半藤一利のレビュー一覧
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ネタバレ毎度お世話になっております、半藤さんと保阪さんの対談形式で、
昭和史を官軍、賊軍の視点で描く一冊。
お二方の著書をよく読ませてもらうのは、
複雑な昭和史をわかりわすくまとめているからなのですが、今回もわかりやすかった。
鈴木貫太郎って何でこんな評価分かれるんだろうなとずっと思ってたけど、
「ニ・ニ六事件で殺されかけて、とにかく生きることを優先し、戦争を終わらせるために生き延びた。だから戦争賛成側にも恨まれないようにどっちつかずの態度をとった」という
本書での視点はなるほどだなぁと。
斬新な視点だなと思いました。
今だからこそ、そんな昔の出身地で官軍賊軍なんて…と思うけど、それがアイデンティティであり、自分を構成する一部だったんだもんな。
特に海軍は人数が少ない分、それが顕著だったそうで、鈴木も、三羽烏の米内、井上、山本五十六も冷遇されている。
逆に陸軍は永田鉄山、東條英機あたりから「反長州閥」の流れが出てくるんだけど、
それにより皇道派や統制派の戦いが生まれるという…。
いずれにせよ官軍賊軍が昭和にまで影響を及ぼしたことを実感する一冊でした。
それにしてもお恥ずかしながら、今村均という人に関しては全然知らなかった。
こんな清々しい軍人がいたとは。
また別著で読もう。
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「半藤一利」のノンフィクション作品『ソ連が満洲に侵攻した夏』を読みました。
『指揮官と参謀―コンビの研究』、『ノモンハンの夏』、『「昭和」を点検する』に続き「半藤一利」作品です。
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かくして皇軍は百万邦人を見棄てた!
中立条約を平然と破る「スターリン」、戦後体制を画策する米英。
世界史の転換点で溺れゆく日本軍首脳の宿痾と、同胞の悲劇を壮烈に描く。
日露戦争の復讐と版図拡大に野望をいだく「スターリン」、原爆を投下し戦後政略を早くも画策する米英、日ソ中立条約を頼り切ってソ満国境の危機に無策の日本軍首脳―三様の権謀が渦巻く中、突如ソ連軍戦車が八月の曠野に殺到した。
百万邦人が見棄てられた昭和史の悲劇を、『ノモンハンの夏』の作家が痛烈に描く。
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太平洋戦争終結直前の昭和20(1945)年8月9日、、、
突如、満州に侵攻したソ連… 関東軍上層部は退避し、多くの将兵や邦人が見棄てられ、五十万人にも及ぶ人々がシベリアに送られた悲劇について、『ノモンハンの夏』に負けず劣らず、切れ味鋭い筆致でまとめてある作品でしたね。
■第1章 攻撃命令
…七月十六日、米国は原爆実験に成功した。
それが序曲だった。
スターリンはワシレフスキーに行った。
「前進し給え」と。
■第2章 八月九日
…深夜午前一時、侵攻の火蓋は切られた。
大本営陸軍参謀次長河辺虎四朗中将は自らの手帖に認める。
「予の判断は外れたり」
■第3章 宿敵と条約と
…満州とは日本、ソ連にとって何であったのか?
宿敵の日ソは中立条約を結ぶが、両者の思惑には天と地の隔たりが…。
■第4章 独裁者の野望
…スターリンは昭和十七年に対日参戦を決意していた!
列強の権謀が渦巻く中、この男の野望が徐々に浮かび上がってくる。
■第5章 天皇放送まで
…「語族協和」の理念は崩れ去った。
関東軍は"撃破"を放棄し、上層部は退避する列車に乗り込む。
こうして悲劇が始まった。
■第6章 降伏と停戦協定
…「天皇の軍隊」は国民を守らず、降伏の仕方さえ知らなかった!
