半藤一利のレビュー一覧
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はじめて手にした半藤一利さんの本が遺作になってしまったことが悔しいです。
もっと続きを読みたかったです。
後半、特に沖縄のところは胸に迫るものがありました。「県民に対し後世特別のご高配を賜らんことを」と残して自決された司令官の大田実少将の電文に心打たれました。
こんなふうに沖縄の人々に寄り添った人もいたのだと胸が熱くなりました。
奥様(エッセイスト)の解説とお孫さん(編集者)の編集後記にも感動しました。
著者本人の企画書のとおり、まさに“孫に知ってほしい”戦争の名言の数々、
若い方こそ読むべき本ではないかと思います。
知りたい事はまだまだあるので、今後も戦争関連の本は読んでいきたいと思 -
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やるせない。ヒトラーのように信念や狂気で開戦を決意したのならまだ諦めもつくが、単に無能な指導者たちが流れや空気で何となく戦争を始めてしまうのは本当にやるせない。しかしここに出てくる旧参謀たちは、いくら戦後の回想とは言え、どうしてこうも他人事で無責任な言いようなのだろう。おまけに戦略眼が米軍に比べて子供レベル。なんだかもう一度戦争が始まってもおかしくないように思える。
そうならないために半藤氏らが正確な歴史を紐解き、後世にこういうバカ者たちがいたことを残してくれた。半藤氏の反戦、平和への貢献は極めて大きい。心よりご冥福をお祈りいたします。 -
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半藤一利さんは特に近現代史の研究家として第一人者であろう。しかし、安倍前首相や、その取り巻き達からは嫌われていた。第2次大戦における後世に伝えたい言葉を紹介したこの本は、半藤さん最後の著書である。
まずは山本五十六。真珠湾奇襲にあたり指揮官だけの会議において「日米交渉が成立したら、例え攻撃機発進後でも直ちに帰投せよ」と指示したところ、機動部隊司令長官南雲中将は「実際問題として実行不可能」と発言。山本長官は「兵を養うは、一に国家の平和を守らんがためである。これができない指揮官は即刻辞表を出せ!」と叱責。各指揮官は全員シュンとなったという。司馬遼太郎は当時の日本について「現実の日本は、アメリカに絹 -
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半藤一利の著作を最後に読んだのはいつだっけ?
と思いながら、書店の平積みにあるこの本を手に取った。
その時亡くなっていることに気がつき、惜しい人を亡くしたなと感じた。
半藤一利といえば私の中では『昭和史』。
大学生の時に、なぜかわからないが読んだ。
戦争の悲惨さ、民衆の心の動き、政府の未熟さ。
どれをとっても悲しみと怒り。
沖縄に行けば、否応なく感じるその苦しさ。
それを気がつかせてくれたのも、この人だったと思う。
今の現代人が歴史に興味をもてないのは悲しい。
著者は
「人間の眼は、歴史を学ぶことで、はじめて開くものである。」
という。
歴史を伝える立場にある以上、この言 -
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ノモンハンでの凄惨な戦闘と、それを生起させた要因について精緻に、分かりやすい筆致で語りかけてくれる。
しかし、そもそも満州国を建国するとなればソ連と長大な国境を接すること、日中戦争を進めるためにはその手当をしながらでなければならないこと、南進すれば北にも相応の兵力を残置しなければならず、米国からの石油輸入も止められることを想定しなければならないこと・・歴史の結果を知っている我々は何故日中戦争、ノモンハンの事変、太平洋戦争へと突き進んでいったのか理解に苦しむのであるが、その時の時間軸にいた人々はそのようなことは見えない。歴史の本質なのかもしれない、と思う一方、我々は歴史から学び、今この時間軸から -
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PodcastのCoten Radioで紹介されている参考図書の一つ。
いまいち幕末とかイメージがあやふやだったりしていたけど(徳川慶喜と薩長土肥はどういった立場で対立したの?などなど)、丁寧に且つ講談的な味のある語り口でとってものめり込みながら理解を深めることができた。
ただ歴史の教科書で列挙された人物たちと出来事が、人間臭いドラマといて捉えることができたのは、歴史の面白さってこうやって感じるのだなーと今更ながらの気づき。何であんなに学校の歴史はつまんないのだろうの裏返し。
特に印象深いのは、勝海舟の偉人感と慶喜の無機質さ。慶喜は天皇への忠義を誰よりも深く持ってたはずなのに賊軍との扱いを受 -
購入済み
歴史教育で欠落している時代
昭和世代の私が子供の頃は戦前の歴史は教科書で学ぶことが殆ど無かったように記憶してます。本書は私が知らなかった大正昭和の時代を天皇目線で書かれているので、一番の当事者から見た時代の変遷を知ることが出来る最高の教科書です