柳沢由実子のレビュー一覧
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読み終わってレビューを読んで、あ、シリーズ物だったんだ、と知る。
以前読んだ翻訳ミステリー大賞がかなり良かったので、引き続き購入。
鎌谷悠希の「少年ノート」という漫画をふいに思い出した。
最終話まで読んでいないのだけど、音の描き方が素晴らしくて、芸術だなーと思わせる作品です。
その中に登場するボーイソプラノ達を、この小説のグドロイグルに重ね合わせた。
グドロイグルの声が持つ稀有な美しさ。
けれど、それは父親の管理下だからこそ発揮され、変声期を迎えたことで貶められ、果ては家族としての居場所を失ってしまう。
そんなグドロイグルの死を追う警察官エーレンデュルにも、家族としての居場所を求める娘エヴ -
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孤独な生活を送っていたドアマンがホテルの地下室で惨殺される。
かつて男は、美しい歌声で人々を魅了したことがあった。だが、避けて通ることのできない変声のため、スポットライトを浴びた初舞台で、一瞬にして「ただの少年」へと変わったのだった。厳しく指導し息子に期待を懸けていた父親。失望と嘲笑、果ての転落。以降の人生はもはや「余生」に過ぎなかった。人々との関係を絶ち、人畜無害となっていた男を殺害した動機とは何か。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、私生活でのトラブルを抱えつつも、濁りきった事件の底に沈殿する鍵を求めて、再び水中深くへと潜り込んでいく。
インドリダソン翻訳第三弾。「家族」を主題と -
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ネタバレヴァランダー警部シリーズの作者だったので。
うーん、政治的な事にも、国際関係にも興味がないので、
読み進めるのがつらかった。
スウェーデンの村とも呼べないような小さな集落で、
ある冬の日に起こった残酷な大量殺人。
その動機がアメリカの大陸横断鉄道の苦力の子孫の復讐だということがうっすらとわかってきたあたり、
つまりは上巻の途中から、とくにつらかった。
(そうそう、死体を発見し心臓発作を起こして亡くなってしまったカメラマンはかわいそうだった)
さらにどう関係あるのか全く分からない中国とアフリカの話になった時には、
完全に興味を失ってしまった。
いったい、話をどこへもっていってまとめるつもり -
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ヴァランダーの20代から、第一作『殺人者の顔』前日譚までを集めた中短編集。
刑事を目指していた巡査時代から、イースタ警察署の刑事捜査を担うベテラン刑事までの長期間の年代を追っている。私生活でも、夫婦関係や父親との微妙な確執など、その変化が順を追って垣間見える構成はまさにヴァランダー・ファンのための一冊と言えるだろう。
話によって頁数が大きく異なるので、ストーリーの厚みに多少の差はあるが、短編であってもシリーズらしさは出ていると思う。社会的背景を色濃く出したやるせなさも印象に残るが、やはり警察ミステリとしてのプロセスが秀逸。特に巡査時代である前半が面白く、優秀だが風変わりな刑事の元で、戒めら -
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「ピラミッド」
北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルが生んだ刑事、クルト・ヴァランダー。ガラスの鍵賞受賞の第一長編『殺人者の顔』以前の、若き日のヴァランダーを描いた短編集。
クルト・ヴァランダーが初めて登場したのは「殺人者の顔」で本作は9作目。前作「ファイアーウォール」で打ち留めになる所を「殺人者の顔で描かれた1990年より前のヴァランダー刑事(のち警部)を見たい」との読者の声に答えた形で発表されたのが本作「ピラミッド」である。本作では、新米巡査時代からシリーズが始まる直前42歳までのヴァランダーの活躍を描いた5編の短編(とはいっても表題は原書で237ページもあるらしく、それは短編じゃない -
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キナ臭い世界(社会)情勢をテーマにしているもののそうした問題性を映した物語としては凡庸というか残念な作の印象。ルポ(報道)が伝えるところの圧政(暴政)の現状など易く知ることが出来るワケで、そこ(ラトヴィア)に招かれてほとんど旅行客然の主人公の暢気さに対しては、いくらなんでも・・の認識(思慮)の不足がうかがえるように思われた(言い過ぎか?)。しかしそれでも惚れっぽい主人公ヴァランダーの人間臭さの魅力はよくとらえられ、また物語展開の緊張感あるその最中にも巧くユーモアを織りこんだ筆致はよかった。終盤は緊迫感ある展開で惹きこまれはしたのだけれどやはりもう少し物語に厚みが欲しかった。
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マルティン・ベックシリーズ第三弾は、1963年に起きた実際の事件が背景になっている。ストックホルムに住む人々の、短い夏を楽しむ独特の季節感が流れる中、事件の発生は厳密に時間を追って展開され、ほぼ殺人事件のみに焦点が当てられ、説明に不要な言葉はない。
警察小説の魅力と言う点では、マルティン・ベック・チームの顔ぶれと、彼らのチームワークも魅力的。彼らは平凡な生活を送り、平凡な考え、平凡な問題を抱えた現実味のある刑事ばかり。決して一枚岩ではないが、何だかんだ言い合いながらも捜査のポイントは外さない。
今回も手掛りのない厳しい捜査だが、結果的に見るとチームワークの勝利とも言える。事件は読んでて辛か