国際法を無視したソ連軍によって、五十万人がシベリアへ…。
■第7章 一将功成りて
…スターリンは日露戦争の復讐戦に勝利し、その陰で十八万余の日本人が果てた。
「正義の戦争」など、ありえようもない。
■あとがき
■主要参考文献
■解説…辺見じゅん
戦地では終戦記念日の8月15日に戦争は終わったわけじゃなかったんだ… ということを改めて知ることができました。
そして、ぼんやりとイメージしか知らなかった、中国残留孤児やシベリア拘留、満州からの逃避時に発生したソ連軍等による悪行について、キチンと知る機会となりましたね。
兵士だけではなく、開拓民や居留民一般民に対する殺戮、強盗、略奪、暴行、強姦… そして長年に及ぶシベリア拘留等々、国際法を無視したソ連軍の非道な行為については憤りを感じますが、、、
その過酷な運命と凄惨な受難を生じさせた根本的な原因は、前線の将兵を残し、開拓民や居留民を敵地と化した曠野に放り出して、自らはいち早く退避した関東軍上層部の無責任な行動や、日本政府や日本軍の無責任な判断なんだと感じましたね。
特に都合の悪い(起こって欲しくない)ことは起きない(=ソ連は攻めてこない!)ということを信じ込み、妄想、幻想、現実逃避をしていた陸軍上層部の責任は重い… 仕事では絶対にやってはいけないことだよなぁ。
その後、日本は南進施策を進めることになるのですが、事実を丹念に積み上げていくと、東西の二正面作戦を避けたかったスターリンに操られていたとしか思えない… これにより、ソ連は対独戦に集中することができ、対独戦終了後に満州に攻め込んでくる、、、
日独伊ソの四国連合なんて夢でしかないですよねぇ… 当時の国際情勢を客観的に見ることができていれば、日本政府や日本軍は楽観的な思い込みはしなかったはず。
ソ連のことを甘く見過ぎていたとしか思えないですね。
本書を読んで、ソ連が第二次世界大戦に参戦した際、アメリカからソ連に大量の援助物資があったことを初めて知り、その規模の大きさに驚きました、、、
ただし、日本本土上陸作戦への転用を恐れ、上陸用舟艇だけは援助しなかったとか… アメリカはソ連を利用しましたが、ソ連を信じてはいなかったんでしょうね。
悲惨な経験を繰り返さないためには、正しい歴史認識を持つことが大切だと感じました。 -
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「半藤一利」の著書『ノモンハンの夏』を読みました。
『指揮官と参謀―コンビの研究』に続き「半藤一利」作品です。
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「司馬遼太郎」氏が最後にとり組もうとして果たせなかったテーマを、共に取材した著者がモスクワ・ベルリンの動静を絡めつつ描いた傑作
参謀本部作戦課、そして関東軍作戦課。
このエリート集団が己を見失ったとき、満蒙国境での悲劇が始まった。
「司馬遼太郎」氏が最後に取り組もうとして果せなかったテーマを、共に取材した著者が、モスクワの「スターリン」、ベルリンの「ヒトラー」の野望、中国の動静を交えて雄壮に描き、混迷の時代に警鐘を鳴らす。
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昭和14(1939)年5月~9月に満蒙国境で発生したノモンハン事件について、欧州の動静を含め、広範囲に及ぶ資料を収集し、深い分析と考察をした結果が、巧緻で切れ味鋭い文体でまとめてある作品でしたね。
■第1章 参謀本部作戦課
…"戦略戦術の総本山"参謀本部はすでに対ソ作戦方針を示達していた。
「侵されても侵さない。不拡大を堅守せよ」
■第2章 関東軍作戦課
…関東軍の作戦参謀たちは反撥した。
「侵さず侵されざるを基調として、強い決意を固めて万事に対処する」
■第3章 五月
…モロトフ外相はスターリンに指示された抗議文書を東郷大使に手渡した。
「これ以上の侵略行為は許さない」
■第4章 六月
…関東軍の作戦参謀辻政信少佐はいった。
「傍若無人なソ蒙軍の行動に痛撃を与えるべし。不言実行は伝統である」
■第5章 七月
…参謀本部は、関東軍の国境侵犯の爆撃計画を採用しないと厳命した。
「隠忍すべく且隠忍し得るものと考える」
■第6章 八月
…歩兵連隊長須美信一郎大佐はいった。
「部隊は現在の陣地で最後を遂げる考えで、軍旗の処置も決めています」
■第7章 万骨枯る
…死屍累々の旧戦場をまわりながら、生き残った兵たちはだれもが思った。
「ああ、みんな死んでしまったなあ」
■あとがき
■参考文献
■解説 土門周平
第二次大戦勃発前に発生した、満蒙国境ノモンハンでの悲劇… 『指揮官と参謀―コンビの研究』に収録されていた『服部卓四郎と辻政信』にも紹介されていましたが、概要程度しか知らなかったので、本書を読んで日本軍だけで2万人近い多大な犠牲(戦死、戦傷、戦病、行方不明等)があったことを改めて知りました。
指揮官や参謀の誤った判断により、多くの犠牲が出した悪例ですが、、、
二面戦争を回避したいという「ヒトラー」と「スターリン」の思惑が一致し、ドイツはイギリス、フランスとの戦いに集中、ソ連は日本、満州との戦いに集中できる環境が整った時期と重なってしまった不幸なタイミングだったようですね。
それにしてもなぁ、、、
統帥権を無視して暴走する関東軍(特に「服部卓四郎」と「辻政信」)の判断には憤りを感じますが、それを知りながら阻止できなかった(しなかった)参謀本部の無責任さには憤りを通り越して、呆れてしまいます。
そして、最も不幸なのは犠牲になった現場第一線の将兵たちですよねぇ… ソ連側の司令官「ゲオルギー・ジューコフ中将」が戦後に「スターリン」の質問に答えたという、
「日本軍の下士官は頑強で勇敢であり、
青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、
高級将校は無能である」
という言葉が全てを物語っている感じがしますね。
