半藤一利のレビュー一覧
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壮大な漫画昭和史
文字だけの歴史書や文芸書と単純に比較するのは適切ではないが、漫画というフォーマットだからこそ出来ることがあると思い知らされた。文字で読む歴史上の出来事と異なり、人物の表情や吹き出しでセリフを見ることで臨場感や現実感がかなり感じられる。遠い昔の出来事が実際に血の通った人間が関与して起きたことだという実感が持てるという意味で、この作品の作者の絵のスタイルも寄与している。昭和天皇という人物が一人の人間としてどのような人だったかを知る良いとっかかりにもなる良書。
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歴史作家の半藤一利氏と立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏の対談である。この二人の対談なのだから内容が濃いのはもちろんだが、改めてこの二人の教養の高さを感じた。
最近は自分が信じたいことが書いてあるものしか読まないという人が増えています。そして日本では中国はこんなにもひどいという本はたくさん出版されています。でも中国には「日本はこんなにひどい国だが中国はこんなにも素晴らしい」という内容の本はほとんど見当たらないようです。中国にとってもはや日本など眼中にないのです。
この二人が共通して危機感を持っているのは日本人の知性の劣化です。OECD諸国の大学進学率の平均は62%で日本は50%で最低レ -
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A面に位置付けられる『昭和史』を読んだ後に本書を読みました。
A面が昭和史を俯瞰したものであるのに対し、本書は個人の目線から見える昭和史を見事に描いた作品といえるでしょう。
例えるならば、A面で昭和史の地図を描き、B面ではその地図に基づきストリートビューを描く、そんな関係かと思います。
例のごとく軽妙な半藤節によって、昭和の激動の時代を庶民がいかに生きたかを臨場感をもって追体験できます。
終戦直前の昭和19、20年は、B面的話題が乏しくなり、その点について批判もあるようですが、私はむしろ、そのようにB面に戦争が侵食していく過程、すなわち庶民の生活が戦争一色に染められていく過程が本書のとても -
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静かな迫力のある漫画
漫画という表現手段で淡々と昭和天皇の物語をつづっている。絵も写実的でありながら見やすく、漫画ならではの過激な表現ではなくその画力によって繊細な目の動きや表情などで登場人物の心の機微を表しているのが秀逸。漫画にワンピースや鬼滅の刃のような興奮とカタルシスを求めるだけだとこの漫画の静的な表現は物足りないかもしれないが、小説と映画の中間媒体としてそれなりに分かりやすくそれでも読者に解釈をさせるような深みもある。内容としても天皇になるべくして生まれた昭和天皇の若き日の苦悩(表面上はほとんど見えないが)、周囲の従者たちの皇室への畏敬の念と対応、当時の国民の皇室との距離感など非常に興味深い。
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購入済み
文句無し
読んでて緊迫感も伝わるし、実に良い作品である。
激動の大正末期と裕仁親王の周囲の人たちの言動も、恐らくは記録にほぼ忠実ではないかと思われる。
益々、これからの展開に期待したい。 -
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Posted by ブクログ
【かつて橋の技師になることを諦めはしましたが,今を生きる人と昭和史のあいだに橋を架ける仕事を俺はしているんだ――なんて言うと,こじつけになるでしょうか】(文中より引用)
昭和史の第一人者としても名高い半藤一利が自身の生い立ちや執筆動機について語った作品。編集者として仕事を重ねてきた半藤氏がいかにして昭和史にのめり込むようになったかがわかるとともに,「続けること」の大切さを教えてくれる一冊です。
サイズ感で言えば薄い本に入ると思うのですが,その内容が極めて面白く同時に濃い。特に少年時代の戦争体験については,それ自体が昭和史を構成するエピソードとしても強く印象に残るものでした。
半藤氏の別の -
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二つの記念碑
最初の一巻は期間限定の無料のを読みましたが、
結果としては当たり前のように既刊まで一気買い。
大正天皇・昭和天皇のそれぞれの皇太子時代での巡幸の記念碑が母校にあり、
尚且つ、昭和天皇の時代の宮内庁長官が母校の出身者でもあるので、それなりに歴史も知ってますが
昭和天皇の時代に生まれ生きてる者としては興味が沸かない筈の無い作品。
若い人にも"昭和"を体験してもらいたいと思う。