半藤一利のレビュー一覧
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とても感銘を受けた1冊です。
書かれているどの人物も皆記憶に刻みつけられる話ではあるが、特に岡田資、大西瀧治郎、満淵正明、有泉龍之助、本間雅晴、阿南惟幾の話は非常に考えさせられるものでした。
我々はこういう人達のことをあまりに知らなすぎる。自分達の国は、この様な立派な方々の人生と死の上に成り立っていることを、しっかりと学ばねばならない。この本に書かれている人達の前で、誇れる日本を我々はつくれているだろうか。恥ずかしいことをしていないだろうか。自分の利益ばかりを追い求めていないだろうか。
この本は、多くの日本人に是非とも読んで頂きたい1冊である。そして、恥ずかしくない人生を送ることを決意させ -
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読んでみて、まぁなんとクセツヨの人間らに支配されていた昭和戦時下であったことかと思い知らされたというのが率直な感想である。自ら誤った流れを作ってしまったコンビ、既に時勢には抗えない状況にあって立ち向かったコンビ、ここに挙げられているすべての人物の根底には国を守るということが共通するものの、結果が明かされている後世の者から見れば、この甚大なテーマに立ち向かえるような組織、さらにはその組織の最小単位であるコンビとも、その有様ではとうてい無かった、ということかと思う。また、最後の『天皇と大元帥』は平和な時代の象徴天皇しか知らない私にとっては、ここに記されている戦争実行の時々の振る舞いは非常に興味深く
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2001年刊。おもに90年代にいくつかの雑誌に載せたエッセイ、13篇を収める。
著者とゆかりの深いテーマ――永井荷風(隅田川つながり)、河井継之助(長岡つながり)、夏目漱石(半藤末利子つながり)――ほど力が入っている。漱石は3篇、それぞれ『吾輩は猫である』と千駄木、『三四郎』と本郷、『坊ちゃん』と道後温泉をあつかっている。
『猫』と千駄木のエッセイは、家の間取りや周辺環境から、『猫』を読み解く。たとえば、苦沙弥先生が落雲館の中学生と決戦するくだり。落雲館は家の裏手にあった郁文館中学。野球の練習試合が煩かったらしい(一方で、親友・正岡子規が広めた野球がこれだけ流行っているということも言いたかった -
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少し時間がかかったが読み切った。戦前の昭和史の分厚い大作である。ちなみに戦後編もある。
半藤氏の著作で以前「日本の一番長い日」を読んだ。重なる部分も多いが、15章に分けて段階を追って日本が敗戦へ向かった経緯が書かれている。第2次世界大戦の記録本はたくさん読んできたが、本書はとても分かりやすい。たまたま日清・日露戦争が上手くいったのでつい楽観的に考えて失敗した、という敗戦の原因が分析されている。
「日本の一番…」の書評でも書いたが、天皇陛下がどの程度節目で決断にかかわっていたのかが分かってとても興味深い。はっきり言って想像以上だ。彼は本当に国民を思い、平和を希求していたのだ。
リアルタイムに戦争 -
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ネタバレ編集者に向けて喋った内容を記事に仕上げたとのこと。そのおかげで授業を聞いているような感覚で読めて非常に面白かった。
歴史的に何があったのか、流れがわかりやすい点がよかった。事実を並べていくと、裏では何があったのか、誰が何をどう考えて動いていたのかが見えてくる。人の記憶は正確でないから、その場その場での記録がいかに大事かもよく分かった。なかには筆者の推測も入ってくるが、それもまた興味深い。やはり戦争のことなので悲しくつらい内容ではあるが、その時代を見た人の話を聞けるのは大変貴重だ。
戦争に向かう空気、国民の熱狂と変貌ぶりは、今なら想像ができてしまう。戦争に関して、誰も本当の意味では責任を取れない -
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無料版購入済み
おもしろい
前に武田鉄矢さんがテレビで紹介されてておもしろそうだったので読んでみた
歴史ものが好きなので大変興味深い内容だった
NHKでアニメ版大河ドラマでやればヒットしそう -
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2013年、宮崎アニメ『風立ちぬ』公開に合わせた対談。文庫オリジナル。
半藤83歳、宮崎72歳、ふたりは初対面。カーブミラーに映っているのが自分なのに、どこのジジイかと思ったという共通のエピソードで始まり、旧知の友のように、話はノスタルジックに展開する。
話題の中心はもちろん『風立ちぬ』。零戦の設計者堀越二郎の話から、戦闘機や軍艦をめぐって談義は白熱する。反戦平和を願うふたりなのに軍事オタク、そのギャップがおもしろい。
『風立ちぬ』にも登場した隅田川、その今昔にも触れている。半藤は学生時代はボート部で、練習場は隅田川。ボートから見える景色や、隅田川から運河を通って利根川の河口の銚子まで、数日か -
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1926年から満州・上海での一連の事件・戦争は前線陸軍の単独行動と暴走(天皇・元帥の命令なしで行動「統師権干犯」)軍の陰謀から満州事変へと発展、更に分派(統制派と皇道派)との争いから、皇道派による2.26事件(政治腐敗や農村貧困を訴えた)により国政は軍事一色へと大きく傾いた。結局、現在でも置かれた環境の機運で事が悪くても進めざるを得なくなる政治体質は変わっていないと感じた。史実で昭和天皇への報告は偽りが多く、当初内閣、軍隊官僚が事件発端の軍人行動を軍律で押さえ付けられなかった怠慢責任は重大で且つ致命傷で、その後の第2次世界大戦への火蓋は、近衛文麿首相など強力なリーダーシップのない人物が祭り上げ