日露戦争に勝利したことが、精神力で敵に打ち勝つことができるという幻影を日本陸軍に植えつけてしまったのかもしれませんが、、、
作戦立案における無計画、無智、驕慢、横暴、無責任な体質や、保身と昇進と功名と勲章が誇りであることしか学んでこなかったことが、この結果を生んだのかもしれません。
こんなことって、現代の企業でもありそうなことですよねぇ、、、
競争社会を生き抜くための教訓になる出来事ですね。 -
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「半藤一利」の著書『指揮官と参謀―コンビの研究』を読みました。
「半藤一利」作品は、昨年10月に読んだ『漱石先生ぞな、もし』以来ですね。
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陸海軍の統率者と補佐役の組み合わせ十三例の功罪を分析し、個人に重きを置く英雄史観から離れて、現代の組織における真のリーダーシップ像を探り、新しい経営者の条件を洗い出す。
太平洋戦争敗北の背景には、新しい組織論の欠如があった。
英雄が歴史を作り出す時代は終わり、現代の組織においては、「際立った個人」より、総合的戦略としてのリーダー・シップが必要とされている。
日本軍における指揮官と参謀の組合せ13例から組織内におけるコンビネーションの重要性を学ぶ―。
新時代の経営者、必読の書。
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「松本清張」の『昭和史発掘(5) 2.26事件①』に続き、旧日本軍に関する作品、、、
日本軍における昭和初期の満州事変から太平洋戦争に関わった時代の指揮官と参謀の組合せについて、以下の13例が紹介されています。
■はじめに
■板垣征四郎と石原莞爾
…謀略で満州事変を演出した"智謀"と"実行"
■永田鉄山と小畑敏四郎
…統制派対皇道派に陸軍を分裂させた盟友
■河辺正三と牟田口廉也
…盧溝橋とインパール・最大の"無責任"司令官
■服部卓四郎と辻政信
…ノモンハン敗北から開戦へ・不死身の参謀たち
■岡敬純と石川信吾
…対米開戦へ引っぱった海軍の主戦派
■永野修身と杉山元
…対米開戦・「居眠り大将」と「グズ元」の二人三脚
■山本五十六と黒島亀人
…伝統の海軍戦略を破った異端の二人
■南雲忠一と草鹿龍之介
…ミッドウェイ惨敗をもたらしたもの
■東條英機と嶋田繁太郎
…「東條の副官」といわれた海軍大臣
■小沢治三郎と栗田健男
…「レイテ湾突入せず」栗田艦隊反転の内幕
■山下奉文と武藤章
…東條に嫌われた二人のルソン籠城戦
■牛島満と長勇
…沖縄攻防・仏の軍司令官と鬼の参謀長
■米内光政と井上成美
…終戦工作に生命をはったア・ウンの呼吸
■天皇と大元帥
…同一人格のなかの二つの顔
■参考文献
■文庫版のためのあとがき
「石原莞爾」、「永田鉄山」、「辻政信」、「杉山元」、「東条英機」、「山下奉文」、「牛島満」、「長勇」等は、『昭和史発掘(5) 2.26事件①』にも登場していたので、本書を読んで更に理解が深まりました。
『はじめに』で著者が分類している指揮官と参謀の分類は参考になりましたね、、、
≪指揮官≫
①権限を行使せず、責任もとらず
②権限を行使せず、責任はとる
③権限は行使するが、責任はとらない
④権限も行使しるし、責任もとる
≪参謀≫
①書記官型(または側近型)
指揮官の意思を伝達するだけで自分では判断しない、指揮官の知的・肉体的ロスを最小限にとどめる
②代理指導型(分身型)
指揮官の身となって自分でも判断し、適切な指導調整を行い、補佐する
③専門担当型(独立型)
指揮官を補するが、同時に自分の専門に関しては独自に判断し指導する
④準指揮官型(方針具体化型)
みずから権限をもって振る舞い、ときに指揮官をのり越えて指揮官としての役割を果たす
⑤長期構想型(戦略型)
長期的な戦略展望にとり組み独自の構想をもつ思索型の参謀
⑥政略担当型(政治軍人型)
各官庁や政界・財界トップとの折衝に特殊才能を発揮する参謀
これは会社にも当てはまる分類ですねぇ… ビジネス書のような側面を持っている作品でした。
『板垣征四郎と石原莞爾』は、二人が陸軍に残した致命的な功罪を知ることができました、、、
統制に反しても大功を収めれば許される(逆に評価される)という悪弊… 下剋上と謀略優先の陸軍の文化を創ったのは、この二人だったんですね。
『永田鉄山と小畑敏四郎』は、先日読んだ『昭和史発掘(5) 2.26事件①』の復習をした感じ、、、
概要がわかりやすくまとめてあり、とても読みやすかったですね。
『河辺正三と牟田口廉也』と『服部卓四郎と辻政信』は、指揮官や参謀の誤った判断により、多くの犠牲が出した悪例ですね、、、
統制無視、無謀な作戦立案、勢いや私情に流された判断… 前者は盧溝橋事件のきっかけを作り、無謀なインパール作戦を決行させ、後者はノモンハンで敗北し、対米英開戦を推進、いずれも怒りを通り越して情けなくなってきます。
『岡敬純と石川信吾』と『永野修身と杉山元』を読んで海軍の印象が変わってしまいましたね、、、
「米内光政」、「山本五十六」、「井上成美」等の条約派のイメージから陸軍悪玉・海軍善玉の先入観があったのですが、「岡敬純」、「石川信吾」、「永野修身」等の艦隊派の言動を知ると、陸軍も海軍も、あまり違いはなかったんだなぁ… と認識を改めざるを得ないですね。
『山本五十六と黒島亀人』と『南雲忠一と草鹿龍之介』は、海軍を象徴する対照的な組み合わせ、、、
「山本五十六」と「黒島亀人」は二人の相性や配置されたタイミングを考えると適材適所と言えるでしょうが、「南雲忠一」と「草鹿龍之介」については、経験や能力、タイミングを重視すれば、もっと適材適所があったはず。
人事の難しさを感じました… これは会社でも当てはまることですね。
『東條英機と嶋田繁太郎』は、太平洋戦争を二人三脚で推し進めた陸軍と海軍のトップ、、、
昭和天皇の信頼が厚かったのが不思議でなりません。
