柳沢由実子のレビュー一覧

  • 苦悩する男 上

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    自分のモットーとしてすべて出たとこ勝負で生きてきた。
    まさに!それで解決しちゃうけど許せる面白さだよな。このシリーズ。

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    2021年02月07日
  • 刑事マルティン・ベック バルコニーの男

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    療養中につき、いつもなら本棚の奥にしまい込んでオブジェ化してるお気に入りの本に手を伸ばしてみました。
    やっぱり面白いなぁ!
    この巻でグンヴァルト・ラーソンさんが初出かあ。感慨深い。
    これからどんどんますます、登場人物たちに深みが増してくるんだよね。
    犯人はもう分かってる。でもこの小説の面白さは当てものの部分じゃない。
    次巻にも手を伸ばしてしまいそう。

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    2021年01月23日
  • 声

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    ミステリ。警察小説。シリーズ3作目。1、2作目は未読。
    作品全体の暗く冷たい雰囲気と、アイスランド・レイキャヴィクの雰囲気が良く合う。
    濃密な人間ドラマが特徴的。
    登場人物の心理描写が丁寧。
    偶然見かけた全く知らない作品だったが、かなりの好印象。
    シリーズ追いかける予定。

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    2021年01月19日
  • 湖の男

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    ネタバレ

    シリーズを続けて読んでいるうち、作者はアイスランドという国そのものを書こうとしているのではないかという気になってきた。
    もちろん主人公であるエーレンデュルと、娘や今回初めて姿を見せた息子との関係性の変化や、恋愛事情なども書かれているけれども。

    今回発見された白骨死体を調べていくうちに、冷戦時代の東ドイツに留学していたアイスランドの学生たちが浮かび上がってくる。
    戦後、ワシントンとモスクワの最短直線経路下にあったため、民主主義の最前線としての米軍基地がおかれ、なのに資本主義では搾取される一方だったアイスランドは、沖縄の米軍基地を思い起こさせる。

    そんな時、東ドイツから招待され留学生として社会

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    2020年12月25日
  • 苦悩する男 上

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    ヴァランダー・シリーズ最終巻。ストーリーの合間に何気なく挿されたエピソードにドキッとさせられる。えっ、もしかしてアルツハイマー?

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    2021年01月06日
  • 湖の男

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    ちょっと時間がかかった、というか途中まで読んでちょっとおいてあった本(面白かったのだけれど、当時ちょっと余裕がなくて頭が回らなかった)
    読み始めたら一気だった…やっぱりこのシリーズはすごいなぁ…こういう地道な操作でたどり着く感じすごく好き。そして挟まれる当時の話がそわそわする。
    決して明るくない、ジメジメしたお話。でもとても好き。続きもまた楽しみ。

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    2020年12月05日
  • 緑衣の女

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    ネタバレ

    日本の三分の一の面積で、人口30万人の国、アイスランドが舞台。
    火山と温泉の国というイメージだったのだけど、この作品を読むと、薬物依存、幼児虐待、DV等、荒廃した社会が見え隠れする。
    とはいっても殺人事件は年に2~3件しかないのだそうだけど。

    新興住宅街で発見された60~70年前の人間の白骨。
    夫のDVで、心も体もボロボロにされる家族。
    流産がもとで意識不明状態の娘を見舞いながら捜査の指揮をとるエーレンデュル。

    3つの話を柱にストーリーは進むが、DVの部分を読むのがもう辛くて辛くて。
    人としての尊厳を踏みにじられ、子どものためにだけ生きる母。
    そんな母を見てみぬふりをすることでしか身を守る

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    2020年11月26日
  • リガの犬たち

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    刑事ヴァランダーシリーズ第2作。

    ある冬の早朝、スウェーデンの海岸に救命ボートに乗った二つの死体が漂着する。
    彼らは誰で、一体どこから流れ着いたのか。

    捜査協力のためバルト三国はラトヴィアの都市リガから、スウェーデンのイースタに派遣された警察官、リエパ中佐。
    その彼が帰国当日に殺害され、今度はヴァランダーがリガへ向かい・・・

