柳沢由実子のレビュー一覧
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9作目、進路に悩み登場する度に違うことをしていた娘リンダが遂に決意して警察学校を卒業、あと数日でイースタ署に配属され働き始める、というタイミングで事件が起こります。正式にはまだ一般人なのでだけれどヴァランダーの娘であり行方不明になったのがリンダの友人ということでなんとなく捜査の周辺で危うい感じに自己流に捜査に関わるリンダ。今回はリンダの視点で話が進行するのでこれまでとは違い、優秀で良い人物だけれど一緒に働いたり暮らしたりするには気難しくむら気で付き合いにくいクルトの姿が浮き彫りに。事件は狂信的な新興宗教(大きいくくりではキリスト教)の信者が掲げる歪んだ正義に基づくもので嫌な感じに不安を煽られる
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惨殺された、元自動車販売で詩人で鳥愛好家のホルゲ・エリクソンと花屋主人で蘭愛好家のユスタ・ルーンフェルトの2人には共通点が見つからない。上巻から続くこの状況に変化が無く記憶も定かでは無くなってくる。もっとテンポ良く展開しないものかと思いながら読み進む…が、3人目が袋に入れられて湖で溺死した事件から展開のテンポが急に早くなり俄然面白さが増して来た。
次々と連なる捜査による情報は、今まで全く繋がらなかった事件の点と点がはっきりと結ばれる様に見えて来た。
作中にも触れられていますが、私はこの犯人に同情を禁じ得ない。ストーリー後半では捕まる事なく己の目的を達成してくれと願いました…不謹慎ですが -
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スウェーデンの南端イースタ警察署の警部クルト・ヴァランダーシリーズ第4段です。
前回の事件で南アフリカ大統領の暗殺を企てている一味の1人を銃殺したヴァランダーは精神的に不安定になり一年以上も休職していたが警官を辞める事を決心した。
イースタ署に最後の出勤をする朝に新聞で友人弁護士が殺された事を知ると、辞職の決心が霧散した。殺される数日前にトーステンソンは静養中のヴァランダーを訪ね、弁護士の父親が交通事故に見せかけ殺されたと相談されていたからだ。
捜査の進展が捗々しく無い時に、トーステンソンの秘書ドゥネールの自宅庭に地雷が埋められ、ヴァランダーの車は爆破される。更に役所の担当者の不 -
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スウェーデンのミステリー作家ヘニング・マンケルの''ヴァランダー刑事''シリーズの初刊です。現在邦訳作品は、創元推理文庫から12作発表されてます。
ヴァランダーは、スウェーデン南部(胡蝶蘭の様に垂れ下がった島がスウェーデンとしてその先っぽ)のスコーネ地方のイースタという小さな街の警察署の刑事です。
事件は、イースタの西にある田舎町の農夫が隣家の友人農家宅で人が死んでいると通報が有った。隣人の農夫は惨殺されその妻はロープで首を絞められていた。犯人は強盗目的と思われるが、老夫婦には狙われる様なお金は持っていなかった。
容姿は中年のそのままで趣味は -
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アイスランドの首都レイキャビク警察のエーレンデュル捜査官シリーズ第3段(邦訳)です。
本シリーズは、現地アイスランドでは既に1997年から2016年で既に15作品が刊行されて居り、邦訳の最初の刊は''湿地''(2012年)で現在迄に5作品が刊行されてます。邦訳作品は、ガラスの鍵賞やゴールド・タガー賞等を受した作品ですが、どの刊もとても面白いので是非に邦訳未刊行の作品の出版を心待ちにしてます。
今回の事件は、レイキャビクのホテルでドアマンの男がホテル地下の住込み部屋で刺殺された。折下クリスマスで男はイベント用のサンタクロースの衣装だった。
エ -
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「刑事ヴァランダー」シリーズ第二弾
どうしようもなく「中年男」の主人公ヴァランダー、余計なお節介なんじゃないかなって思うラトヴィア行き
動機がまたまた「女性」目当てって、なんだかコメディドラマ?
いえ、とってもシリアスなミステリードラマで、そのアンマッチが、ヴァランダーの魅力かもしれません。
相変わらず推理というより「体当たり」で、映画「ダイハード」のジョン・マクレーン並みのハードワーク
なぜ読者が主人公に寄り添う感覚があるかといえば、この物語がヴァランダー一人の目線のみで進行するからかな〜
だから主人公の困惑も疲労感も、すぐに読者に伝染する。
突然のシーンチェンジもなく時系列で進むか -
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湖が干あがったために発見された一体の白骨。殺害されたことを示す頭蓋骨の穴と、体に結び付けられたソ連製の盗聴器。この死体は誰なのか、なぜ殺されたのか、姿を消した失踪者から辿ろうとエーレンデュルたちの捜査が始まる。
現在進行の捜査活動の叙述の間あいだに、アイスランドから社会主義の理想を信じて東ドイツ、ライプツィヒの大学に留学した学生の生活が挟み込まれる。時はハンガリー動乱直前。そのときの何がが、この白骨死体に関係しているのか。
本作は時代背景が重要なポイントとなっているが、冷戦時代のアイスランドの国際政治的な位置について、初めて知ることが多かった。
主筋のストーリー自体はもちろん、主人 -
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ミステリを通して社会を描く。最近のミステリの傾向だが、北欧ミステリはマルティン・ベックシリーズを筆頭にそうした傾向が強く、捜査官エーレンデュルを主人公とする本シリーズも同様の指向性を持っている。
冒頭、人骨が発見される。一点、夫から妻に対する暴力の描写。
骨の主は誰なのか、どうして埋められたのか、事件性はあるのか、捜査活動が進んでいく。一方で凄まじい家庭内暴力。人が人に暴力を振るい屈従に追い込んでいく様子がこれでもかと描かれる。
そしてまた、捜査の責任者、主人公エーレンデュルの痛々しい過去が少しずつ明らかにされていく。破綻した家庭生活と捨ててしまった子供たち。ドラッグに身を持ち崩した