柳沢由実子のレビュー一覧
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マルティン・ベックシリーズの5冊目。
ですが、なんと新訳プロジェクトは一旦ここで休止とのこと。そんなぁ……。
本書の冒頭は謎の男の自殺に始まり、監視中の男のアパートが爆発炎上、グンヴァルド・ラーソンの八面六臂の大救出劇と、息もつかせぬ”つかみ”で始まります。
そこからはすでにお決まりとなった個々の捜査ターンに入るわけですが、だれてしまいがちなこの展開でも飽きないのは、キャラクターの個性が立っているからこそ。5作目ともなればすっかりお馴染みのメンバーの、しかし意外な一面が見られるので楽しく読めます。
今回は特に、ラーソンとルンの友達関係がよかったですね〜。一見正反対に見える二人の親密さには微笑ましくなりました。
一方で「どうした?!」と聞きたくなったのがコルベリ。
ベックの女房役として頼もしい彼ですが、今回は新人をいじめるわ、愛妻と我が子の待つ家に帰りたがるわ……。急転直下の結末といい、作者がなぜコルベリに試練を与えたのか、うーん。それは次巻以降を読めばわかるんでしょうか。。
緊迫感があり、グイグイ読み進められた『笑う警官』に比べると、謎も犯人も曖昧模糊とした印象の本書でしたが、それでも安定した面白さがあります。
それにしても、捜査の途中だろうときっちり土日休みも夏季休暇も取る国民性。彼らが成果を挙げているのを見ると、日本人はもっとこれを見習うべきですよね、うん。
どうしても気になって、次巻以降の感想を書かれている方のブログなども読んだのですが、これはぜひ第10巻まで追いたかったなぁ……。角川さん、いま一度ご検討のほど、よろしくお願いしますm(_ _)m -
Posted by ブクログ
マルティン・ベックシリーズの3作目。レギュラーキャラが増えて、ますますベックチームに厚みが増してきました。
今回はストックホルム市内で幼い少女が何人も犠牲になってしまう、なんとも胸の痛い展開が続きます。市内にホームレスが溢れる様子も描かれ、まさに「福祉大国スウェーデン」の影の部分にまざまざとスポットライトが当たることに。
その点で読んでいて気持ちのいいものではないのですが、全体の構成がとても美しい。
冒頭に「バルコニーの男」が登場し、メインの事件と並行して捜査する他の事件が解決の糸口となる。なんだか映画の『踊る大捜査線THE MOVIE2』を思い出してしまいました。レインボーブリッジのやつです。
人事面では、前作でちらっと出てきたグンヴァルド・ラーソンがいつの間にかベックの配下に。続く『笑う警官』では憎めない印象だったのですが、今作はまだだいぶアクが強く、ベック達からも白い目で見られる始末(^^;しかし、ベックの頭にずっとあった「なにか」を思い出すシーンはとてもよかった!メランダーすごい。
それにしても、あれだけストックホルム中を混乱に陥れた犯人を捕まえるのがあの二人でよかったのでしょうか……?彼らを一体どんな立ち位置にしようとしているのか、それがシリーズ最大の謎かもしれません。笑
リアルタイムで進行していく捜査、緊張感が高まる市民たち、そして警察の執念とチームプレイ。
マルティン・ベックシリーズは、警察小説のお手本として、いずれも満足度の高い読書を楽しむことができます。次は『笑う警官』を再読しようかな……。 -
Posted by ブクログ
住宅建設現場で死後100年弱の人骨が発掘されたが、その人骨の身元を調査するうちに、大昔の家庭内暴力事件が浮かび上がってきた…というアイスランドの警察小説。
前作に引き続き、主人公はレイキャヴィク警察のエーレンデュル捜査官だが、エーレンデュルの娘は妊娠しているのにドラッグ中毒で昏睡しているし、離婚した元妻がブチ切れて怒鳴りちらしてくるし、サイドストーリーとしてはなかなかの受難続きなのに、メインストーリーである人骨にまつわる家庭内暴力事件もかなり悲惨。
読みやすいが、このシリーズが今後もこの陰鬱路線を続けていくなら、追いかけるのを躊躇してしまいそう。 -
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ネタバレアパートで見つかった老齢の男の死体。突発的な犯行の様子は、殺人事件の少ない典型的なアイルランドの殺人。だがそこには「おれはあいつ」という、犯人が残したと思われるメッセージがあった。
調べを進めると、殺されたホルベルクは過去に女性をレイプしていたことがわかった。さらに、ホルベルクにレイプされた女性コルブルンはその事件の結果妊娠し、娘を産んでいたことも発覚する。だが、その娘は4歳で脳腫瘍のため死んでしまった。
エーレンデュルたち警察は、死んだ娘の病気はホルベルクからの遺伝性の疾患なのではないかということと、ホルベルクにレイプされ、子どもを産んだ女性が他にもいたのではないかと睨む。
時を同じくして、ホルベルクが住んでいた湿地のアパートの床下から、かつてホルベルクとともに悪さをしていて、後に行方不明になっていた男の死体が見つかる。
エーレンデュルはかつてホルベルクにレイプされた女性を見つけだし、彼女がエイナルという男の子を産んだことを知る。そしてそのエイナルは、アイスランドが全国民の健康状態を記録したデータベースにアクセスして、自分の出自とホルベルクから受け継いだ遺伝性の疾患のことを知ったのだった。
北欧ミステリ特有の陰鬱さ。主人公の刑事・エーレンデュルも、家庭に大きな問題を抱えている。そういった要素もまた惹きつけられるポイント。 -
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お〜〜!
なんだか切ない終わり方。。
今作をもって、しみじみとヴァランダーとお別れ。
なんか世話の焼ける、
めんどくさいけど放っておけない友人と過ごすような、そんなシリーズだった。
最初はヴァランダーのやらかしに苦笑いしたり大笑いしたり、気楽に読んでいたけれど、
今回はヴァランダーの年齢が自分と同じくらいに近づいたこともあって、その失敗を笑えなくなり、
心配すると共に、他人事ではないこの先の自分の在り方というものもひしひしと考えさせられた。
あと二作、短編などがあるようだけど
わたしの中では終わった感。
ありがとうヴァランダー。
おつかれさまヴァランダー!
最後に気になったことを彼に告げたい。
飼い犬、預けすぎ。