【感想・ネタバレ】白い雌ライオンのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年03月18日

「大切なことは最初に言おう、でないと忘れてしまうから」と言ったのは十五世紀のパン屋さんヒマーワリ・メーロンですが、彼の言葉に習って言います
刑事クルト・ヴァランダーシリーズ第三の物語は文庫本で700ページの大長編でしたよ!
うん、この情報は私の感想よりよっぽど重要w

とにかくもうヴァランダーが大好...続きを読むきだ!
あえて言おう、彼こそ男の中の男であると

前にも書いたかもしれないが、本当に男のいいところ(と男たちが思っているところ)と男の恥ずかしい部分が凝縮されたキャラクターと言っていいのではなかろうか

意固地でまっすぐでロマンチストで臆病で怒りっぽくて自分勝手だ

彼は直感によって仕事を進めるタイプの刑事だが、それは天才的なひらめきと言った種類のものではなく、経験や修練から生まれた鋭い観察がもたらす勘どころみたいなんを信じて行動しているにすぎないような気がする
それを他人が見ると直感と感じる
ようするに熟練した職人と言うべきで、こんなところにも自分は男を感じでしまうのだ(女性の職人さんごめんなさい)

そしてなによりヴァランダーはけっこう失敗する
いや、失態と言ったほうが正確だ
部下に助けられたり、家族に迷惑かけたりする
極めつけは酔っぱらって想いを寄せる女性に迷惑な電話をかけてしまい、恥ずかしい思いをしてしまう

情けない場面を曝しまくる男が葛藤を抱えながらも闘う姿勢がかっこいいのだ!

でもやっぱり女性には読んで欲しくない
男の情けない姿はなるべく知られたくないのです

だが女たちは言うだろう
男が情けないのはアダムとイヴの時代から知っていると
やっぱり女はなんでもお見通しだ

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Posted by ブクログ 2022年04月02日

レビューを書いてないままになっているのにひと月以上経って気づいたものの、もう概要を忘れてしまってきちんとした文章を書けなくなってしまいました。無念。かなりのページ数でしたが内容にひっぱられてぐいぐいと読み進められました。題名が印象的ですがこれも読み終わって納得。事件はただ間違った時間に間違った場所に...続きを読む居合わせてしまっただけの一般市民の女性が殺害され遺体が遺棄されたため行方不明になり、残された夫が地元警察署に届け出てヴァランダー刑事が捜査にあたるが手がかりがほとんど無く難航する捜査という軸と、南アフリカ共和国(執筆された当時はまだアパルトヘイト政策が撤廃される前)で白人優位を死守しようという勢力が、要人の暗殺を計画しその要人の生命そのものと政治の流れを抹殺するだけでなく、行われる暗殺の実行犯を単なる駒ではなく人種政策において重要な意味を持つ人物にすることで大きな流れを断ち切ろうと画策するという二つの軸が並行して交互に描かれていき、それらがどう交差してひとつの事件になったかというのを解き明かしていく、圧巻の作品でした。南アフリカ共和国の政情についてなど、巻末に丁寧な解説があり、全て読み応えがありました。ペースはぼちぼちですが全作通して読みたいシリーズです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月24日

前作「リガの犬たち」と違い、同じ国際犯罪でもスウェーデン内の捜査だから説得力がある。
マバシャが最後の場面に臨んだら、どんな選択をしたのだろうと思ってもみた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年07月04日

ヴァランダーシリーズの3冊目。
今回の舞台はスエーデンと南アフリカ共和国。

バツイチで情けない中年男のヴァランダーだがその生き方は骨太でゆるぎない。(ときどき揺らぐ…?)
今回も男の友情のような力強い姿を見せてくれた。
警察という職業からももう隔絶しているほど。

前回のペレストロイカに続き今回の...続きを読むアパルトヘイト。
世界史の授業より味わい深い世界の情勢がわかった気がしてくる。


2022年7月
再読。大統領暗殺事件、こちらは首相狙撃事件とリンクもしたし、黒人問題、国家間の緊張など、現代の世界情勢も頭から離れない状態で読み進める。
また、続きを読みたい衝動に駆られる。ヴァランダーシリーズ、いつも手元に置いておきたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年11月17日