『小沢治三郎と栗田健男』は、レイテ湾での摩訶不思議な退却により海軍最後の勝機を永遠に葬り去った二人、、、
歴史にたらればは禁物ですが… レイテ湾の闘いでの判断には疑問があるし、悔いが残りますよね。
『山下奉文と武藤章』は、もっと有効に使いたかったコンビですよねぇ、、、
「東條英機」に嫌われていたのが、その理由のようですが、勿体無いですよね。
『牛島満と長勇』は、指揮官や参謀の誤った判断により、多くの犠牲が出した悪例のひとつ、、、
沖縄戦で犠牲になった民間人(約15万人)のことを思うと許せないですね。
『米内光政と井上成美』は、二人の戦争終結に向けた信念を感じましたね、、、
「山本五十六」とあわせて、じっくり研究したい三人です。
『天皇と大元帥』は、昭和天皇の持っていた天皇と大元帥という二つの顔(役割)、、、
それが軍に都合良く利用されていたのかもしれませんね… そして、昭和天皇に事実(戦局)が正確に伝わっていなかったことは確かなようですね。
相変わらず、よく調べられています… さすが歴史探偵「半藤一利」ですね。 -
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「半藤一利」と「宮崎駿」の対談を収録した作品『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』を読みました。
『風立ちぬ』を観て、『零戦 その誕生と栄光の記録』を読んで、零戦のことや「堀越二郎」のことを、もう少し知りたくなったんですよね。
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世界の「宮崎駿」×歴史探偵「半藤一利」が語り尽くす!
『崖の上のポニョ』ぶりの「宮崎駿」作品として話題を集める『風立ちぬ』の主人公は、ゼロ戦設計士「堀越二郎」がモデル。
世界の「宮崎駿」が書生となって、敬愛する「半藤一利」と語り下ろす。
「宮崎駿」監督が「かねてからお目にかかりたかった」という昭和の語り部「半藤一利」さん。
「漱石好き」という共通点からふたりはたちまち意気投合。
「宮崎」作品最新作『風立ちぬ』で描かれる昭和史をたどりつつ、持たざる国・日本の行く末を思料する―7時間余にわたってくり広げられた貴重な対談を完全収録した、オリジナル作品。
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初体面の「半藤一利」と「宮崎駿」が、大正~昭和初期の時代や、『風立ちぬ』について、自由気儘に語った対談を収録した作品です。
■第1部 悪ガキたちの昭和史
共通点は漱石好き
隅田川の青春と朝鮮戦争
日露戦争と建艦競争
狙われた半藤少年と「宮崎飛行機」 他
■第2部 映画『風立ちぬ』と日本の明日
3・11のあとで
気の強い母・遊び人の父
とっつきづらかった堀辰雄
遅れてきた軍国少年の涙 他
初体面とは思えないほど対談内容が盛り上がっており、読む立場でも愉しむことができました。
東京の下町で少年時代を過ごしたり、「夏目漱石」好きだったり、兵器(軍艦と戦闘機の違いはありますが… )好きだったりと、二人に共通点が多いことから、対談が始めって直ぐに打ち解けて、意気投合したようですね。
大正11年のワシントン軍縮会議で建艦競争が停止となったことから、工員や鉄が大量に余り、それが橋の博覧会とも言われる隅田川の立派な橋の数々になったことや、
ドイツは黄禍論の本場で、日清戦争での三国干渉主導や、日露戦争でロシアの味方だったこと、そして第一次大戦では日本とは敵国同士、第二次世界大戦では仲間だったはずのヒトラーが『我が闘争(マインカンプ)』では日本を卑下している… そのあたりの事実から、実はドイツ人は親日家ではないということ、、、
等々、なかなか印象深い対談内容でしたね。
『零戦 その誕生と栄光の記録』の読後に感じた、『風立ちぬ』に登場する「堀越二郎」と、『零戦 その誕生と栄光の記録』の「堀越二郎」に違いや違和感については、本書を読んで解決、、、
『風立ちぬ』の「堀越二郎」は、「宮崎駿」の創作人物で、「堀越二郎」と「堀辰雄」と「宮崎駿」の父親… 三人の要素が織り込まれて創られた人物だったようです。
タイトルの"腰ぬけ愛国談義"ですが、二人の対談の以下の部分からネーミングされたようですね。
≪半藤≫
「日本は脇役でいいんです。
小国主義でいいんです。
そう言うと、世には強い人がたくさんいましてね。
そういう情けないことを言うなと、私、怒られちゃうんですがね。」
≪宮崎≫
「ぼくは情けないほうが、勇ましくないほうがいいと思いますよ。」
≪半藤≫
「腰ぬけの愛国論だってあるのだッ と声だけはちょっと大きくして言い返すのですがね(笑)。
へっぴり腰で。」
≪宮崎≫
「ええ、ほんとにそう思います。
いいですね、腰ぬけ愛国論か…。」
これって本当に同感です。
勇ましくしようとして失敗したのが、第二次世界大戦までの歴史ですからねぇ… これからも腰ぬけで良いと思います。
この会話が印象的で、イチバン共感できる内容でしたね。 -
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昭和史研究の第一人者「坂本多加雄」、「半藤一利」、「秦郁彦」、「保阪正康」が昭和史を討論した作品『昭和史の論点』を読みました。
ちょっと前になりますが、12月8日… 太平洋戦争開戦の日に、昭和史のことを考えたくなり読み始めました。
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日本は進路を誤ったのか、戦前は「暗黒」だったのか、ワシントン体制から戦争責任まで、いまに尾をひく諸問題を徹底討論する。
国を鎖していた小さな国が、急速な近代化をなしとげ、しまいには世界の“一等国”を自任するまでになった。
しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入していく―。
昭和日本はどこで誤ったのか?
