柳沢由実子のレビュー一覧

  • 背後の足音 上

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    昨年夏翻訳発行の最新作。
    スウェーデン南端イースタ警察のクルト・ヴァランダー警部のシリーズ。7作目。
    前の事件から2年後。

    リガに住む恋人バイバとは4年間断続的に付き合ったが、やはり国が違うために結婚は出来ないと断られてしまう。
    一方、亡くなった父親の家は、売りに出すことになります。
    ヴァランダーは体調が悪く、離れて暮らす娘のリンダとせっかく出かけてもあまり疲れている様子に驚かれる。
    さすがに病院へ行くと、血糖値が高いとわかり、動揺することに。

    真面目な警官であるカール・スヴェードベリが連絡を寄越さずに休み、おかしいと気づいたヴァランダーは夜中に一人で彼の家へ。
    死体を発見してしまいます。

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    2012年06月03日
  • 白い雌ライオン

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    ネタバレ

    スウェーデンの南端の街、イースタを舞台にしたヴァランダー警部シリーズ第3作。ヴァランダーは、不動産業を営む女性の失踪事件を担当する。やがて彼女は遺体で発見されるが、その近くの民家では謎の爆発事件が起き、不可解な遺留品が発見される。一方、遠く離れた南アフリカでは、とある陰謀が動き始めていた―。

    ようやく読み終わりました。文章は読みやすいのですが、何せ分厚い。電車の中で読もうと思っても、バッグが小さいとうっかり持ち歩けないのです。

    警察小説というよりは、国際謀略小説ですね。スケールが大きい。田舎警察とはいえ、イースタは国境に近い交通の要所なのですね。ミステリを期待すると「ちょっと違う」と思うで

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    2012年11月17日
  • 背後の足音 下

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    のどかな北欧の国、スウエーデン。
    私にとっては美しい自然と手仕事の盛んな国という
    イメージの憧れの地。しかし、ヘニング・マンケルの
    描く小説世界のスウェーデンはかなりダーティ。
    そこには現代のこの国のかかえる問題点が
    浮き彫りにされている。社会福祉の進んだスウエーデン
    にも格差社会により生まれた『落ちこぼれ』は
    確かに存在しているのだ。

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    2012年01月29日
  • 背後の足音 上

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    刑事クルト・ヴァランダー、7作目の本書では
    50歳を目前に糖尿病になってしまった。
    すぐにのどが乾くし、おトイレも近くなって捜査が
    大変そう。リガにいる恋人との関係も終焉を迎え
    元妻の再婚に心揺れる悲しきミドルエイジ。
    長年ともに仕事をしてきた刑事が事件に巻き込まれ
    あらためて職場である警察署内の人間関係にも
    スポットが当たる。奇怪な事件の予想もつかない
    犯人像を追いながら悩み苦しむヴァランダーの
    孤独とそんなヴァランダーを影で支える仲間たちの
    キャラクターもだんだん人間味を帯びてきた。

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    2012年01月29日
  • 背後の足音 下

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    何ともやるせない気持ちにさせる結末。
    でも、文句なしのベストワン。

    ヴァランダー刑事と私は、この物語の段階で同い年であることが分かった。糖尿病の心配はないが、血圧は高いし、運動不足だし、そういう意味でも親近感を覚えた一冊であった。

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    2011年10月31日
  • 背後の足音 上

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    ヘニング・マンケルが描く刑事クルト・ヴァランダーのシリーズ第7作。
    公園でミッド・サマー・イヴのパーティーをしていた若者が姿を消した。一方、出勤しないままの同僚スヴェードベリ。彼を心配して深夜にアパートを訪れたヴァランダーが見たものは・・・。

    一押しの警察小説。今回はレギュラーの一人がまさかの退場。同じスウェーデンのマルティン・ベックの「笑う警官」を少しだけ思い出した。

    さて、どうなる下巻。

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    2011年10月29日
  • 背後の足音 下

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    本作のタイトルである「背後の足音」という表現だが…直接的には、ヴァランダーの背後に蠢く謎の犯人―これがこのシリーズの“犯人”の中では「最も不気味で不可解」な人物かもしれない…―の足音であり、“足音”が示すその人物の気配のことを示すと理解出来る…が、同時にこれは「知らぬ間に社会が抱えている、名状し難い不気味なもの」とでも言うようなもの、「気配はしてもハッキリ姿が見えない“悪意”」とでも言うようなものを暗示している…という気がした…

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    2011年08月31日
  • 背後の足音 上

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    次々と展開する事件の中、ヴァランダーが、色々と個人的なこと―父親の件、父親の後妻の件、想いを寄せていた女性の件、元妻の件…―も手伝って、何か“孤独”を深めるような状況下、実に懸命に事件を追う姿が非常に面白い…

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    2011年08月31日
  • 背後の足音 上

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    ネタバレ

    刑事ヴァランダー・シリーズ第7作。
    全く身につまされる作品だ。

    主役のヴァランダーは、バツイチ、母はとうに亡く前作で父も亡くなった。
    姉と娘はそれぞれ離れた場所に住んでいて、日常的な連絡もとっていない。
    恋人がいたが、もう何ヶ月も連絡を取っておらず別れたも同然。
    友人らしい友人もいない。
    50を前にして、糖尿病の宣告も受けた。

