半藤一利のレビュー一覧
-
購入済み
皇太子と妃の微笑ましい恋愛
物語の途中の挿話として、当時摂政にして皇太子だった昭和天皇と、香淳皇后(当時はまだ良子様)が、宮殿のなかで所構わず手を繋いで歩くのが顰蹙を買った・・・という微笑ましい話が出てきます。この部分は、おそらく実話かと思います。皇太子でいらした令和天皇が、雅子さまをみそめられて、最初雅子さまの方がバリバリのキャリアウーマンらしく、乗る気でない様子でいらしたのに、途中からちゃんと恋愛が始まった感じが報道され始め、めでたく婚約まで漕ぎ着けられたことが思い起こされました。その時に、まだご存命の、昭和天皇を直接ご存じの関係者がいらっしゃる中で、天皇という、いろいろな意味で不可侵な領域に漫画で踏み込むには、相当
-
購入済み
原敬の奥方の心境がずしんと
私は原敬の妻でございますよ・・・(覚悟はしかと・・・!)という奥さんの独白を読んで、少し前に、安倍晋三元首相の奥様の手記を何処かで読んだのを思い出しました。無論、現在は滅多なことで首相に危害が及ぶようなことはありませんが、時代が時代とはいえ、必ず、ご家族は「ただ生きてさえいてくれればよかった」とお思いになったに相違ありません。
私は正直、原敬を清廉潔白からは程遠いと見ていますし、たいした業績を残した人物とも思っていませんが、ご本人とご家族が覚悟を持って危険な時代の一国の党首を務められ、凶事に斃れたことは、これはもう、あっぱれ以外の何者でもないと思います。
安倍首相ともども、ご冥福をお祈りいたし -
Posted by ブクログ
評価と批評をいい塩梅で入れながら、歴史の細かな動きが書かれており、いわゆる教科書で習う歴史の行間の文脈や当時の雰囲気・登場人物一人一人の物語がわかるためとても面白い。現在を生きる人たちみんなにおすすめしたい。
総じて、戦後の日本が失った伝統や精神性・戦前から持つ無責任さや組織を守る官僚制の弊害等を戦後の課題と捉えているのかなと思った。
著者が最後に、今後の我々に必要なものとして以下を問いかけているのが印象深い。ー無私になり真面目さを取り戻し、大局的な展望能力を持ち、世界に通用する知識や情報をもてるかどうか。ー
まさにこの本などにより歴史やこれまでの経緯、いろんな人の正義を勉強して、自分で考えて -
Posted by ブクログ
昭和史研究のスペシャリスト3人によるNHKラジオ番組『太平洋戦争への道』を刊行した本。
三人とも昭和史や戦争についてたくさんの著書を出版されており、どんな話になるのか期待感が高まります。
「なぜ日本は無謀ともいえる戦争に向かっていったのか?」歴史のifではなくwhyに浮かび上がってくる答えは何なのか?と興味を惹かれ手に取った作品。
本書で印象的だったのは6つの分岐点!