戦争以外の進路はなかったのか?
ワシントン体制から満州事変、二・二六事件、盧溝橋事件を経て、太平洋戦争、敗戦に至る過程を、昭和史研究の第一人者たちが、片寄った史観にとらわれることなく、徹底的に討論検証する。
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ワシントン体制から戦争責任までの期間を、時代に沿った以下の17テーマで四人が討論している作品です。
■1 ワシントン体制(大正10年) ― 反英のスタート
■2 張作霖爆殺事件(昭和3年) ― 陰謀の発端と発言せざる天皇
■3 満州事変から満州国へ(昭和6年) ― 泣く子も黙る関東軍
■4 国際連盟からの脱退(昭和8年) ― 新聞の果たした役割
■5 二・二六事件(昭和11年) ― 皇道派と統制派
■6 盧溝橋事件から南京事件へ(昭和12年) ― 陰謀・虐殺の事実は?
■7 東亜新秩序声明(昭和13年) ― 自主外交の突き当たったもの
■8 ノモンハン事件(昭和14年) ― 北進から南進へ
■9 日独伊3国同盟(昭和15年) ― 4国同盟への夢想
■10 四つの御前会議(昭和16年) ― 戦争への道のり
■11 ハル・ノート(昭和16年) ― 多くの陰謀説の検証
■12 真珠湾攻撃(昭和16年) ― 「無通告急襲=騙し討ち」の汚名
■13 大東亜共栄圏 ― 「解放戦争」か「侵略戦争」か
■14 餓死と玉砕 ― 太平洋戦争の軍事的側面
■15 科学技術と戦略 ― 戦艦大和・零戦・酸素魚雷
■16 原爆とソ連侵攻(昭和20年) ― 聖断をもたらせたものは何か
■17 戦争責任と戦後補償 ― 謝るべきか、否か
■関連地図・年表
昭和史研究の第一人者たち… と言っても、17もテーマがあると、それぞれに特に得意なテーマがあるようで、テーマによってリーダー的な発言をする人が異なっていましたね。
意見が相違したり、対立するテーマもありました。
歴史というのは、事実として判明している部分は意外と少なく、事実から類推する部分が多いので、このようなことは起こって当たり前なんでしょうねぇ… ひとりの人の意見だけを信じるのではなく、複数の人の意見を知ることにより、多面的に物事を見て、判断できるようにしないといけませんね。
そういう意味では、歴史って、答えのないミステリーのようなものなんですよねぇ、、、
事実と推理を組合わせて仮説をたて、それを証明できる資料や証言を探す… ということを繰り返して、真実に近づいて行くしかないけど、本当のことは当事者にしかわからないですからね。
興味はあるけど、なかなか頭に入らない昭和史… 勉強させてもらった一冊でした。 -
Posted by ブクログ
「半藤一利」のノンフィクション作品『完本・列伝 太平洋戦争―戦場を駆けた男たちのドラマ』を読みました。
『聯合艦隊司令長官 山本五十六』に続き「半藤一利」作品です。
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あの苛烈にして悲惨な太平洋戦争をよく戦ったのは、将軍や提督ではない。
歴史の陰に埋もれた人物に光をあてて描く、人物太平洋戦史。
“日本の最大の試練”であった、太平洋戦争の時代。
振り返って見れば、その日、その時を、誰もが必死で生きていた。
そして生きのびた者、ついに命を失った者……それぞれの人生の中に、いかなるドラマがあったのか。
本書では、将官から一兵卒にいたるまで、著者が自ら取材した人物たちの体験談を基に、戦場の知られざる事実を発掘し、ドラマチックに描き上げる。
≪主な登場人物≫
●志賀淑雄大尉(戦闘機隊長とスクープ記者)
●松村平太大尉(真珠湾に殺到した男たち)
●藤田怡与蔵中尉(われ機動部隊上空にあり:ミッドウェイ海戦)
●神重徳大佐(殴り込みに徹した参謀)
●吉川潔中佐(小さな艦長の大きな勇気)
●若林東一大尉(高地に戦い高地に死す)
●北本正路少尉(ニューギニアの健脚部隊)
●森本猛夫技師(不沈も所詮は形容詞にすぎず)
●寺内正道中佐 ほか(不沈の“雪風”四人の艦長)
……読みごたえ充分の一冊である。
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昭和35年(1960年)から翌年にかけて『週間文春』に連載された『人物太平洋戦争』の記事を中心に編集された作品です。
当初は『列伝・太平洋戦争』として、上下2巻で文庫化されていた作品が、平成12年(2000年)に新装版として一冊にまとめられたとのことで、以下の6部構成、約570ページの大作となっています。
■第1部 昭和十六年 ― 輝ける日
■第2部 昭和十七年 ― ミッドウェイの落日
■第3部 昭和十七~十八年 ― ソロモン海の死闘
■第4部 昭和十九年 ― 太平洋上の戦雲
