半藤一利のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
掛けた歳月24年5カ月、総ページ数12,000ページ。87年に渡った昭和
天皇 の生涯を綴った『昭和天皇実録』の編纂が終了し、今上陛下に
奉呈された のが2014年9月。
そして、今年3月から一般刊行が始まった。早々に予約をしたのは
いいが、 全19巻を5年かけて刊行することを予約語に知って愕然とした。
それまで 何があっても生きていなくちゃ。
既に刊行された2巻は手元にあるのだが、未だ手を付けていない。
読もうと思った矢先に、本書が出版されたからだ。昭和天皇の
崩御後、関連の書籍が多く世に出たので時間のある限り読んだ
のだが、それでも知らないことが多い。
なので、『昭和天皇 -
Posted by ブクログ
なぜ日本人はリーダーには泰然自若を求め、参謀を重要視するようになったのか。西南戦争、日露戦争を受けて、国家としてのリーダーのあり方を定める際に、その原型が作られたのだという。本書では、太平洋戦争における、愚将、名将の考え方、行動を具体的に取り上げながら、日本型リーダーの陥りやすい傾向を指摘する。太平洋戦争時のリーダーに見られた、学歴に由来する自信過剰、情報の軽視による無知蒙昧、逃避癖、無責任。これらは、リーダーに、至誠、礼儀、信義、気力、質素といった資質を求める傾向とともに、現代でも我々の発想の奥深くに根付いているのではないかという。
著者の長年に渡る昭和史についての講演のエッセンスをまとめ -
-
Posted by ブクログ
ちょっと見方を変えれば、いまでもいろんな会社で繰り広げられていることが書かれており、日本人の変わらなさ加減にがっかりしてしまう。だいたい、この本で”悪い例”として挙げられている人のほとんどが戦後を悪びれもせず生き延びていることに驚いた。が、こうして本として学べる形で世に出ていることに感謝すべきだと思う。
結果が正しく評価するための論理的な思考ができていないために、「経歴に傷がつく」などといって隠蔽してしまう。間違いを正して一歩一歩段階的に前進していくという観念がないために、やみくもな前例踏襲か”斬新”と称した滅茶苦茶な戦法の、どちらも実効性のないやり方しか選べない。上に立つ人間は威徳を備えなけ -
Posted by ブクログ
本書は、米軍の空襲で焦土となった町にたたずむ女性の写真をカバーに掲げ、また、巻頭の24ページを使って、占領期日本の光景を、生々しい写真で伝えることから始まっている。そう、我ら日本人は、ここから立ち上がって来たのだ。著者は、「マッカーサーの顔なんか見たくもない」と言う。この言葉こそ、戦後を生きてきた人びとの反骨心の原点であろう。マッカーサーによる6年足らずの統治下において、さまざまな大変革が成された。そして、それらはいまだに、憲法問題、国防問題、教育問題、沖縄問題、人権問題などなど、世論を二分して、この国を揺り動かしている。先の大戦から70年を経て、日本人にとっては、これらの問題の現代的事情をふ
-
-
Posted by ブクログ
資源など何もない不毛の地ノモンハンで、国境線を巡って日ソが衝突した。大本営の「不拡大」の方針を弱腰として退ける関東軍参謀の服部と辻。大本営も関東軍のメンツを重んじて強い命令をだせず、事件は多数の死傷者を出す戦闘へと拡大した。命令の曖昧さ、敵への侮り、情報の軽視、精神の過剰な重要視など、その後の日本軍の欠点がすべて現れた。現場の兵士は戦車に火炎瓶で立ち向かうなど勇敢に戦ったが、捕虜となった兵士に自決を強要するなど非情な対応。一方、参謀の辻はその後も太平洋戦争で指揮をとった。辻の悪魔的な狡猾さが印象に残る。またノモンハン事件と平行して、独ソ不可侵条約をめぐるヒトラーとスターリンの駆け引きも描かれて
-
-
Posted by ブクログ
日本に2発の原子爆弾が落とされるまでの様子が淡々と、しかし確実な現実として語られていく。多くの日本人が知るべき事実、それは日本も原爆開発を進めていたこと。けっして他人事ではないのだ。しかし確実に進行していく戦争の現実の前にその可能性は低くなっていく。
歴史にifはないと言われるが、本書を読むと、何カ所も「もしあのときこうしていれば」という思わされるところがある。それでもなお、やはり日本への2発の原爆投下はある程度の必然性というか、不可避であったのだとうということも同時に理解していくことができる。
最後の広島の描写も最低限でありつつも力強い。
多くの人に読んでもらいたい1冊。 -
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
2015.8.16
良著。湛山の命懸けの主張が、当時の大新聞との対比でより鮮明に映し出されている。
戦争を起こしたのは、軍部の責任であり、それはマスコミの責任であり、詰まる所、国民の責任である。
経済合理性と、言論の自由とが最も大事だと改めて感じた。
今の日本は、言論の自由はあるが、その言論は、マスコミのバイアスが掛かっていないか?疑問に思うべきである。
また経済合理性の視点はやや欠如しているのではなかろうか。
たとえば、尖閣諸島や竹島を守る事による経済合理性はどうなのか?年間いくらの防衛費を払っているのか?それがどれだけのリターンをもたらしているのか?いっそうの事、そんな儲からない土地な -
-
-
Posted by ブクログ
『日本のいちばん長い日』の半藤一利氏が日露戦争から太平洋戦争までの歴史の流れを日本人の資質とともに解説したもの。『日本人のいちばん長い日』が素晴らしく質の高い本であったのと同様この本も読む価値のある本である。
「あの戦争」とは太平洋戦争のことだが、どう呼ぶかによってイデオロギーの問題が生じるからとの説明だが、「あの戦争」という呼び方がこの本にはふさわしいように思う。
本書では、日露戦争の「勝利」が、「あの戦争」への道筋に与えた影響は大きいと論じる。さらに、日露戦争とあの戦争における指導者の覚悟と責任感の違いが、状況をさらに悪いものにしたのだという。
最後に「新聞と日本人」として、長いあ