シビラ」の行動にも共感できました… 深い心の傷を負った「シビラ」ですが、逃避の人生を清算し新しい生き方を獲得したということなんでしょうね、、、

    自分だったら、調査内容を見ちゃったんじゃないかなぁ… と思いますが、それじゃ、読者の共感を得れないでしょうね。

    ちなみに著者「カーリン・アルヴテーゲン」の大叔母は『長靴下のピッピ』の作者「アストレッド・リンドグレン」なんだそうです、、、

    へぇ~っ て、感じですね… 驚きました。




    以下、主な登場人物です。

    「シビラ(ヴィレミーナ・ベアトリス)・フォーセンストルム」
     ストックホルムでホームレス暮らしをしている女性

    「ヘンリー・フォーセンストルム」
     シビラの父親

    「ベアトリス・フォーセンストルム」
     シビラの母親

    「ユンゲル・グルンドベリ」
     貿易業者、殺人事件の被害者

    「レーナ・グルンドベリ」
     ユンゲルの妻

    「ミカエル・ペアソン(ミッケ)」
     シビラの元恋人

    「ヘイノ」
     ホームレスの男

    「トーマス」
     シビラの友人

    「パトリック」
     15歳の少年

    「スーレン・ストルムベリ」
     殺人事件の被害者

    「グンヴォール・ストルムベリ」
     スーレンの妻

    「ルーネ・ヘドルンド」
     交通事故死した人物

    「シェスティン・ヘドルンド」
     ルーネの未亡人

    「イングマル・エリックソン」
     病院の守衛

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    2022年10月22日
  • 白い雌ライオン

    Posted by ブクログ

    展開がヤバく文体が渋い
    二度と人に会うことはないと知っているのは幸運だ、なにかが残っているはずだから。

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    2022年10月02日
  • 声

    Posted by ブクログ

    最初から引き込まれたし、最後少し泣いてしまった。
    真犯人が見つかるまでに、関わる人たちの背景が少しづつ明らかになっていくのだけど、恥ずかしい性癖が知られてしまっただけの人もいて気の毒(笑)だった。

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    2022年08月24日
  • 緑衣の女

    Posted by ブクログ

    前作に引き続き陰鬱なアイスランドの曇り空の下で展開される物語のイメージだけど、全然嫌いじゃないし、むしろ好き。
    DVの描写はキツかったけど、おそらくこれは最後には……?みたいな推理も読みながらできるし、エーレンデュルの過去にも触れていて、一度も飽きなかった。

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    2022年07月13日