柳沢由実子のレビュー一覧

  • リガの犬たち

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    キナ臭い世界(社会)情勢をテーマにしているもののそうした問題性を映した物語としては凡庸というか残念な作の印象。ルポ(報道)が伝えるところの圧政(暴政)の現状など易く知ることが出来るワケで、そこ(ラトヴィア)に招かれてほとんど旅行客然の主人公の暢気さに対しては、いくらなんでも・・の認識(思慮)の不足がうかがえるように思われた(言い過ぎか?)。しかしそれでも惚れっぽい主人公ヴァランダーの人間臭さの魅力はよくとらえられ、また物語展開の緊張感あるその最中にも巧くユーモアを織りこんだ筆致はよかった。終盤は緊迫感ある展開で惹きこまれはしたのだけれどやはりもう少し物語に厚みが欲しかった。

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    2018年04月17日
  • 声

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    4月-1。3.5点。
    ホテルのドアマンが、ホテルの地下室で殺害される。
    少年時代、ソプラノ歌手だった被害者。

    哀しい人生。この作家、事件と言うよりは被害者の人生の描き方が珠玉。背景が哀しく、はまれる。

    次作も期待。

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    2018年04月07日
  • 声

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    アーナルデュル・インドリダソン『声』創元推理文庫。

    シリーズ第5作で、邦訳作品としては第3作。事件に面白味がある訳でもなく、展開が静か過ぎて好みではなかった。

    クリスマスシーズンのホテルの地下で、元ドアマンだった男がサンタクロースの扮装でめった刺しにされた。捜査官・エーレンデュルは捜査を進めるうちに被害者の驚愕の過去に触れていく。

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    2018年02月04日
  • 殺人者の顔

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    12月-8。3.0点
    老夫婦が惨殺される。妻は死亡前に「外国の」と言い残す。
    等身大の刑事、ヴァランダーが捜査に。
    元妻に未練たらたら、娘は問題児。
    地道な捜査で、犯人逮捕。
    次作に期待。

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    2018年01月09日
  • 刑事マルティン・ベック バルコニーの男

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    マルティン・ベックシリーズ第三弾は、1963年に起きた実際の事件が背景になっている。ストックホルムに住む人々の、短い夏を楽しむ独特の季節感が流れる中、事件の発生は厳密に時間を追って展開され、ほぼ殺人事件のみに焦点が当てられ、説明に不要な言葉はない。

    警察小説の魅力と言う点では、マルティン・ベック・チームの顔ぶれと、彼らのチームワークも魅力的。彼らは平凡な生活を送り、平凡な考え、平凡な問題を抱えた現実味のある刑事ばかり。決して一枚岩ではないが、何だかんだ言い合いながらも捜査のポイントは外さない。

    今回も手掛りのない厳しい捜査だが、結果的に見るとチームワークの勝利とも言える。事件は読んでて辛か

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    2017年05月13日
  • 霜の降りる前に 下

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    (上巻より)

    ヴァランダーの娘のリンダが警官になる前夜というのも、面白い設定なのに、
    二人でぶつかってばかりで読んでいて楽しくない。
    リンダが父親が働くのを見て、リーダーとしての資質、みんなを引き付ける何かを見るが、それが何か描かれていなかったので、私には見えなかったし。

    とにかく、人の弱さを暖かく見守ることがない。
    それは悪いことではないだが、
    最後にリンダが警官になった後、自分が助けられたように少女を助ける話がとってつけたようで、感動的に感じられなくて残念だった。

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    2017年03月16日
  • 霜の降りる前に 上

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    ヴァランダー警部シリーズ。

    セクト内の大量殺害の生き残りというかなり興味深い設定にも関わらず、
    それが生きている感じがしない。
    宗教的リーダーになっていく過程も描かれていないので、人々がその言葉に従っているのにも説得力がないというか、嘘くさいし。

    動物を燃やすのも意味がわからないし、最初に殺された小道の研究家が結局関係なかったことも、話をつまらなくしている気がする。

    (下巻へ続く)

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    2017年03月16日
  • ファイアーウォール 上

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    なかなかタフな読み物で物語の進行が実際の捜査の様に遅々として進まない。だが着実に進んでいる。面白いぞ。

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    2016年12月22日
  • 霜の降りる前に 下

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    主人公がリンダになって、最後のドタバタ具合も含め、少し落ち着いている感じ。こちらはこちらで面白かったが、やっぱりヴァランダー主役の方が好き。ただ、作者が亡くなってしまい、いずれにせよ続きは読めない。残念。

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    2016年05月10日
  • 霜の降りる前に 上

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    ヴァランダー9作目ではあるが、主人公は娘のリンダ。話もリンダ中心で、シリーズものではあるが、若干違う印象。以前より重い感じも少し減っている感じ。下巻に期待。

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    2016年05月09日
  • 霜の降りる前に 下

