柳沢由実子のレビュー一覧

  • 声

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    ネタバレ

    長く積読していた作家さんの三作目。

    こちらも二作目同様、深く沁みる家族の物語でした。21世紀の今なら~なのに登場人物の人たちの中では自分が人生の主人公なのに、
    抱えてゆくジレンマが多すぎてまたこのような悲劇的なミステリーに。
    (北欧ミステリー、あの作品この作品、どうしてこう情けないカッコ悪!だけどカッコいい中年の独り者刑事が多いのでしょう?)

    この表紙の画像がミスリード?
    そして二転三転する推測。
    たっぷり楽しませて頂けました。







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    2022年02月10日
  • 緑衣の女

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    「家族」とは何か……。

    子どもの拾った小さな骨から、次第に表われていく数十年前の白骨死体(徐々に、であることがとても効果的)。
    主人公エーデンデュルの捜査とその娘の出来事と並行して、ある家族の過酷な過去の出来事が語られていく。

    登場する刑事たちは淡々と調べ、コツコツと人から話を聞き、少しずつ進む道を探る。
    そこには、組織犯罪も国家間の軋轢も紛争もなく、派手なカーチェイスや銃撃戦、名探偵の謎解きもないが、確かに「ドラマ」がある。

    「ドメスティック・ヴァイオレンス(DV)」という名称のつく前からあった「家庭内暴力」。
    「家族」という閉鎖環境の中、DVを見たり受けたりする日常の中で育つ子供たち

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    2022年02月07日
  • 緑衣の女

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    ネタバレ

    アイスランドを舞台としたミステリー。
    前作の『湿地』はその一冊しかないときに読んだのでその続きますと知っていたけれどタイミングがズレてしまって残念。
    満を持してついに!積ん読解消。
    北欧のミステリー、このアイスランドも。

    さて、物語は…
    並行して描かれる家族のストーリーは余りにも暴力的で辛く悲しい。

    みつかった昔の人骨の正体と、ストーリーとどう繋がってゆくのか、ページを捲る手がとまらなかった。

    シリーズなのでまた、読み進めたいと思う。

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    2022年02月06日
  • 湿地

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    ミステリ。警察小説。
    『声』『湖の男』『厳寒の町』は既読。
    この物語を面白いと言っていいのかは分からないが、とにかく素晴らしい。
    犯人に迫る過程の意外性、深い真相、丁寧な心理描写など、優れた点ばかり。
    特に、この事件の真相は、あまりに悲しい。
    文句なしの傑作。

    シリーズ1作目だと思っていたが、実際はこれが3作目。1・2作目は翻訳されていないらしい。
    というか、『厳寒の町』の発売から約2年間、日本で著者の新作が発売されていないのか…。

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    2021年09月06日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    「クルト・ヴァランダー」シリーズ。今作で最後。一番好きなシリーズもので思い入れも強い。今作は中編が一編とシリーズの索引、著者の解説がついている。表題作はいつもながらの地道な捜査、ヴァランダーの頑固さ、不器用さ、怒りっぽさが出ている。娘とのやりとり、同僚との捜査と特別何かがあるわけではないけれど引き込まれてしまうのがこのシリーズ。もう新作が読めないのが残念。これからもシリーズを通して何度も読み返す作品だと思う。

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    2021年07月19日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    ヘニング・マンケル『手/ヴァランダーの世界』創元推理文庫。

    ヴァランダー・シリーズの書店でのキャンペーン特典用に書き下ろされた短編『手』と、ヘニング・マンケル自身によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した『ヴァランダーの世界』を併録したファン・ブック、或いはヴァランダー大全と言えるような作品になっている。

    『手』。販売促進用の短編ということで、気を許していたら、スリルとサスペンスにあふれた一連のシリーズ作品と同じレベルの作品に仕上がっていた。ある日の休日、ヴァランダーが同僚に紹介された古い家屋の物件を見に行くと何かに躓き、よく見るとそれは人間の手の骨であることに気付く。ベテラン刑事

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    2021年06月25日
  • 背後の足音 下

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    解説であったように、初期3作の「壁」を越えてからは、安定した面白さ。人に勧めるなら「笑う男」以降だろうか。

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    2021年06月11日
  • 五番目の女 上

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    前作と違って、犯行の意図は上巻ではまだ分からない。ヴァランダーと同じ視点で読める。早く次が読みたくなる。

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    2021年06月06日
  • 目くらましの道 下

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    ネタバレ

    殺人者に感情移入する。その殺人者が主人公を襲う寸前までくる。それを知っているのは殺人者と読者だけだ。こんなスリリングな読書経験をできてよかった。

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    2021年05月31日
  • 笑う男

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    ネタバレ

    最後まで証拠をつかめず、本人の供述というか自慢話でしか真相に辿りつかないのは頼りないけれど、それが現実的といえば現実的。でも、ヴァランダーの粗っぽい行動はあまり現実的ではない。でも小説としては面白い。

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    2021年05月28日
  • 白い雌ライオン

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    ネタバレ

    前作「リガの犬たち」と違い、同じ国際犯罪でもスウェーデン内の捜査だから説得力がある。
    マバシャが最後の場面に臨んだら、どんな選択をしたのだろうと思ってもみた。

