柳沢由実子のレビュー一覧

  • 声

    Posted by ブクログ

    アイスランドのミステリー。アクションシーンやクサいセリフも何も出てこなくてむしろ暗くて内向的なんだけど、被害者や周辺の人々の過去を掘り下げていくことで事件を究明していく過程がドラマティックで面白かった。二作前の『湿地』は映画にもなっていて、同じ刑事が主人公。

    0
    2021年09月01日
  • 緑衣の女

    Posted by ブクログ

     本作は、2003年ガラスの鍵賞と2005年ゴールド・タガー賞受賞の2冠の作品で、''湿地''に次ぐエーレンデュル捜査官シリーズ第2段です。

     ・ガラスの鍵賞とは、国際推理作家協会北欧支部の五カ国アイスランド・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・ノルウェーでスカンジナヴィア推理作家協会が最も優れた推理小説に贈る文学賞です。

     ・ゴールド・タガー賞とは、英国推理作家協会(CWA)が選ぶ最優秀長編賞です。ちなみに次点作品にはシルバー・タガー賞が贈られる。

     レイキャヴィクから東にある新興住宅地の建築現場の地層から人骨が発見された。

     肋骨をしゃぶ

    0
    2021年08月12日
  • 手/ヴァランダーの世界

    Posted by ブクログ


     ヴァランダーシリーズ、本当に最後の一冊。
     収録作の『手』は、オランダブックフェアの読者プレゼント用として発表された中篇。田舎に戸建ての家を欲しいと、同僚から紹介された物件を見にきたヴァランダーが庭で発見したものは、手の骨だった。一体誰なのか?はるか遠い過去に遡る捜査が開始される。

     何と言っても本書のお勧めは、マンケル本人による作品紹介、登場人物、地名等を網羅した「ヴァランダーの世界」。ファンが作るようなものを、作者自らが作成しているのが、スゴすぎる。

     この「世界」を手元に置いて、シリーズ一作目から順を追って、また読んでいきたいものだ。

    0
    2021年08月01日
  • 手/ヴァランダーの世界

    Posted by ブクログ

    販売促進用に書かれた中編が載っている。100%、ヴァランダーの空気満開、息遣い迄聞こえてくる。
    ユッシと共に彼はもうあちらへ行ったんだなとしみじみする。

    ラストでマンケルが、ヴァランダーシリーズが英国BBC放送で制作が始まることに触れている。

    マンケル亡き後、寂しくって、この放送も、それぞれ何回も見た・・従って頭の中では良くも悪くも「ケネス・ブラナー」に置き換わっている。この作品も視ているので臨場感あふれる想いで読めた。

    百科大全的なヴァランダーの世界は手元に置いて遺体…シリーズを今後も繰り返し読む積り。

    0
    2021年07月30日
  • 背後の足音 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    犯人側の描写でも意図が分からず怖い。ちょっと超人的過ぎるので少し減点。一人でできる犯行には思えない。

    0
    2021年06月10日
  • 湖の男

    Posted by ブクログ

    犯罪捜査官エーレンデュルシリーズ、第四段。干上がった湖から発見された骸骨の正体を、丹念に紐解いていく。東欧社会主義体制時代の闇に翻弄された人々を描く。一気に読める大作。

    0
    2021年05月30日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    名推理があるわけでもなく、見込み違いや捜査の停滞もあり、ザ警察小説という感じ。特捜部Qシリーズが巻を追うごとに長く、筋の事件と関係ない事件やエピソードが増えて食傷気味になってきたので、今度はこちらに期待しよう。

    0
    2021年05月09日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    あーいやだ、いやだ……。

    いやになるほどの孤独な中年男性の生活。
    出て行った妻へたたみかけるように詰問する姿、前頭葉の老化による感情コントロールの低下に刑事という職業の癖が加わり相手を不快にする……そりゃ逃げるわ〜。
    そのくせ、「褐色の女性」との妄想や、女性検察官へのちょっかい……。
    妻や娘のことも、父親のことも、逃げるようにしてお酒に埋没したり、お腹ができたことを気にしながら、サラダをいやいや食べる姿など、ゾッとする。
    数十年会ってない友人に突然しつこく電話したり、慌てて隠れた時にぶつかった怪我も「殴られた」とうそぶく……。
    いったいこの人のどこが良いのか?

    ところが、読み進めていくうち

    0
    2021年05月07日
  • リガの犬たち

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーのシリーズ2作目。2作目なのにいきなりスウェーデンを飛び出し、独立後においてもロシア支配が色濃く残るラトヴィアが舞台です。事件の発端は密輸船の乗組員が漂流する救命ボートを発見し回収しようと手繰り寄せたところスーツを着た死体が2体乗っているのに気づき、沿岸まで牽引してきたこと。歯の治療痕などから死体はラトヴィアのギャングであることがわかり、かの国の警察に引継ぎをするべく一人の刑事に来てもらいます。お互いに得意でもない英語で言葉少なに会話し黙って酒を飲んだリエパ少佐とヴァランダーはお互いに尊敬の念と親近感を持ちます。ラトヴィアに引継いだのでこれで一件落着したはずが、帰国したその日にリエ

    0
    2021年05月04日
  • ピラミッド

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ、エピソード0とでも言ってもいかな?!
    若かりし頃のヴァランダーや、父親とのエピソード等、バラエティーにとんだ数々。
    良作ではある!