どの時点でも回避する術はあった。
が、色々な事情が重なり悪い方へ悪い方へ向かってしまった。
日清日露戦争の勝利で世の中は浮かれ、新聞やラジオが戦争を煽り、国民も便乗したり、クーデターや国連離脱など複雑な事情が重なって責任は軍 -
-
Posted by ブクログ
まさに、著者渾身の作品である。著者が、当時の日記や史料を引き写しながら、地団駄を踏み、鉛筆の芯を折りつつ書く作品というのは私はこれまであまり聞いたことがないが、著者が思わず地団駄を踏まざるを得ないほど、あるいは、鉛筆を折りたくなるほど陸軍参謀本部作戦課、関東軍作戦課のエリートたちが無能であったということだろう。
その指導部の優柔不断、無責任体制ゆえに、関東軍の暴走を許すこととなり、亡くならなくても良かった多くの兵士の命を奪い、結果的にソ蒙軍に惨敗を喫したとすれば、その指導部に対する「お前ら何をやっていたんだ!?」という著者の憤懣やる方ない気持ちも理解できる。果たして、この著作1冊を書き上げるま -
Posted by ブクログ
同時代をテーマとした『アルキメデスの大戦』との人物比較が鮮明になっている。
両作品ともに牟田口廉也を「理性的判断を欠いた軍人像」として描いているが、その描写手法と物語上の意図には明確な違いがある。
本作『昭和天皇物語』では、牟田口は天皇・閣僚らの中での意思決定構造を壊す存在として、冷徹で皮肉な視線を向けられ、戦争という人災の構図を問いかける。
一方『アルキメデスの大戦』は、牟田口をより象徴的な“無知と盲信”の具現者として描く。計算に頼る頭脳戦の裏で、合理性を超えた精神論や短絡判断が国家を揺るがす、というドラマ性が強く、それゆえに牟田口の行動は“悪役化”して映る。
牟田口の描写は過剰とも言え -
Posted by ブクログ
日本が歴史的大勝を収めたとされ、また、日本が崩壊へ向かって歩みだした真珠湾攻撃の日。
その日に至るまでの国の幹部や交渉役たちがどのようなやり取りをしていたか、が本書の前半に描かれる。ここは個人的には日本の追い詰められた鬱屈とした空気感もあり、読んでいて面白いというものではなかったが、読みごたえがあったのが、いざ真珠湾攻撃に向かっていき、そしてその戦果が日本に伝えられた時の日本人の反応であった。
先にも述べたが、長引く泥沼の日中戦争のさなかにあって、また、米英からの圧力もあり、日本人は鬱屈とした感情を抱えて過ごしている様子が読み取れた。
そこにもたらされた、あの米国、歴史的にも日本人に鬱屈 -
Posted by ブクログ
前半はどうも難しく読み進まなかったのが、後半へ来てぐんぐん読み進めた。どうやって戦争を終結させたか、「失敗の本質」より平易で親しみやすい文調のため、頭に入りやすい。大学教授と雑誌編集者の違い明快なり。
半藤さんの、戦争経験者として、編集者として、歴史の、しかもこれまで日の当たらない人を取り上げ、深掘りする姿勢と、反戦への思いを私の心にも刻みたい。最後のパート、終戦時の鈴木首相なんて聞いた事なかったけど、そんな私利私欲のない政治家がいたなんて。こういう気づきを与えてくれてありがとう。
WW2終盤日本攻撃の指揮をとった米軍人に褒賞与えるなんて、当時の日本政府、どうかしてるわ。怒。
米軍は大都市 -
Posted by ブクログ
文藝春秋社に在籍されていた昭和史研究で知られる著者が簡潔にまとめた人物論。昭和初期の日本に寄与した政治家、軍人を中心に、一人数ページ程度で概説している。
植民地時代後期の激動の世界、不安定な立ち位置の自国、その中で生きた英傑(英邁、猛勇、人徳者)だけでなく、反対に残念な判断・行動をとった凡愚の人物も多く取り上げられていて、両方の意味で歴史に学べる点が良きです。
一人あたりの内容は薄いので、興味を持つ窓口となる入門書といった感じですが。
石原莞爾中将の項にて、一見すると厭世的と映る発言にも、個人的に強く共感するところがあり、国の行く末を冷静に憂いての言葉として、時代を越えて現代にも通ずるもの -
購入済み
史上最悪の作戦
山本長官の日程が敵に握られたのが何よりの痛手であったところに、
悪名高きインパール作戦。牟田口司令官はこれでもかというほど
無能に描かれている。 -
Posted by ブクログ
☆☆☆ 2025年8月 ☆☆☆
戦後80年を迎える夏に改めて読んでみた。
記録はつけていなかったが、これを読むのはおそらく4回目ぐらい。
まず肝に銘じたいのは「日本人の心のなかを掘れば『攘夷』が顔を出す」というもの。1941年12月8日の真珠湾攻撃時の日本人に巻き起こった歓喜。それが『攘夷』が表面に姿を見せたときだと半藤氏は指摘。現代の日本人はどうか。「外国人排斥」を訴えるような政党が一定の評価を受ける。「日本人ファースト」の一種の流行の中に僕は『攘夷』を感じて背筋が寒くなる。
P56に書かれている以下の指摘も重要。
「軍隊のみならず、日本の組織は何かやろうとするとき、一体何を目的とするの -