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Posted by ブクログ
歴史作家の半藤一利氏と立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏の対談である。この二人の対談なのだから内容が濃いのはもちろんだが、改めてこの二人の教養の高さを感じた。
最近は自分が信じたいことが書いてあるものしか読まないという人が増えています。そして日本では中国はこんなにもひどいという本はたくさん出版されています。でも中国には「日本はこんなにひどい国だが中国はこんなにも素晴らしい」という内容の本はほとんど見当たらないようです。中国にとってもはや日本など眼中にないのです。
この二人が共通して危機感を持っているのは日本人の知性の劣化です。OECD諸国の大学進学率の平均は62%で日本は50%で最低レベル。教育予算のgdp比率もOECD諸国で最低です。しかも日本の大学では学生がほとんど勉強していない。
戦後日本が経済大国となったのは、冷戦時代で日本はアメリカにとっての不沈空母であり、アメリカに追いつけというキャッチアップモデルがあり、人口ボーナスなのですから何も考えずひたすらがむしゃらに働けば8%程の経済成長を実現できました。そしてその頃は、あまり考えるより黙って働くことの方が重要でした。多くの人にとって教養は邪魔でしかなかった。だから日本人は勉強することはしないで、ただひたすら長時間働いた。
明治時代の岩倉使節団は、国ができたばかりのときに、政府の半分くらいの大幹部が1年半もかけて出かけているので、ものすごい英断だった。その人たちは、日本がどれだけ遅れてしまったかということをつぶさに学び、「日本は富国強兵」をして西欧諸国と肩を並べる力を身につけなければ日本は植民地化されてしまうという危機感で国を引っ張る。
戦前の日本人は、日本は遅れているという危機感を持って、世界に伍したいい国にしようと思って、一生懸命に勉強した。
今の日本人は、「日本は素晴らしい国で、中国や韓国はひどい国だ」と決めつけながら、自分の意見と合う情報しか獲ようとしない。
若い人でこの2人のように、しっかり勉強している人が増えなければ、日本の将来は危うい。私は65歳の年寄りだが、日本人の一人としてしっかり勉強しなければと思いました。
Posted by ブクログ
日本人なのでどうしても日本史と言う見方をしてしまいますが、世界の中での日本の歴史と言う視点を持つ事の重要性を学びました。
大きな流れや全体を俯瞰する視点はビジネスでも役立つと思います。
日本人の教養のなさや勉強のしなさは、現役世代としては耳が痛い話ですが、昭和の人たちだって満員の通勤電車の中で新聞とか本とかを読んでいたと思いますので、労働時間の問題だけではないような気がします。
今の時代、スマホからはいくらでも知識や情報が得られると思いますが、それを知性として生活や仕事に生かす事は、本も読まずにスマホに齧り付く人々には、そもそもそんな視点すらないのではと心配になります。
本書でも新書を3、4冊読んだくらいで、と言われていますが、実際にどれだけの人が”それだけの数の”新書を毎月読んでいるのかな?と思えば、本を読むだけマシと言えるのではないでしょうか?
本書でお勧めされている本も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
日清戦争で戦争は儲かると国民に思わせてしまった。
日露戦争の日本はこれ以上戦争を続けられない状態でルーズベルトに仲介を頼んで、日本の国力を考えれば120点の講和条件を得た。
ただ日本政府はメディアや国民に正しい情報を知らせず、勝った勝ったと発表していたので、賠償金が取れないとわかった世論が激昂し政府が攻撃され、さらにその恨みが仲裁をしたアメリカに向き、反米感情が芽生えた。
国民に戦況を正しく伝えなかったのがことの発端だが、そこから海軍軍縮条約からの脱退、国際連盟脱退、ノモンハン事件と進み、太平洋戦争と続く。
このパターンは国家でも企業でも個人でも同じ。傷が浅いうちに引き返せば何とかなるのに、何度か誤った選択を行うと引き返せないところに行ってしまう。
日本は過去と同じ失敗をしないと言い切れるのか、考えさせられる。
Posted by ブクログ
日本史だけを見るのではなく、世界史の中でその出来事がどうして日本で起きたのかを見なさい。豪華なこのお二人の対談のメッセージです。明治維新の頃、欧米では何が起きていたか(ボーア戦争で英仏は手が離せず、アメリカは南北戦争)。高度経済成長が可能であった条件とは(冷戦、人口ボーナス、軍事費負担なし)。現在の日本の諸問題も、同じように世界の状況の中で考えなければならないだろう。
それにしても、出口さんの博識ぶりにはあらためて驚愕。半藤さんがあとがきで書いておられますが、出口さんは対談中、一切のメモ書きを持たずに、これだけの内容をすらすらと話されたという。ビジネスの世界に身を置きながら、ここまで教養を深められるのか。
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