半藤一利のレビュー一覧
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これからの未来を議論するために、歴史を紐解いているため大変勉強になった。
私は原子力について、経済が活性化するためには必要なものだと考えていたが、第五福隆丸の事件等を知り、考えを改めさせられた。
人がコントロールできないものは必ず問題が膨れ上がる。
また、ネット社会となったことで人の考えが偏ることも議論されていた。情報や人の意見を鵜呑みにせず、自ら考え、編集していく力が大切だと感じた。
核問題については地政学を用いていた。最近よく聞く地政学についての話を聞き、興味を持つきっかけにもなった。
歴史や地政学、文化への理解が未来を予測するためには必要だと感じた。こうした背景知識を基に情報を編集 -
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本屋でたまたま見かけて衝動買い。いわゆる「ノモンハン事件」を当時のドイツやソ連の外交状況などの国際関係も踏まえつつドキュメンタリー風にまとめた小説。一次資料を多く引用されていて、学ぶところの多い一冊だった。巻末の解説も執筆動機などに言及していて、非常に興味深いものだった。読んでいくうちに、当時の日本軍による太平洋戦争にも見られた調査不足・根拠ゼロの希望的観測に基づいた無茶な作戦計画が、ここでもなされているのがわかってやるせなくなってくる。全体的に抑制の効いた文章だが、行間から同じように感じておられただろう著者の怒りや悲しみが伝わってきた。
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Posted by ブクログ
必敗の戦争を始めてしまったのはなぜか。
流されたのだと思う。
ドイツに勝手に希望を託し、日本のために動いてくれると根拠なく想定し、それを前提に自分たちの行動を決める…。そりゃ見通しが甘すぎる。希望的観測、過度な楽観、リスクの過小評価。
自分たちしか見えなくなり、「こうあってほしい」という願望が、「こうあるべき」という思い込みに変わっていく。その思い込みは決意と呼ばれ、準備に進み、最悪の場合を想定せずに、勝利は何かを決めずに始めてしまう。空気に流された。
そして日本人の意思決定の方法は現在も変わっていない。必ず同じ過ちを犯す。
軍は解体されたが戦争を始めたプロセスは温存されている。道具はな -
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ネタバレお盆の時期なので何か戦争に関する本を読みたいが、子どもの遊びにも付き合わねばならないから分厚いものは無理だなあと考えながら、本屋で見つけたのが本書。半藤氏の過去の著作からの短い引用が、戦前〜戦中〜戦後の順に並べてあり、時代をざっと概観するには良かった。次は引用元である著作のどれかをじっくり読んでみたい。
以下、面白かった点。
P16-17
人工的な神国意識や天皇観。
P20
新旧両思想に帰依せず『宙吊りの孤独に堪えねばならなかった』勝海舟。
P34
日露戦争で日本兵の精神的弱さが認識されていたにもかかわらず、戦史には残されなかった。
P44-45
「非常時」の掛け声の下の軍国化。
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ネタバレ本書はなかなかユニークな構成です。
話は「偕行社」という陸軍将校の集会所の説明から始まります。
この組織は戦前から存在し、現役・OB問わずにメンバー制で構成され、親睦や研究などの集会から冠婚葬祭の援助など多方面で活動しています。終戦時に解散しましたが、戦後しばらくして再開されたとのこと。
本書は偕行社の機関紙である『偕行』にて掲載された「大東亜戦争の開戦の経緯」と題する座談会の内容をまとめたものです。内容は戦争に至るまでの陸軍内の動向をまとめているが、戦争に至ってしまったことを「反省」する趣旨が強い内容となっている。
著者は早くからこの ”陸軍反省会” の資料を手に入れておきながら -
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半藤一利の昭和史に関する対談集。
対談なので、話し手お二人のどちらかを知っていれば共感できること、基本的に楽しく会話していらっしゃるので昭和に関する興味関心の入り口になりやすいことなどをまず感じました。
巻末にこの本が編まれた経緯について触れられています。これまで重ねてきた対談から昭和史に関するものを選んで一冊の本にしたんだとか。
「昭和史」というタイトルながら太平洋戦争をめぐる対談がほとんどでしたが、このように単発の対談を集めて一冊の本にしたからでしょう。
その太平洋戦争については、従軍経験のある人、空襲などを体験したことがある人、「戦後」の記憶のある人、研究している人、それ以外の人と、 -
Posted by ブクログ
日本が大戦で負けた理由をその当時の当事者を交えた座談会形式で解き明かしていくもの。
失敗の本質的の様に戦略論ではなく外交や組織という面から見る。
南方侵攻を進める海軍。北への侵攻を進める陸軍。お互いが組織の本質を見極めることなく、お互いをカバーすることなく戦争に突き進む。外交面ではアメリカは戦争に参加することはないだろうと言う考えと、ドイツがソ連を倒してくれるという楽観論と他力本願。そして戦争が泥沼化しても誰も責任を取ろうとしない無責任体質。
戦争は始めるのは容易かもしれないけど、どのように終わらせるかも考えてもらいたい。そもそも戦争はしない方がよいのですが。
戦争をしないためには、戦争 -
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★★★2019年5月★★★
半藤さんが語る幕末史。ペリー来航から西南戦争まで。筆者も述べているように、どちらかと言えば幕府に同情的な立場で書かれている。確かに、薩長のやった事は無理無体なことも多いし、幕府の肩を持ちたくなる気持ちは分からないではない。
中でも特に評価しているのは勝海舟だろう。
咸臨丸による太平洋横断から、江戸城無血開城、西南戦争に至るまで、常に勝海舟が登場する。
左遷されたり、抜擢されたり、幕府が倒れた後は駿府にこもったり、新政府に出仕したり、勝の身辺はいつも騒がしい。
「日本」を第一に考えながらも、薩長と一戦も辞さないという強い覚悟。胆力。これがあっての勝海舟だろう。 -
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