スウェーデンの南端の街、イースタを舞台にしたヴァランダー警部シリーズ第3作。ヴァランダーは、不動産業を営む女性の失踪事件を担当する。やがて彼女は遺体で発見されるが、その近くの民家では謎の爆発事件が起き、不可解な遺留品が発見される。一方、遠く離れた南アフリカでは、とある陰謀が動き始めていた―。

よう...続きを読むやく読み終わりました。文章は読みやすいのですが、何せ分厚い。電車の中で読もうと思っても、バッグが小さいとうっかり持ち歩けないのです。

警察小説というよりは、国際謀略小説ですね。スケールが大きい。田舎警察とはいえ、イースタは国境に近い交通の要所なのですね。ミステリを期待すると「ちょっと違う」と思うでしょう。最初にヴァランダーが担当していた失踪事件の真相は、第2章でさっさと種明かしされてしまいます。第3章から後は、ヴァランダーと旧ソ連工作員の対決になり、そこに娘のリンダも巻き込まれていきます。

南アの陰謀事件の方は、首謀者の思惑通りになりかけますが、ほんの偶然の出来事から事態は急展開。そして最後の場面で、冒頭に起きた失踪事件に関するちょっとした謎が明かされます。この「謎」のことはすっかり忘れていましたが、風呂敷を畳むというより落穂拾いのようなラストが良かったと思います。謀略の嵐を過ぎて、ヴァランダーも田舎警察の警部に戻ったのだな……と、ちょっと安心。

ところで、前作『リガの犬たち』に登場したバイバ・リエパが名前だけちらりと出てきましたが、彼女の再登場はあるのでしょうか。

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Posted by ブクログ 2011年02月22日

ヴァランダー警部が働くイースタの管轄区域とは縁が深いでもない“謀略”が、「女性の失踪」という事件を切っ掛けにヴァランダー警部の身に降りかかる災厄となっていく…何か凄い展開である…
凄く引き込まれてしまった…

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Posted by ブクログ 2022年10月02日

展開がヤバく文体が渋い
二度と人に会うことはないと知っているのは幸運だ、なにかが残っているはずだから。

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Posted by ブクログ 2022年04月20日

長い、とにかく長い700ページ。
だからと言ってつまらないというわけではなく、二冊同時に読み切った感じ。

南アフリカ共和国がまさに変わろうとしているとき、北欧スウェーデンで不思議な殺人事件が起こった。

読み手は前作同様に、ヴァランダーの執拗な行動の行方と次々に巻き起こる新たな展開、その先にあるこ...続きを読むとへの興味でひっぱりこまれていく。

いっぽうで、
ネルソン・マンデラとデ・クラーク大統領による平和的な変革への道筋が、まさに進められているとき、これまでの社会を維持するために暴力による動乱の陰謀が企てられ、陰謀の気配を知ったものとの探り合いが始まる。
……作者はその様子を、これだけで一つ小説が成立するほど深く描写している。
(だから、これほどのボリュームになったとも思える)

このシリーズに登場する人物は、みな、なにかを抱えながら生きている。
主人公ヴァランダーや同僚、家族は前作同様だが、この物語では、相対する人物にもそれが見られる。
元ソ連KGBのコノヴァレンコ
南アフリカの白人政治結社メンバーで陰謀の実務推進者ヤン・クライン
南アフリカの黒人でありながら白人からの暗殺請負を生業としているマバジャ
スウェーデンに住むロシア人でコノヴァレンコの協力者リコフとタニア
ヤン・クラインの家政婦ミランダとその子供
などなど……。
彼らがここにいたるまでの道のりも、読者へ訴えるものがうっすらと透けて見える。

20世紀のアフリカ大陸の矛盾……。
白い雌ライオンが見つめる先は、なにか。

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Posted by ブクログ 2021年04月09日

ヴァランダーシリーズ、3作め!
前作では、地図を見たりしながら読んだけど、今回は、世界史の、知識の必要性も少し感じたなぁ、アパルトヘイトは、わかっていても、ボーア人のなん足るか、南アフリカの複雑な文化は、ほぼ無縁でしたから!
でも、ヴァランダーの決死の戦いは、読みごたえ有り!
スウェーデンの田舎町ど...続きを読むころか、世界の広い範囲を、網羅した事件を、読ませるヘニングマンケルって凄い!!