■第5部 昭和二十年 ― 最後の栄光のために
■第6部 国破れて ― 万骨枯れたり
太平洋戦争に関わった三十余名の物語… 軍属として兵員等の輸送に携わった船長や艦船の建造に携わった造船技師等、将官や兵士だけに留まらず幅広い人物が選ばれています。
印象に残ったのは、部下を惹きつける魅力を持った求心力のある上官のエピソード… 具体的には、、、
歩兵第二二八連隊の尖兵中隊を率いた中隊長で、香港攻略やガダルカナル島で活躍した「若林東一」大尉、
不沈駆逐艦「雪風」の三代目艦長で、太平洋の各地で奮戦した「寺内正道」中佐、
戦争は破壊だけではないとの信念のもと、戦場で植樹を続け、戦後、捕虜として抑留されている際に敵国の中国から表彰された「吉松善三」大佐、
第八方面軍司令官で、占領統治下のジャワでの善行が評価され、戦争裁判で無罪となり帰国したものの、部下が戦犯としてオーストラリアのマヌス島に抑留されていたことから、自らも志願してマヌス島で抑留された「今村均」大将、
等々、リーダーシップを発揮し、部下からの信頼感を得て、部隊の一体感を醸成し、組織としてチームワークを強化することで、潜在能力を引き出すことのできた能力には、学ぶべきモノがありましたね。
彼らの積極的な行動や信念を持った指導は、職場でのマネジメントで求められることと同じだと思います。
失敗事例についても、反面教師として、役立つこともあるんですけどね。
それから、、、
真珠湾攻撃出撃前、「志賀淑雄」大尉の気持ちの昂ぶりは、ラグビーのキックオフ前の気持ちと共通するものがあり、強く記憶に残りました。
生死を賭けた戦争とスポーツではレベルが全く違うと思いますが… 読みながら気持ちがシンクロしましたね。
でも、戦争を美化したり、軍備拡大を奨励するつもりは、全くありませんよ、、、
逆に、本書を読んで、死を強要する行為は絶対にあってはならないという思いを強くしました。
過ちを犯さないために、ある程度は、当時の日本が犯したこと… 真実をキチンと認識しておきたいですね。 -
Posted by ブクログ
宮崎駿の対談なんて面白いに決まってる。一言一言がワクワクするし、聞き逃したくない。一瞬で購入を決めた。
駿が対談相手に選んだという半藤さん、私は存じ上げなかったのだけど、著者紹介に2021年1月永眠とあって、つい最近のことでなんだか悲しくなった。帯にも「追悼」とあるもんね。
この本を読んでいる途中、最近たまたま録画していた山本五十六の特別番組を見ていたら、半藤さんがVTR出演されていて驚いた。対談から受ける印象そのものの、お上品そうな?おじさんだった。
2人とも好奇心旺盛で中身が若く、謙遜して相槌を打っているように見せながら知識披露合戦を繰り広げている。
p25
2人とも漱石のファンらしく、『こころ』について半藤さんが「遺書が長い」と言っていて笑った。やっぱり思うよね、あれは遺書の文量ではない(笑)
実は志賀直哉のためだったとは。
『風立ちぬ』エピソードは興味深い。最近じっくり見て、大人向けのいい映画だなと思っていたから。
戦争の話にもなって、そういえば駿は飛行機が大好きだったの思い出した。
p40
「艦橋」って初めて知ったけど、そういえば軍艦て、よくわからないものがデコボコうず高く積まれているイメージ。あれがただ見栄を張りたいだけだったとしたら、相当アホらしい。係長がいっぱいいる町役場って例えがぴったり。
p54
「五機つくって南方に送っても、着くのは一機だけ」「五機同士でアメリカと日本の飛行機がすれ違うと日本は一機だけ残って、向こうは一機が薄い煙を吐くだけ」
戦時中でさえみんな日本は負けだと分かっていたのに、なんで戦い続けるんだろう。いやそもそも、開戦前から勝てると思ってたのだろうか…
p66
日本は自分の国をそもそも守れないそうで、守れないとなったら攻撃するしかない、「攻撃こそ最大の防御」だということで侵略主義に…ということらしい。ところが資源もないのでどのみち負けなんだそう。
勝つ負けるの問題ではないけれど、負けると分かっていても侵略だの攻撃だのって、いつか報われるとか、頑張ればもしかしたら戦勝国となり得るとか考えていたのだろうか…
安直で、愚かで、頭の中お花畑だなと思う、今の日本も。
p71
「いまもそうですが、この国は責任者というものがわからないような仕組みになっているんです。」
それは責任者と言えるのか?むしろ部下に押し付けたり、丸投げだったり、放置したり。自分の方が給料も待遇も良いはずなのに、後輩や部下を助けようとしない。でもそういう人は自分で自覚しているはずで、自信もないし罪悪感を感じているはず。必ず、相応の罰が下る。
p77
お二人によると、この先日本が世界史の主役になることはなく、脇役でいいそうで、強い人からしたら情けなく、勇ましくないように見えるが、そういう「腰抜け愛国論」というものもあるのだと…それでタイトルの意味が分かった。
