あらすじ
タクシー運転手殺害で逮捕されたソニャ。脱走した彼女は、変電所で死体となって発見された。自殺か他殺か? 単純なはずの事件が一気に様相を変える。一方、現金自動支払機の前で死んでいたITコンサルタントの男性の死体がモルグから盗み出され、代わりにソニャとの繋がりを疑わせるものが置かれていた。男の周辺を調べ始めたヴァランダーは、コンピュータに侵入するために、天才的なハッカー少年の手を借りる。新しい時代の犯罪についてゆけず、苦しむヴァランダー。人気シリーズの転換点。
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Posted by ブクログ
〜ファイアーウォールがあるのはコンピューターの世界だけではなさそうだ。自分の中にもある。自分でもどうやって突き抜けたらいいかわからない防火壁が。〜
というわけで刑事ヴァランダーシリーズも外伝入れても残り3作品ですよ
もうなんかこれから新たな物語が始まる感を最後に出しておいて終わるのかい!っていうね
刑事ヴァランダーシリーズとはなんなのか?っていうのが、かなりはっきりと見えてきましたよ
すばり警鐘ですな
スウェーデンという国をうっすらと覆う社会不安にいち早く気付いたヘニング・マンケルがクルト・ヴァランダーというめんどくさいおっさんを通して警告を発しているように思うのです
このまま進んで本当に大丈夫なの?と
そしてそれは当然の如くスウェーデンだけの問題じゃないわけです
だって世界は繋がっているから
この作品が世に出たのは1998年
ファイアーウォールを突き破るのは
もう遅いのか?
まだ間に合うのか?
Posted by ブクログ
ヴァランダー・シリーズの邦訳8作目の下巻。上巻と比べてテンポは速くなり、一気に事件の真相へと突き進むストーリーには迫力を感じる。また、これが1998年の作品というから驚く。まるで現在のネット社会の到来を予想していたかのようなテーマをベースにスケールの大きなミステリーが描かれる。
Posted by ブクログ
「ファイヤーウォールがあるのはコンピューターの世界だけではなさそうだ。自分の中にもある。自分でもどうやって突き抜けたらいいかわからない防火壁が。」
物語も後半、ほとんど過ぎていくのに解決策の見えないまま時間だけが過ぎてゆくばかり。大変恐ろしいIT世界。これはフィクションの中だけではないように思われました。世界は今、これからどうなってゆくのか。
Posted by ブクログ
ヴァランダー警部もこれまで頑固なまでにITとは無縁な仕事のしかたをしてきたけれど、今回の捜査ではいろいろと考えさせられることばかり。しかも信頼していた仲間のうらぎり行為もありピンチ!!そんな多忙な中、さびしき独り身の中年男ヴァランダーは彼女欲しさにマメな行動に出たもののとんだことに!?相変わらずカワイイ警部なのです。あと2作でこのヴァランダー・シリーズも終わり。なごりおしいな〜。
Posted by ブクログ
ヴァランダーシリーズ 8作め。
この作品が、ヴァランダーシリーズ最後のつもりであったとの事。わかるなぁ!だって世の中が、ITの世界に凌駕され、右往左往する姿!そして世代交代は、紛れもない訳で、彼が、どんなに奮闘しても、一人では、抱えきれない事件が発生するのだから。
勿論、ヴァランダーの、犯罪捜査の力量は、これからも絶対に必要だし、生きざまには、魅力ある訳で、素晴らしい作品は、もっと沢山世に出てほしい。
Posted by ブクログ
長かったけれど面白かったです。
ただ、計画されていた犯罪がどんなものだったのか、
もっともっと具体的に知りたかったなぁ。
このシリーズ、初めて読んだのがこの本なので、
改めて最初の作品から読んでみます。
Posted by ブクログ
スウェーデンを舞台にした警察官が主人公のミステリー。