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    2021年05月24日
  • 苦悩する男 下

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    ヴァランダーシリーズ ラスト
    スウェーデンの、政治的背景(自由主義的国家と、共産、社会主義的国家の、狭間における立場)等、元潜水艦艦長らの事件に絡めて深く考察する事の出来る作品。
    ヴァランダー刑事の、人間性と、その生活も合わせて、愛すべきシリーズだった。人生の、終末期における葛藤が、哀しく心に残った。ヘニングマンケルが、亡くなってしまっていることが、尚更悲しさを、感じてしまった
    全シリーズを、通して只の刑事物ではない素晴らしい作品達だ。

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    2021年05月18日
  • ピラミッド

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    刑事クルト・ヴァランダーの短編集です。
    スウェーデンのミステリ。
    さすがの味わい、若き日の姿を読むことができたのも嬉しい。

    クルト・ヴァランダーがまだ22歳でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」から年代を追って話が進みます。
    まだ若いが先輩の刑事に見込みがあると思われていて、ただし絶対に一人では行動しないように言われていたのに…
    この時恋人だったモナは、次の「裂け目」では妻に。

    イースタ署に移ってからの「海辺の男」では、妻と娘は休暇旅行中で、クルトはその計画を知らされていなかった、と暗雲が立ち込め始めてます。

    「写真家の死」も印象的な作品。町の写真家が殺され、ヴァランダー一家も折りに触れ

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    2021年05月03日
  • 刑事マルティン・ベック 消えた消防車

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    マルティン・ベックのシリーズでこの作品が一番好きである。
    このシリーズは刑事たちが仲が良いのが特徴で、それぞれの刑事たちは家族との生活も楽しんでいる。
    取り組む事件は複雑で陰惨なものだが、刑事たちは話し合いとそれぞれの日常生活の中から事件解決のヒントを見つけていく。
    読み終えた後、タイトルを見返すと思わずほっこりする感じ。

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    2021年03月28日
  • 苦悩する男 下

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    大好きなヴァランダーシリーズの最終巻。
    北欧ミステリーはだいたいそうだが、事件そのものよりも登場人物達の背景や抱えている問題の描き方が面白くて次々シリーズを読んでしまう。
    ヴァランダーが最後こうなるのか…と悲しい気持ちにもなったが、彼にとってリンダと産まれてきた孫のいる世界は幸せな世界なのかな…と思いながら名残惜しく読み終わりました。

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    2021年03月03日
  • 苦悩する男 下

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    ひとつはっきりしてるのは、何事も外側から見える姿とは違うということ。
    シリーズの終わり方が、らしいな。やっぱ最高だった。

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    2021年02月07日
  • 苦悩する男 下

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    これまで様々な社会的あるいは政治的な出来事を背景に事件を解決してきた連作の一番最後に国家の運命に関わる直截且つ強烈な謎を持ってきた。遠い北欧の一国の話を読んできたつもりの日本人にも響く主題である。その一方で、娘と孫との往来を繰り返しながら主人公の老境が深まっていきシリーズのエンディングに至るのは見事な幕引きだった。

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    2021年01月06日
  • 声

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    ネタバレ

    読み始めるまでに気合いがいる。
    クリスマスの話なのに、誰も楽しそうではない。
    それでも一度読み始めると、最後まで一気に読んでしまうのは、ストーリーの上手さと、このシリーズは家族再生がテーマであろうから、きっとはじまりより終わりの方が状況が良くなっているだろうと信じているから。

    レイキャビクで2番目に大きいホテルの地下室で、サンタクロースに扮した元ドアマンの刺殺死体が発見される。
    何十年もそのホテルで働いているのに、彼の私生活を知る者は誰もいない。

    捜査をしていくうちに明らかになる被害者の過去。
    心が痛くなる。

    親は子どもを希望にしてはいけない。
    自分の夢を子どもに託してはいけない。
    子ど

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    2020年12月06日
  • 苦悩する男 下

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    クルト・ヴァランダーを生み出したヘニング・マンケルは2015年に他界している。内容的に“最終章”の本作は2009年に発表されている。従って本作は、その2009年頃の少し前の出来事ということになっている。
    ヴァランダー刑事が活躍するシリーズ…1990年代に入った辺りで、難しい年代の娘が在って、妻との関係が面倒になって別居、離婚という状況になる男、1970年代位に社会に出た世代の男が主人公だが、1990年代というのは、そういう世代の人達が想像するような範囲を超えてしまうような出来事も平気で起こってしまうような時代に突入していた…そんな中でヴァランダー刑事は奮戦する。そして、他方でヴァランダー刑事自

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    2020年12月06日
  • 緑衣の女

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    インドリダソンもう1つの傑作、これも面白い!もはや推理小説の域ではない。現代の日本の小説は私小説のような書き方をする。登場人物が何を考えてるのか、心の内を書き尽くす。これがまだるっこしい。海外の小説の描写は簡潔だ。心の内なんて書かない。映画を観てるようだ。芥川龍之介のような文章の簡潔さが好きだ。さて、この話。赤ん坊がしゃぶっていたものは人間の骨だった。人骨は古いもので、発見現場近くにはかつてサマーハウスがあったらしい。誰の骨なのか。証言者が語る緑衣のいびつな女とは誰か。エーレンデュル捜査官は捜査を始める。麻薬中毒で身重の彼の娘は血だらけで意識不明の重体で病院に運ばれた。幸せにしてやれない自分の

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    2020年11月16日