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Posted by ブクログ 2013年06月09日

不動産屋の女性が行方不明になった事件を皮切りに、空き家が爆破され、中から黒人の指が見つかった。これらの事件がどう繋がっていくのか、南アフリカとロシア、そしてスウェーデンの関係は?刑事ヴァランダーシリーズ、3作目です。今回もとても面白く読みました。ヴァランダーが精神的に追い詰められ、最後は辛そうな感じ...続きを読むでしたが、次回できっと復活してくれるはず。

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Posted by ブクログ 2012年10月08日

スウェーデンの片田舎のヴァランダー警部シリーズ3作目。どんどん壮大な話になっていっている。今回は南アフリカでの暗殺事件に絡む。最後の結末を本人がしっかり知らないで終わるのもなかなか。

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Posted by ブクログ 2012年07月04日

スウェーデンの片田舎で起きた犯罪と南アフリカで密かに進行する要人暗殺をうまく絡めて上質なミステリーに仕上げるマンケルの腕は確か。
魅力的な脇役も多く、病んでいくヴァランダーを心配しながらページを進めていたら、700ページがあっという間。
展開がサスペンスっぽくなっているので、いつもよりは物語に動きが...続きを読むあって派手だ。
たまにはこんなヴァランダーもいい。

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Posted by ブクログ 2012年03月19日

スウェーデンのミステリ。
警部クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ3作目。
ここから分厚くなってます。

イースタはスウェーデン南端の田舎町だが、交通の要衝にあるため、国際的な事件も起きうる。
思いも寄らぬ南アフリカの陰謀に巻き込まれる。
南アフリカでの人種問題をさかのぼるプロローグから、重厚に書...続きを読むき込まれています。
国際的なベストセラーになった理由がわかる気がしました。

ヴァランダー個人は妻に出て行かれたのはもう諦めたが、次の一歩は踏み出せず、落ち着かない精神状態。
ストックホルムに住む娘のリンダが心配でいつも会いたがっているのだが、なかなか上手くいかない。
捜査のためにストックホルムに出向くと、リンダがすっかり大人の女性になっていることに気づかされる。
画家の父親はすこし呆けかけているような兆候もあるのだが、家政婦と結婚すると言い出して、ヴァランダーを焦らせる。

ごく普通の主婦が3日、行方不明に。
おそらくもう死んでいるだろうと感じながらも口には出せず、捜査に取り組む署員。
捜査していくと主婦にも意外な側面があったりはするのだが。
ヴァランダーは事件にのめり込むことで突破口を見つけるタイプ。
容疑者の一人と深く関わることになる。

南アフリカ共和国での出来事も緊迫していて、迫力。
ひどい人種差別が長く続いた後、変化が訪れようとしているが、それに対する抵抗も大きい。
権力を握るボーア人(オランダ系入植者)の生活ぶりがリアルなので、ネルソン・マンデラ暗殺を狙う動きも説得力があります。
1993年発表当時、マンデラが27年間の投獄から釈放されたという時期から隔たっていないリアルタイムだったことも、力のこもっている原因かも。
ソ連の崩壊も、世界を動かしていたのですね。
南アフリカからは遙かに遠いスウェーデンがなぜ関わるか、ということにも理由はちゃんとあるのです。

暗殺のために雇われた殺し屋マバシャは、アフリカのズールー族の出。
異国をさまよう男の心象風景に深みがあります。
ヴァランダーの家族まで巻き込んだ対決と銃撃戦へ。

作者は何年もアフリカに住んで仕事をしていた経験があり、帰国後にスウェーデンの人種差別が悪化していると感じたとか。
それも実感を伴った描写に繋がっていると思います。
2004年9月翻訳発行。

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Posted by ブクログ 2022年01月06日

 スウェーデンの作家、ヘニング・マンケルの''ヴァランダー警部''シリーズ第3作です。
 スウェーデン本国では、1993年に刊行されてます。
 ヴァランダーは、44歳の冴えない中年男性刑事。

 本作は、文庫で700ページも有る長編ですので楽しみです。

 事...続きを読む件は、1992年4月に夫婦で経営する不動産屋の妻ルイースが失踪しヴァランダーは事件と考え捜索を開始するが、ルイースの立ち寄った場所の近くの家で爆発火災が発生し焼跡から黒人の指が発見される。
 更にルイースの自宅からは、手錠が見つかる…円満そうな夫妻に何らかの秘密が隠されている予感がします…