    1990年代、ペレストロイカの煽りで揺れ動くラトヴィア国家。
    その病巣を暴くべく革命を企てる活動家たちと協力しながら、事件解明へ動くヴァランダー。

    活動家たちとヴァランダーの接触は絶対に知られてはならない。そのために、現実とは思えない(いや小説なんだけども)危

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    2020年10月31日
  • 刑事マルティン・ベック 消えた消防車

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    シリーズ10作中、この第5作目にて、日本での翻訳は終了とあとがきにあり、とても残念。
    海外小説は売上が芳しくないと、シリーズ半ばでも翻訳されなくなるので、これ以上マルティン·ベックたちのの活躍が読むことができなくなってしまった。
    これから、どんな事件に遭遇し、解決していくのか、読みたかった。

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    2020年10月18日
  • 北京から来た男 下

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    殺人現場の家を訪れたビルギッタは、密かに数冊のノートを持ち出した。その中に“ネヴァダ"の文字を見たからだ。それはスウェーデンの寒村とそっくりの事件が起きた土地。日記は1860年代、アメリカ大陸横断鉄道施設工事の現場監督が残したものだった。貧しさにあえぐ19世紀の中国の寒村、鉄道建設に沸く開拓時代のアメリカ、そして発展著しい現代の中国、アフリカ。現代の予言者マンケルによる、ミステリを超えた金字塔的作品。

    作品の持つ熱量に、だだただ圧倒されるだけ。

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    2020年09月21日
  • 北京から来た男 上

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    凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの寒村に足を踏み入れた写真家は、信じられない光景を目にする。ほぼ全ての村人が惨殺されていたのだ。ほとんどが老人ばかりの村が、なぜ。休暇中の女性裁判官ビルギッタは、亡き母が事件の村の出身であったことを知り、ひとり現場に向かう。事件はビルギッダを世界の反対側へ、そして過去へと導く。

    未読だったノンシリーズ作品を読む。
    冒頭に加えて、150年前のエピソードは壮絶。
    下巻に続く。

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    2020年09月20日
  • 殺人者の顔

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    1990年代のスウェーデンが舞台の刑事ヴァランダーシリーズ第1作。
    一応ミステリー小説にカテゴライズされるのだろうけど、これミステリーじゃない!
    殺人事件の捜査が柱にありつつ、謎解きがメインじゃない人間ドラマ。
    登場人物たちの内面の葛藤や生活、そして事件捜査としての"自分の仕事"に対する姿勢がとても魅力的。
    ヨーロッパらしい自立した考えの大人が議論を交わす形で社会的背景と国家の問題を印象深く盛り込んでもいる。過激な思想の押し付けがなくスマートなので、余計に考えさせられる。
    翻って、アクションシーンはハリウッド映画も真っ青の大迫力!
    ミステリーの概念吹っ飛んだ。
    これまで読ん

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    2020年09月08日
  • 霜の降りる前に 下

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    著者が亡くなったことを知り、残り少ないシリーズ物を読んでしまうのが惜しかったのだが。ヴァランダーの一人娘リンダが警察官になる直前に巻き込まれる事件を描く物語。いつもながらの警察署の面々、亡き父(リンダには祖父)やバイバ(リガに帰ったかつての恋人)のエピソードがちょくちょく出てきてシリーズを貫く良い雰囲気を本作でも感じ取れる。
    一方、リンダの行動は警察官になる前とはいえ軽率さが目立ち、ストーリーにも粗さか。
    それでもヴァランダー物語の番外編として読めば満足。3.9

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    2020年08月23日
  • 殺人者の顔

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    ネタバレ

    クルト・ヴァランダーシリーズ第1作。
    順を追わずにいくつか読んでいるこのシリーズだが、未読作品も読んでみたくなり手を取った。

    クルトの私生活描写が生々しい。奥さんに愛想をつかされ、娘には異国の恋人ができ(それを知らされず)、乱れた食生活で太り、酔っ払い運転で部下につかまり、酔った勢いで美人女性検事の腰を抱きかけてどつかれ…、なんという駄目っぷり。
    認知症気味の父親とのぎこちないやりとりや、その父親の今後を姉と相談するシーンなどは、駄目なわけではないが、高齢者福祉社会に住む中年男の悲哀感もたっぷりで、妙なところに親近感がわく。

