柳沢由実子のレビュー一覧
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北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルが生んだ名物刑事、クルト・ヴァランダー。そんな彼が初めて登場したのは『殺人者の顔』だが、本書はヴァランダーがまだ二十代でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」「裂け目」から、イースタ署に移ったばかりの頃に遭遇した事件「海辺の男」「写真家の死」を経て、『殺人者の顔』直前のエピソード「ピラミッド」に至る5つの短編を収録。若き日のヴァランダーの成長を描いた贅沢な短編集。
シリーズ第九作は短編集とのことだったが、かなりの読み応えがあった。例えがよくないが、日本のノベルズ一冊分の内容が中編一つに含まれているといった感じ。若いころからヴァランダーは十分にヴァランダーだった。
さあ、シリーズはあと二作。柳沢さんが翻訳している「刑事マルティン・ベック」の改訳版は五作目までで中断と「消えた消防車」の「あとがき」にあった。売れないからなのか。ヴァランダーのシリーズはそんなことはないと思うが、こちらも最後まで出版してほしい。 -
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ネタバレヴァランダ-シリ-ズ作者のヘニング・マンケルのエッセイ。
というか、死と生に正面から向き合ったひとりの男の世界に向けて、人間みんなに向けての大いなる遺言。
もう、ヘニング・マンケル氏はこの世にはいないけれど残された本、この言葉には魂を揺さぶせられる。ありがとうと伝えたい。
人類学、地球学、歴史学すっかりひっくるめても彼ほど直接 心に訴えてくれた人はかつていなかった。もう翻訳された本はすべて読んでしまったけれど、また、この本を手にすることでしょう。
人類が滅亡したあとに残される物は無人探査機ボイジャーと放射性廃棄物の二つという章には鳥肌がたった。その他にも巻頭で紹介してくれた写真や絵画、若い頃のエピソードの数々。これは持っていなければならない本だと確信しました。 -
Posted by ブクログ
スウェーデンの作家カーリン・アルヴテーゲンの4作目。
過去を抱えた二人の女性の出会いがもたらすものは‥
モニカは38歳の有能な医師。
仕事で成功しているが、少女の頃のことで、いまだに深刻な罪悪感に苦しんでいた。
恋人も出来たのだが、心のうちを明かすことが出来ない。
ある事故に遭遇したモニカは責任を感じ、贖罪のために、ある行動に出ることに。
一方、ひきこもっているマイブリットは50代の女性。
過食で肥満体となり、ヘルパーの手を借りなくては身の回りのことも出来ない障碍者となっている。
ヘルパーにきつく当たる皮肉屋で、過去のことは忘れるようにして暮らしていたが、これまでと違うタイプの若いヘルパーが登場し、へこたれない彼女に戸惑う。
さらに幼馴染からの手紙がきっかけで、次第に過去の事実と向き合うようになる。
幼馴染だった女性は、終身刑で刑務所にいた‥
まったく違うタイプの女性の運命が、しだいに交錯するようになります。
実はある共通点があり、それは人に話すことすら出来ない過去を抱えていることだった。
不運もあるが、この場合、親の責任は相当に大きいですね。親本人は自分を貫いているだけで、わが子に悪かれと思っているわけじゃなかったにしても。
少し晴れ間の見える方向へ、二人共に向かったのが何よりです。
作者は1965年スウェーデン生まれ。
98年デビュー。
2作目の「喪失」で、北欧の推理小説賞を受賞しています。
この作品は、謎やスリルはありますが、殺人事件の解決といった展開になるわけではありません。
そういうミステリが苦手な人にも読んでいただけます。
重めなので、立て続けに読むってわけにはいかない作家さんですけど~
深く切り込んでも手際よくさばいていく手つきは確かで、読後感は悪くありませんよ。
感動と救いがあります。