柳沢由実子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルが生んだ名物刑事、クルト・ヴァランダー。そんな彼が初めて登場したのは『殺人者の顔』だが、本書はヴァランダーがまだ二十代でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」「裂け目」から、イースタ署に移ったばかりの頃に遭遇した事件「海辺の男」「写真家の死」を経て、『殺人者の顔』直前のエピソード「ピラミッド」に至る5つの短編を収録。若き日のヴァランダーの成長を描いた贅沢な短編集。
シリーズ第九作は短編集とのことだったが、かなりの読み応えがあった。例えがよくないが、日本のノベルズ一冊分の内容が中編一つに含まれているといった感じ。若いころからヴァランダーは十分にヴァランダーだっ -
Posted by ブクログ
ネタバレヴァランダ-シリ-ズ作者のヘニング・マンケルのエッセイ。
というか、死と生に正面から向き合ったひとりの男の世界に向けて、人間みんなに向けての大いなる遺言。
もう、ヘニング・マンケル氏はこの世にはいないけれど残された本、この言葉には魂を揺さぶせられる。ありがとうと伝えたい。
人類学、地球学、歴史学すっかりひっくるめても彼ほど直接 心に訴えてくれた人はかつていなかった。もう翻訳された本はすべて読んでしまったけれど、また、この本を手にすることでしょう。
人類が滅亡したあとに残される物は無人探査機ボイジャーと放射性廃棄物の二つという章には鳥肌がたった。その他にも巻頭で紹介してくれた写真や絵画、若い頃の -
Posted by ブクログ
ヴァランダー・シリーズの邦訳8作目。創元推理文庫というとマニアックなイメージが強く、自分には敷居が高く、手を出しにくかったのだが、そのイメージを打ち破ったのがヴァランダー・シリーズであった。以前からこのシリーズはスウェーデン版のハリー・ボッシュ・シリーズではないかと思っている。ミステリーと併せてヴァランダーが孤軍奮闘するハードボイルドな香りがハリー・ボッシュ・シリーズに似ている。
最初は『ファイアウォール』というタイトルが昔気質のヴァランダーと結び付かず、面食らった。また、この上巻の前半で描かれる事件も大して大きな事件とも思えず、ヴァランダーが過去の亡霊と向き合うスローな展開が続き、警察組織 -
Posted by ブクログ
スウェーデンの作家カーリン・アルヴテーゲンの4作目。
過去を抱えた二人の女性の出会いがもたらすものは‥
モニカは38歳の有能な医師。
仕事で成功しているが、少女の頃のことで、いまだに深刻な罪悪感に苦しんでいた。
恋人も出来たのだが、心のうちを明かすことが出来ない。
ある事故に遭遇したモニカは責任を感じ、贖罪のために、ある行動に出ることに。
一方、ひきこもっているマイブリットは50代の女性。
過食で肥満体となり、ヘルパーの手を借りなくては身の回りのことも出来ない障碍者となっている。
ヘルパーにきつく当たる皮肉屋で、過去のことは忘れるようにして暮らしていたが、これまでと違うタイプの若いヘルパー