    0
    2021年05月02日
  • ファイアーウォール 下

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ 8作め。
    この作品が、ヴァランダーシリーズ最後のつもりであったとの事。わかるなぁ!だって世の中が、ITの世界に凌駕され、右往左往する姿!そして世代交代は、紛れもない訳で、彼が、どんなに奮闘しても、一人では、抱えきれない事件が発生するのだから。
    勿論、ヴァランダーの、犯罪捜査の力量は、これからも絶対に必要だし、生きざまには、魅力ある訳で、素晴らしい作品は、もっと沢山世に出てほしい。

    0
    2021年05月02日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    一冊も読んだことが無いのに本屋さんでずらっと並んでいる背表紙を何度も見ていたせいか作家のフルネームと『白い雌ライオン』というタイトルが記憶に残っていたシリーズ、知人の読書家に「すごーく面白い」と聞いたのと、最近北欧の作品を固めて読んでいることもあり遂に読み始めました。日本語版発売から20年経過していますが、自分が主人公ヴァランダーの境遇や感情を理解しやすい年齢になっているので今のタイミングで読んで正解でした。移民の問題や制度が目指したものと実際の運営状態の解離、都市部と農村部の違いなどが、衝撃的な事件とその捜査の合間に丁寧に語られます。中年刑事の常?としてヴァランダーは妻に捨てられて惨めで荒ん

    0
    2021年04月27日
  • 背後の足音 下

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ 7作め。
    同僚の殺害と、全ての、事件が、どのような形でつながるのか、読み始めてから、ページをめくる手が、止まらない。ヴァランダーが、犯人を、予想し始めてからも、ドキドキするほど。
    捕まえた犯罪者の、人となりは、現代社会の中にも、多々存在しうる怖いストーリーでした。

    0
    2021年04月23日
  • 五番目の女 上

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ、6作め。
    この作品も、単なる刑事物ではない。物語の、残虐性だけでなく、そこには、弱者を、悼む必然性が、生む複雑で、混沌とした復讐が、あって哀しみがある。ヴァランダーや、周辺の人々の、関わりが楽しみのシリーズ

    0
    2021年04月23日
  • ピラミッド

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーが20代の新米警官時代から、40代の中年刑事まで、モナ(若い時はガールフレンド、その後結婚して別居)や父親との関係に悩みながら持ち前の勘と粘り強さで事件を解決する姿を描く。
    いつもながら実直なヴァランダーとそれを取り巻く、こらまた実直な刑事たち。みんな何かに悩んでるのは一緒だな。そんな人生を含めて楽しめるのが、このシリーズ。やっぱり長編が読みたいな。3.8
    フレーズを読んで思ったのは、the Wireのリアリティ。はつらつとしてるのはマクノルティくらい(それでも中年だけど)、女性刑事も見た目より実力。Boschもそれに近いかな。その点、シカゴPDはイケメン&美人でリアリティ

    0
    2021年04月18日
  • 目くらましの道 下

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ 5作め。この作品で英国推理作家協会のゴールドダガー賞を、受賞している。
    スウェーデン史上稀に見る連続殺人の犯人を、追うヴァランダーの推理力や、忍耐と、粘り強さは、圧巻!この作品でも、児童買春や、上流階級者の闇等、本筋同様に、重い問題が、提起されている。

    0
    2021年04月16日
  • 笑う男

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ 4作め!今回は、犯人の実態が、掴めないまま、ストーリーが、進んでいく。
    経済犯罪の大きな暗部である隙間を、つき、既得権益や、臓器売買等、奥が、深く全てを、解決する事が、難しい中、前作で刑事返上をも決めてうちひしがれたヴァランダーの戦う姿には、感無量!

    0
    2021年04月16日
  • 白い雌ライオン

    Posted by ブクログ

    ヴァランダーシリーズ、3作め!
    前作では、地図を見たりしながら読んだけど、今回は、世界史の、知識の必要性も少し感じたなぁ、アパルトヘイトは、わかっていても、ボーア人のなん足るか、南アフリカの複雑な文化は、ほぼ無縁でしたから!
    でも、ヴァランダーの決死の戦いは、読みごたえ有り!
    スウェーデンの田舎町どころか、世界の広い範囲を、網羅した事件を、読ませるヘニングマンケルって凄い!!

    0
    2021年04月09日
  • 殺人者の顔

    Posted by ブクログ

    ヴァランダー刑事シリーズの一作目、読もう読もうと、思いつつ、やっと読み始めてやっぱりはまった❗
    これは、シリーズ全部読むやつ!!嬉しくて楽しみ!
    移民問題、離婚、子供の問題、親の問題、etc.そりゃもう、事件だって重ねて起こるし、彼(主人公)と、共にどっと疲れるけど、人間の日常って、やっぱり綺麗事だけではないもんね。
    さぁ、何処迄も一緒に解決して行きます!

    0
    2021年03月27日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    夫が浮気をした。最近会話もない。妻も夜中に家を飛び出し成り行きで浮気をした。不倫小説かなんだありふれたテーマかと読み始めたら、あちこちで小さい山が鳴動して落石に会うくらい驚いた最後だった。


    恋して衝動的に結婚した夫婦は甘える間に甘えておかないと、青春ホルモン(?)と子孫繁栄本能が消えかかると、そこからは思いやりの暮らしになる。それに気がつかない妻のエーヴァ、急に冷たくなったのはなぜかと悩む。自立しすぎた妻は夫の欠点に目をつぶって生活をリードしてきたのだ。

    夫は息子の保育園で不倫相手を見つけていた。相手は離婚経験のある、手を差し伸べたくなるようなリンダで、彼は同棲する準備をして、口実を作

    0
    2021年03月08日