半藤一利のレビュー一覧

  • 賊軍の昭和史

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    明治維新前後の官軍と称する勢力は、昭和の大戦においても時代錯誤の影響力を撒き散らした。
    尊王思想にしても、自分の理想を成就せしめるためには何でもありの狂気の思想であり、今の大河ドラマが不人気なのも、活動家らに抜き身の刀を近くで振り回されているような厭な雰囲気を、視聴者が感じているからではなかろうか。

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    2015年09月16日
  • 賊軍の昭和史

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    司馬遼太郎が書かなかった、書けなかった?昭和史。迫りくる欧米列強と対峙し、明治維新後、日清・日露を官軍の側から描けた司馬史観。
    官軍・賊軍の確執、そして、統制派、皇道派と続く、昭和の軍閥の混乱。司馬史観では取り上げられない史実だ。
    昭和史に詳しい、半藤、保坂コンビが、官軍・賊軍がどう昭和の戦争に突き進んだのかを解明しようとした著作だ。
    基本的には、吉田松陰の思い描いた東アジア構想を具体化しようとした永田鉄山、石原莞爾。
    そして、長州の天皇の権威を利用した、錦の御旗が、統帥権干犯へと繋がっているとの考え方が示されていた。
    敗戦処理に携わったのは賊軍を出自とする軍人だ。
    明治憲法下の最後の首相鈴木

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    2015年09月15日
  • 日本国憲法の二〇〇日

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    半藤さんには長生きしてほしいなあ。未読の人は是非「幕末史」「昭和史」を。映画にもなった「日本のいちばん長い日」もいいです。そして本書は日本国憲法について。

    誤解を恐れず言います。僕らが選んだ国の代表たちが変えたいなら、正式なプロセス踏んで変えたらいい、と思います。何回でも変えたらいい。公約と真逆なことやるなら問題かもしれないけど、多数決ってそういうものでしょ。

    進駐軍が来る前に真っ先に慰安施設を整えた敗戦国日本が、その翌年に「自ら」①天皇は国の元首の地位にある、②国権の発動たる戦争は、廃止する、③日本の封建制度は廃止される、の三原則に基づいた憲法を、「衆議院賛成421票、反対8票で」選びと

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    2015年09月02日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    立憲君主制下の君主として、ごく数回の例外を除いて明治憲法で定められた「あるべき君主像」を自らに課し、そしてそれが故に、軍部の独走を抑えられず、却って国土の荒廃と数百万の国民を犠牲においやってしまったナイーブでインテリな君主。戦争を実力で止めなかったが故に法的な責任を逃れえたが、一方で同じ理由で道徳的・精神的な咎に、一生苛まれていたに違いない。本書では、昭和天皇の人間的な姿を、はしばしに見つけることができる。一方で、実録を編纂した宮内庁の恣意的な情報公開と秘匿が、この第一級の資料に与えたインパクトについては評価が分かれるかな。

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    2015年08月29日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    半藤一利氏、保阪正康氏、御厨貴氏、磯田道史氏4名が『昭和天皇実録』を読んでの感想を諸々述べている本。4氏の話の中から垣間見られる『実録』の内容からはとくに「新発見」の類はないようだが、新たな史料の存在も示唆されているようで興味深い(ただし、原本の公開は難しいのかも)。

    最後に保阪氏が「「昭和天皇は生きている」との感がしてならなかった」と述べている。自分も「昭和生まれ」のひとりとして『実録』から漏れ聞こえてくる昭和天皇の息づかいに触れてみたいと思う。

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    2015年08月18日
  • あの戦争と日本人

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    語り口調で分かりやすく日本人と戦争との関わり合いを述べている。内容としては行ったりきたり、いろいろ話が飛ぶもののどれも興味深く、知らない内容も多かった。後半にいくにつれ内容的にも重く、しかし大事なことへとつながった。最後に、「あの戦争」と述べている理由も分かって納得。これをベースに『日本の一番長い夏』の再読に挑むつもり。

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    2015年07月03日
  • 十二月八日と八月十五日

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    確かに著者の以前書いたものを読んでいれば読む必要はないとは思うけれど、このアイデアは見事だと思う。開戦の日と終戦の日に日本人が何をして、何を感じたのかという話。
    太平洋戦争の流れを知らないで読むと難しいのかもしれないけれど、それくらいは学校で習っているはず。今の若い人に読んでほしい。

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    2015年07月01日
  • 十二月八日と八月十五日

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    太平洋戦争が始まった1941年12月8日、終戦の玉音放送が流れた1945年8月15日日本人はこの日に何を考え、行動したのか?各界の著名人の日記や手記をもとに、戦争というものが日本人」の精神構造にどれほどの影響を与えたかをあぶりだす。戦後70年の今、読みたい一冊。

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    2015年06月23日
  • もう一つの「幕末史」 “裏側”にこそ「本当の歴史」がある!

