柳沢由実子のレビュー一覧
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本作は、2003年ガラスの鍵賞と2005年ゴールド・タガー賞受賞の2冠の作品で、''湿地''に次ぐエーレンデュル捜査官シリーズ第2段です。
・ガラスの鍵賞とは、国際推理作家協会北欧支部の五カ国アイスランド・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・ノルウェーでスカンジナヴィア推理作家協会が最も優れた推理小説に贈る文学賞です。
・ゴールド・タガー賞とは、英国推理作家協会(CWA)が選ぶ最優秀長編賞です。ちなみに次点作品にはシルバー・タガー賞が贈られる。
レイキャヴィクから東にある新興住宅地の建築現場の地層から人骨が発見された。
肋骨をしゃぶ -
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あーいやだ、いやだ……。
いやになるほどの孤独な中年男性の生活。
出て行った妻へたたみかけるように詰問する姿、前頭葉の老化による感情コントロールの低下に刑事という職業の癖が加わり相手を不快にする……そりゃ逃げるわ〜。
そのくせ、「褐色の女性」との妄想や、女性検察官へのちょっかい……。
妻や娘のことも、父親のことも、逃げるようにしてお酒に埋没したり、お腹ができたことを気にしながら、サラダをいやいや食べる姿など、ゾッとする。
数十年会ってない友人に突然しつこく電話したり、慌てて隠れた時にぶつかった怪我も「殴られた」とうそぶく……。
いったいこの人のどこが良いのか?
ところが、読み進めていくうち -
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ヴァランダーのシリーズ2作目。2作目なのにいきなりスウェーデンを飛び出し、独立後においてもロシア支配が色濃く残るラトヴィアが舞台です。事件の発端は密輸船の乗組員が漂流する救命ボートを発見し回収しようと手繰り寄せたところスーツを着た死体が2体乗っているのに気づき、沿岸まで牽引してきたこと。歯の治療痕などから死体はラトヴィアのギャングであることがわかり、かの国の警察に引継ぎをするべく一人の刑事に来てもらいます。お互いに得意でもない英語で言葉少なに会話し黙って酒を飲んだリエパ少佐とヴァランダーはお互いに尊敬の念と親近感を持ちます。ラトヴィアに引継いだのでこれで一件落着したはずが、帰国したその日にリエ
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一冊も読んだことが無いのに本屋さんでずらっと並んでいる背表紙を何度も見ていたせいか作家のフルネームと『白い雌ライオン』というタイトルが記憶に残っていたシリーズ、知人の読書家に「すごーく面白い」と聞いたのと、最近北欧の作品を固めて読んでいることもあり遂に読み始めました。日本語版発売から20年経過していますが、自分が主人公ヴァランダーの境遇や感情を理解しやすい年齢になっているので今のタイミングで読んで正解でした。移民の問題や制度が目指したものと実際の運営状態の解離、都市部と農村部の違いなどが、衝撃的な事件とその捜査の合間に丁寧に語られます。中年刑事の常?としてヴァランダーは妻に捨てられて惨めで荒ん
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ヴァランダーが20代の新米警官時代から、40代の中年刑事まで、モナ(若い時はガールフレンド、その後結婚して別居)や父親との関係に悩みながら持ち前の勘と粘り強さで事件を解決する姿を描く。
いつもながら実直なヴァランダーとそれを取り巻く、こらまた実直な刑事たち。みんな何かに悩んでるのは一緒だな。そんな人生を含めて楽しめるのが、このシリーズ。やっぱり長編が読みたいな。3.8
フレーズを読んで思ったのは、the Wireのリアリティ。はつらつとしてるのはマクノルティくらい(それでも中年だけど)、女性刑事も見た目より実力。Boschもそれに近いかな。その点、シカゴPDはイケメン&美人でリアリティ -
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夫が浮気をした。最近会話もない。妻も夜中に家を飛び出し成り行きで浮気をした。不倫小説かなんだありふれたテーマかと読み始めたら、あちこちで小さい山が鳴動して落石に会うくらい驚いた最後だった。
恋して衝動的に結婚した夫婦は甘える間に甘えておかないと、青春ホルモン(?)と子孫繁栄本能が消えかかると、そこからは思いやりの暮らしになる。それに気がつかない妻のエーヴァ、急に冷たくなったのはなぜかと悩む。自立しすぎた妻は夫の欠点に目をつぶって生活をリードしてきたのだ。
夫は息子の保育園で不倫相手を見つけていた。相手は離婚経験のある、手を差し伸べたくなるようなリンダで、彼は同棲する準備をして、口実を作