ミレニアムや湿地と同じく北欧的な霧や暗さ、ジメジメっとした雰囲気がストーリーとリンクしていて物語に引き込まれて行く。
主人公は50歳?位の犯罪捜査官の責任者。
離婚を経験し娘はいるが大学進学を機に離れて暮らしているため、生活には孤独感が漂っている。
今回の犯罪はPCのネットワークを標的にしたものと、それと管轄で起きる殺人事件が複雑に絡み合う。
50代の主人公にはPC分野は全くわからない、そこで部下や外部のハッカーと連携して捜査を進めるわけだが…。
プライベートでは孤独感に悩み、仕事では犯罪が複雑になり今までの考えではついていけなくなってくる、そんな閉塞感が感じられる。
さらにそこに信頼しているもの裏切りにも合い読んでいてちょっと辛い。
ただ、ミステリー部分はしっかり伏線を回収しながら見事に解決してくれるので、そこは読み応えがあった。
あと、主人公が抱える閉塞感・暗さが失業問題や北欧が抱える若者の閉塞感とリンクしていて感じがしより読書に深さを感じた。
Posted by ブクログ
上巻では、ゆったりとした展開が
下巻では一気にスピードアップ
「警察は妬みと陰口と裏工作の巣窟だ」
複雑に絡み合った糸。
事件は解決し、綺麗な一本の糸になるのか。
パズルのピースが全てピタリと当てはまらない場合もある?
Posted by ブクログ
ヴァランダーは本作で50歳くらいになったのだったか?
その歳になって、署長や部下のあの仕打ちは確かにこたえることだと思う。
本シリーズも残すところあと2作とのこと。
寂しくもあるが早く読みたい。実際、スウェーデンでの出版より、日本は10数年遅れているそうなので。
娘のリンダが警官になるという。新たなシリーズも楽しみ。
Posted by ブクログ
クルト・ヴァランダーのシリーズ第8弾、後半。
タクシー運転手から金を奪った少女が脱走した事件。
別件に関連があるとわかり、しかもヴァランダーは苦手なコンピュータが重要な糸口を握っている。
ヴァランダーは、ハッカーとして釈放されたばかりの少年ローベルト・モディーンを頼ることに。
一方、孤独な生活が長くなったヴァランダーは、広告を出して交際相手を求め、魅力的な中年女性エルヴィアに巡り合う。
(ほかのスウェーデン・ミステリにもこういう交際は登場していましたね)
スウェーデンは犯罪増加に警察が対応しきれない状態である様子。
イースタは小さな町なので人員も少なく、のめりこみ型のヴァランダーは一人で暴走することにもなりがち。
部下の女性で信頼しているアン=ブリット・フーグルンドから思わぬ話を聞かされて、ショックを受けることに。
署内での問題に内憂外患といった趣だけど、娘のリンダが将来を決めたと報告してくる喜びも。
リンダ中心の作品も出るのかな?
Posted by ブクログ
タクシー運転手殺害の容疑者の少女が警察署から脱走し、変電所で死体となって発見される。病死と思われたITコンサルタントの死体が安置所から盗まれ、代わりに少女の事件と関連のあるものが置かれていた。
ハッカー少年の手を借りながら、捜査を進めるヴァランダーたちだったが、目の前には大きな陥穽があった。
14年前に書かれた作品ですが、今の時代に読んでも古さを感じさせません。シリーズはあと2作。うち一冊は確か短編集のはず。楽しみに待ちたいと思います。
Posted by ブクログ
数年前に逮捕した被疑者の葬儀に出席するシーンから始まる。そんな事件あったかしらと記憶を呼び起こし愕然とする。このシリーズにハマるきっかけとなった傑作なのに、犯人の名前すら忘れかけているとは。他にも過去事件の断片がちらちらと顔を出し、いよいよフィナーレが近いことをイヤでも認識させられる。
今回の事件はコンピュータ犯罪。前作で犯罪の多様化にスポットを当ててみせたが、ますます複雑で、しかも高等なスキルを要する犯罪の本質に作者は警鐘を鳴らしている。だが読み終えてみると、メインは事件ではなくヴァランダーなのだという印象が強い。