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    薩長史観を離れた本書を読むと、まさに「勝てば官軍」の状況が分かる。
    事後に偉人と呼ばれるような人による、今の時代となっては犯罪とされるような手段を選ばぬ行動で、新たな時代が切り開かれてきたのだろう。

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    2015年06月20日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    ネタバレ

    本当なら、全61巻、12000ページあるという「実録」そのものを読みたいところではありますが、さすがに躊躇してしまうので、とりあえず昭和史の研究家の何人かが語っているこの本で概略をつかんでおこうと思いました。

    ・そもそも「実録」を残すというのは、古代中国の皇帝が亡くなった時に編纂する伝統が生まれ、その後朝鮮やベトナムにも広がったものだそうで、それでも平安時代には世界中で途絶え、復活したのは「孝明天皇紀」。その後「明治天皇紀」が編纂され、今や日本にしか残っていない伝統とのこと。

    ・特に昭和天皇は、世界を相手に戦争を行った昭和という時代の帝であるということから、その時天皇はどう判断し、どう行動

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    2015年05月30日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    「昭和天皇実録」の第1巻、第2巻が書店に並んだとき、思い切って買ってみようかとかなり悩んだ。でも、今後刊行される分を含めてすべてを読み通すことは難しいし、読んでも十分理解できないと思い、この種の解説本を待つことにした。
    本書で取り上げられた部分は、大方の日本人が関心を持つ部分であり、既に知られている資料との異同も含めて触れられているので、一人で実録を読むよりよほど意味があった。できれば、新書一冊というボリュームでは取り上げ切れなかった他のテーマについても、また解説してほしいと思った。

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    2015年05月24日
  • 日中韓を振り回すナショナリズムの正体

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    ナショナリズム=愛国心は、愛郷心のようなかたちで本来誰にでもあるものだ。が、権力と結びついているナショナリズムというものがあり、それが意図的に前者のナショナリズムを扇動し、政治的に利用しようとする構図がある。それがタイトルにある、日中韓でいま相互不信をかりたてているナショナリズムの正体だ。それぞれの国がどのような歴史的な背景でナショナリズムを持ち得、それがどのような意図で利用されているのか。太平洋戦争時の軍部が誘導した日本のそれ、共産党・国民党の対立が元になっている中国の反日教育、韓国人の誇りの高い国民感情、本書は、それらの主たる理由を簡潔に紹介し、それを正しく知ることなく、悪感情をもって自国

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    2015年05月16日
  • 日本型リーダーはなぜ失敗するのか

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    戦史に関する記述が多すぎるところはあるが、話としては興味深いし、リーダーシップの考察においても全然無駄ということでもない。

    実例に基づきながら、あるべきリーダーシップを論じているのは、非常に分かりやすい。

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    2015年05月12日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    2014年に刊行された昭和天皇実録についての対談集。少年時代の遊びや叱られたこと、乃木希典への敬慕。欧州遊学。摂政として国の舵取り。熱河作戦の阻止失敗。2.26事件への対応と石原莞爾への不信。三国同盟と松岡洋右。開戦への気持ちの変化と軍部への不信。嘘の上奏ばかりで短波放送を聞いて情報を得る。終戦工作と陸軍への説得。大元帥と天皇と大天皇。マッカーサーとの信頼。沖縄基地問題。A級戦犯の靖国合祀問題。実録は後世への歴史責任を果たす為、かなり中立に抑制的に書いてある。また天皇の生の感情も抑制的に書いてある。六国史に連なる国紀が書かれていることの重要性。24年掛けた大作に感謝。

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    2015年04月28日
  • 日本型リーダーはなぜ失敗するのか

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    半藤氏のリーダー論、というか旧日本軍を題材にした組織論は何を読んでも新たな発見があり面白い。日本軍のダメなところが何ら変わることなく現代の会社組織に引き継がれていると感じるのは、ウチの会社だけなのだろうか?
     日本型リーダーシップは、神輿に乗る形式上のリーダーと、実務に優れ権力もあるが責任はない参謀のコンビが基本で、結局誰も責任を取らないシステムだというのが著者の主張である。自分の会社も正にその通り。だから危機に面した今も有効な手が打てないんだなって納得した。リーダーに責任感がなさすぎる。

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    2014年12月29日
  • そして、メディアは日本を戦争に導いた

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    今回の総選挙での自民党からの圧力、秘密保護法施行と、まさに戦前回帰している今だからこそ、知っておくべき内容。どこで踏みとどまらなければならないのか、今こそ学び考えましょう。

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    2014年12月21日
  • 半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義

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    半藤さんと宮崎さんの対談
    「風立ちぬ」試写会の前後で行われた
    漱石、ゼロ戦、堀辰雄、堀越二郎など

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    2014年12月07日
  • ルンガ沖夜戦

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    著者が半藤一利というだけで安心して読める。
    読みやすく、面白い本。
    忙しくてほとんど眠らず、酒を浴びるように飲んでいた時期に書いたとあとがきに記されているが、そのような状況でこの程度の本を書ける才能が素晴らしい。

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    2014年12月01日
  • 日本型リーダーはなぜ失敗するのか

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    なぜ日本型がダメなのか?

    →優れた参謀とは、
    1.指揮官の頭脳を補うことができること
    2.部隊の末端まで方針を徹底させること
    3.将来の推移を察知する能力を有すること
    リーダーたるものは直ちに簡潔に決断すべき

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    2014年12月30日
  • ソ連が満洲に侵攻した夏

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    満州物は被害にあった人間の目線に立って感情に訴えてくる本が多い。
    特に反戦プロパガンダを目的としたものはそうだ。
    この本は半藤氏の怒りのようなものは書かれてはいるが割合と淡々と書かれていて良かった。
    過度に醜聞を目に入れずに事実関係を鳥瞰するにはいい本だった。

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    2014年11月11日