p82
ジブリがデジタルになった理由が、フィルムだとお金がかかるからだったなんて。現像所も少なくて、フィルムの質を保つのも難しいと…フィルムカメラとデジカメのようなものか。最近そういえばBlu-Rayで作品を販売していたのも、劣化防止がきっかけだったのかな。
クリエイティブな仕事をしている人は、高齢になっても常に時代に合わせて最先端を取り入れていかざるを得ないこともあるんだなぁ。
p90
半藤さんの父は、太平洋戦争が始まった日に日本は負けると予想していたらしい。それも大声で吹聴していたらしく、近隣住民に密告されていたとか。区議会議員だったからすぐに釈放されたものの、異なる意見を持つ者であれば自国民でさえ切り捨てるその考え方が恐ろしい。
p95
半藤さん、ハチ公の銅像と、まだ生きているハチ公を見る為に渋谷に行った思い出があるらしく、ハチ公を見た人が平成(令和)に存在していたと思うと不思議な気分。
p113
駿のおじいさんの機転がすごい。大地震の直後に真っ先にご飯を食べて、お金だけ持って逃げて材木を買い占め、それを売って震災復興で儲けるなんて。さらに世界恐慌を他国のヒット商品のまがい物を売ることで切り抜けて苦労知らず…
知恵があり生きる力が強い人なんだなと。さすが駿の一族!
p128
最近のジブリが昔のようにファンタジーじゃなくなったのって、リーマン以来、世の中の情勢が変わったからなんだ。世界が不安な時に、ファンタジーは空想的でチグハグな感じがするからなのかな。
私はリーマンショックの影響をもろに受けた世代だけど、でもジブリでは昔みたいなファンタジーも見たいなぁ。空想の世界で癒やされたい。物語の世界では現実を直視したくない。
p160
堀辰雄は戦時中に既に、戦後はEUのような国家間の連合が希望になると考えていたようで、いつの時代でも先のことを考えられる、時代の一歩先をゆく人は存在していたのだなと感心する。
p193
「この国はあいつのおかげで滅んだ」ほらやっぱり、責任をなすりつけている。対立する意見を自分の主張で納得させられなかったならそれはもはやどっちが良かった悪かったとは言えないのでは。最終的にどちらも意見を譲らず中途半端な飛行機が出来上がったのは、紛れもなくどちらにも責任がある。これが決定権を持った人のやることなんだろうか。この人達は仕事をしていないも同然じゃないか?
こういう有能でないオジイサンの為に、何人の若者が亡くなったんだろうと考えると本当に虚しい。しかもオジイサンは生きている。国民は軍に対してなぜ反撃しないのか?と思うのだけど、それは当時の様子を知らないから言えるのだろうか。
p211
『こころ』のお嬢さんが2人の好意に気付いていたかについて。私も絶対気付いてないと思ってた。文面からはそんな要素が一つも感じられない。Kとは仲良さそうな印象を受けたけど…だから先生が急にお嬢さんのお母さんに娘さんをくださいと言う場面、お嬢さんの意思も確認せずモノのように奪う感じがして、何か不愉快。
あと主人公と未亡人のお嬢さんが結婚はどう考えてもないでしょう。
p221
「民草は食うのに一生懸命」「ほとんどの人が刹那的」…では戦争以前は、戦中・戦後を想像できたのだろうか。どうやって戦争に突入していったんだろう。覚悟はあったのか。
よく思うのが、戦争中、南国の真っ青なスカイブルーの海を見て、戦争する気が起こるもんなのか、あんな美しい海の上で殺し合う気なんて起こるのかと思うけれど、命じているのは安全な場所にいる参謀本部なわけだから関係なかった。
令和の現代も、若者はお金もないし未来は不安だらけだし、一生安泰な職業なんてもはやない。国が不安定だと国民は刹那的に生きるしかなく、悠長に未来を考える間もなくなるのか。
p234
「エネルギーが石油に移行することをしっかり認識しておれば、次の戦争の主役は飛行機と戦車と潜水艦になるということがわかったはず」
p235
エネルギーの大転換は歴史の節目節目に必ずやって来るものだが、日本人はそのことに対して鈍い民族…
国家そのものが何事も後手に回る受け身だし、刹那的。他国の真似は得意だが、リーダーには向かず、非合理的で決断が遅い。結局、得意だったことも次々と外国に乗っ取られてしまう。
思考停止と無責任の集まり、それが日本…なんでしょうか。誰か否定できるならして欲しい。
p238
ソナーやレーダーの話、呆れて笑えるほど非合理的。駿に発想が役所で、バカとまで言われる海軍。上がポンコツだと下は失わなくて良い命が失われるんだなぁ。どうしてダメだと分かっていて、発言や改善ができないんだろう??日本人に限らずなのかもしれないが、本当に非合理的で、無駄に空気ばかり読む「動物」なんだなと思う。空気が何か解決してくれるんでしょうか。そして大して読めてもない。
p242
