柳沢由実子のレビュー一覧
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ヘニング・マンケルに似た雰囲気を感じるのは、翻訳者がどちらも柳沢由美子さんの名訳だからということだけではあるまい。マンケル同様、北欧を代表する作品に与えられるガラスの鍵賞を、しかも立て続けに二度受賞しているインドリダソン。そのエーレンデュル警部シリーズも、マンケルのヴァランダー・シリーズ同様に、主人公を捜査官として描くのみならず、生活を持ち、家族を持つ人間であり、その中で私的な懊悩や迷いや希望を抱え込んでいるのである。そこに単作としての事件の上をカバーする連続性持ったシリーズ小説としての魅力が感じられるのだ。
シリーズ探偵が、誰かとつきあったとか、別れたとか、子供ができたとか、飼い犬が家 -
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ヘニング・マンケルの本を生前一冊も読んでいなかったくせに、昨年読んだ、ノン・ミステリー、ノンシリーズの単独作品『イタリアン・シューズ』の書きっぷりが一発で気に入ってしまって、ついにはまり込んでいる最近である。
訳者の柳沢由美子さんは、アイスランドのやはり小説名手であるアーナルデュル・インドリダソンの作品のほうで、その名訳に唸らされていたので、マンケル作品でも信頼が置けて、ぼくには心地のよい日本語文章としてすんなり入ってゆけるのだ。北欧ミステリーで目立つ自然描写や季節変化については、やはりこの人の訳が一番空気感を味わえると思う。
さて、刑事ヴァランダー・シリーズは海外ドラマとしてもプラ -
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ヴァランダーシリーズ。娘のリンダの義理の父が失踪。事件か事故か。ヴァランダーの捜査が始まるけれどなかなか思うようにいかない。ヴァランダーは60歳になり色々考える。仕事、生活、死。そういうところがこのシリーズの好きなところでもある。ヴァランダーの迷いや怒りが溢れてくる瞬間とかとても読み応えがある。捜査を通して、娘や自分との向き合い方を考える。行方不明者の捜索とヴァランダーの体の不調や時折起こる記憶喪失への恐怖。事件そのものよりそちらが気になる。苛立ちや悲しみ、孤独が襲ってくる中にあって孫ができたことで変わったもの。シリーズの中で登場した過去の女性も出てきたりと懐かしさもあった。とうとう終わってし
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ネタバレスウェーデンの歴史をなぞるようにこの物語は過去から2000年代まで進んでくる。
潜水艦の艦長だった失踪した男の闇の部分が見え隠れする。スウェーデンの実際にあった事件、1986年のパルメ首相暗殺事件が深く影を落とす。それに並行してスパイの存在や過去の潜水艦の攻撃・作戦がいつまでもその、苦悩する男を精神的に追い詰めてゆく。そしてその妻をも。
ヴァランダー自身もかつての事件時携わった人物や土地や苦い思い出に次々と追われヴァランダーシリーズの総決算大サービスセールのよう。
実際、警察官として捜査した事件ではなかったので、あのケジメのつけ方は少し疑問が残るけれど、リンダの父親、クラーラの祖父としてはよか -
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ヘニング・マンケル『苦悩する男 下』創元推理文庫。
北欧ミステリーの最高峰クルト・ヴァランダー・シリーズ第11作の下巻。刑事・ヴァランダー最後の事件……
リアリティあふれる北欧の警察小説。スウェーデンの文化や風土を背景に繰り広げられるミステリー。間違いなく北欧ミステリーの面白さを最初に日本へ伝えてくれた傑作シリーズであろう。
時折襲う奇妙な記憶欠落症状に苦しみながらもヴァランダーは捜査を進める。さらには心臓に痛みを覚えるなど満身創痍のヴァランダーが辿り着いた真実とは。
失踪した娘のパートナーの両親。ホーカンの失踪の後にルイースも失踪。そして、ルイースは何者かに殺害される。やはり、事件の -
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ヘニング・マンケル『苦悩する男 上』創元推理文庫。
北欧ミステリーの最高峰クルト・ヴァランダー・シリーズ第11作の上巻。
リーダビリティーあふれる警察小説。失踪事件の真相は国際的な軍事衝突なのか。
父親と娘の暖かい家族の物語から始まるが、事件の影はヴァランダーの背後に静かに忍び寄る。
60歳を目前にヴァランダーは海の見える中古住宅を手に入れる。引退への道を静かに歩むヴァランダーだったが、ある夜レストランに拳銃を置き忘れたことから内部調査の結果が出るまで休暇を命ぜられる。挙げ句、休暇中に転倒して腕を骨折したり、夜間に路上で3人の若者に襲われるなど何かとご難続きのヴァランダーだった。
一 -
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クルト・ヴァランダー刑事シリーズの第一作。もうこのシリーズは完結している。順番に読まなかったのはよくないかな、と思っていたが、ヴぁランダーを取り巻く人たちとは、初めて遭うのではなく既におなじみになっているのもちょっと嬉しかった。