    こんな状況で、同僚の刑事が殺されたことが判明する。
    そして、今更ながら同僚の私生活を知らなかったことを思い知らされる。

    中年男性の孤独とアイデンティティ・クライシスを見事に描いている一作だと思う。

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    2011年08月27日
  • 五番目の女 上

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    三年ぶりの新作。
    プロローグで明かされる“五番目の女”。なるほどそういう話なのかと了解するも、コトはそう単純ではないことを早々に思い知らされる。

    捜査に忙殺されるヴァランダー。父を亡くした喪失感、手掛かりゼロの焦燥感、その合間に将来のプランを空想しては、新たな被害者の出現に絶望を感じてひたすら沈み込む。このヒロイックとは縁遠い主人公に、シリーズ特有の頑固さや堅実さがよく表れていると思う。脇を固める捜査官たちも等身大で人間臭い。プロフェッショナルのいない小さなチームだが、役割分担に長け実に手際が良い。「少数でこれだけ機能している捜査陣とは一緒に働いたことがない」とは、応援に来た捜査員の台詞。

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    2011年07月07日
  • 目くらましの道 下

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    本作は「出来れば知りたくなかったことを確実に知るに至る」までの“本筋”も面白いが、ヴァランダー警部周辺のことを扱うような“脇筋”も面白い。
    本作の最末尾に在る“訳者解説”だが、なかなかお得だ…ヴァランダー警部シリーズの刑事達に関する小事典が在る!!

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    2011年03月01日
  • 目くらましの道 上

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    もし「“ヴァランダー”?シリーズだって?どれが一番?」とでも問う方が在るなら…私は本作を推したい!!

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    2011年03月01日
  • 白い雌ライオン

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    ヴァランダー警部が働くイースタの管轄区域とは縁が深いでもない“謀略”が、「女性の失踪」という事件を切っ掛けにヴァランダー警部の身に降りかかる災厄となっていく…何か凄い展開である…
    凄く引き込まれてしまった…

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    2011年02月22日
  • 影

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    著名であるとか栄光とか名誉とか、そういうものは必ずしも幸せには繋がらない、ということか。みんながアルコールの問題を抱え、それぞれに足掻くような悩みを抱え堕ちていくところはなんとも・・・!それでもやっぱり女は強いよなあ(生贄とされてしまった娘はともかく)、と思わずにもいられない。

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    2010年10月29日
  • リガの犬たち

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    個人的にはシリーズで一番好き。ラトヴィアという国、自由のために戦う人々の姿が熱い筆致で描かれている。フィクションではあるが、ついこの前までこのような状態だったリガの街に、いつかは訪れてみたい、そう思える作品。

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    2010年07月03日
  • 裏切り

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    裏切り、裏切られる男と女の物語。心理描写がもう凄い凄い。リアルというか的を射ているというか、ここまで克明に描写している作品をいまだかつて見た事がない。
    6歳の子供が一人いる夫婦の間で、突然夫から「きみといっしょにいてももう楽しくない」と言われたら妻はどうするか。驚き、哀しみ、屈辱、怒り、疑惑、後悔、プライドは傷つきそれでも平静を装おうとし、なんとか反撃して優位に立とうとする…
    そういう心の機微を妻の視点から夫の視点から、これでもかこれでもかと見せてくれます。
    自分の心に波立つ感情をなんとなく認識はしても、どうにもうまく言葉にならなくて悶々としたことは何度もあった。そういう混沌とした心の動きをき

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    2009年10月29日
  • 目くらましの道 上

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    2007年2月翻訳発行。
    クルト・ヴァランダー警部を主人公とするスウェーデンの警察シリーズ、5作目。
    本国では1995年発表、イギリスで2001年に発行されCWA賞受賞作。
    スウェーデン南端のスコーネ県のさらに南端のイースタ。元法務大臣が斧で殺され、連続殺人の様相を呈してくる。
    同じ時期になの花畑をさまよっていた少女が焼身自殺を図るという事件も起こる。
    2001年、CWA最優秀長篇賞受賞作。

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    2011年03月12日
  • 目くらましの道 下

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    ヴァランダー警部は捜査に能力を発揮するが、老いた父の行動を案じ、進路の定まらない娘を気遣い、恋人にもなかなか連絡が取れない。
    犯人は比較的早くわかるが、綿密な描写で飽きさせない。
    哀切な結末。

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    2009年10月07日
  • 目くらましの道 下

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    下巻に入っても期待は裏切られませんでした。人物像がはっきりと浮かび上がっていること、1995年当時の世相がよく伝わること、そして着地がすっきりしていることなどがポイントの高さにつながっています。昔読んだ「マルティン・ベック・シリーズ」とは雰囲気が違いますが、こちらのスウェーデン警察小説シリーズもお勧めです。ぜひ一作目の「殺人者の顔」からどうぞ。追記。スウェーデンでドラマ化されたという話は、解説で読んだ記憶があるし、ケネス・ブラナー主演で、去年イギリスでドラマ化された(舞台はスウェーデン)というニュースも聞いていたが、まさか、今日WOWOWで放送されていたとは知りませんでした。しかも一作目が「目

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    2011年08月12日
  • 目くらましの道 上

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    このところ一押しの警察小説シリーズ。舞台はスウェーデンの地方都市イースタ。主人公はクルト・ヴァランダー警部。シリーズ第5作の今回は、未だかつてない猟奇的な殺人で幕を開ける。どうなる、後半?

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    2011年08月12日