「歴史は四十年サイクルで盛衰して行く」という半藤さんの「四十年周期説」…
面白い。2013年の当時で「失われた20年」だとすると、1990年頃から確かにバブル崩壊の影響で不況が始まり、となると2030年代頃にはどん底を迎え、それ以降は上昇していくのだろうか…だったらいいな。
p243
私も年金のために子どもを産まなきゃいけないなんて馬鹿げていると思う。どうしてそんなに視野が狭くなるんだろう。目的は、子どもを増やすことじゃないでしょ。その考え方は中国のひとりっ子政策と一緒。人権がない。不自然。
それに今の若者は昔ほどお金や心に余裕がない。希望もない。生まれたときから不況なんだから。
だからこそ社会制度を変えるとか、あるでしょ。
皆が快適に暮らしたいという目的の為に、手段を間違ってはいけない。国民同士で揉めてどうする。そんなことより全世代、選挙に行った方がいい。
p245
確かに日本は着るものや食べ物など、自国で何も作ってない。そして国民は自覚していない。
私は水が奪い合いになるかも…という話は聞いたことがある。そうなったら地球が終わる、ぐらい恐ろしいことだなと思った。
p247
尖閣の問題、2人は棚上げしたほうが良いという意見なんだ。先送りではなく、堀辰雄が考えたように東アジアにEUのような制度を作って、未来に希望を見出す形で。個人的にはアジアは個性が強すぎてまだ難しいとは思うけど。
テレビで、戦争を起こさない為に地球全体を連合国のように考えて国境を無くすのはどうかという考えも聞いたことある。
もしかしたら、これからの人達には国境なんて見えなくなるのかもしれない。でも決して、戦争をしたらどうなるかは忘れてはいけない。戦争で解決なんてしようとしてはいけない。
p267
半藤さんのあとがきがまた素晴らしい。
「いまの日本の政治は期末利益優先の株式会社の論理で国家を運営している。わたくしにはそうとしか見えません。とにかく目先きの利益が大事であって、組織そのものの永続は目的ではない。自然資源や医療や教育や自活の方策など、国民再生産の重要課題などは後回しで、その日暮しで、国民の眼くらましとなる利益のあがる政策最優先です。」
「でも、「国家百年の計」という言葉があるように、百年スパンでことを考え構想し、それへ一歩踏み出すのが国家運営の責任をもつ人たちの仕事だと思うのです。」
先日、私の祖母が最近の政策を鑑みて今の若者はかわいそうという話をしていて、ハッとなった。
人口に対して高齢者が多い→票を得るために高齢者向けの政策ばかり作られる→高齢者向けの政策を作った政党に投票される→若者が不利…
と考えていたけど、勝手に高齢者VS若者のような構図になっているけれど、若者や未来の日本のことを考えてくれる高齢者はいる。やっぱり社会問題を身近に捉えているし、それに対する見解も長年の経験や勘から的を射ている。
逆に若者の方がまだ人生経験も浅く、自分の未来に降りかかるであろう問題が見えていない、実感がない。けれどこれから苦労するのは明らかに若者だ。
だから、高齢者と若者と分けて対立させるのではなく、協力してお互いの良いところを掛け合わせる。高齢者には若者のアドバイザーやコンサル的な立場になってもらい、若者はその情報を元に未来への対策を構築し、実行する。
人間の一生はそんなに長くない。何の情報もなく無策で生きていると、要領を掴んだ頃には寿命を迎える。それは知能の高いはずの人間には勿体無いことではないか。
0から人生を始める必要はない。言葉や本やメディア等で先人の知恵をお借りして、目一杯利用する。
どうせなら自分が生きている間に、世の中が目まぐるしく発達し、より生きやすくなっていけば幸せじゃないか。
私達の世代は生まれた時から未来に希望が見えず、不安だらけで期待もしていなかったけれど、まだ諦めなくても良いのかもしれないと思える。
きっとこの対談の二人や私の祖母、その親世代が若者であった時代は生き残ることさえ難しかったと思う。
それでも生きて、今の若者世代を慮る人がいるということは、若者にとって非常に心強いことではないかと思う。
半藤さんも期待していたジブリの次回作、まだかな…。
20220508 -
Posted by ブクログ
半藤一利と言う人は優れた歴史家である。
ただこの本の中の 特攻隊と日本人の章では、どうしても同意出来ない箇所がある。
「自分の乗った航空機あるいは魚雷ごと突入して敵艦を撃沈するくらい。これは世界戦史の中でそれまで見たことのない常識外れのものでした。非情この上ない非人間的な作戦でした。」
確かに特攻は作戦として外道の外道であると言う事にはオレも同意する。
しかし、特攻が非人間的か否かは乗る人間の価値観で決まる。 乗る人間が身体、生命以上の価値を何らかに見出して、その事が特攻により守られる可能性があるなら必ずしも非人間的とは言えないと俺は考える、。