半藤一利のレビュー一覧
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最近よく、政府のコロナ対策が「太平洋戦争の時の作戦と同じで、その教訓を活かしていない」とか言われているので、ちょっと興味を持って本屋さんで目に付いた本を選んだ感じです。
2017年の終戦の日のラジオ対談を書籍化。2017年というのは、盧溝橋事件が起きた年から80年になる節目ということもあったのでしょう。1931年の満州事変から1941年の真珠湾攻撃に至るまでの、太平洋戦争突入前の10年間をいくつかのターニングポイントごとに、原因や判断や起因するもの、そして結果と検証していくのですが、ラジオ番組らしくわかりやすく読めます。
コロナ対策がどこか戦争の時の対応と似ているというのは、戦略がないなど、 -
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<目次>
序章 太平洋戦争とは何か
第1章 関東軍の暴走~1931満州事変から1932満州建国まで
第2章 国際協調の放棄~1931リットン報告書から1933国際連盟脱退まで
第3章 言論・思想の統制~1932五・一五事件から1936二・二六事件まで
第4章 中国侵攻の拡大~1937盧溝橋事件から1938国家総動員法制定まで
第5章 三国同盟の締結~1939第二次世界大戦勃発から1940日独伊三国同盟まで
第6章 日米交渉の失敗~1941野村・ハル会談から真珠湾攻撃まで
第7章 戦争までの歩みから、私たちが学ぶべき教訓
<内容>
ノンフィクション作家の保坂正康を中心に、作家 -
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ネタバレ第二次世界大戦へといたる日本人の「過ち」の半藤一利なりの捉え方。
15歳のときに8月15日の終戦をむかえた半藤にとっては、いろいろな命題がある。
・薩長がつくり薩長が滅ぼした
・統帥権の問題は、帝国憲法制定の前から埋め込まれていた
・日本人固有の心性として、根拠なき自己過信、驕慢な無知、そして底知れぬ無責任という3つがあった
・海大、陸大の軍人の育て方に問題
・もともともっていた指揮官のイメージと参謀の関係が問題だった
・明治天皇は、対外的な問題をよく理解していた。昭和天皇には、情報がよく入らなかった
・第二次大戦で死んだ軍人のほとんどは餓死だった
後半は、陸奥宗光を通じて、外交上の取り -
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ぼくの地元は土崎空襲の地域でした。空襲は終戦の前夜。あと1日降伏が早ければ。。。そんな話をひたすら聞かされ、小学校の学芸会では空襲を題材にした劇を演じました。
また、ぼくの祖父母は子どもの頃に戦争を経験した世代。だから、食卓の会話として戦争の話が出てくることがふつうにありました。でも、もう少し年齢が下がると、祖父母も戦争経験がないということになります。だから、本書にある「最近のひとは戦争を知らない」という話は、ぼくが持っている印象よりもリアルなんだろうなと。
さて、本書は、戦時下の「名言」とそれにまつわるエピソードをとりあげ、そこから教訓を学んでいくという構成になっています。ぼくがいちばん -
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日本史だけを見るのではなく、世界史の中でその出来事がどうして日本で起きたのかを見なさい。豪華なこのお二人の対談のメッセージです。明治維新の頃、欧米では何が起きていたか(ボーア戦争で英仏は手が離せず、アメリカは南北戦争)。高度経済成長が可能であった条件とは(冷戦、人口ボーナス、軍事費負担なし)。現在の日本の諸問題も、同じように世界の状況の中で考えなければならないだろう。
それにしても、出口さんの博識ぶりにはあらためて驚愕。半藤さんがあとがきで書いておられますが、出口さんは対談中、一切のメモ書きを持たずに、これだけの内容をすらすらと話されたという。ビジネスの世界に身を置きながら、ここまで教養を深め -
ネタバレ 購入済み
作者ならではの視点
半藤一利という作家は好きで種々読んでいる。中でも昭和史シリーズは好きな本である。本歴史探偵シリーズは、前記昭和史に比較し、作者の個人的興味、主観の入り混じった、やや斜めから歴史に肉薄している点で興味深いものである。
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能條純一『昭和天皇物語 (8)』小学館。
昭和3年、若き天皇の思いと政府、日本軍との思いの相違は少しずつ大きな溝に。激動の昭和史の中心に身を投ずる若き天皇。詐欺師のような母子に翻弄される今の皇室とは雲泥の差のあるこの時代の人びとの天皇に対する畏怖と敬虔な思い。
しかし、随分と端折り始めたストーリー展開は大味でしかなく、前の7巻とのアンバランスさを感じる。
中国大陸で起きた張作霖爆殺事件への日本軍の関与を否定する田中義一の報告の嘘を見破り、内閣総辞職を促す裕仁。田中義一に替わり、総理の地位に就いた濱口雄幸も凶弾に倒れる。やがて、中国大陸にきな臭さが漂い始める。
定価650円
★★★★