 本作冒頭で登場する、1918年から脈々と続く南アフリカの白人主義者の組織がルイース殺しに絡み、次第に大それた犯罪の陰謀が見え隠れする中、ヴァランダーも巻き込まれて行く。

 南アフリカで混乱を引き起こす為に、暗殺が計画され暗殺者マバシャがスウェーデンでロシア人コノヴァレンコから訓練を受けていた。その暗殺者マバシャがルイース殺しの際に訓練アジトから逃げ出しヴァランダーに匿われる事になるが、警官のヴァランダーが暗殺者を匿い更には、コノヴァレンコの仲間を射殺、コノヴァレンコに娘リンダが誘拐される。
 と、ストーリー後半はアクションミステリーばりの展開が激しく興奮して来ます。
 

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年08月06日

今回は政治小説だ。
スェーデンのことが理解できていないのか、
ヨーロッパのことを理解できていないのか、
もう一つの舞台、南アフリカとの距離感がつかめない。
(地理的物理的な距離感ではなく、文化的社会的距離感)

人や情報のの移動量の問題なのかもしれないが、
たとえば、日本とアメリカは物理的距離は遠い...続きを読むが、
文化的には比較的近い。

南アフリカは、一刑事が人を逃がしてやろうとするぐらい、
スェーデンから近い場所なのだろうか。

前作もそうだったが、
主人公の職務から逸脱が非現実的にしか思えない。
また、主人公の捜査が勘ばかりなのも納得できないし、
犯人への固執にも共感できない。

なんだかな。

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Posted by ブクログ 2013年08月06日

このシリーズがなんで肌に合うと感じるのかわかった。
ヴァランダー警部は常に、自分がこの仕事に向いていないと感じている。
若くなく(この作品では40代だ)、こんなことを言う。
「おれは警察官以外の仕事のことをこのごろしょっちゅう考えるようになっている」

結婚にも失敗した。孤独で、大した希望もない。そ...続きを読むんな、中年の諦念と焦りと哀しみとが、見事に描かれていて、読んでるこの中年男に響いてくるのだ。

今は亡い先輩の言葉との間で、ヴァランダーは揺れている。
「おまえさんは一生涯警官だろうよ。もうわかってもいいころだよ。じたばたするな」

ただ、このシリーズ三作目は、これまで読んだふたつにくらべると、息もつかせずページターンさせるほどじゃなかった。つまらなくはないけれど、マンデラとデクラークの暗殺計画という話の枠が大きすぎて、ちょっと持て余しぎみな感がある。

妙に丁寧に(読者にむかって)状況説明してくれるゴルゴの依頼者のように、なんだか冗長だ。
べつの巻に期待しよう。

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Posted by ブクログ 2012年11月30日

陰謀の結末は最初からわかっているだけにそこに至るまでどう読ませるかが、作品の鍵になる。何の罪もない善良な主婦の悲劇から始まり、南アフリカの陰謀が平行して進む。冷徹で無慈悲なロシア人が最後までふてぶてしく悪人なのが印象的。サスペンス色濃いシーンの書き込みが少しわかりにくかったのが難点。面白かったのは間...続きを読む違いない。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

社会情勢を軸に描くシリーズだが、本作品はその特徴が色濃くなっている。スウェーデンが舞台なのだが、南アフリカの人種差別が物語の根底にあるので、序盤は相当な違和感があった。視点もスウェーデン側と南アフリカ側に分かれており、両者はなかなか交わろうとしない。しかしストーリーの拡がりと比例するように南アフリカ...続きを読むの人種問題がじわじわと効いてきて、国際謀略という派手なテーマに取って代わろうとする確かな感覚があった。
今回のヴァランダーは気の毒としか言いようがない。事件への巻き込まれ方が半端ではないので、それが逆に不自然にも見えたが、彼の思考が徐々に病んでいくさまは説得力があったと思う。インパクトの強いキャラが何人かいるためヴァランダーの存在感はやや劣るかもしれないが、シリーズを通して確実に成長しているのがよくわかる。

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