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    30歳になるリンダは、紆余曲折を経て父親と同じ道を選んだ。そんな赴任前の彼女の友人がいきなり失踪する。矢も楯もたまらず勝手に調査するリンダ。だが彼女の行動が強引で、友人の留守宅に入り込むわ、日記は読むわ、車は乗り回すわで、いくら身を案ずるためとは言えなかなかの暴走っぷり。案の定、父クルトは怒りを爆発させるが、それでも娘の想いを汲んで捜査に参加させるのは、警察官としての熱意を買っているのかな。

    リンダの視点でストーリーは進むが、彼女が見ているのは事件だけではない。娘の暴走を抑制し、時には厳しく諌める父親を冷静に分析し、そんな父譲りの気難しさを受け継ぐ自分自身についても理解している。これはヴァラ

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    2016年03月10日
  • 殺人者の顔

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    期待したシリーズだけれど、正直途中が退屈だった。

    北欧に漂う様々な社会問題の一旦を垣間見ることができるが、続けて北欧ミステリーを読んできたので少し辟易気味。何もかもがうまくいく理想国などないことを痛感させられるのは少しばかり辛い。

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    2016年02月08日
  • 殺人者の顔

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    不勉強でスウェーデンに深刻な移民問題があることを知らなかったけど、警察小説として楽しく読めた。
    主人公のクルトは仕事はできるものの、妻とは離婚、娘にも見放され、父親は認知症の症状が出始めている。
    おまけに気になる美人検察官は既婚者で酒を飲んだ挙句に大失敗もしてしまうのだけど、そのダメっぷりが人間くさくて良かった。
    翻訳の文章が少し固いのが気になるけど、キャラは好きだから続きも読んでみたい。

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    2015年01月08日
  • 五番目の女 下

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    ヴァランダー警部の本。
    個人的にヴァランダーさんはあまり好きになれない人だと思いますが事捜査の進め方、発想に関してはピカイチだなとは思います。が。毎回不満なのがラストの捕り物シーン。というか個人プレイが多すぎる気がするんですよね。日本だと必ず二人一組で、ってイメージがあるんですがヴァランダーさんとこは人員不足だかなんだか知りませんが毎回一人で必ず痛い目にあってるのに懲りない。今回も駅で応援頼んどいたら彼女の怪我は防げたんじゃないのかなあ?それが不満です。バイパさんも…なんか本当に彼女が好きというよりは自分が疲れた時に女性に家に居てほしいだけって気がするんですが。

    そして表に出されず被害を受け

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    2014年06月19日
  • 五番目の女 下

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    <クルト・ヴァランダー>シリーズ6作目 消化不良気味でした。色々詰め込みすぎで、肝心なところがぼやけて分かりにくかった。

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    2014年06月06日
  • 喪失

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    アルヴテーゲン2作目、推理小説というかドラマ小説?地名が多く出てくるので日本語で読むとちょっとくどく感じます。夏の別荘への思い入れとかはなるほどスウェ人らしい描写。ホームレスという背景も社会問題をうまく取り上げてるな~。スタッズミッションで薬もらえるのは知らなかった。Från Stockholmare till Stockholmareというのにはそういう補助も含まれてるんですね。

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    2013年11月13日
  • ファイアーウォール 上

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    ヴァランダーシリーズ初。
    前作は未読でもヴァランダーの魅力は伝わってきた。
    焦る気持ちを抑え下巻へ。

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    2013年10月12日
  • ファイアーウォール 下

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    ネタバレ

    (上巻より続く)

    作品自体もだらだら長いわりには消化不良。
    妙に細かく書いていることが全く筋立てには関係ないし、
    それでいて、謎解きが不十分。

    例えば、
    SE以外の犯人側の下っ端が犯罪に加担していく詳細が全くないので、
    スコーネが世界的犯罪の舞台になっている現実味がない。
    極東の島国で定期的に核の怪獣が暴れるよりも非現実的だ。

    ヴァランダー警部への告訴をあんなにからめていたのに、
    告訴を免れた経緯も省かれてしまってるし。

    唯一救われたのは、娘のリンダが警官を目指す決意をしたことだけだ。

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    2013年10月03日
  • ファイアーウォール 上

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    ヴァランダー警部は、本当に優秀な警部なんだろうか。
    部下に言われている通りリーダーシップもないし、
    女にだまされてるし、
    情報を共有しないでひとりで突っ走っちゃうし、
    なぜかまた犯人に狙われてるのは彼のせいではないにしても、
    本当にいいところがない。

    (下巻に続く)

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    2013年10月03日
  • 背後の足音 下

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    ネタバレ

    (上巻より続く)
    しかも、ちらちらしているヒント(女装とかホモセクシャルとか郵便とか)が、
    読者にはわかりやすぎて、
    警察にはわからなすぎて、いらいらする。

    とにかく、
    同僚の死とその隠された私生活よりも、
    同期の不条理さよりも、
    バイパを失った衝撃よりも、
    なぜか糖尿病の怖さだけが、印象に残ってしまった。

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    2013年09月27日