柳沢由実子のレビュー一覧
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ネタバレ続けて読みどっぷりアイスランドに嵌まった。アーナルデュル・インドリダソンの三冊目。この本のテーマは社会主義国とそこの若者達という感じ。旧ソ連の影が色濃く差す東ドイツに留学した学生たちの重い青春記とも。
東ドイツのライプツィヒ、ベルリンの壁崩壊以前の大学生たちの若さが痛々しく、先頃発見された殺害されたが遺骨の捜査と交互してストーリーは展開してゆく。
お馴染みになった刑事たち、二作目からここまでまた月日が経ったようでそれぞれの身辺少しずつ変化している。
情けないオヤジのエーレンデュルは相変わらず娘、息子と関係は築けてない…。
翻訳者の解説によると、北欧ではこのシリーズ15作目まで出版されてると -
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ネタバレ家族の件など、個人的な苦悩を抱えながらも、捜査官として事件の真相を黙々と追い求めるエーレンデュルの静かな力強さが良い。捜査の進展と並行してある家族の物語が語られますが、描写こそ淡々としているのに、その悲惨さがひしひしと伝わってきて、読んでいてしんどいのだけど目が離せなかった。
ただ捜査していた2つの可能性のうち、片方の√が終盤で割とあっさり無関係とわかってフェードアウトしたのは少し拍子抜け。あと『湿地』のときも思ったけど、締めのラストシーンだけがなんだか妙にメロドラマっぽい。あのラストも、今作を読めば決して安易な結末でない(むしろ人間そんなに簡単には生まれ変われないよ、という事を残酷な形で突 -
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「その国を知りたければ、その国のミステリ小説を読め」と誰かが言っていた(「あとがき」かな…)。
“アイスランド”
その国の正確な位置を知っている日本人はどれだけいるだろう。
よく見る世界地図ではスカンジナビア半島とは遠く離れているように思えるが、北極点を中心とした地図を見ると、この島から南南東にあるイングランドとほぼ同距離で、東にノルウェーがあることが分かる。
と、同時に「小さく」感じる。
離婚した中年刑事と娘、昔ながらの捜査、性差別・蔑視とレイプ事件、麻薬中毒、これらは北欧と言わず欧米ミステリ小説にはよく見られるが、この物語ではさらに「血」が強調されている。
「住民は遡れば皆どこかで血縁 -
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本作は、2003年ガラスの鍵賞と2005年ゴールド・タガー賞受賞の2冠の作品で、''湿地''に次ぐエーレンデュル捜査官シリーズ第2段です。
・ガラスの鍵賞とは、国際推理作家協会北欧支部の五カ国アイスランド・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・ノルウェーでスカンジナヴィア推理作家協会が最も優れた推理小説に贈る文学賞です。
・ゴールド・タガー賞とは、英国推理作家協会(CWA)が選ぶ最優秀長編賞です。ちなみに次点作品にはシルバー・タガー賞が贈られる。
レイキャヴィクから東にある新興住宅地の建築現場の地層から人骨が発見された。
肋骨をしゃぶ -
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あーいやだ、いやだ……。
いやになるほどの孤独な中年男性の生活。
出て行った妻へたたみかけるように詰問する姿、前頭葉の老化による感情コントロールの低下に刑事という職業の癖が加わり相手を不快にする……そりゃ逃げるわ〜。
そのくせ、「褐色の女性」との妄想や、女性検察官へのちょっかい……。
妻や娘のことも、父親のことも、逃げるようにしてお酒に埋没したり、お腹ができたことを気にしながら、サラダをいやいや食べる姿など、ゾッとする。
数十年会ってない友人に突然しつこく電話したり、慌てて隠れた時にぶつかった怪我も「殴られた」とうそぶく……。
いったいこの人のどこが良いのか?
ところが、読み進めていくうち -
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ヴァランダーのシリーズ2作目。2作目なのにいきなりスウェーデンを飛び出し、独立後においてもロシア支配が色濃く残るラトヴィアが舞台です。事件の発端は密輸船の乗組員が漂流する救命ボートを発見し回収しようと手繰り寄せたところスーツを着た死体が2体乗っているのに気づき、沿岸まで牽引してきたこと。歯の治療痕などから死体はラトヴィアのギャングであることがわかり、かの国の警察に引継ぎをするべく一人の刑事に来てもらいます。お互いに得意でもない英語で言葉少なに会話し黙って酒を飲んだリエパ少佐とヴァランダーはお互いに尊敬の念と親近感を持ちます。ラトヴィアに引継いだのでこれで一件落着したはずが、帰国したその日にリエ
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一冊も読んだことが無いのに本屋さんでずらっと並んでいる背表紙を何度も見ていたせいか作家のフルネームと『白い雌ライオン』というタイトルが記憶に残っていたシリーズ、知人の読書家に「すごーく面白い」と聞いたのと、最近北欧の作品を固めて読んでいることもあり遂に読み始めました。日本語版発売から20年経過していますが、自分が主人公ヴァランダーの境遇や感情を理解しやすい年齢になっているので今のタイミングで読んで正解でした。移民の問題や制度が目指したものと実際の運営状態の解離、都市部と農村部の違いなどが、衝撃的な事件とその捜査の合間に丁寧に語られます。中年刑事の常?としてヴァランダーは妻に捨てられて惨めで荒ん