    でも仕事になると、猛烈に働くねんなぁ。決して天才肌の名探偵で

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    2020年08月19日
  • 裏切り

    購入済み

    ぐいぐい引き込まれました

    ぐいぐい引き込まれ一気に読んでしまいました。誰に感情移入するかで読後の感想も変わってくるかも。映画を観ているような面白さでした。

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    2020年01月17日
  • 裏切り

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    30代のキャリアウーマンの女性が主人公。
    著者も真面目な女性なのか、夫に裏切られた妻の心理が丁寧に書かれていて引き込まれる。
    途中話しがくどいというか、無駄?に長く感じられたのが残念。

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    2020年01月15日
  • 声

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    アーナルデュル・インドリタソンは「このミス」で見つけた。「湿地」「緑衣の女」に続いて三冊目になる。流行の北欧ミステリなのだが、同じ地域だと大雑把に捕らえても、その作風はそれぞれまったく違っていて面白い。
    アーナルデュル・インドリタソンの作品の舞台からは当然北の風土感が伝わってくるが、読みどころは捜査官のエーレンデュルの心理描写や風景描写は、繊細で品がいい。

    エーレンデュルが抱えている個人的な悩みも深い、エピソード風に挿入されている過去に起きた出来事、彼の未だに囚われている苦しみに事件解決よりも惹かれるときがある。

    今回の事件は、クリスマス前の浮き立つ世間をよそに、有名ホテルのドアマンが、地

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    2019年12月30日
  • 緑衣の女

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    「湿地」に続く二作目だけれど、アイスランドという国は特に馴染みがないせいか、「湿地」でも最初は読みにくかった。
    特に名前や土地に着く「ヴ」という音のつながりが、遠い国を実感させた。
    「湿地」を読むのに、改めて地図帳の北欧というところを選んで、拡大されたページを見てみた。北極圏にあるグリーンランドに近い寒いところらしいと思っていたが、日本の1/3くらいの広さを持つ丸い島国で、随分進んだ文化や歴史のある国だと知った。
    あまり深入りして調べだすと、夢に見たり、行ってみたくなるので(行けはしないのに)考えるのも程ほどにして、話を楽しんだ。

    この「緑衣の女」は訳者のあとがきによると、激しいDV描写があ

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    2020年01月11日
  • ファイアーウォール 上

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    これでヴァランダー刑事との付き合いは4作目になる。題名を見て、ITに疎い所はどうするのかと思った。同僚の刑事達が何とかするのだろう。まぁ読んでみよう。
    そして見事に外れた。

    ヴァランダーは理解できない世界に迷い込んでしまう。

    こんなことが起きるなんて、分からない。どうなっているのだ。
    それぞれにどんな繋がりがあるのだ。ITの宇宙とはなんだ。

    少女が変電所の高圧線の上に放り投げられて焼死した残虐な事件、少女たちはタクシー運転手を惨殺していた。
    その後ATMの前で男が突然死した。ITのプロらしいこの男は二箇所に仕事場を持っていたが、手がかりは残されたパソコンだけだった。
    突然死で彼はデータを

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    2020年01月11日
  • 目くらましの道 下

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    <上巻とあわせて>

    はじめての北欧ミステリー。

    初めは聞きなれない地名や人の名前にとまどったけれど、一文が短くわかりやすく訳されているのでとても読みやすい◎
    翻訳をされている柳沢さんの講演に伺った際、「北欧ミステリー作家は、社会小説家だ」とおっしゃっていたことがよくわかる内容だった。
    特にジェンダー平等について。
    なくならない女性への暴力、人身売買。
    女性上司との関係性、女性同僚へ信頼の置き方の変化など…。

    そんなことを抜きにしても、最後まで面白く読み進めることができる小説だった!
    犯人が分かっているので、犯人と警察の立場から同場面を読めるのが面白い。
    「答え」に迫った後半の怒涛の展開は

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    2019年12月28日