スウェーデンのイースタでは滅多に起きないような、残虐な殺人事件の通報があった。
人里はなれた老人家族が住む二軒の家、そのうち一軒で老夫婦が襲われ夫は死に妻は重症だった。妻も助からない状況で「外国の…」と言い残す。
隣人からみても、日ごろから地味て堅実そうに見えたというが、亡くなった夫には秘密があった。「外国の…」を手がかりにヴァランダーと長年の友人リードベリは捜査 -
購入済み
雨・闇・胸苦しさ
最果ての地、アイスランド🇮🇸から届いたミステリー。現場にしがみつき、昇進を拒む男エーレンデュレ捜査官を主人公に据えたシリーズ第4作目(らしい)。それが謎解きのキーになるのか!?ちょっと持ち込むにはムリっぽくないのか? 等とも感じましたが、アイスランドという特殊な背景においては成り立つという。しかし、そのキーが成立するには、昔かたぎというのか、あまり語ること・説明することを得意としない、と同時に嗅覚・感性を疎かにしない、執拗な(疑問を放置しない)姿勢を持つ主人公がそこにいたからという奇跡になるのかなーーー。主人公の子どもたちがどうしようもない状況に置かれていたり、登場人物の痛ましい過去に紙幅を割
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ヘニング・マンケル『北京から来た男 (下)』創元推理文庫。
ヴァランダー・シリーズではなく、女性裁判官・ビルギッタを主人公にしたノン・シリーズ。
いきなりの驚愕の描写から始まった物語はスウェーデンに留まらず、150年もの時を超えて、アメリカ、中国に舞台を移し、展開する。
大量惨殺事件はスウェーデンの寒村に留まらず、アメリカでも起きていた。19世紀に貧しさに喘ぐ中国と過酷なアメリカ大陸横断鉄道施設工事の現場、そして、現代の中国……全く結び付きそうもないことをヘニング・マンケルは、我々に様々な課題を投げかけつつ、見事に壮大かつ重厚な物語に仕立て上げてくれた。とんでもなく面白い。
このような -
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ヘニング・マンケル『北京から来た男 (上)』創元推理文庫。
長らく寝かせていた文庫本。遂にヘニング・マンケルの未読の文庫本は本作のみとなった。ヴァランダー・シリーズではなく、女性裁判官・ビルギッタを主人公にしたノン・シリーズ。
いきなりの驚愕の描写から物語は始まる。スウェーデンの過疎の村で19人もの村人が惨殺される。休暇中の女性裁判官ビルギッタは亡き母が事件の村の出身であったことを知り、現場に向かうが……
北欧のマイクル・コナリーとも言うべき、ヘニング・マンケルが描く重厚な物語。面白過ぎる程、面白い。タイトルの『北京から来た男』、スウェーデンと中国がどうつながるというのだろうか。
本体 -
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ヘニング・マンケル『背後の足音 上』創元推理文庫。
クルト・ヴァランダー・シリーズ第7弾。読み順番が少し前後してしまったが……
北欧ミステリーということで、登場人物の名前を頭に入れるのに多少苦労するものの、ストーリーは相変わらず面白い。
夏至前夜に公園でパーティーを開く3人の若者が何者かに射殺される。事件を追うヴァランダー刑事は、その捜査会議に無断欠席した同僚刑事が気になり、夜中に同僚のアパートを訪れると、同僚も何者かに射殺されていた……
3人の若者とヴァランダーの同僚刑事を射殺したのは同一犯なのか……
本体価格1,200円
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ネタバレヴァランダーシリーズやと思って予約してみたら、なんと作者ヘニング・マンケルのエッセイ…ではないな、遺書でもないし…
マンケルががんを宣告されてから、何を考えてきたかを、自らの年齢と同じ67章の文章にした闘病記…闘病記という括りもちょっとずれるか。「へニング・マンケルとは何者であるか」を書いた哲学思想のつづれ書きなのである。
俺だって誰だって余命は分からない。明日死ぬかもしれないし、死に至る確率は年齢とともに増えていくのは事実。死ぬのは怖いが、死なない訳にはいかない。
マンケルは、がん告知と余命宣告を受けてから、その現実をどのように受け止め、何を考えてきたのか?
そんなことをきちんと書きと -
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あらすじ
ペーターは39歳独身。小さな会社を経営していたが、働き過ぎてパニック症になったり、社員に横領されたりして追い詰められている。ある時人違いでお使いを頼まれ、会社社長に切断された指を届ける。その男性には嫌がらせが続いていた。借金分を報酬として受けとる代わりにペーターは謎の女を探すことにする。しかし、嫌がらせはひどくなり、二人は警察に相談するが、担当の女刑事はあまり協力的ではない。自力で見つけた女は自殺した。これで事件は解決したかと思ったがペーターは再び女を見かけ、居場所を探し当てる。しかし女の目当てはピーターだった。実はピーターは養子で、元の家族の姉が逆恨みし、病気が末期だったこともあっ