柳沢由実子のレビュー一覧

  • 背後の足音 上

    Posted by ブクログ

    ヘニング・マンケルが描く刑事クルト・ヴァランダーのシリーズ第7作。
    公園でミッド・サマー・イヴのパーティーをしていた若者が姿を消した。一方、出勤しないままの同僚スヴェードベリ。彼を心配して深夜にアパートを訪れたヴァランダーが見たものは・・・。

    一押しの警察小説。今回はレギュラーの一人がまさかの退場。同じスウェーデンのマルティン・ベックの「笑う警官」を少しだけ思い出した。

    さて、どうなる下巻。

    0
    2011年10月29日
  • 背後の足音 下

    Posted by ブクログ

    本作のタイトルである「背後の足音」という表現だが…直接的には、ヴァランダーの背後に蠢く謎の犯人―これがこのシリーズの“犯人”の中では「最も不気味で不可解」な人物かもしれない…―の足音であり、“足音”が示すその人物の気配のことを示すと理解出来る…が、同時にこれは「知らぬ間に社会が抱えている、名状し難い不気味なもの」とでも言うようなもの、「気配はしてもハッキリ姿が見えない“悪意”」とでも言うようなものを暗示している…という気がした…

    0
    2011年08月31日
  • 背後の足音 上

    Posted by ブクログ

    次々と展開する事件の中、ヴァランダーが、色々と個人的なこと―父親の件、父親の後妻の件、想いを寄せていた女性の件、元妻の件…―も手伝って、何か“孤独”を深めるような状況下、実に懸命に事件を追う姿が非常に面白い…

    0
    2011年08月31日
  • 背後の足音 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    刑事ヴァランダー・シリーズ第7作。
    全く身につまされる作品だ。

    主役のヴァランダーは、バツイチ、母はとうに亡く前作で父も亡くなった。
    姉と娘はそれぞれ離れた場所に住んでいて、日常的な連絡もとっていない。
    恋人がいたが、もう何ヶ月も連絡を取っておらず別れたも同然。
    友人らしい友人もいない。
    50を前にして、糖尿病の宣告も受けた。

    こんな状況で、同僚の刑事が殺されたことが判明する。
    そして、今更ながら同僚の私生活を知らなかったことを思い知らされる。

    中年男性の孤独とアイデンティティ・クライシスを見事に描いている一作だと思う。

    0
    2011年08月27日
  • 五番目の女 上

    Posted by ブクログ

    三年ぶりの新作。
    プロローグで明かされる“五番目の女”。なるほどそういう話なのかと了解するも、コトはそう単純ではないことを早々に思い知らされる。

    捜査に忙殺されるヴァランダー。父を亡くした喪失感、手掛かりゼロの焦燥感、その合間に将来のプランを空想しては、新たな被害者の出現に絶望を感じてひたすら沈み込む。このヒロイックとは縁遠い主人公に、シリーズ特有の頑固さや堅実さがよく表れていると思う。脇を固める捜査官たちも等身大で人間臭い。プロフェッショナルのいない小さなチームだが、役割分担に長け実に手際が良い。「少数でこれだけ機能している捜査陣とは一緒に働いたことがない」とは、応援に来た捜査員の台詞。

    0
    2011年07月07日
  • 目くらましの道 下

    Posted by ブクログ

    本作は「出来れば知りたくなかったことを確実に知るに至る」までの“本筋”も面白いが、ヴァランダー警部周辺のことを扱うような“脇筋”も面白い。
    本作の最末尾に在る“訳者解説”だが、なかなかお得だ…ヴァランダー警部シリーズの刑事達に関する小事典が在る!!

    0
    2011年03月01日
  • 目くらましの道 上

    Posted by ブクログ

    もし「“ヴァランダー”?シリーズだって?どれが一番?」とでも問う方が在るなら…私は本作を推したい!!

    0
    2011年03月01日
  • 白い雌ライオン

    Posted by ブクログ

    ヴァランダー警部が働くイースタの管轄区域とは縁が深いでもない“謀略”が、「女性の失踪」という事件を切っ掛けにヴァランダー警部の身に降りかかる災厄となっていく…何か凄い展開である…
    凄く引き込まれてしまった…

    0
    2011年02月22日
  • 影

    Posted by ブクログ

    著名であるとか栄光とか名誉とか、そういうものは必ずしも幸せには繋がらない、ということか。みんながアルコールの問題を抱え、それぞれに足掻くような悩みを抱え堕ちていくところはなんとも・・・!それでもやっぱり女は強いよなあ(生贄とされてしまった娘はともかく)、と思わずにもいられない。

    0
    2010年10月29日
  • リガの犬たち

    Posted by ブクログ

    個人的にはシリーズで一番好き。ラトヴィアという国、自由のために戦う人々の姿が熱い筆致で描かれている。フィクションではあるが、ついこの前までこのような状態だったリガの街に、いつかは訪れてみたい、そう思える作品。

    0
    2010年07月03日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    裏切り、裏切られる男と女の物語。心理描写がもう凄い凄い。リアルというか的を射ているというか、ここまで克明に描写している作品をいまだかつて見た事がない。
    6歳の子供が一人いる夫婦の間で、突然夫から「きみといっしょにいてももう楽しくない」と言われたら妻はどうするか。驚き、哀しみ、屈辱、怒り、疑惑、後悔、プライドは傷つきそれでも平静を装おうとし、なんとか反撃して優位に立とうとする…
    そういう心の機微を妻の視点から夫の視点から、これでもかこれでもかと見せてくれます。
    自分の心に波立つ感情をなんとなく認識はしても、どうにもうまく言葉にならなくて悶々としたことは何度もあった。そういう混沌とした心の動きをき