組織内で孤立し、友は去り、新しいタイプの犯罪に焦燥する彼の姿は、いつにも増して疲れているように見える。過去にとらわれるあまり、現在で足踏みしてしまっている諸々の状況が、悲しくもあり可笑しくもあり。フィナーレを迎えるのは必然なのかな。でもこれだけのキャラクターなのに、異常な肩入れをせずに、シリーズ内でちゃんと成熟させている作者のスタンスには毎回感心させられる。
事件の解決と主人公の苦悩──作中でふたつのストーリーが同時進行しているように見えたが、結局はひとつの物語として終結するから不思議。キレイにまとまってないところが逆に現実っぽくて私は好きです。壁を撃ち破ったヴァランダーの決意が気になるところだが、あとがきを読むに、第九弾は数年先かな。
Posted by ブクログ
全キャラがたちすぎてて魅力たっぷり。人間関係も読ませます。全ての謎が解決しないのもリアルでいい。
1998年の作品なので、自分はその時19歳。あの頃日本でITはまだまだ未発達だったように思うんやけど(確か携帯持ち始めた頃)、海外は進んでいたということでしょうか。14年後の今読んでも全く違和感がないのがマンケルの先見の妙といったところなんかな。
終盤に気付くタイトルのダブルミーニング。こういうのも巧いなと思う部分。
#tsg13doors
Posted by ブクログ
上巻の感想にも書いたけど、
ヴァランダー、なんだかいろいろ気の毒で胸が痛んだ。
自分自身を古いタイプの捜査官と自覚しており
仕事でもプライベートでも自分のやり方を貫き、
周囲との軋轢を生む彼。
そんな彼を理解する…してたと思ってた人間が
ひとり、またひとりと遠ざかって行く。
悲しいなぁ。
事件の方はもうなんかどうでもよくなってきて(失礼)
ヴァランダーという人物そのものの行く末が
この作品の読みどころになってきた。
ちゃんと見届けよう。
最後、少し光が見えた。
あと残り2作品!
Posted by ブクログ
ファイアーウォールとは“防火壁”
今でこそ当たり前に誰もが知っていること。
この小説は1998年に書かれた。
日本ではバブル崩壊ののちに潰れるはずがないはずの大手証券会社や銀行が倒産し、長い経済停滞期に入った。いわゆる“失われた20年”の始まりだ。
この間にITは急速に発展して、生活のありとあらゆるところに絡み込んでいる。
反面、依然としてこの小説に描かれているリスクは取り除かれてはいない。
ヘニング・マンケルは、今回も刑事ヴァランダーを通じて、世界の向かう先への懸念を描く。
ただ、これまでの物語に比べると、登場する人々の魅力が薄くなっていて、ちょっと残念。
どう残念かは、ネタバレのため、書きません。
エピローグに描かれていた娘リンダとのやりとりが、次作へのモチベーションを保っている。
Posted by ブクログ
よい展開だったのに、ヴァランダーの常識外れの行動で醒めてしまった。捜査の重要人物を、知り合ったばかりの人に託すか? さらに年をとっていくとどうなっていくんだろう。
Posted by ブクログ
高福祉国歌のスウェーデンが決して平等ではないと思い知らされた話。事件は解決しても、全ての謎や動機が明らかになった訳ではないというのが現実的。マーティンソンが怖い。獅子身中の虫。お父さんが亡くなって、ヴァランダーは変わったみたい。
Posted by ブクログ
(上巻より続く)
作品自体もだらだら長いわりには消化不良。
妙に細かく書いていることが全く筋立てには関係ないし、
それでいて、謎解きが不十分。
例えば、
SE以外の犯人側の下っ端が犯罪に加担していく詳細が全くないので、
スコーネが世界的犯罪の舞台になっている現実味がない。
極東の島国で定期的に核の怪獣が暴れるよりも非現実的だ。
ヴァランダー警部への告訴をあんなにからめていたのに、
告訴を免れた経緯も省かれてしまってるし。
唯一救われたのは、娘のリンダが警官を目指す決意をしたことだけだ。