柳沢由実子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「緑衣の女」、ミステリというよりは文芸作品といった趣き
トリックを明らかにしていくというよりは、人間の心のひだを探ってく感じでしょうか
ひたひたと人間の深部に分け入っていく
そうした社会や人間の暗さ・よどみを、淡々と語る怖さがあります
衝撃的な出来事も(ミステリの事件としては地味ですが)、表面的な説明に終わらないのが、類書と画するところ
第三者からしたらどうでもないことが、当事者にとっては、いびつに強烈に印象に残ったりする
そんな感性的な描写もあって、惹きつけられました
個人的に残念に感じたのは、モチーフとして「緑衣の女」の印象が薄かった点
「緑衣」にも、何かしらの意味があるとよかったで -
Posted by ブクログ
ネタバレ刑事ヴァランダーの原作本ということで。
中年でダメダメな男性刑事というキャラは日本の小説でも最近はとくに珍しくなくなったと思うのですが、これは男の駄目さの描写が素晴らしい。女の私が読んでも、仕事と家族に悩む中年男性の疲れが胸に迫ります。
イアン・ランキンのリーバスよりも、地に足のついた疲れ方(?)っぽい。
しかし老夫婦の惨殺事件、移民の殺害事件、どちらも難しいものを、逃げ出さず放り出さずに取り組む姿だけでヴァランダーが信用するに足る人間だと読者には実感できます。
終盤、彼は大事な刑事仲間をじわじわと失っていくのですが、その部分が良かった。大事な人を亡くしたことがある人ならば、ヴァランダーの喪失 -
Posted by ブクログ
秘密にしておきたい過去を持つふたりの女。
優秀で母親の愛情を一身に受けた兄を持つ完璧主義の女医モニカと、ヘルパーの手を借りなければ生きていくことのできない異常な肥満体の女マイブリット。
ふたりの人生が交錯したときに何が起きるのか。
この作品に出てくるふたりの女性は、過去の出来事によって心に傷を持っている。過去に対して極端とも言える向き合いかたをしたために、自ら生きにくくしてしまう。
こういう傾向はわたしにもあるため、主人公の特にモニカの気持ちが少しわかる。
もっと気持ちを楽に、自分を責めて自分に罰を与えてばかりでなく自分を赦すことをした方がいい。頭ではわかっても、それをすることが出来ない。