柳沢由実子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今回は政治小説だ。
スェーデンのことが理解できていないのか、
ヨーロッパのことを理解できていないのか、
もう一つの舞台、南アフリカとの距離感がつかめない。
(地理的物理的な距離感ではなく、文化的社会的距離感)
人や情報のの移動量の問題なのかもしれないが、
たとえば、日本とアメリカは物理的距離は遠いが、
文化的には比較的近い。
南アフリカは、一刑事が人を逃がしてやろうとするぐらい、
スェーデンから近い場所なのだろうか。
前作もそうだったが、
主人公の職務から逸脱が非現実的にしか思えない。
また、主人公の捜査が勘ばかりなのも納得できないし、
犯人への固執にも共感できない。
なんだかな。 -
Posted by ブクログ
このシリーズがなんで肌に合うと感じるのかわかった。
ヴァランダー警部は常に、自分がこの仕事に向いていないと感じている。
若くなく(この作品では40代だ)、こんなことを言う。
「おれは警察官以外の仕事のことをこのごろしょっちゅう考えるようになっている」
結婚にも失敗した。孤独で、大した希望もない。そんな、中年の諦念と焦りと哀しみとが、見事に描かれていて、読んでるこの中年男に響いてくるのだ。
今は亡い先輩の言葉との間で、ヴァランダーは揺れている。
「おまえさんは一生涯警官だろうよ。もうわかってもいいころだよ。じたばたするな」
ただ、このシリーズ三作目は、これまで読んだふたつにくらべると、息も