柳沢由実子のレビュー一覧
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ネタバレ刑事ヴァランダーの原作本ということで。
中年でダメダメな男性刑事というキャラは日本の小説でも最近はとくに珍しくなくなったと思うのですが、これは男の駄目さの描写が素晴らしい。女の私が読んでも、仕事と家族に悩む中年男性の疲れが胸に迫ります。
イアン・ランキンのリーバスよりも、地に足のついた疲れ方(?)っぽい。
しかし老夫婦の惨殺事件、移民の殺害事件、どちらも難しいものを、逃げ出さず放り出さずに取り組む姿だけでヴァランダーが信用するに足る人間だと読者には実感できます。
終盤、彼は大事な刑事仲間をじわじわと失っていくのですが、その部分が良かった。大事な人を亡くしたことがある人ならば、ヴァランダーの喪失 -
Posted by ブクログ
秘密にしておきたい過去を持つふたりの女。
優秀で母親の愛情を一身に受けた兄を持つ完璧主義の女医モニカと、ヘルパーの手を借りなければ生きていくことのできない異常な肥満体の女マイブリット。
ふたりの人生が交錯したときに何が起きるのか。
この作品に出てくるふたりの女性は、過去の出来事によって心に傷を持っている。過去に対して極端とも言える向き合いかたをしたために、自ら生きにくくしてしまう。
こういう傾向はわたしにもあるため、主人公の特にモニカの気持ちが少しわかる。
もっと気持ちを楽に、自分を責めて自分に罰を与えてばかりでなく自分を赦すことをした方がいい。頭ではわかっても、それをすることが出来ない。 -
Posted by ブクログ
ミステリとしてはそこそこ。
けれども、主人公の造形が気に入った。
父親の介護問題を抱え、別れた妻に未練たらたら、年頃の娘とはしっくりいかない、旧友との仲もぎくしゃく。思いつめて(?)、魅力的な女性検事についセクハラに及ぶ中年刑事。
そんな等身大(ただし最近お腹が出ている)のアンチ・ヒーローにもただひとつ残されたものがあって、それは正義心。
憂鬱な北欧の冬空の下、人生には倦みつつも、正義感に衝き動かされ、陰惨な殺人事件の捜査に(中年男の人生のしがらみに寄り道を余儀なくされながら)邁進する。
脇役刑事たちの個性も光っているし、なにより、主人公と同僚刑事たちのチームワークがいい。
一大シリーズ -
Posted by ブクログ
ネタバレスウェーデンを舞台にした警察官が主人公のミステリー。
ミレニアムや湿地と同じく北欧的な霧や暗さ、ジメジメっとした雰囲気がストーリーとリンクしていて物語に引き込まれて行く。
主人公は50歳?位の犯罪捜査官の責任者。
離婚を経験し娘はいるが大学進学を機に離れて暮らしているため、生活には孤独感が漂っている。
今回の犯罪はPCのネットワークを標的にしたものと、それと管轄で起きる殺人事件が複雑に絡み合う。
50代の主人公にはPC分野は全くわからない、そこで部下や外部のハッカーと連携して捜査を進めるわけだが…。
プライベートでは孤独感に悩み、仕事では犯罪が複雑になり今までの考えではついていけなくな