    0
    2009年10月29日
  • 目くらましの道 上

    Posted by ブクログ

    2007年2月翻訳発行。
    クルト・ヴァランダー警部を主人公とするスウェーデンの警察シリーズ、5作目。
    本国では1995年発表、イギリスで2001年に発行されCWA賞受賞作。
    スウェーデン南端のスコーネ県のさらに南端のイースタ。元法務大臣が斧で殺され、連続殺人の様相を呈してくる。
    同じ時期になの花畑をさまよっていた少女が焼身自殺を図るという事件も起こる。
    2001年、CWA最優秀長篇賞受賞作。

    0
    2011年03月12日
  • 目くらましの道 下

    Posted by ブクログ

    ヴァランダー警部は捜査に能力を発揮するが、老いた父の行動を案じ、進路の定まらない娘を気遣い、恋人にもなかなか連絡が取れない。
    犯人は比較的早くわかるが、綿密な描写で飽きさせない。
    哀切な結末。

    0
    2009年10月07日
  • 目くらましの道 下

    Posted by ブクログ

    下巻に入っても期待は裏切られませんでした。人物像がはっきりと浮かび上がっていること、1995年当時の世相がよく伝わること、そして着地がすっきりしていることなどがポイントの高さにつながっています。昔読んだ「マルティン・ベック・シリーズ」とは雰囲気が違いますが、こちらのスウェーデン警察小説シリーズもお勧めです。ぜひ一作目の「殺人者の顔」からどうぞ。追記。スウェーデンでドラマ化されたという話は、解説で読んだ記憶があるし、ケネス・ブラナー主演で、去年イギリスでドラマ化された(舞台はスウェーデン)というニュースも聞いていたが、まさか、今日WOWOWで放送されていたとは知りませんでした。しかも一作目が「目

    0
    2011年08月12日
  • 目くらましの道 上

    Posted by ブクログ

    このところ一押しの警察小説シリーズ。舞台はスウェーデンの地方都市イースタ。主人公はクルト・ヴァランダー警部。シリーズ第5作の今回は、未だかつてない猟奇的な殺人で幕を開ける。どうなる、後半?

    0
    2011年08月12日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    ハッキリ言って、
    「こりゃ凄い作家が現れたもんだ!」と思いました。

    もちろん、お化けも怪物も、なにも出てきません。
    あるのは、誰もが心当たりあるだろう
    日常の…家庭の風景…でも、とにかく怖い…
    ハラハラするのともドキドキするのともちょっと違う…
    ここまで人の心理に分け入っていく…
    裏返せば、自分の心理に入り込んでくる…
    こんな作品は久しぶりです。

    作者はこれを書き上げるにあたって、
    2ヵ月間休養を取らなければならなかったという…
    作者自身が、執筆中にそれほどまでに
    登場人物たちとの精神的関係を深めてしまった…
    だから距離を置く必要が生まれてしまった…
    きっとそうい

    0
    2009年10月07日
  • 黒い空

    Posted by ブクログ

    前作に引き続きエーレンデュルがいないエーレンデュルシリーズ第8弾。今回はシグルデュル=オーリが主役。シッギと呼ばれてて全部これにしてほしいと思った。
    性的虐待、殺人事件、金融犯罪の3種類がテーマ。
    自分の不始末の後始末を他人に任せるとどんなことが起こるかわからない。シッギの家庭も友人も複雑。
    「アイスランドの社会構造の最小単位は家族でなく個人」とあって、日本もそうあってほしいと思いながら、でも他人との関係における葛藤は避けられないものだと思った。
    日本も児童ポルノにはもっと嫌悪感を持つ人が増えてほしいし、法律も弱者を虐げる人には厳しくしてほしい。

    0
    2025年12月31日
  • 湿地

    Posted by ブクログ

    無駄な描写が無く最初から最後まで集中して一気読みできる警察クライムノベル。訪れたことがないアイスランドの様々な描写や麻薬などの社会的問題も垣間見えて、興味深く楽しめました。主人公の刑事が同い年だったことでも没入できました。

    0
    2025年10月14日
  • 湿地

    Posted by ブクログ

    アパートの半地下の一室で老人男性が撲殺されているのが発見されたが、それは単純な強盗殺人ではなく、大昔の強姦事件を発端とする哀しい事件だった、というアイスランドの警察小説。
    アイスランドは人口が少ない単一民族の国で、全国民の家系情報・遺伝情報がデータベースに登録されていて辿っていくことができるようになっている…というのが肝になっている。
    ストーリーは陰鬱だが、文量は多くなくて非常に読みやすい。

    0
    2025年10月09日
  • 緑衣の女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ダガー賞読書会のための読書その1。
    アイスランドのミステリは初めて読みました。
    北欧ミステリのほかの国々と同じく、こちらも凄惨な生々しさでした。読み終わっても、心が重いままです。

    発掘される人骨の事件、捜査の指揮を執るエーレンデュル捜査官の娘さんを中心とする家族の話、大戦中に起こっていると思われるとある家族が受けているドメスティックバイオレンス。
    この3つの話が次々に描かれ、どう絡み合っていくのか…引き込まれました。

    体に受ける暴力も、心に受ける暴力も、何もかもを壊してしまう。暴力をふるっていた人も、壊された人だったのがわかったとはいえ。。。
    取り戻すために払った代償は大きいし、とある関係

    0
    2025年09月30日